勤務社労士とは?平均年収やメリット・デメリット、求人例など
働き方改革により、企業の労働条件の見直しが進む中、転職市場では社会保険労務士資格保有者のニーズが高まっています。
この記事では、勤務社労士として企業で働くメリットや、勤務社労士の年収についてご紹介します。
勤務社労士(企業内社労士)とは
まずは、勤務社労士の意味や仕事内容などの基礎知識を押さえておきましょう。
勤務社労士とは?開業社労士・顧問社労士との違い
勤務社労士とは、特定の企業に所属して会社員として働く社労士のことです。自社内の人事や労務に関する仕事を担います。
副業を認めていない企業では、報酬を受けて他社の人事・労務を行うことはできません。
また、勤務社労士以外の働き方は、開業社労士と顧問社労士があります。
開業社労士は、独立開業をして自分の事務所で業務を行う社労士のことで、会社と顧問契約を締結して顧問社労士としてクライアント企業の人事業務を代行します。
将来的に開業社労士を目指している場合でも、社労士資格取得後はまずは勤務社労士として働き、その後独立開業するケースが一般的です。
現在は約4万人が社労士登録を行っており、そのうちの1/3程度が勤務社労士として企業に所属しているといわれています。
勤務社労士の仕事内容
勤務社労士は、一般的に企業の人事部や総務部などの部門に在籍します。
仕事内容は所属する企業や部門によって大きく変わりますが、下記のような業務を行うことが多いです。
- ・社員の社会保険手続き
- ・給与計算
- ・人事評価
- ・就業規則の改定
- ・労務関連問題における対応
- ・人事施策の検討
- ・助成金の申請
上記のように、勤務社労士は人事や労務など企業の運営に欠かせない業務を担っています。
勤務社労士として働くメリット・デメリット
次に、勤務社労士として働くとメリットとデメリットについてご紹介します。
勤務社労士として3つの働くメリット
幅広い業務を担当できる
勤務社労士の仕事内容は、開業社労士に比べて幅広い傾向があります。
例えば、企業の人事部門に所属する場合、労務だけでなく新卒・中途の採用業務や社内研修の企画・立案・実施など、様々なジャンルの業務経験を積むことが可能です。
所属意識を持って業務に従事できる
勤務社労士は、企業に所属して勤務するスタイルであるため、所属意識を持って業務に従事できる点も勤務社労士ならではの魅力です。
例えば、労務関連のトラブルに対応する際、顧問社労士の場合は労務に関する作業や手続きを行うのみで、その他の細かな対応については社内の人事部が行う傾向があります。
しかし、勤務社労士であれば該当事象に対するあらゆる対応に関わることができるため、トラブル収束後の達成感は非常に大きいでしょう。
また、問題に対して中心的存在として深く関われることは、大きな経験値としてその後のキャリア形成に役立ちます。
独立開業と比較すると、安定した収入が得られる
勤務社労士は企業と雇用契約を結んで勤務するため、毎月安定した収入を得ることができます。
また、昇給・昇格フローは所属企業の規則に準じ、明確な給与テーブルが定まっているため、収入の見通しを立てやすいでしょう。
開業社労士は、案件の受注状況によって、月の収入が大きく異なります。
もちろん努力次第で大きく稼ぐことも可能ですが、逆に稼ぎがぐんと減るリスクもあるため、安定した収入を求める場合は勤務社労士が適しているでしょう。
勤務社労士として働く2つのデメリット
給与水準が所属企業に準ずる
先述のように、勤務社労士の収入は所属企業の規則に則って決定します。一般的な企業では、年功序列や勤務年数に応じて年収額が決定されます。
そのため、営業努力によって収入アップを目指せる開業社労士とは異なり、日々の努力が収入に直接つながりにくい可能性があります。
規則によっては副業が禁止されている
開業社労士であれば自身で顧客を開拓し、自由に業務を受託できますが、勤務社労士は所属する企業の規則によっては副業ができない場合もあります。
規則で禁止されているにも関わらず、副業を行い、その事実が明るみになると、懲戒処分となる恐れがあるため注意しましょう。
勤務社労士の平均年収
2022年7月~2023年6月にMS-Japanが提供する士業・管理部門特化型転職エージェント「MS Agent」に登録のあった社会保険労務士資格保有者のデータを元に、勤務社労士の平均年収について解説します。
社労士資格保有者のうち、社労士事務所に勤めるスタッフの平均年収が440万円、対して一般企業の人事担当者では622万円と、180万円以上の差がありました。
つまり、一般的には社労士事務所で勤務するよりも、勤務社労士として一般企業に所属するほうが高い収入を得られることがうかがえます。
参照記事:【2023年】社労士の雇用実態・平均年収を徹底調査
企業が社労士を雇う目的とは
