2025年02月18日

労務に向いている人の特徴は?経験者・未経験者別に転職活動のポイントを解説

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人事業務には様々な分野があり、給与計算や社会保険の手続きなどの業務は「労務」分野です。
企業規模によっては、人事部門の中に労務機能が含まれているケースも多いですが、大手企業などでは労務部門が独立して設けられています。

この記事では、労務に向いている人の特徴について解説します。
また、人事との違いやおすすめの資格なども合わせてご紹介するので、労務への転職を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

労務に向いている人の6つの特徴

まずは、労務に向いている人の6つの特徴を紹介します。

コツコツと作業をこなせる人

給与計算や社会保険の手続きなど、労務の代表的な仕事は、条件を確認し、正確にデータに反映させる作業が多い傾向があります。
特に給与計算は、外注する企業もあるほど手続きが煩雑であり、従業員の人数によっては業務量も膨大になります。

そのため、専門知識を持ちつつ、作業を淡々とコツコツとこなせる人は労務の適性があると言えるでしょう。

コミュニケーション力があり、秘密を守れる

労務の業務は部門内だけでは完結せず、他部門との連携が必要です。
例えば、給与計算は労務担当者が行い、実際に各社員の口座に振り込むのは経理が担当する企業も珍しくありません。

また、労務は各種手当や年末調整、結婚・出産に伴う手続きなど、他部署の従業員からさまざまな問い合わせを受ける立場です。
中にはプライベートな相談を受けることもありますが、不用意に部外者へ漏らすことは決して許されません。

労務担当者は、コミュニケーション力が求められますが、口が堅く秘密を守れることが大切です。

法律の学習意欲が高い人

労務業務は、人事業務の中でも、特に法律に関連する業務が多い傾向があります。
労働基準法のような基本的な法律ばかりではなく、改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)のような、社会情勢の変化に伴う法改正を踏まえて行動する必要があります。

そのため、法律の学習が苦にならない人・学習意欲の高い人が向いていると言えるでしょう。
常に知識をアップデートして、それを仕事に活かす姿勢がある方に適していると言えます。

締め切りを守れる人

労務の仕事では、締め切りを守ることが重要です。

社会保険の加入・脱退手続きや給与計算、労働契約書の管理など、法的に定められた期限を厳守しなければ、従業員や企業に損害を与えてしまう可能性があります。
特に法的義務を怠ると罰則の対象となるだけでなく、従業員の信頼を損ないかねません。

相手に寄り添いつつ、感情移入しすぎない人

労務担当者は、従業員からの信頼を得る存在であると同時に、トラブルの解決役でもあります。
トラブルを抱えた人に寄り添い、思いやりを持って対応する姿勢が求められますが、感情移入しすぎると自分自身がストレスを抱えてしまうリスクがあります。

冷静さを保ちつつ、解決に向けて最善を尽くすバランス感覚が重要です。

社会保険労務士を目指している人

社会保険労務士を目指す人は、労務業務に従事することで実務経験を積むことができます。
資格の取得自体は、未経験でも可能ですが、労務現場での経験がある人は、実践力や信頼性の面で大きなアドバンテージとなるでしょう。

実務を通じて法令の運用やトラブル対応スキルを磨き、社労士として活躍するための基盤を築くこともできます。

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労務に向いていない人の特徴

続いて、労務に向いていない人の特徴を見ていきましょう。

前述の「労務に向いている人の6つの特徴」に対極する特徴には、「個人の業績が目立つ形で評価されたい人」や、「外部との繋がりを広げたい人」が挙げられます。
労務は従業員の勤怠管理や給与計算、トラブル対応など、裏方として企業を支える仕事が中心です。
そのため、営業やマーケティングのように、成果が評価されて昇進のスピードに直結することは少なく、個人の業績を重視する人には向いていないでしょう。

また、労務の業務特性上、社外の人脈形成が重視されることはあまりなく、主に内部の環境改善や業務効率化に取り組むことが求められます。
よって、外部との繋がりを積極的に広げたい志向を持つ人にとっては物足りなく感じるでしょう。

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労務の仕事内容

業務内容 詳細
給与計算 毎月の給与支払に伴う業務。
基本給や各種手当、勤怠データに基づく控除(社会保険料や税金など)を計算する。
勤怠管理 従業員の出勤・退勤、休憩、欠勤、遅刻、早退などの勤怠データを記録・管理する。
保険
手続き
社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)に関する手続きを行う。
福利厚生
業務
従業員やその家族を支えるためのサービスを提供する(住宅補助、健康診断の手配、育児支援制度、企業独自の福利厚生制度の運用・管理など)
安全衛生
管理
労働安全衛生法に基づき、安全で健康的な労働環境の維持・改善を行う。
安全衛生教育の実施や労働環境改善策の提案も含まれる。
就業規則
作成
労働基準法に基づく就業規則の作成・改定と届出を行う。
労働時間や休憩時間、賃金などの労働条件を明確化し、必要に応じて法改正に対応した更新作業にも従事する。
労使関係
管理
労働者と使用者(企業)間の関係を円滑にするための業務で、労働組合との団体交渉や協議、労働者代表者との意見交換などを通じて、労働環境の改善に努める。
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労務と人事の違いは?仕事内容と向いている人

