経理はフリーランスでも働ける?必要なスキルやメリット・デメリットなど
フリーランスと言えば、ライターやデザイナー、エンジニアといったクリエイティブな職種をイメージする方が多いでしょう。
一方で、「経理」のようなバックオフィス系の職種でもフリーランスとしての需要が高まっています。
この記事では、「フリーランス経理」を目指す上で、必要なスキルや年収事情、働き方のメリット・デメリットなど、役立つ情報を集めてみました。
経理はフリーランスでも働ける?
フリーランスとは、「企業や団体などの組織に属さず、仕事に応じて自由に契約を交わしながら働く人」を指します。
案件ごとに契約を結び、求められるスキルや知識などを提供する対価として報酬を得ることが一般的です。
基本的にフリーランスには雇用関係がないため、労働基準法の規定にある最低賃金や有給休暇、労災補償などが適用されず、自己責任で仕事に取り組む必要があります。
その一方で近年は、報酬の遅延や減額などの不利益を被らないように保護する下請法やフリーランス保護新法などの法律が整備されています。
働き方の多様性が求められる昨今、フリーランスは個々の専門性やライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を象徴しています。
経理職においても、このような働き方が普及しており、特定の企業に所属せず、外部の独立した立場で「フリーランス経理」として経理業務に携わることが可能です。
フリーランス経理の需要
フリーランス経理の市場は拡大傾向にあり、主にスタートアップ企業や少人数規模の企業で需要が高まっています。
人材が潤沢で経理部門に多くの人員を配置できる大手企業とは異なり、スタートアップ企業や中小企業は限られたリソースで経理機能を確保する必要があります。
新たな事業を開始する過程であるスタートアップ企業は、高度な経理スキルを持つ人材を直ちに雇用することが難しいため、フリーランス経理が適材です。 中小企業も事業の規模や成長段階によって経理の必要性が変動するため、フリーランス経理を柔軟に利用することが費用対効果につながります。
このように、フリーランス経理を選択することで、企業の成長段階や人員不足、繁忙期などで柔軟な対応が可能となり、財務管理を効率良く維持できます。
経済産業省の調査によれば、企業の約40%がフリーランスの活用を増やしていく方針を示しており、経理もその対象となることが予測されます。
経済環境の変化や働き方の多様化が進む中、専門性と柔軟性を兼ね備えたフリーランス経理は、企業にとって有益な選択肢となるでしょう。
フリーランス経理の仕事内容
フリーランス経理の主な業務は、クライアント企業の金銭の流れを管理することです。
具体的な業務は一般的な経理担当者と同様で、会計ソフトへの仕訳入力や伝票・領収書の整理、入出金管理、給与計算、売掛金・買掛金管理、決算・申告、年末調整が挙げられます。
日常の経理処理を中心としながら、企業によっては財務管理のような業務を任されたり、スタートアップ企業では経理のアドバイザー役を担当したりすることもあります。 請け負う企業の予算管理だけでなく、取引先の経理部と連携し、円滑なやりとりを促すことも重要な役割です。
フリーランス経理の年収事情
フリーランス経理は、請け負う業務を自身で選択し、料金体系や報酬価格を自身で決定するため、業務単価や時給単価、プロジェクト単位など、案件ごとに設定される単価によって年収が変動します。
例えば、記帳業務の場合、業務単価は1仕訳あたり50〜100円程度が相場です。
給与計算の業務では、基本料金を5,000〜10,000円とし、従業員1人あたり1,000〜2,000円と価格を設定するケースもあるでしょう。
一例として、記帳業務の単価から年収を試算してみます。
1仕訳あたり100円の単価で1時間に30件処理できるとした場合、1時間あたり3,000円、月100時間の稼働で月30万円、年収は約360万円になる見込みです。
ただし、仕訳の処理数は企業規模や業務内容によって異なるため、あくまでも概算です。
フリーランス経理は、自身のスキルやスケジュールに応じて業務の対応件数が変わり、それが年収に反映されます。
まとまった業務を依頼される場合、月額固定報酬やプロジェクト単位による契約も珍しくありません。
高いスキルと知識を持つ経理経験者は、高めの単価で案件を受けやすいため、それに伴って年収を増やすことも可能です。
厚生労働省のデータによれば、正社員の経理職と比較して全国平均年収は低いものの、スキルアップが年収向上に直結する構図は、フリーランスの経理職でも例外ではないということです。
フリーランス経理に必要なスキル
フリーランスの経理として働くためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。以下に、主なスキルをまとめてみます。
実務経験と会計知識
フリーランス経理に求められる主なスキルの一つは、経理の実務経験と豊富な会計知識です。
企業の財務状況を正確に把握し、適切な処理を行うためには、経理の手続きや帳簿管理に関する実践的な経験が欠かせません。
実務未経験からフリーランス経理としてスタートするのは現実的ではなく、まずは企業での経理実務を通じて経験を積むことが重要です。
企業に属し、実際の取引や帳簿作成に携わることで、税務、法規制などの理解も深まります。
確かな経験と知識は、クライアントからの信頼や継続案件の獲得にもつながるでしょう。
ITスキル
近年の経理業務では、高度なITスキルも欠かせません。
