2024年10月29日

【弁護士のキャリア】法律事務所・インハウスローヤーの特徴やキャリアアップのポイント

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近年、弁護士の活躍が多様化しているため、「自分に合うキャリアプランが分からない」とお悩みの方もいるでしょう。
仕事内容や働き方、収入の希望を実現させるためには、転職も含めた長期的なプランでキャリアアップを目指すことが大切です。

そこで、今回は弁護士のキャリアについて、法律事務所と事業会社の特徴をまとめました。
また、多くみられるキャリアパスのパターン別に成功のポイントを解説するとともに、弁護士としてスムーズにキャリアアップするための秘訣をご紹介します。

弁護士の就職先とは

司法試験合格者が司法修習を終えた後のキャリアには大きく分けて、「法律事務所」「一般企業(インハウスローヤー)」「検事」「裁判官」の4つがあります。

従来、司法修習修了後は法律事務所に入所する選択肢が最も一般的でした。現在も多数派ではありますが、近年は事業会社の法務部門に就職し、インハウスローヤーとしてキャリアをスタートする人も増えています。
検事、裁判官は公務員にあたるため、今回は「法律事務所」と「一般企業」のキャリアに注目し、それぞれの特徴について述べています。

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法律事務所に就職した弁護士のキャリア

法律事務所に就職する、いわゆる「イソ弁」からスタートした場合、どのようなキャリアが待っているのでしょうか。
法律事務所は主に担当している案件の種類によって、以下の3つのタイプに分類できます。

企業法務系法律事務所

企業法務系法律事務所では、主に大手企業をクライアントとし、ジェネラルコーポレートに加え、プロジェクトファイナンスM&Aなどの専門性の高い業務を扱います。

複雑な契約書やプロジェクトに関わることも多いため、年数を重ねるほど専門特化していく弁護士が多いようです。
また、業務で英語を使用する頻度は高いと言えるでしょう。

総合系法律事務所

総合系法律事務所では、企業や個人を問わず、幅広いクライアントを持ちます。
業務の領域が広く、幅広い法令を扱うだけでなく、訴訟も多く経験することができるでしょう。
企業法務については中小企業のクライアントが多く、各種法律相談を受けるなど「社外の一人法務」としての役割を担うことになります。

総合系法律事務所に勤め続けることで、幅広い業務をこなせるスキルが身に付きます。
また、多くはないものの、英語を使う可能性もあるでしょう。

一般民事系法律事務所

一般民事系法律事務所では、個人をクライアントとして一般民事案件を扱います。
訴訟を多く経験できることが魅力です。

専門性よりも事実認定が重要な領域であるため、専門性は企業法務系事務所や総合事務所よりも低くなる傾向があります。
得意分野を持つためには、自助努力が必要です。

一般民事系法律事務所では、年数を重ねるほど、取り扱える業務範囲が広がる傾向ですが、英語を使用する頻度は低いと言えるでしょう。

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事業会社(インハウスローヤー)のキャリア

事業会社に勤めるインハウスローヤー(企業内弁護士)は、法律事務所と異なり、個人事業主はなく、「企業に雇用される法務部門の一員」という位置づけです。
そのため、法律の専門知識だけでなく、組織の一員として仕事をする能力が求められます。
近年、インハウスローヤーの数は年々上昇傾向です。
日本組織内弁護士協会の調査によると、国内の企業内で働く弁護士数は2001年9月時点ではわずか66人でしたが、2023年6月時点では3,000人を超えました。

インハウスローヤーでは、自社の経営陣や他部門の従業員、外部の顧問法律事務所の弁護士などがクライアントやカウンターパートに当たります。
法務部門の業務の幅は広く、契約法務商事法務戦略法務コンプライアンス訴訟法務知財法務など様々です。
企業や法務部門の規模により、インハウスローヤーが担う業務の専門性の高さや幅広さは異なりますが、年次が上がりスキルが向上するにつれ、担当範囲も広がる傾向があります。

