求人表の見方を転職のプロが解説!ブラック企業に騙されないためには
ボーナスの支給やプロジェクトの終了などを節目に、本腰を入れて転職活動を始める方が多いでしょう。
転職活動のスタートは、希望に合った求人票を見つけることです。
しかし、求人票を見慣れないうちは、「どこを注意して見ればいいのかわからない」「自分が応募要件や求める人物像を満たしているか自信がない」と考える方が多く見受けられます。
そこで今回は、求人票の確認すべきポイントについて、転職支援のプロが解説します。ブラック企業や採用意欲の高い企業の見分け方についても解説します。求人票の見方に不安がある方はぜひご覧ください。
【求人票の見方①】業務内容
業務内容を確認する際に押さえておきたいのは、以下の3つです。
②具体的な仕事の中身
③必要な経験・資格
①まず「職種」についてですが、求人票の記載については統一された基準がないため、同類の職であっても企業ごとに呼び方が変わります。
たとえば、一般的には事務職に分類される職種でも、企業によっては「営業事務」と呼んでいる場合や、「営業アシスタント」と呼ばれことが多いです。
もし、その企業独自の専門用語が使われていて職種の内容に不明点がある場合は、必ず事前に確認しておきましょう。
②、③の「具体的な仕事の中身」や「必要な経験・資格」については、記載されている仕事内容が自分のこれまでの職務経験に合っているかを確認することが基本です。
企業によっては1日の仕事の流れなどを、具体的なスケジュールとして記載していることもあります。就職・転職後のイメージを浮かべるためにも、記載がある場合は内容を吟味しておきましょう。
さらに、通常は業務を遂行する上で使用するツールやソフトなども記載されており、対応できるかどうか確認する必要があります。
【求人票の見方②】待遇・条件
給与や休日、残業時間など、いわゆる待遇と条件は、働く上で非常に重要な要素です。
いくら業務内容が希望とマッチしていても、待遇と条件が合わなければ長期にわたって働くことは難しいかもしれません。
求人票における各項目の確認事項について詳しく解説します。
給与・賞与など
労働における対価が「お金」である以上、給与や賞与に関する条件は重要ポイントの1つです。求人票には、その会社における標準金額の給与が記載されています。
たとえば年収500万~700万円と記載されている場合、スキルや経験が豊富でも700万円を上回ることはあまりありませんが、反対に500万円を下回る可能性も低いと考えられます。
給与において注意したいのが、記載は総支給額(税込み)であることです。実際には、税金や社会保険料などが差し引かれた金額が振り込まれます。
この、実際に振り込まれる金額が「手取り金額」です。一般的に手取り金額は税込み金額の8割程度になるといわれています。
給与額以外に、給与形態についても確認が必要です。固定給(月給制や日給制など)なのか、歩合制なのかによってメリット・デメリットがそれぞれあります。中には固定給と歩合制を組み合わせた給与制度を導入している企業や部署もあります。
安定を重視するのか、成果を重視するのか、どの給与形態を希望するかは人それぞれです。自身の希望にあった制度を導入している会社を選びましょう。
求人票で給与とともに確認したい項目が賞与(ボーナス)です。支給の有無だけでなく、支給条件や支給時期、支給額など、さまざまな要素が企業によって大きく異なります。
休日、休暇
労働において高いパフォーマンスを維持するためには休日も大切です。土日・祝日は1年間でおよそ120日です。つまり、年間休日数が120日未満の場合は、土日・祝日の出勤がある可能性が高くなります。
もちろん業種によっては土日・祝日の休みが当然ではない企業もあるでしょう。その場合は年間休日数115〜120日が1つの基準になります。
加えて休日について確認したいポイントは、「週休2日制」と「完全週休2日制」です。
週休2日制は1カ月のうちに1週以上、1週間に2日間の休日がある制度で、完全週休2日制は毎週必ず2日間の休みがある制度です。勘違いしやすい表記のため、注意してください。
また、有給休暇の制度についてもチェックしておきましょう。多くの求人票では、「入社後どれくらい経てば、何日の有給休暇が付与されるのか」が記載されています(例:入社半年後に10日間付与)。
有給休暇については、法律による最低限の規定はありますが、会社ごとに内容が異なる可能性もあります。
就業時間・残業
基本となる就業時間と残業時間についても求人票で事前に確認しましょう。就業時間について、多くの企業は1日の実働8時間、休憩1時間の合計9時間拘束です。始業時間および終業時間については、企業ごとに大きく異なります。
近年ではフレックス制を導入し、勤務の時間帯をある程度選べる会社も増えてきました。
また、先ほど労働時間は8時間の企業が多いと説明しましたがそうでない企業もあります。裁量労働制によって個人に委ねている企業もあれば、実働7時間(休憩1時間の8時間拘束)の企業などもあります。
業界によって一般的な就業時間に違いもあるため、特に他業種への転職を考えている人は求人票をしっかり確認しましょう。
また、残業時間についても事前確認が必要です。平均残業時間や繁忙期の残業時間を求人票に記載してくれている企業もあります。