続いては、企業が社労士を雇う目的を理解し、勤務社労士に期待される役割を把握しましょう。
主に考えられる目的は下記の4点です。
- ・信頼性の高いアドバイスが欲しい
- ・法的リスクを低減したい
- ・顧問契約料などのコスト削減したい
- ・雇用環境整備の助成金を受けたい
それぞれの項目について、以下で詳しく解説します。
信頼性の高いアドバイスが欲しい
社労士を雇用する企業は、「企業の労務・人事に関して親身に対応してほしい」と考えています。
勤務社労士ならではの所属意識によって、信頼性の高いアドバイスを得られることは、企業にとって非常に大きなメリットです。
法的リスクを低減したい
ブラック企業が社会問題となり、「ワーク・ライフ・バランス」や「働き方改革」への意識が高まっている昨今、様々な企業で労働環境の整備に尽力しています。
安全かつ快適な労働環境の整備を迅速に進め、法的リスクの低減を目指す目的としても、社労士資格保有者を社内に迎える企業が増えている印象です。
顧問契約料などのコスト削減したい
コスト削減を目的として社労士を雇う企業も多く存在します。
外部の社労士事務所に依頼をして継続的な顧問契約を締結する場合は、毎月の顧問報酬の支払いが発生します。
しかし、社労士資格を持つ従業員が内部にいれば、資格手当を支払うとしても、顧問報酬より少ない負担で済むでしょう。
労働環境の整備は長期化しやすいため、勤務社労士の存在は企業にとって大きなメリットとなります。
雇用環境整備の助成金を受けたい
労務や社会保険といった雇用環境の整備を行う企業は、条件付きにて厚生労働省から助成金を受け取ることが可能です。
助成金の申請には、複雑かつ専門性の高い書類の作成が必要ですが、社内に勤務社労士がいれば専門的な知見に基づいて適切に書類を作成できます。
登録しないで勤務社労士になれる?
勤務社労士として社労士業務を行うためには、社会保険労務士会(全国社会保険労務士会連合会)への登録が必須です。
登録しなければ「社会保険労務士」として名乗れないだけでなく、専門業務を請け負うこともできません。
登録すると年会費が発生し、勤務社労士の場合は年間60,000円を支払う必要があります。
ただし、開業して独立する場合、あるいは社会保険労務士法人を立ちあげる場合の年会費は84,000円です。
また、登録時に登録免許税や入会金といったその他の費用もかかるため、勤務社労士のほうが少ない費用負担で済みます。
勤務社労士の求人例
ここでは、「MS Agent」で取り扱っている社労士資格保有者向けの人事求人をご紹介します。
京都のメーカー企業の労務担当【社労士資格保有者歓迎】
想定年収 |
457万円 ~ 547万円 ※育休産休取得実績100%/週3~4日の在宅勤務 |
仕事内容 |
社会保険業務・勤怠管理を中心とした人事労務業務 ※人事労務管理システム:【COMPANY】 |
必要な経験・能力 |
<必須> 社会保険労務士資格 |
デジタルマーケティング・コールセンター業界トップの上場企業の社労士業務マネジメント
想定年収 |
500万円 ~ 655万円 |
仕事内容 |
人事労務・総務のBPOサービス提供において社労士実務現場のマネジメント業務 (現場メンバー管理・指示、顧客への報告、進捗管理、問い合わせ対応など) ※業務フロー・マニュアル改善提案やメンバー育成、新規業務依頼時の検討など、業務効率化の取り組みにも一緒に携わっていただきたいです。 |
必要な経験・能力 |
・社会保険労務士資格(もしくは資格登録者)保有 ・なにかしらのマネジメント経験(新人教育でも可) ・社労士業務の実務経験 |
その他の社労士求人は下記ボタンから閲覧できます。非公開求人は無料会員登録によりご紹介可能となります。
まとめ
勤務社労士は、開業社労士や顧問社労士と比較して、「幅広い業務を担当できる」「安定した収入を得られる」などの魅力があります。
一方で「努力が収入アップにつながりにくい」「副業できない可能性がある」などのデメリットもあるため、メリット・デメリットをしっかりと認識したうえで就職・転職を検討することが大切です。
弊社MS-Japanでは管理部門に特化した転職エージェントの「MS Agent」を運営しており、社労士の求人も多く取り揃えております。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、新卒でITベンダーに入社し、営業としてエネルギー業界のお客様を担当。その後、損害保険会社で法務業務に従事。
キャリアアドバイザーとしてMS-Japanに入社後は、法務、弁護士、法科大学院修了生などリーガル領域を中心に担当。
人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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