外資系企業やグローバル展開している企業では、英語の使用頻度が高い傾向で、会話力も求められます。
また、海外に出張する機会もあるでしょう。

一般的にインハウスローヤーは、法律事務所に勤める弁護士と比べて、福利厚生が充実し、労働時間が短い場合が多い傾向です。
年収は、所属する企業の水準に準じるため、所属企業やポジションによっては法律事務所よりも高い場合もあります。
さらに、企業から弁護士登録を求められた場合の弁護士会費は企業側が負担をするのが一般的です。
実際に弁護士を採用している企業の8割以上が弁護士会費を会社負担としています。

転職市場においては、実績豊富な弁護士をインハウスローヤーとして中途採用するケースが活発化している印象です。
複数のインハウスローヤーが在籍している大手企業や中小ベンチャー企業では、経験を重視せず、司法修習終了直後の弁護士も積極的に採用する傾向がみられます。

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弁護士のキャリアパスのパターン

弁護士のキャリアパスのパターンここまでは、法律事務所に勤務した場合とインハウスローヤーとして企業に勤めた場合のキャリアの特徴について解説しました。
では、転職や独立を選択する場合、どんな道があるのでしょうか?それぞれキャリアパスのパターンを解説します。

「法律事務所」から「法律事務所」への転職

法律事務所である程度の経験を積んだうえで、「業務の幅を広げたい」「もっと待遇の良いところで働きたい」「働き方を変えたい」などの理由で別の法律事務所への転職を目指す方も多いでしょう。
その場合、“どのような系統の事務所に勤めていたのか”によって転職のしやすさが異なります。

企業法務系事務所や総合系事務所で勤務していた場合

前職が企業法務系事務所や総合系事務所の場合、5年未満の経験があるアソシエイト弁護士は、強みのある分野によって市場価値が異なります。
7年以上の経験のあるアソシエイト弁護士の場合は、パートナー候補として見なされ、どの程度事務所の売り上げに貢献できるかを問われる傾向です。

一般民事系事務所で勤務していた場合

一般民事系事務所経験者の場合、アソシエイト弁護士としての転職が基本であり、パートナーとしての入所は少ない傾向です。
また、一般的に一般民事系事務所から渉外事務所や総合事務所への転職は難易度が高いとされているため、経験が重視される年齢になる前に転職を考える必要があります。

「法律事務所」から「事業会社」への転職

法律事務所から事業会社への転職は、近年大変人気のあるキャリアパスです。
法律事務所では特に繁忙期に残業が多く発生するため、「ワークライフバランスを実現したい」との理由で事業会社への転職を志すケースが多くみられます。
また、「外部からではなく内部から企業をサポートしたい」など、企業法務の仕事自体に強いやりがいを感じて転職する方も少なくありません。

ただし、企業側は若手人材を求める傾向があることため、法律事務所から事業会社への転職は30代前半まで(できれば30歳まで)がおすすめです。

企業法務系事務所や総合系事務所で勤務していた場合

アソシエイトとして3~5年程度経験を積んだ後に転職をするとよいでしょう。
企業法務の案件で英語を使用していた場合には、語学力もアピールできます。
業務で英語を使用しない場合には、TOEIC700点以上を目指し努力をする必要があります。

一般民事系事務所で勤務していた場合

経験年数3年程度、できれば30歳までに転職することをお勧めします。
企業法務案件を取り扱った経験を求める求人が多いため、民事事件の経験がメインの場合は英語力等でアピールできるポイントを増やしておくとより良いでしょう。
TOEIC700点以上を目指し、努力する必要があります。

「事業会社」から「事業会社」への転職

業務環境や働き方、待遇面の改善に向けて、事業会社から事業会社への転職を目指す弁護士も少なくありません。
インハウスローヤーを募集している企業は経験値を重視するケースが多いため、事業会社出身の弁護士は、法律事務所出身の弁護士や業務未経験者よりも高く評価されるでしょう。

インハウスローヤーの求人数は近年増加傾向にありますが、好条件の求人は倍率が高くなる点に注意が必要です。
事業会社での実務経験+αのスキルを有していると他者との差別化につながり、より内定を得やすくなるでしょう。
たとえば海外との取引が多い事業会社であれば、TOEIC800点以上の英語力や英文契約書の作成や取引を行った経験などが評価されます。