大手企業などでは、独立した労務部門が設けられているケースも多いですが、中小企業では労務は人事部門に含まれることが一般的です。

人事は主に採用活動や人材育成、評価制度の運用などの企業運営に必要不可欠な「人」に関する業務をすべて担います。
従業員と直接関わる場面が多く、採用活動では会社の顔として社外に影響を与えることもあるでしょう。

一方、労務部門として独立している場合は、勤怠管理や給与計算、社会保険手続きなどの業務が中心で、裏方業務を通じて従業員が働きやすい環境を整える役割を果たします。

このような違いより、人事には人と接することが好きな人が向いている一方、労務はコツコツと作業に取り組める人に適しています。

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労務の転職市場の傾向は?

新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年に企業の求人数は減少しました。
労務部門の求人数も他職種同様、一時的に減少しましたが、企業運営において必要不可欠なポジションであるため、比較的早い時期に回復しています。
緊急事態宣言や働き方改革によるリモートワークの推進や働き方の多様化が進み、時代の変化や法改正に対して迅速に対応できる労務人材のニーズが高まっているのです。

労務求人の内容としては、リーダーや管理職、実務経験者を対象としたものが多く、社会保険労務士の有資格者、もしくは資格取得のため勉強中の人、あるいは人事システムの使用経験者を高く評価する傾向があります。
総じて豊富な業務経験を持ち、即戦力として活躍できる人のニーズが高いと言えるでしょう。

年間を通して労務求人が増えるタイミングとしては、①6月~、②9月~、③1月下旬~の3つのパターンがあります。
労務は、7・8月に算定業務、10・11・12月に年末調整業務や冬季賞与が発生し、繁忙期となるため、それ以前に求人を出すケースが多い傾向です。

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労務におすすめの資格

労務としてキャリアアップを目指すなら、いくつかチャレンジ・取得したい資格があります。
以下に、主なものをご紹介します。

社会保険労務士

社会保険労務士は、人事労務系の難関国家資格であり、会社に代わって労働関連法令・社会保障法令に基づく書類等の作成代行等を行います。
企業経営における労務管理・社会保険に関する相談にも対応する職種であり、取得すれば労務のエキスパート的存在として評価されるでしょう。

労務管理士

自社でのキャリアアップを目指すのであれば、まずは労務管理士の取得を目標にするとよいでしょう。
社員の採用から退職までに行う一連の労務に関する業務につき、その習熟度を問う試験であり、難易度は比較的低い傾向にあります。

労務管理士資格の取得には4つの方法がありますが、未経験者は認定講座を受講して合格し、アピールポイントにする活用法が適しています。

メンタルヘルスマネジメント

労働者に生じる精神的な不調に対応したり、職場で問題が生じないように予防策を講じたりする上で、専門的な知識を身に付けることができる資格です。
メンタルヘルスとは精神面での健康状態を意味し、近年ではメンタルヘルス上の問題により、労働者が長期休業・退職を余儀なくされる事態が増えています。

各企業の労務部門にとってはメンタルヘルスにどう取り組むかは喫緊の課題であり、それだけに転職活動において、メンタルヘルスマネジメントの資格を有していると一定の評価を受けることができます。

労働時間適正管理者検定

近年、「働き方改革」というスローガンのもと、労働基準法をはじめとする各種法令の改正を通して、長時間労働への歯止めや年次有給休暇の取得促進などへの取り組みを進めています。
今や労働時間の適正化は国を挙げて取り組まれるべき課題であり、そのための専門知識を有することを証明できるのが、労働時間適正管理者検定です。

資格には等級やレベルはなく、特別認定講習の修了もしくは一般検定試験の受験により取得できます。

人事総務検定

人事総務検定は、人事総務の業務に関する法律知識と実務能力を評価する検定です。

1~3級があり、3級は人事総務の業務にはじめて就く担当者レベル、2級は人事総務部の主任レベル、1級は人事総務部の課長レベルに相当する知識が問われます。
労務部門の仕事内容に直結する資格であり、勉強を通して勤務する上で必要となる知識を身に付けることが可能です。

また、人事総務検定の試験範囲は、社会保険労務士試験の内容と重なっています。
将来的に社会保険労務士資格の取得を目指している場合、手始めに人事総務検定を取得するのも一つの方法です。

マイナンバー実務検定

2015年から実施が始まったマイナンバー実務検定は、マイナンバー制度の理解や個人情報の取り扱いなど、マイナンバーを適切に管理するための検定試験です。

1級から3級に区分され、3級は一般社会人向け、2級は組織でマイナンバーを扱う管理・指導者向けの内容となっています。
1級では、組織でマイナンバーの実務に従事する人を対象とし、高度な知識と実務能力が問われ、イレギュラーなケースへの対応力も求められます。

