2023年10月17日

四半期決算とは?目的や流れなどをわかりやすく解説!

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ビジネスの世界では、企業の健全な経営判断や投資判断を支えるために、四半期(3カ月)ごとに実施される「四半期決算」が重要な役割を果たしています。
そもそもなぜ四半期決算が行われているのでしょうか。
この記事では、四半期決算の基本的な概念から、その目的や流れについてわかりやすく解説していきます。
特に経理担当の方は、経営の健全性を理解するための手がかりとして、ぜひご参考ください。

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そもそも、決算とは?

決算とは

決算とは、企業の経営活動における収益と支出を一定期間ごとに取りまとめ、その集計に基づいて損益を求める手続きです。
決算の主な目的は、企業の健全性や業績の評価を行い、資産、負債、純資産などの財務状況を明確にした上で、経営と投資の判断に役立てることです。 株主や投資家、金融機関などのステークホルダーに開示される決算報告書は、企業の財務状況や業績を示す重要な指標となります。 企業規模にかかわらず、法人は事業年度ごとに必ず決算を行う義務がありますが、その他の期間内でも決算は行われます。

決算の種類

決算には、本記事の主題である「四半期決算」を含めてさまざまな種類があります。
主な決算は以下のとおりです。

月次決算

毎月の終わりに行われる決算で、短期間の内で業績や財務状況をきめ細かに把握し、経営判断に反映させるためのものです。

四半期決算(Q決算)

1年を4期(四半期)に分け、3カ月に一度決算を行う方式です。 四半期ごとに業績の変動を把握しやすくするために用いられます。

半期決算(中間決算・上期決算/下期決算・2Q決算)

1年を上半期と下半期に分け、それぞれの半期ごとに行われる決算です。 年度の中間に位置するため、年次決算までの間に業績や財務状況の評価を行う際の指標となります。

年次決算(本決算)

1年間における全ての収益と支出を集計し、企業の年間の業績や財務状況を確定する決算です。 株主総会などで決算報告書を提出し、企業の全体的な健全性を示す重要なイベントと言えます。

これらの決算の種類は、法律や企業の自主性に応じて選択され、財務情報を適切に提供する役割を果たします。

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四半期決算の目的やメリットは?

四半期決算の目的

月単位・年単位の決算がある中で、なぜ3カ月に一度の「四半期決算」が行われるのでしょうか。
理由としては、現在、金融商品取引法により、上場企業は四半期末から45日以内に「四半期報告書」を提出することが義務付けられているためです。 この義務化は、企業の透明性を高め、株主や投資家などの利害関係者に正確な情報を提供することを目的としています。

なぜなら、四半期ごとの業績発表によって、利害関係者はよりきめ細かく企業の業績や健全性を確認できるからです。 経済状況や市場環境は急速に変動することがあるため、年次報告書だけでは情報が劣化してしまう可能性があります。
まして、月次決算の報告は義務化されておらず、半期決算も中小企業の場合は任意です。 四半期報告書の義務化によって、投資家は企業の財務状況をシームレスに把握でき、投資判断を的確に行うための手がかりを得ることができます。

四半期決算のメリットは他にも!

四半期決算を行うことには、ほかにも目的やメリットがあります。
四半期報告制度は、企業の事務的負担を軽減し、迅速な開示を目的に何度も改正されてきました。 そのため、年次決算と比べてプロセスの一部が省略・簡略化されていることもメリットの一つです。

定期的な業績報告は、企業の内部に向けた目線にも有用な影響をもたらします。 3カ月に一度という一定のタームを通じて、企業は自身の業績を客観的に評価し、利益予測を立てることができます。
経営に関する問題点や改善点も早めに洗い出して、迅速な対策を講じることも可能です。 経営方針や資金計画を再確認し、適切に調整する上でも効率的なPDCAサイクルと言えます。

企業経営をスピード感を持って進めることは、「企業体質の若々しさ」を印象付けます。
経営活動の計画、実行、評価、改善をこまめに繰り返すことで、長期的な企業価値の向上につなげていけるのです。

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四半期決算の流れと財務三表とは?

四半期決算の 流れは?

四半期決算の流れは?

では、四半期決算の流れについて、その手順を見ていきましょう。

  1. 1.残高を確定させる

    まずは、四半期の終了時点までの取引記録をもとに、各勘定科目の残高を計算し、確定させることが必要です。 確認のためには試算表や明細表が使用されます。


  2. 2.決算整理仕訳

    決算時点での正確な情報を得るための最終調整として行われます。 残高確認や実地棚卸の結果に基づき、修正も含めて整理・仕訳をしていきます。


  3. 3.決算書の作成

    決算整理後、試算表に問題がなければ、財務三表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)を作成します。 これらの書類は、企業の経営状況や財政状態を示す重要な情報として社内外で活用されます。


  4. 4.株主総会などで承認を受ける

    作成した決算書は、株主総会や取締役会などで承認を受けなければなりません。 株主総会では株主に報告し、承認を得るための手続きが行われます。


  5. 5.法人税などの申告書を作成・提出

    確定した決算書をもとに、法人税やその他の税金(消費税など)の申告書を作成し、税務申告を行います。 申告書は所轄の税務署に提出されます。



決算所を構成する財務三表とは?

