「社労士は意味がない」という噂はホント?転職や年収アップに有利な社労士の魅力を紹介!
人事関連の仕事をしており、社会保険労務士(社労士)の取得を検討している方も多いでしょう。しかし「社労士は意味がない」などの声を聞き、資格勉強をためらってしまう場合もあるかもしれません。
そこで本記事では、「社労士は意味がない」といわれる理由や社労士資格取得のメリット、年収事情などを紹介します。
社労士資格を目指している人やすでに取得済みで転職に役立てたい人は、参考にしてみてください。
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社労士が意味ないといわれる理由
社会保険労務士が「意味がない」といわれる理由は、以下の3つが考えられます。
資格取得の難易度が高いわりに知名度が低い
まず挙げられるのは、社労士は難易度の高さに対して知名度が低いことです。
社労士試験の合格率は6%程度で難易度の高い国家資格ですが、公認会計士や弁護士、税理士などと比較すると知名度が低いと言われています。
しかし、知名度が低いことで「必要とされない」わけではありません。 独占業務をもつ社労士は確実に必要とされる存在であり、需要がなくなることはないでしょう。
独立開業しても集客ができない
次に、社労士として独立開業しても集客が難しいことも、社労士は意味がないと言われている理由の一つです。
しかし、集客が難しいのは近年では社労士に限りません。弁護士や税理士でも、集客に苦労している事務所は多くあります。
しっかりとした経営努力をしなければ成り立たないのは、どの士業事務所でも同じだと言えるでしょう。
不合格者が大量にいる
社労士試験の合格率は6%程度ですから、毎年多くの不合格者が生まれます。
社労士試験不合格者が、不合格となった腹いせに「社労士は意味がない」とネットに書き込むなどする傾向もあるようです。
逆に、社労士として活躍している人は、「意味がある」と声高に叫ぶことはありません。結果として「社労士は意味がない」との言説だけが目立っていると考えられます。
社労士事務所の求人数が少ない
「社労士は意味がない」といわれる理由として、社労士事務所の求人数が少ないことが挙げられます。
社労士事務所は一般的に小規模な事業体であり、従業員数が少なめです。そのため新たな求人が出る頻度が低く、新規採用の枠も限られています。
少ない採用枠に多くの応募が殺到するため、事務所に就職すること自体が難しいでしょう。
労務管理や社会保険手続きに関するIT・ソフトウェアの発展により業務が自動化され、人的リソースの需要が減少する可能性もあります。
そもそも社労士ってどんな職業・仕事?
社労士とは
社会保険労務士(社労士)は、社会保険労務士法に基づいた国家資格で、労働法や社会保険に関する専門家です。
企業や個人が労働法規や社会保険制度に関連するさまざまな手続きを適切に行うためのサポートをしています。
社労士の働き方は、社労士事務所や一般企業に所属する、もしくは独立開業が一般的です。
社労士は、企業や組織にとって重要な役割を担い、とくに人事や労務管理において不可欠な存在です。中小企業やスタートアップなど、専門の人事部門をもたない企業にとっては、社労士のサービスがとくに重要視されます。
社労士の業務内容とは?
社労士の業務内容は、「労働社会保険手続」「労務管理の相談指導」「年金相談」「紛争解決手続代理」です。
「労働社会保険手続」は、企業が従業員に関する社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険など)の加入手続きや変更手続きを適切に行うためのサポートです。
その他、労働保険の加入手続き、報酬月額の変更届出、年度更新などの業務も行います。
「労務管理の相談指導」は、労働基準法や最低賃金法などの法律に基づくアドバイスを提供します。
労働契約の作成や労働条件の設定、労働時間や休暇の管理、人事記録の整備など労務管理全般に関する相談に応じ、必要によっては労働環境の改善提案なども行います。
「年金相談」では、個人や企業の従業員に対して、公的年金制度に関する相談を受け付けます。
年金制度は日々変化しており、本来もらえるべき年金がもらえなくなってしまう可能性もあります。年金の種類や受給資格、受給額の計算、受給開始時期の決定など、細かくサポートするのが社労士の役割です。退職金制度や企業年金に関する相談にも応じるケースがあります。
「紛争解決手続代理」は、労働関連の紛争(不当解雇、賃金未払い、労働条件の変更など)に関する相談を受け、解決策を提案する仕事です。
ADR代理業務と呼ばれる、裁判を使わない方法で、双方の調整を目指します。社労士の中でも「特定社労士」と呼ばれる労務管理の専門家が担当するのが一般的です。
上記のように、社労士は従業員が安心して働けるような環境を整備するために欠かせません。
実際はどう?社労士資格取得のメリット!