また、給与にみなし残業代が含まれている場合もあるので、給与欄も合わせてチェックしてください。みなし残業代の割合があまりに多いと、平均残業時間も長くなる傾向にあります。
【求人票の見方③】会社概要
会社概要には会社(本社)の所在地をはじめ、資本金、売上高、従業員数、創業年、労働組合の有無、事業内容、会社の特長、代表者などが記載されており、企業に関する基本的な情報を確認できます。
もし、それまで名前を聞いたことのない企業の求人票であれば、まずは会社概要をじっくり読み、その企業の理解を深めましょう。
売上高や従業員数などの数値情報については、ネットで同じ業界の他の企業と比較して、多い方なのか少ない方なのか、把握しておくことも大切です。
本社だけでなく複数の事業所が記載されている場合は、将来的に転勤が発生するのかどうか、面接時に確認する必要があります。
関連会社について書かれている場合は、出向の有無についても尋ねておきましょう。
また、創業年が古い企業の場合、それだけ長く経営を継続していることを意味し、業界内での信頼度が高めであるとも考えられます。
繰り返し使っている言葉に注目!
求人票にはさまざまな項目がありますが、特に注目すべきなのは『繰り返し使われている言葉』です。
たとえば、「即戦力」「未経験歓迎」「人物重視」「落ち着いた雰囲気」「スピード感」など、求人企業が特に重要視している採用ポイントは、1つの求人票の中で繰り返し使われる傾向にあります。
業務内容・会社の特徴・応募資格など、別の欄で同じ言葉が繰り返し使われている場合も然りです。
企業ホームページではわからない、採用部署の本音やメッセージが隠れていることもあるため、繰り返し同じフレーズが使われていたら注目しましょう。
求人票からブラック企業を見抜く!
ブラック企業かどうかは入社するまでわからないといわれることもありますが、実は求人票の情報だけでも、ある程度はブラック企業かどうかを見分けられます。
給与、残業時間、年間休日日数、表現と応募要件に絞って解説します。
給与が高すぎる
「ブラック企業=給与が少ない」という認識の方も多いようですが、実は相場に比べてあまりに給与が高い場合も注意が必要なのです。
給与が極端に高い背景として「人がたくさん辞めるので人員を確保したい」「実はインセンティブ込の給与で、実際にはそこまでの金額はもらえない」「残業や休日出勤を前提とした金額提示」などが考えられえます。
金額の高さに惑わされることなく、給与の高さの理由まで確認しましょう。
残業時間
残業代が出ない、残業時間が極端に長い、というのは、ブラック企業の特徴です。これらを求人票から見抜く方法はあるのでしょうか。
1つの目安となるのが、給与に含まれている「固定残業代」と「みなし残業代」です。これらはいずれも「◯◯時間残業したと仮定して」決まった時間外手当を支払う制度です。
多額の固定(みなし)残業代を含んだ上で給与が平均水準である場合、基本給は高くない可能性があります。
36協定では時間外労働の上限が「1か月45時間、1年360時間」およびそれを超過した際の罰則が規定されています。そのため、固定残業時間が45時間を上回る場合は注意が必要です。
さらに、裁量労働制も上記同様に、残業前提の給与となっている可能性があります。また、裁量労働制の場合にはそもそも、「残業代」という概念がなく、いくら働いても給与が変わらないという事例も珍しくありません。
「固定残業代」「みなし残業代」「裁量労働制」ということ言葉が求人票に含まれる場合は、詳細を必ず確認しましょう。
ただし、上記の言葉があるからといって必ずブラック企業というわけではありません。業務柄、どうしても恒常的に残業が発生してしまうため、振替休日や金銭手当で補填している企業もたくさんあります。
大切なのは「不当な残業をさせていないか」と「適正な賃金を払っているか」ということです。
また、求人票に記載されている「平均残業時間」にも注意が必要です。企業によっては部署内で残業時間に大きな差があり、残業時間の短い部署まで含めた平均を記載している企業があります。
しかし、部署ごとの残業時間までを求人票で把握するのは難しいため、気になる場合は面接で質問するのも1つの手段です。
年間休日数
残業時間とあわせて確認したいのが、年間休日数です。先ほど、1年間の土日・祝日の合計日数が120日ほどと説明しましたが、実際に年間休日数が120日以上ある企業は全体の約30%というデータもあります。
また、平均の年間休日日数は114.7日という厚生労働省のデータもあります。
そのため、しっかり休みがある環境かどうかを判断するには年間休日数115日程度を基準にすればよいでしょう。
これよりも極端に休日数が少ない場合はブラック企業の可能性があります。
あいまいな表現が目立つ、応募要件が低すぎる
「熱意がある方募集」、「若い方が活躍できる」など抽象的で聞こえの良い文言が求人票内に並んでいる場合も要注意といえます。
ブラック企業の場合、実際に従業員に課している仕事内容や労働条件を記載すると応募者が集まらないため、あいまいな表現を多用する傾向があるのです。
また、募集要件に「学歴不問、職歴不問」を一番に打ち出しているような求人票も、ブラック企業の危険性があります。ブラック企業はすぐに退社する人が多いため、スキルや経験に関係なく採用を行うことが多いです。
興味が湧く求人にはチャレンジしてみる!
