M&Aとはどんな仕事?年収や求められる人材について解説
M&Aとは、企業の合併や買収を指す言葉であり、この仕事に従事している人々は激務かつ年収が高いというイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
この記事では、M&Aという仕事についてもっと知りたいとお考えの方に向けて、M&Aの仕事の具体的な内容、求められる人材像、働き方や年収について解説します。
M&Aを担う人材として成功するために必要なスキルや、日々の業務内容についても触れていきますので、是非参考にしてみてください。
M&Aとはどんな仕事?
M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業が成長戦略の一環として他社を買収したり、または他社と合併することを指します。
この分野で中心的な役割を果たすのがM&Aアドバイザリーです。
M&Aアドバイザリーは、売却や買収を検討している企業からの依頼を受け、企業の経営陣に対して戦略的アドバイスを提供するなど、取引を成功させるための複雑なプロセスを専門的な知識とスキルでサポートします。
近年、人口減少や高齢化、グローバル化の進展などにより、企業の競争環境は急速に変化しています。
このような状況の中、M&Aは企業規模を問わず重要な戦略となり、その件数は年々増加しています。
M&Aには、法務や財務、税務など多岐にわたる専門的な知識が必要であり、多くの場合、企業内部だけのリソースでは対応が難しいため、M&Aアドバイザリーの役割は非常に重要です。
M&Aアドバイザリーは、買手または売手のどちらか一方の利益を代表し、その最大化を目指します。
これは、買手と売手双方の利益を代表するM&A仲介業とは異なる点です。
M&Aの仕事(M&Aアドバイザリー)の具体的な業務内容
M&Aの具体的な業務内容について、主なものを6つご紹介します。
M&A戦略の立案
M&A戦略立案では、M&Aアドバイザリーが経営陣と協力し、M&Aが企業戦略として適切であるかどうかを評価します。
この段階において、全社的な視点からM&Aの目的、対象企業の選定、スケジュール作成、財務インパクトの予測、シナジー効果の見積もり、入札戦略などを見極め、M&Aを成功に導くための方向性と具体的なアクションプランの策定を行います。
バリュエーション
バリュエーションは、買収対象企業の価値評価を行うプロセスです。
M&Aアドバイザリーは、財務諸表分析、市場比較、将来キャッシュフローの割引など複数の方法を用いて企業価値を算定します。
適正な価値評価は、交渉においてクライアントの利益を守り、合理的な買収価格の提示に不可欠な要素です。
ソーシング
ソーシングは、買収候補や合併パートナーを見つけ出すプロセスです。
M&Aアドバイザリーは、業界分析、ネットワークを駆使し、潜在的な買収・合併対象企業を特定します。
この段階では、市場動向について十分に理解し、クライアントの戦略的フィットを考慮した候補の選定が求められます。
デューデリジェンス(DD)
デューデリジェンスは、買収前の厳密な調査プロセスで、ビジネス、財務、法務など多方面から対象企業を評価します。
M&Aアドバイザリーは専門家を斡旋し、リスク評価、財務状態の検証、ビジネスモデルの分析などを行い、クライアントに対し詳細なレポートを提供します。
このレポートに記された情報が、後の交渉における基盤となります。
取引条件交渉~取引執行
取引条件の交渉では、M&Aアドバイザリーがクライアントの利益を守るため、価格、支払条件、保証条件などについて相手方と交渉します。
契約書の作成、資金調達のアドバイス、クロージングまでのプロセス管理も行います。
このプロセスを成功させるためのキーポイントは、戦術的な交渉と確実な取引執行にあります。
PMI
ポストマージャーインテグレーション(PMI)は、M&A後の組織統合プロセスです。
M&Aアドバイザリーは、統合計画の策定、進捗管理、組織文化の融合、ITシステムの統合などをサポートし、M&Aの成功を最終的に実現します。
PMIは、長期的な価値創出と組織のスムーズな移行を目指す重要なステップです。
M&Aの仕事は年収が高い!