社労士資格取得のメリットとしては、「就職や転職に役に立つ」「年収アップにつながる」「独立開業を目指すことができる」の3つがあります。それぞれのメリットを詳しく解説します。
就職や転職に役に立つ
社労士資格取得のメリットは、就職・転職に役立つことです。社労士資格は、人事や労務管理の分野での専門知識やスキルを客観的に示すものとして、多くの企業で高く評価されます。
とくに労働法規や社会保険に関する専門知識を必要とする職種で、資格保持者は非保持者よりも有利になるケースがほとんどです。
詳しくは後の項目で解説しますが、企業の人事部門やコンサルティング会社、社労士事務所などでの就職・転職に有利に働くことが期待できます。
年収アップにつながる
社労士の資格は、年収アップにつながる可能性もあります。社労士資格は、労働保険・社会保険法令の専門知識を証明するものであり、転職時により高い給与を提示されることもあるでしょう。
専門性をもつことでキャリアアップの機会が増えるため、昇進や管理職への道が開かれ、年収が上がる可能性が高まります。
また、独立開業に成功すれば、自身の努力次第でより大きな年収を得ることも可能です。
独立開業を目指すことができる
本記事でも触れているように、独立開業を目指せるのも社労士資格取得のメリットです。独立開業することで、自分のビジネスをもち、クライアントに対して直接サービスを提供できるようになります。
自営業としての柔軟な働き方を選択できるため、ワークライフバランスの向上や、自分の専門分野での事業展開が可能です。もちろん簡単な道ではありませんが、大きなリターンも期待できます。
社労士資格取得者の年収事情
厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、社労士の平均年収は約781万円です。
この数値は企業規模10人以上の「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」の数値から算出しました。内訳は以下の通りです。
・決まって支給する現金給与額:507,900円×12カ月分
・年間賞与・その他特別給与額:1713800円
男性社労士の平均年収は約852万円、女性社労士の平均年収は約604万円と、若干の男女差はあります。
しかし、一般的な給与所得者の平均年収は約458万円(男性給与所得者の平均年収は約563万円、女性給与所得者の平均年収は約314万円)であり、労働者の平均年収と比較しても高水準だと言えるでしょう。
上記は社労士資格取得者として「就職」しているケースを想定していますが、独立開業に成功すれば、さらに高い年収を得られる可能性もあります。
社労士に将来性はあるのか?
社労士の将来性について考える際、技術の進歩、とくにAIの発展が業務に与える影響を考慮しなければなりません。
AIの分野は日々進化しており、ChatGPTのような生成AIも社会に浸透しつつあります。
AIがとくに得意としている仕事は、高度な解釈を含まない「繰り返しの単純作業」です。
社労士業務の中には、給与計算や各種手続きなどのルーティンワークが含まれます。これらの業務は、AIや自動化技術によって効率化、あるいは置き換えられる可能性があるでしょう。
一方で、法律相談や労働紛争の解決、労務管理コンサルティングなど、人の判断や専門的な知識が必要な業務はAIに代替されにくいとかが得られます。
こうした業務は、個々のケースに応じた柔軟な対応や人間特有の洞察力、コミュニケーション能力が要求されます。
法律・規制の変化を柔軟に解釈し、業務に活用できるのも人間の強みです。労働法や社会保険制度は、社会の変化に応じて改正されます。
常に最新の情報を把握し、適切なアドバイスを提供するための方法を考えている人間としての社労士は、いまだ欠かせない存在です。
しかし、将来的に長く生き残る社労士になるためには、変化するビジネス環境や労働市場のニーズに応じて、新たなサービス領域を開拓するのが重要です。
たとえばリモートワークの管理、多様な雇用形態への対応、メンタルヘルスの管理などが挙げられます。
結論として、社労士の仕事は、AIや自動化技術の進展によって一部の業務が影響を受ける可能性はあります。
ただし、専門的な知識や人間的な判断が必要な業務は引き続き重要であり、社労士の役割はそう簡単にはなくならないと考えられます。
社労士試験は難しい?合格率・難易度は?
直近5年間における社労士試験の合格率の推移は、以下の通りです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和元年度 | 38.428人 | 2,525人 | 6.6% |
令和2年度 | 34,815人 | 2,237人 | 6.4% |
令和3年度 | 37,306人 | 2,937人 | 7.9% |
令和4年度 | 40,633人 | 2,134人 | 5.3% |
令和5年度 | 42,741人 | 2,720人 | 6.4% |
社労士試験の合格率は約5〜7%と低く、日本の資格試験の中でも「難関」といってよいでしょう。
他の資格試験と比較すると、ファイナンシャルプランナー1級や宅建士、行政書士よりも難易度が高いとされています。
一方で、税理士や司法書士などの最難関の試験に比べると、やや易しいレベルです。
難易度が高い理由として挙げられるのは、試験範囲が広いことです。また税理士試験のような科目合格制度がないため、段階的に合格する道がなく、自分のペースで資格を取得するのが難しいとされています。
また、労働法や社会保険制度はしばしば改正されるため、法改正に都度対応が必要なのも難しいポイントです。
独学での合格も可能ですが、専門学校や通信講座を利用するのが一般的です。
合格には約1,000時間以上の勉強が必要とされており、1年間で合格すると想定すると、毎日約2.5時間の勉強が必要です。時間はかかりますが、就職して働きながらでも十分合格を目指せるレベルです。
社労士資格取得者のキャリア・転職先は?
