2024年08月22日

外資系企業の法務の年収は高い?法務人材が外資系企業に転職するには ?

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外資系企業は日本企業よりも実力面が重視され、待遇も良好とのイメージがもたれています。これまで国内企業の法務部門で勤務し、自分が持つスキル・経験を活かして転職活動を始めようとする場合、外資系企業が転職先候補に入ってくるのは自然な流れともいえます。

しかし外資系企業の法務に転職しようとする場合、押さえておくべき日本企業とは異なるポイントは多いです。そこで今回は、法務人材が外資系企業に転職するにはどうすればよいのか、そのための知識と方法論について詳しく解説します。

外資系企業の法務と国際法務の違い

転職を希望する際、外資系企業における法務部門と日本企業における国際法務部門は、混同されがちです。どちらも国境を越えた法務を行いますが、その仕事内容は大きく違います。
以下では、外資系企業の法務と国際法務の仕事内容を紹介し、その相違点について説明しまします。

外資系企業

外資系企業の法務部に求められる役割は、日本でのビジネスを成功させるための法的支援です。そのため、日本人を法務部員として雇用する目的は、日本における商慣習や文化への理解度、国内法に詳しい人材を確保するためといえます。

たとえば、法務部門における重要な業務として、契約・取引に関わる法務、コンプライアンス業務、各種認可関連業務などがあります。
日本に進出した企業がこれらの法務を行う場合には、商法、民法、割賦販売法、借地借家法などの日本の法律に精通していることが必須です。
とくに初めて日本に進出する海外企業の場合、日本における各種法令に詳しい人材が社内にいないことも多く、その場合は日本人の法務部員を新規に雇用する必要性が生じます。したがって日本人スタッフが任される主な職務は、日本以外の国における法務ではなく、もっぱら日本の国内法務実務になることが多いです。

国際法務

一方、日本企業の国際法務部門は、日本に本社を構える企業が海外進出する際に、進出先国における法的支援を行うのが主な役割です。
近年、海外企業に対してM&Aを積極的に行う日本企業は多く、円高の影響などにより国内経済の成長が伸び悩みを見せている中、とくにアジア地域に活躍の場を広げようとするケースが多く見受けられます。

海外に進出する際は、進出先の国・地域の商慣習、文化、法律を深く理解することが必須です。また、国境を越えた取引を行う上では、国際法の知識も求められます。
国際法は国内法とは違い慣習法が重要な役割を果たすため、法の背景にある国際情勢に関する理解も欠かせません。

つまり、日本人が転職を目指す場合、外資系企業の法務部門では日本人として国内法に関する実務経験が求められるのに対して、日本企業の国際法務では進出先国の法律や慣習、文化に関する理解・経験が求められるわけです。

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外資系企業の法務で求められるスキル・経験は?

日本人が外資系企業で求められるスキルや経験として、以下の点が挙げられます。

法務としての経験

外資系企業の法務人材として転職する場合、外資系企業での勤務経験はそこまで 重視されません。
勤務地が日本である以上、求められるのは日本の法律知識なので、国内企業での業務経験を有するかがポイントになってきます。一般的な傾向として、5年以上の法務部門での経験があれば人材ニーズが高く、転職の成功率が高まります。

ただし、海外のカルチャーに適合しやすい人材は採用後の職場にも馴染みやすいため、外資系企業での経験がマイナス評価に作用することはまずありません。外資系企業で法務人材として勤務した経験がある場合は、アピールしておくとよいでしょう。

大手企業での法務の経験

大手企業では法務部門の人材が豊富なため、業務が細分化され、特定の業務に関する専門的知識を身に付けやすいです。一方、中小企業の法務部門では人材に限りがあるため各人に任される業務の幅が広く、マルチな業務経験を積めます。

外資系企業は傾向として、日本企業の法務部以上に業務単位の専門性が高く、幅広い業務経験よりも自社が必要とするスキルや経験を、ピンポイントで有するかどうかが重視されます。そのため、大手企業での勤務経験を有する方が、外資系企業への転職はしやすいともいえるのです。

また、端的に言って中小企業よりも大手企業の方がネームバリューはあり、待遇も高めのため、それだけ良質な人材が多いとの印象がもたれやすいです。日本のビジネス業界になじみが薄い外資系企業の採用担当官では、前職企業の知名度・印象の影響はより高くなるとも考えられます。

語学力、留学経験

採用後の勤務地が日本であっても、外資系企業では従業員の多く、とくに管理者クラスになると本社から人材が配置されているケースは少なくありません。そのためスムーズな社内コミュニケーションを行うには、高度な語学力が必須です。