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労務経験者がキャリアアップする方法

労務経験者がキャリアアップする方法

ここでは、労務経験者がキャリアアップするための方法を3つご紹介します。

労務部門の管理職を目指す

「労務の仕事内容」の章でも解説した通り、労務の仕事内容は、給与計算や雇用契約書の作成などの基礎的な業務から、労使関係管理や労務トラブル対応などの難易度の高い業務まで様々です。
年次が上がるに伴って、高度な業務を任されるようになり、労務部門の管理職を目指すこともできます。

特に、大手企業の独立した労務部門では、給与計算や社会保険手続きに加え、労務制度の設計や改善に携わる機会が増えます。
労務実務だけでなく、人事企画評価制度などの知識を深め、組織の経営層との連携能力を磨くことが重要です。

幅広い知識を身につけて管理部門を統括するポジションを目指す

労務だけでなく、人事、総務、経理、法務など幅広い分野の知識を身につけることで、管理部門のゼネラリストとして活躍する道もあります。
中小企業では、管理部門を一任されるポジションを担うこともあり、採用や教育、人員配置など多岐にわたる業務を通じた全社的な貢献が求められます。

社会保険労務士資格の取得を目指す

労務実務の経験を活かして、社会保険労務士(社労士)の資格取得を目指すのもキャリアアップの有力な選択肢です。
社労士資格を取得すれば、企業の給与計算や社会保険手続きだけでなく、助成金申請や労務制度の設計、就業規則作成の支援など、専門性の高い業務に携わることができます。

さらに、社労士事務所への転職や独立開業する道も広がるでしょう。

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未経験から労務へキャリアチェンジする方法

次に、未経験から労務へキャリアチェンジするためのポイントをご紹介します。

なるべく早く転職活動を始める

労務職に限った話ではありませんが、実務未経験の場合は年齢が若い方が採用されやすいと言えるでしょう。
採用後に自社でスキル・経験を積んでキャリアアップを図り、将来的に活躍してくれると期待してポテンシャル採用するケースも多く見受けられます。

労務の転職市場では、経験者が重視される傾向があるため、未経験から目指す場合は、早めに転職活動を開始することが重要です。

事務スキル・PCスキルを身につける

労務ではマルチタスクと正確性が求められるため、事務職経験が評価につながることが多い傾向です。
特に、Excelのスキルは重要であり、関数や効率的なデータ処理ができる能力は高く評価されるでしょう。
未経験の場合でも、事務スキルを磨き、PC操作に慣れておくことが労務職への近道です。

「なぜ人事の中でも労務を希望するのか」を言語化する

採用面接では、「なぜ労務を選んだのか」と質問されることが多いため、明確に回答できるよう準備しておくことが重要です。
例えば、「資格取得を通じて労務への意欲が高まった」などのように、ポジティブな理由を準備しましょう。

また、志望動機と転職理由、自己アピールに一貫性を持たせることで、より説得力が増します。
上手く整理ができない場合は、転職エージェントに相談するのも有効な方法です。

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「MS Agent」の労務求人例

ここでは、弊社MS-Japanが運営する管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」で取り扱っている労務求人の一例をご紹介します。

【経験者向け】大手航空会社の労務管理マネージャー

仕事内容
・Payroll 人事業務チームのマネジメント
・給与計算、勤怠管理、社員情報管理の状況管理
・人事データの集約と維持管理、業務改善
必要な経験・能力
・事業会社での人事・労務業務経験(3年以上)
・Word、Excel、PowerPoint中級以上
・スケジュール管理・調整能力
想定年収
700万円~800万円

【未経験歓迎】東証プライム上場企業の人事労務(社保・給与計算)

仕事内容
・給与計算、委託元対応、各種明細の発送
・雇用保険・労働保険の手続き、給付金申請、経理処理
・社会保険関連手続き、保険料の算出と納付 など
必要な経験・能力
<必須>
・ビジネスメール対応、Excel業務経験
<歓迎>
・人事労務経験
想定年収
367万円~544万円

「MS Agent」では、このほかにも未経験者向けのスタッフクラスから、経験者向けの管理職クラスまで、幅広い労務求人を取り扱っています。
無料会員登録により、条件にマッチした方にのみご紹介する非公開求人のご案内も可能です。

まとめ

労務は、従業員が安心して働ける環境を裏から支える重要な役割を担う職種です。
経験者は同じ労務に転職することで、これまで培った専門スキルや業務知識を活かし、さらなるキャリアアップを目指す機会を得られます。
一方、未経験者は事務スキルやPCスキルを磨きつつ、「なぜ労務を選ぶのか」をしっかり言語化し、志望動機を具体的に伝えることが採否を左右します。

自力での転職活動に難しさを覚える場合には、転職エージェントを利用するのがおすすめです。
「なかなか選考を通過できない」「希望に合う労務求人が見つからない」とお悩みの方は、士業管理部門特化型転職エージェントとして30年以上の実績を持つ「MS Agent」にご相談ください。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

田々美 綾夏

大学卒業後、新卒で人材会社へ入社し福祉業界の派遣営業として従事。
退社後海外留学やカスタマーサポート業を経験し、MS-Japanに入社。
キャリアアドバイザーとして企業の管理部門、会計事務所などへの転職支援を担当しています。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 社会保険労務士事務所 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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