次に、社労士資格取得後のキャリア・転職先について解説します。
社会保険労務士事務所(社労士事務所)
社労士資格を活かせる転職先として最もオーソドックスなのが、社会保険労務士事務所(社労士事務所)です。社労士事務所では、社労士として行う幅広い業務を担当します。
代表的な業務は各種手続きで、企業の労働保険や社会保険の加入手続き、変更手続き、脱退手続きなどを代行します。
社労士事務所で働くメリットは、専門性の高いキャリア形成が挙げられます。
社労士としての専門知識を深め、高度な専門家としてのキャリアを築きたい場合は、まず検討しておきたい転職先です。
また経験を積み、企業の課題解決に向けた提案やアドバイスを行うようになると、コンサルティングスキルを含めた幅広い能力が磨かれます。
会計事務所
会計事務所では、社労士の専門知識が高く評価され、多様な業務を通じてそのスキルを活かせます。
就業規則の作成・改定、労働法規に関する相談、労働条件の設計などの労務コンサルティングや、各種手続きを代行するのが主な仕事です。
会計事務所で働くメリットは、社労士としての専門知識を活かしつつ、会計や税務の知識も磨けることです。会計事務所内でのキャリアパスも幅広く、専門性を活かしたさまざまなポジションが存在します。
さらに広い分野の知識と経験を積みたいと考えている人は、ぜひ選択肢に入れておきたい転職先です。
一般企業
社労士資格取得者が一般企業に転職する場合、主に人事・労務部門を狙うことになります。
社労士事務所やコンサルティング会社に業務を委託する企業もあれば、自社で社労士を雇用する企業もあるため、一般企業からのニーズも高いと言えるでしょう。
従業員の勤怠管理や給与計算、社会保険手続きなどの日常的な労務管理業務を担当するなど、さまざまな仕事があります。
一般企業の人事・労務部門で働くメリットとしては、企業の組織文化や働き方の改善に直接関わり、組織全体の発展に貢献することが挙げられます。
社労士事務所や会計事務所では味わえない、一般企業ならではの楽しさがあるでしょう。企業での昇進もあるため、キャリアパスも幅広いといえます。
さらに、小規模な社労士事務所や会計事務所に比べて、福利厚生などの待遇面で期待できるのも重要です。
独立開業
独立開業により、自分自身の事務所を設立し、専門家としての独立したキャリアを築く方法もあります。
特定の組織に所属するわけではないため、厳密には転職先ではなく、「キャリアの選択肢」です。自分の社労士事務所を設立し、個人または法人として業務を行います。
独立開業の魅力は、自由な働き方、ワークライフバランスを追求できる点です。自分自身のビジネスをもち、働く時間や場所、取り組む業務を自由に決められます。
自分の努力と成果に応じて収入を増やす機会があるなど、ハイリスク・ハイリターンも独立開業の醍醐味です。
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必要な経験・能力 |
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想定年収 |
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必要な経験・能力 |
・人事労務のご経験を3年以上お持ちの方 ・人事制度に関わるご経験をお持ちの方 |
想定年収 |
450万円 ~ 800万円 |
まとめ
社会保険労務士(社労士)は、公認会計士や税理士などの他の士業系資格と比較して認知度が低く、求人数も相対的に少ないという現状があります。
そのため、一部では「社労士は意味がない」という意見も見られます。しかし社労士資格は、キャリアアップやキャリアの幅を広げる意味合いでとても有用な資格です。
AIの進化に伴い、社労士の働き方や業務内容に変化が生じる可能性はあります。ルーティンワークの自動化が進む一方で、人間の判断や専門的な知識が必要な業務はAIに代替されにくいため、社労士の役割は引き続き重要です。
法律・規制の変化への対応や新たなサービス領域の開拓など、時代の流れやニーズに合わせて社労士も自身の仕事や専門分野をアップデートする必要があります。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、現職(MS-Japan)へ入社。
入社後は、RA(リクルーティングアドバイザー)として100社以上を担当し、業界問わずスタッフクラス~管理職クラスまで幅広い中途採用支援に従事。
異動の機会をいただき、2021年4月からCA(キャリアアドバイザー)として、管理部門及び士業領域幅広い方の転職支援に従事しています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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