「事業会社」から「法律事務所」への転職

法律事務所から事業会社への転職は、人気の高いキャリアパスですが、事業会社から法律事務所への転職事例は少ない傾向です。
しかし、インハウスローヤーとしての業務が単調なものが多い事業会社では、法律事務所から転職したものの、物足りなさを感じて法律事務所に戻る弁護士も稀に見受けられます。

ただし、事業会社での経験を重宝する法律事務所は少ない傾向であり、採用率は低めの印象です。
国際法務M&Aなど専門性の高い経験があれば、有利に働く可能性があります。
アソシエイトとしての採用が多いため、年齢は若いほうが転職しやすいと言えるでしょう。

独立開業

法律事務所である程度の経験を積んだあと、独立開業するキャリアパスもあります。
幅広いスキル・知識が身につく総合系法律事務所での勤務経験が豊富にあると、経営をよりスムーズに進められるでしょう。
また、法律事務所に在籍している間に営業力を強化したり、人脈を広げたりすることも独立後の成功につながります。

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弁護士がキャリアアップするためのポイント

ここでは、弁護士としてのキャリアアップを目指すうえで、特に意識したいポイントを3つご紹介します。

目指すキャリアプランを具体的に言語化する

まずは、どのようなキャリアを積んでいきたいのかを明確にしましょう。
「いずれは独立開業したい」といったざっくりとしたプランではなく、「〇歳までに独立開業するために、〇歳までは現法律事務所で勤務しながら○○の資格を取得する。
そして、スキルの幅を広げるために、〇歳で〇〇分野に強い法律事務所へ転職して、スキルと人脈を強化し、独立開業」など、具体的な年齢を決めて、細かなプランを言語化することが重要です。
これにより、何歳までに何をすべきか、今何をすべきかを明確に把握することができます。

職務経歴とアピールポイントを棚卸しする

目指すキャリアプランを言語化できたら、職務経歴とアピールポイントの棚卸しを行いましょう。
職務経歴では、まず過去に担当した事例種類を細かく洗い出します。
そして、そのなかで培ってきた知識スキルを書き出しましょう。
強み・弱みを客観的に評価することで、アピールポイントと今後改善すべき点を可視化できます。
これらをキャリアプランと重ね合わせることで、キャリアアップのために必要な行動が自然と見えてくるでしょう。

弁護士に特化した転職エージェントを利用する

キャリアプランの実現に転職が必要な場合は、「転職エージェント」の活用がおすすめです。
弁護士業界に特化している転職エージェントであれば、法律事務所はもちろん、企業の法務部門やインハウスローヤーなどの求人を数多く保有しているため、希望に合った転職先効率的に見つけることができます。

転職支援経験が豊富なキャリアアドバイザーのキャリア面談により、客観的な視点から市場価値の把握や、キャリアパスの選択肢の提示を受けることができます。
また選考書類に必要な応募書類の添削や面接の対策、内定後の条件交渉まで転職活動を伴走してもらうことで、安心感を持って進められるでしょう。

管理部門・士業特化の転職エージェント「MS Agent」では、弁護士業界に精通したキャリアアドバイザーがあなたらしい転職をお手伝いします。
「MS Agentではどのようなサポートをしてくれるの?」と疑問に思われた方は、 「MS Agent」の転職サービス紹介をご確認ください。

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まとめ

弁護士の司法試験合格後は、法律事務所に就職するケースが一般的です。しかし、弁護士としての成功を目指すためには「長期的なキャリアプラン」を明確に定める必要があります。
同じ法律事務所に長く在籍してパートナー弁護士を志すのか、それとも別の法律事務所に転職してキャリアアップを目指すのか、あるいはワークライフバランスを重視して事業会社へ転職するのかなど、早い段階で将来の方向性をしっかりと定めましょう。

もし「自分に合うキャリアプランがわからない」とお悩みの場合は、弁護士業界に精通した転職エージェント「MS Agent」にご相談ください。弁護士の転職市場に詳しいキャリアアドバイザーが転職活動をサポート致します。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

高根沢 美帆

大学卒業後、新卒でITベンダーに入社し、営業としてエネルギー業界のお客様を担当。その後、損害保険会社で法務業務に従事。
キャリアアドバイザーとしてMS-Japanに入社後は、法務、弁護士、法科大学院修了生などリーガル領域を中心に担当。

人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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