ここでポイントとなるのは、転職を希望する外資系企業の母国語の能力が要求されるかどうかです。
英語圏が母国であれば英語で問題ありませんが、中国系、インド系、ドイツ系、フランス系などの外資系企業だと、各母国語の言語スキルが求められる場合があります。
ただ「英語ができればOK」とするケースもあり、その点は求人情報に条件が記載されているため、応募する前にチェックする必要があります。

もし海外への留学経験があるなら、語学力はもちろんカルチャーに対する理解度の高さを証明できるため、必ずアピールしましょう。
法律分野の留学(海外にある大学の法学系の学部・大学院への留学)ならもちろん高評価につながりますが、語学留学であっても一定の評価は受けられます。

弁護士は有利

日本企業では、法務人材として転職する際に弁護士資格は要求されません。しかし海外の場合、訴訟の頻度が日本企業よりも高いこともあり、法務部の人材が弁護士資格を保有しているケースが多いです。
そうした組織文化が背景にあるため、外資系企業の法務部門に転職活動を行う場合、日本の弁護士資格が高評価につながりやすい傾向があります。

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外資系企業の法務の年収

外資系企業の法務の年収-

外資系企業では成果に応じて報酬が決定されるため、インセンティブ給の割合が高く、これが日本企業と比べて年収が高い傾向の要因です。
また外資系企業では基本的に退職金、福利厚生の制度がないため、その分が給与額に上乗せされ、日本企業よりも高年収になりやすい面もあるようです。

外資系企業の法務で働く場合、目安となる年収相場は以下の通りです。

業界別の年収相場

メーカー

一般スタッフでは600~900万円管理者クラスでは800~1,600万円が相場といわれています。
IT業界などに比べると華やかさに欠ける印象もありますが、実際のところ日本にある外資系メーカーは安定的で好業績をあげている中小企業も多く、安定した働き方がしやすいです。
一般消費者向けよりも、企業向けの製品を販売している企業が多く見られます。

IT

一般スタッフでは600~1,500万円管理者クラスでは800~2,500万円が相場といわれています。
IT業界はメーカーとは異なり、原材料費が必要ないため人件費に回せる額が大きく、インセンティブ給も高めになりやすいです。より実力が問われる業界ともいえます。

金融

一般スタッフでは600~1,500万円管理者クラスでは800~2,000万円が相場といわれています。
外資系金融機関の大きな特徴は、インセンティブ給の高さです。自分の専門能力を発揮して高収入を得たい人にとっては、望ましい業界といえるでしょう。

コンサル

一般スタッフ(アナリスト、アソシエイト)では600~800万円程度管理者クラスでは1,000~2,000万円程度です。
近年、外資系コンサルティング業界では、戦略系コンサル(経営層の事業計画、新規事業立案などの提案を行う)、業務系コンサル(業務プロセスにおける問題の発見および改善の提案を行う)のどちらにおいても、IT関連のコンサルティングが主流です。

年齢別の年収相場

外資系企業の法務部門に転職すると、期待される各年代の平均年収は以下の通りです(賞与を除く)。

  • ・20代・・・600万円前後
  • ・30代・・・750万円前後
  • ・40代・・・900万円前後

20代における年収は日本企業より外資系企業の方が高い傾向があります。しかし外資系企業では即戦力として活躍することが求められ、日本企業のように時間をかけて育てる感覚が少ないです。

30代になると、平均の数値を出す意味がないと思われるほど、個々人によって給与額に差が出ます。転職先企業の昇進・昇給システムによっては、1,000万円を超えるケースも珍しくありません。

40代も30代と同様、それまで培ってきた業務経験、スキルによって大きく差が出ます。日本の同年代よりも高年収になる人もいれば、同水準にとどまる人もいます。

全体としてみると、外資系企業でも日本企業のような年功序列の傾向は多少ありますが、原則として成果主義であり、若い年代でも高収入が望めます。

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外資系企業の法務に転職するには?

外資系企業の法務に転職する上でのポイントとして、以下の点が挙げられます。

国内法務で経験を積む

外資系企業では基本的に日本の法律・慣習に詳しい即戦力となる人材へのニーズが高いです。
国内企業の法務での勤務経験があれば、転職成功の可能性が高まります。目安として、5年以上の実務経験があれば高評価を受けやすいです。

経験・スキルを活かせる求人に応募する

外資系企業の場合、広く浅く経験・スキルが求められることは少ないです。
特定の専門業務での経験やスキル、たとえば「契約法務での業務経験が7年」「紛争(訴訟)対応で10年の実務経験あり」といった経歴があると高く評価される傾向にあります。

そのため転職を成功させるには、外資系企業が提示する求人情報の内容を吟味し、自分のこれまでのキャリアと培った経験・スキルとが合致しているかをチェックすることが不可欠です。上手くマッチングしている求人があれば、スムーズに転職活動を進められます。

