得票数が少ないと没収!? 選挙で必要な「供託金」とは
2016年は、日本では7月に参議院選挙や東京都知事選挙、海外では1月に台湾で正副総統と立法院のダブル選挙、11月にはアメリカで大統領選挙と、世界中で重要な選挙が行われる年のようです。
特にこのたびの東京都知事選挙は、50億円の費用が見積もられ、過去4年間、今回も含めると計3回の都知事選においては実に130億円の税金が使われるであろうといわれています。
今回と前回の都知事選挙は、都知事の不祥事による任期満了前の辞任で、これらの選挙費用は税金の無駄遣いという批判の声も多く聞かれました。
しかし、立候補者にとっても選挙は非常にお金のかかるイベントです。選挙活動に必要な人件費・通信費・ポスター等の印刷費等、出馬する選挙の規模によっても異なりますが、数百万から数千万単位の資金が必要といわれています。そして上記の諸費用の他に、必ず「供託金」を法務局に預けなければなりません。なぜ、このような制度があるのでしょうか。
供託金が必要な理由
法務省の定義によれば、供託とは、金銭、有価証券などを国家機関である供託所に提出して、その管理を委ね、最終的には供託所がその財産をある人に取得させることによって、一定の法律上の目的を達成しようとするために設けられている制度です。
分かりやすくいうと、選挙における供託金は、当選を争う意志のない人、売名などを目的とした無責任な立候補者の乱立を防ぎ、有権者がふさわしい立候補者を選びやすい環境を築くことを目的とした制度で、 選挙の種類別にその額が決められています。
例えば、一番高い供託金は参議院比例代表区選出議員と衆議院比例代表区選出議員の選挙で600万円。一番少ない委託金は指定都市以外の市議会議員の選挙で30万円。ちなみに東京都知事選挙は300万円の供託金が必要です。
供託金が没収される場合と、その使途
供託金は、一定の得票数を得られない場合は没収されます。
例えば、参議院比例代表区選出議員選挙では、名簿登録者数から当選数×2を差し引いた数に600万円をかけた金額が没収されます。東京都知事選挙になると、有効得票数の10分の1に満たない場合、300万円全額が没収されます。
また、供託金を納めた後に立候補を取りやめたり、選挙長から立候補の届け出を却下されたりした場合も没収されます。
公職選挙法第93・94条によれば、没収された供託金は国政選挙の場合は国庫に、地方選挙の場合は当該地方自治体に帰属します。
前述のとおり、選挙にかかる費用は膨大です。没収された供託金は、例えば、ポスターの設置や選挙公報の配布、投票用紙の発送、さらに投票所の設置や職員への手当など、その一部をまかなう費用として有効活用されるため、税金と似たような使われ方をします。
2014年の東京都知事選挙では、16人の立候補者のうち、12人が有効得票数の10分の1に満たなかったため、計3,600万円が没収されました。この3,600万円が今後の選挙で使われていくとのことですが、今回の約50億円という金額には到底及んでいません。それでも、選挙費用として都民の血税からの拠出を少しでも減らせるということであれば、ありがたいと思わなければならないのかもしれません。
いや、それより今後、職務を果たして任期を全うし、任期途中での辞任がないようにしてほしいものです。
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