Excelや会計ソフトに精通しているだけでなく、データの管理・取り扱いに関する知識も必要です。セキュリティ対策への意識を高め、クライアントの機密情報を適切に保護する能力が求められます。
クライアントとのコミュニケーションはオンラインで行われることが多いため、Web会議ツールやチャットツールなどの操作スキルも必要です。
新しいIT技術にすぐ対応できれば、その技術を取り入れたい企業からの需要が高まります。
経理に関連するIT技術にアンテナを張り、柔軟に取り込む適応力を磨きましょう。
営業力
フリーランス経理として独立するためには、自身の強みや特長を的確にアピールし、新規クライアントを獲得する営業力も重要です。これには契約内容や価格設定に関する交渉スキルも含まれます。
初めて業務を請け負った新規クライアントに対しては、良好信頼な関係を築き、今後も継続案件を依頼されるためのコミュニケーション力も必要です。
フリーランス経理のメリット
ここからは、フリーランスの経理として働くメリット・デメリットに着目してみましょう。
まず、主なメリットは以下のとおりです。
自分の好きな場所や時間で働ける
フリーランス経理として働く最大のメリットは、自分の好きな場所や時間で働ける柔軟性があることです。
通勤の必要がなく、自宅や近隣のカフェなど、どんな場所でも仕事に取り組むことができます。また、働く時間も自分でコントロールできるため、朝型や夜型の人にとっては理想的な働き方と言えるでしょう。
この柔軟性により、日々のリズムが整い、自分らしい生活スタイルを見通すことが可能です。
仕事量を自由に調整できる
フリーランス経理のもう一つの利点は、仕事量を自由に調整できることです。
案件ごとに契約を結び、自分の都合やスケジュールに合わせて仕事を受けるスタイルは、フリーランスならではの魅力と言えます。
需要が高まる時期には多くの仕事を引き受け、収入にゆとりがある期間は仕事量を減らして休暇を満喫することも可能です。
仕事量をコントロールし、自分のペースで働くことで、対人関係や仕事に対するストレス抑制・解消にもつながるでしょう。
仕事とプライベートが両立しやすい
フリーランス経理の柔軟な働き方は、仕事とプライベートの両立も可能です。
例えば、育児や介護のための時間が必要になった場合、フリーランスとして働くことで自分のスケジュールを調整しやすくなるでしょう。
勤務時間の拘束が無いため、急な家庭の事情にも柔軟に対応でき、ワークライフバランスを保ちながら安心して経理としてのキャリアを続けることができます。
正社員のような有給休暇や育児休業、福利厚生はないですが、自らの裁量で仕事とプライベートの両立ができることは、フリーランス経理のメリットと言えるでしょう。
自ら価格交渉を行い効率良く収入を得られる
フリーランス経理は、自身のスキルや経験に応じて、クライアントとの価格交渉を行います。 契約もクライアントと直接取り交わすため、仲介手数料などが発生せず、効率的に収入を得ることが可能です。
スキルや実績が向上すれば、高い単価で契約できるため、収入面での成長にも期待できます。
自身の価値が正当に評価され、適切な報酬を得られることは、仕事としてのやりがいにつながるでしょう。
フリーランス経理のデメリット
続いて、フリーランス経理として働くデメリットを取り上げてみます。
福利厚生がない
フリーランス経理として働くデメリットの一つは、福利厚生が不足していることです。
正規雇用者には健康保険や労災保険、厚生年金などの社会保障制度が提供されていますが、フリーランスは自己責任で保険に加入する必要があります。
急な病気や怪我、予期せぬトラブルに対処する際は、正規雇用者のような保証がないため、経済的な不安を引き起こす要因となるでしょう。
仕事の調整を自ら行う必要がある
二つ目のデメリットは、仕事の調整を自分で行わなければならないことです。
クライアントとの契約やプロジェクトの進捗管理、スケジュール調整など、すべての業務を自己管理する必要があります。
イレギュラーにも対処するための調整力が求められ、時にはプレッシャーやストレスを感じることもあるでしょう。
クライアントの要望や仕事の依頼が一時的に急増することも珍しくなく、そのような環境の変化にも柔軟に対応しなくてはなりません。
収入が不安定
フリーランス経理の最も顕著なデメリットは、収入の不安定性です。
正規雇用者が毎月安定した給与を受け取るのに対し、フリーランスは契約が途切れると収入が途絶える可能性があります。
特に経理職は、業務が集中する繁忙期と業務が落ち着く閑散期で受注件数にムラが生じる傾向も見受けられます。
収入が安定していなければ、生計を立てる上での不安も大きくなるでしょう。
まとめ
昨今の人手不足や人材コストの最適化を理由に、経理の外注は増加傾向にあり、経理職でもフリーランスとして働く機会が広がりつつあると言えるでしょう。
フリーランス経理の働き方には自己管理や顧客獲得などの課題を伴いますが、自由度が高く、プライベートと両立しやすいことがメリットです。
また、スキルや実績を積み重ねることで、得られる報酬額も増えるでしょう。
フリーランス経理は、個人のスキル・努力次第で、充実した生活とキャリアの成長に期待できる働き方だと考えられます。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、製薬会社へ勤務。主に病院、クリニックのお医者様へ新薬の情報提供に従事。MS-Japanに転職後は、キャリアアドバイザーとして転職活動を支援。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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