外資系への適応力を鍛える

外資系企業には日本企業にはない組織文化があります。たとえば成果主義合理性・効率性重視スピード重視などの価値観がその一例です。
プロセスを重視し、組織内での立ち回りが大事になる日本企業とは異なるため、外資系の雰囲気でも実力を発揮できる力を鍛える必要があります。
たとえば、指示待ちで消極的な行動や自己管理が不得意な人などは、外資系企業では低評価につながりやすいです。一方、ミスがなくスピーディーに業務をこなせる人が高評価を受けやすい傾向があります。

外資系だけに限定しない

日系企業においては法務人材のニーズが高まっていることもあり、求人数は増加傾向です。
一方で、外資系企業からも法務人材のニーズはあるものの、そもそも企業数が日系企業よりも少ないため、求人数は日系企業より少ないです。
外資系企業だけにこだわりすぎると、求人内容と自分のスキル・経験とのマッチングが成立しにくい面もあります。

語学力を活かしたり、グローバルなビジネス環境で活躍したりできるのは、外資系企業だけに限りません。
もし転職を決めた時期に理想とする外資系企業の求人がなければ、いったん国内企業の国際法務に転職し、将来的に再び外資系企業での採用を視野に入れる選択も可能です。

転職エージェント等を活用して情報収集を行う

法務部門は日本企業であっても求人情報を収集するのは難しく、まして外資系企業だとその困難さはより増します。
そのため情報量の多い転職エージェントに相談しながら転職活動を進めるのが合理的といえます。

外資系企業への転職活動には、英文での書類作成や英語での面接なども必要で、日本企業の場合とは大きく勝手が違います。
転職エージェントでは外資系企業対策のノウハウも蓄積しているため、万全の準備をして書類提出、面接に臨めます。

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外資系企業の法務に転職するために気をつける点

転職を志望する外資系企業の本国を必ず確認しておきましょう。
日本の国際法務部であれば英語スキルが主に求められますが、外資系企業の場合は母国語のスキルが要求されることが多いです。たとえ雇用条件の中で「英語または母国語」という形で募集要件が示されていても、就職後に本国の言語での対応が求められる状況も生じ得ます。
英語以外で自分が得意とする言語、学ぼうとしている言語を母国語とする外資系企業であることが大事です。

また、同じ法務部門でも、企業側がどのような業務内容を任せる人材を募集しているのかもチェックしましょう。
もし機関法務の人材を募集している場合、いくら実務経験が豊富であっても、紛争訴訟対応や法務相談の経験しか有していないならば採用は難しくなってきます。

基本的に、法務部門全般の実務経験というよりは、募集する業務内容と合致した経験を有する人を対象とした求人が多いです。実務経験の年数としては3年以上のケースもあれば、5~7年のケースもあります。

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外資系法務の転職事例

外資系企業の法務部への転職に成功したAさん(40代前半・男性)のケースをご紹介しましょう。

Aさんは大学を卒業後、日本企業の法務部を約16年勤め上げ、契約法務や商事法務、知的関連業務などを担当してきました。しかし現在の就職先の企業は商品・サービスの内容に問題があったため、自社に不利な訴訟案件が多数発生し、やりがいを感じられなかったと言います。

Aさんは転職先を探すにあたって、年収や労働環境、会社の規模などのバランスが取れた、やりがいのある企業を探しました。そして転職活動を始めて数ヵ月経過した後、外資系企業の法務部立ち上げの地位で転職が実現したのです。
転職先の企業は規模こそ大きくはありませんが、部門立ち上げという挑戦的な業務内容に携わることができ、年収額もおおむね本人の納得する額(転職前は1,200万円、転職後は1,100万円)となりました。

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まとめ

外資系企業では、進出先である日本の法知識やビジネス慣習に基づいた法的支援ができる人材が求められます。そのため外資系企業の法務部門に転職する場合、国内企業の法務部門での実務経験が重視されやすいです。
しかし、外資系企業と日本企業とでは提出する書類の内容から面接の仕方まで、大きく異なります。そのため、事前に念入りな準備が必要なのは間違いありません。外資系企業への転職実績が豊富な転職エージェントを活用しながら転職活動を進めることをおすすめします。

  • #法務
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  • #年収

この記事を監修したキャリアアドバイザー

町田 梓

大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。企業側を支援するリクルーティングアドバイザーとして約6年間IPO準備企業~大手企業まで計1,000社以上をご支援。
女性リクルーティングアドバイザーとして最年少ユニットリーダーを経験の後、2019年には【転職する際相談したいRAランキング】で全社2位獲得。
2021年~キャリアアドバイザーへ異動し、現在はチーフキャリアアドバイザーとして約400名以上ご支援実績がございます。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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