どのような経験・年収・職位でも、必ず書類選考に通過するわけではありません。
また、採用は、必ずしもスキルや経歴の優劣だけではなく、相性や親和性、タイミングも重視されて判断されます。
そのため、応募要件を満たしていても選考通過できないこともあれば、応募要件を十分に満たしていないものの採用に至るケースもあります。
恐れずに応募をすることで、他のポジションを提案してもらえることもあります。これはと思える企業なら、提案のつもりでどんどん応募してみることが、可能性を広げます。
また、ライバルとなる他候補が少ないのは、求人募集が開始された直後です。あなたが悩んで保留にしている間に、他候補は先に選考に進んでしまいます。応募するかしないか、判断のスピードも転職活動には重要なポイントです。
採用意欲の高い企業に応募する!
転職活動を円滑に進めるためには、採用意欲の高い企業を見極める必要があります。
たとえば、求人に“急募”と記載がある求人は、採用ニーズが高く、狙い目といえます。他求人に比べて積極的に募集をしているため、選考スピードが速く、スピードを優先して選考通過率が高くなる傾向があります。
また、転職先選びにおいては、応募先の企業とこれまでの勤務先で同じ項目が多ければ多いほど、採用側からの評価につながる傾向が窺えます。
任される仕事内容がこれまでの経験と近い、業界の親和性の高さ、企業規模、ポジション、役割など、ご自身の経歴と先方との共通点を多く見つけて、アピールすることがポイントです。
応募書類を直す時間があれば、求人票を参考にしながら、職務経歴書や履歴書を手直ししても効果的です。その際は、より親和性をアピールするために、求人票の表現や言葉を用いることをおすすめします。
その他、職務経歴書に具体的な数値を記載したり、職務要約・自己PRを記載したりするなど、詳しい書類作成のポイントは、こちらの「職務経歴書の書き方」をご覧ください。
求人票から得られる情報はとても多く、見方を知ることでさらに求人の理解が深まります。求人票は、転職活動サポートのプロが作成しており、求人企業の情報が凝縮されている資料です。
ぜひ、コツを知ってチャンスを探り、転職を成功させましょう。求人サイトや転職エージェントからの紹介求人など、求人票を目にする機会には、これらのコツを有効活用していただければ幸いです。
求人票には書かれていない内容についてのご質問や、求人に見合った職務経歴書作成、自分に合う企業を選ぶアドバイスなど、一歩踏み込んだ転職活動サポートをご希望される方は、転職エージェントに相談するのも良い方法です。
まずはご相談や、素朴な疑問を聞いてみたいといった内容でも、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ
本記事では、求人票の見方や注目ポイント、求人票から確認できるブラック企業の見分け方などについて解説してきました。
求人票にはさまざまな情報が書かれており、詳しく見ると企業の実態が見えてきます。
一方で「給与が高い」「裁量労働制で自由に働けそう」など、表面的な情報だけで判断してしまうと、ブラック企業に応募してしまったということにもなりかねません。
求人票に書いてある情報の背景まで考えることで、ブラック企業を避けられるでしょう。
転職を検討する際には複数の求人を見比べ、自分が納得できる企業のみに応募することをおすすめします。
自分だけで良い転職先を見つけるのが不安という方は、転職エージェントも活用してください。採用意欲の高い、優良企業の求人を多く取り扱っています。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、旅行代理店にて法人営業を約3年。20代でMS‐Japanへ入社。
企業の採用支援(リクルーティングアドバイザー)を約8年、求職者の転職支援(キャリアアドバイザー)を約5年経験。
両ポジションでチームマネジメントを経験し、キャリアアドバイザーとしては複数回にわたり支援実績数NO1を獲得。リクルーティングアドバイザーにおいても入社1年半後にチームマネジメントを経験させていただきました。現在は子育てと両立しながら、常に社内でトップ10以内の採用支援実績を維持。
経理・財務 ・ 法務 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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