決算書を構成する財務三表の概要は以下の通りです。

損益計算書(P/L)

当期の収益と費用を対比させ、その差から利益を算出する書類です。
営業収益や売上原価、営業損益、特別損益などが記載されます。 収益と費用のバランスや利益の動向を把握するための重要な指標となります。

貸借対照表(B/S)

企業の資産、負債、純資産の状態を示す書類です。
資産と負債のバランスや企業の財政状態を把握するのに役立ちます。 貸借の関係がバランス良く保たれているかどうかで企業経営の健全性を確認できます。

キャッシュフロー計算書(C/F)

一定期間内での現金の収入、支出、借入金の返済など、お金の流れを表す書類です。
利益だけでなく現金の動きを通じて、資金繰りの健全性を評価します。 特に有価証券報告書の提出義務がある上場企業では作成が必須です。

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2024年度から四半期報告書は廃止?

明確な目的やメリットがあるにもかかわらず、四半期決算の報告義務を2024年4月1日から廃止する改正法が検討されています。
これについて、ポイントを考察してみましょう。

四半期報告書廃止の狙い

この改正法の主な目的は、上場会社における決算業務の効率化企業負担の軽減です。
これまで四半期ごとに提出されていた「四半期報告書」を廃止し、その代わりに「半期報告書」を半年ごとに提出することで、情報開示の負担を減らしつつ適切な情報提供は維持しようとしています。
また、業績を四半期ごとに開示することは、企業経営が短期的な視点に陥りやすいという見方もあるようです。 言い換えれば、義務化の廃止によって企業が長期的な視点に立ち、株主だけではなく取引先や従業員も恩恵を受けられるようになるという考え方です。
しかし、この考え方にも賛否両論があり、主義主張は混迷しています。

法改正でどのように変わるのか

四半期報告書が廃止された場合、上場会社は四半期報告書の代わりに半年ごとに「半期報告書」の提出が義務付けられます。
また、半期報告書や臨時報告書などの情報公開期間が延長されることも含まれています。
上場会社は四半期ごとの繁雑な情報開示業務から解放され、投資家への情報提供も半年に一度のタームで続けられるようになります。 企業側の効率性が増す一方で、投資家は半期ごとの情報をもとにリスク評価や投資判断を行わなければなりません。
改正法の施行後、企業と投資家双方が適切な情報のやり取りを行い、市場の透明性と信頼性を維持することが求められるでしょう。

施行スケジュール

四半期報告書の廃止を盛り込んだ金融商品取引法改正案は2023年3月14日に第211回国会に提出されました。
しかし、政府・与党は国会審議での成立を見送りました。 今後は、同年秋の臨時国会での成立を目指していますが、廃止時期の延期も検討されているようです。

もし可決・成立し、2024年4月1日から施行となった場合、上場会社の決算期によって、四半期報告書から半期報告書への切り替え時期が異なる点に注意が必要です。 例えば、3月決算の場合、2024年3月期は現行どおり四半期報告書の提出が行われ、続く2024年4〜9月で半期報告書への切り替えとなります。
一方、12月決算の場合、2024年1~3月期は現行どおり第1四半期報告書を提出し、2024年4月から改正案が適用され、2024年1〜6月分の半期報告書の提出が求められます。

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まとめ

四半期決算は、1年を4期(四半期)に分け、その期間ごとに企業の財務状況や業績を公表するしくみです。 利害関係者はきめ細かく企業の健全性を確認できる一方、経営陣は自社経営の改善点を早期に把握できることがメリットと言えます。 年次決算と比べてプロセスの一部が簡略化されているため、業務の負担軽減につながることも利点です。
ただし、実際の事業運営では短期的な考え方に囚われないように注意する必要があります。

四半期の報告義務は今後廃止の方向で検討されていますが、当面は現行どおりです。 四半期ごとの業績評価は、企業の機動力を促すものであり、持続的な成長を支える原動力でもあります。 実務担当者の方は、四半期決算の特徴を有用なものとして意識しながら業務に取り組まれてみてはいかがでしょうか。

また、四半期決算の実務経験は経理の転職において、特に上場企業からの評価対象となります。
四半期決算の実務経験のある経理職の方は、経験を活かした転職で年収やキャリアアップを目指してみませんか。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

平瀬 美穂

大学卒業後、航空会社に新卒で入社し国内外各地へのフライト業務に従事。
その後キャリアアドバイザーとしてMS-Japanへ入社。
現在は主に経理財務や会計事務所などの会計転職希望の方を中心に担当。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 税理士科目合格 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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