M&Aの仕事は年収が高いというイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。
以下に、Big4、独立系アドバイザリー、M&A仲介業者に分けて、それぞれの年収の水準をご紹介します。
Big4
Big4とは、デロイトトーマツ(Deloitte)、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、KPMG、アーンストアンドヤング(EY)の通称であり、これらの会計ファームに属する税理士法人、監査法人、コンサルティング・アドバイザリーファームのことを指します。
日本国内においても、これらの会計ファームに属するアドバイザリー・コンサルティングファームは、M&A戦略立案からポストマージャーインテグレーション(PMI)まで、財務・税務の観点から全フェーズに渡り広範なM&Aアドバイザリー業務を提供しています。
また、ITコンサルティング部門と連携してM&A後のシステム統合や組織再編にも関与します。
これらのようなM&Aアドバイザリー業務の専門性と幅広いサービス提供能力は、高い年収水準にも反映されています。
年収はアソシエイトで600万円~800万円、シニアアソシエイトで800万円~1000万円、マネージャーで1000万円~1300万円、シニアマネージャーで1300万円~1500万円、パートナーで2000万円以上となっており、エクイティパートナーとなれば億単位の年収が見込まれます。
独立系アドバイザリー
独立系アドバイザリーとは、金融機関や会計事務所とは異なり、独立してM&Aアドバイザリー業務を行う企業のことを指します。
代表的な企業にはGCAやフロンティア・マネジメントがあります。
これらの企業は、M&A戦略立案からPMIに至るまで、全フェーズにわたって関与し、特に戦略立案や交渉支援に強みを持っています。
独立系アドバイザリーの年収はその専門性と独立性から非常に高く、例えばGCAの有価証券報告書によると、平均年収は2063万円にもなり、これは日本の上場企業中で3位の水準です。
M&A仲介業者
M&A仲介業者は、M&Aアドバイザリーとは異なり、買手と売手双方のマッチングを行い、取引の成立をサポートする業務を行います。
代表的な企業にはM&A総合研究所、日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズなどがあります。
仲介業者は中立的な立場から双方の利益の最大化を目指し、初期フェーズから契約締結までをサポートします。
年収に関しては、M&Aキャピタルパートナーズの平均年収が2478万円、日本M&Aセンターが1413万円と、非常に高水準です。
コンサルティングの求人情報を確認したい方はコチラ
コンサルティングの求人情報
国内最大級のコンサルティングに関する求人情報を保有している弊社では、これからコンサルティング業界で働きたい方や他のコンサルティング会社に転職したい方に向けて数多く求人ご用意しております。
弊社のみが扱っている求人も多いため、ぜひご確認ください。
M&Aの仕事で求められる人材
M&Aの仕事で求められる人材の特徴についてご紹介します。
求められる経験
求められる経験は、コンサルティングファーム出身者と事業会社出身者とで異なります。
コンサルティングファーム出身者に求められる経験には、M&Aプロジェクトへの実際の参画経験が主です。
特に、経営コンサルティング、M&Aブティック、PEファンドでの営業活動、プロジェクト管理、中期計画策定、海外進出支援、ビジネスや人事関連のデューデリジェンスなど、M&A関連業務に深く関わった経験が高く評価されます。
また、戦略立案や財務分析、オペレーション改善、プロジェクト管理オフィス(PMO)の業務、経営層へのコンサルティングなどの経験も求められます。
このような経験は、M&Aアドバイザリーで求められる高度な知識やスキルを裏付けるものとなるからです。
事業会社出身者に求められるのは、M&Aに直接関わった経験です。
具体的には、投資銀行業務、財務部門での勤務、経営企画部門や総合商社でのM&A関連業務、ポストマージャーインテグレーション(PMI)の経験、海外買収先への駐在や協業経験、経営コンサルティングファームとの協業経験が評価されます。
また、中長期計画策定や経営・事業・営業・商品企画などの上流フェーズのプロジェクト参画経験も有利とされます。
これらの経験があれば、M&Aアドバイザリー業務に必要な実践的知識とスキルを有していることの証となります。
スキル
M&Aアドバイザリー業務には、様々なステークホルダーとの調整や交渉を行うための対人スキル、特にクライアントリレーション能力とコミュニケーション能力が求められます。
また、プロジェクトの進捗管理、課題管理、リスク管理などのマネジメントスキルも必須です。
財務面では、財務モデリングやデューデリジェンスを含む専門的な知識が要求されますし、各種資料の作成に必要なOffice(Word、Excel、PowerPoint)の操作スキルも基本要件となります。
クロスボーダー案件を扱っているファームでは英語力も必須です。
スコアを明示しているM&AアドバイザリーではTOEIC730点以上とされています。
英語力において優遇される条件としては海外駐在経験、海外留学経験、TOEIC900点以上などが挙げられます。
資格
M&Aアドバイザリーに必須の資格はありませんが、経営や財務に関する知識、マネジメントスキルを有していると証明できる、中小企業診断士、MBA、公認会計士(日本・米国)、税理士などの資格を持っていれば、高く評価されやすくなります。
これらの資格は、M&Aアドバイザリーとして活躍する上での専門性を高め、業務の幅を広げるための優位性へとつながります。
まとめ
M&Aは企業成長や競争力強化のための重要な戦略であり、それを成功へと導くM&Aアドバイザリーは、複雑なプロセスに不可欠な役割を担う存在です。
コンサルティングファームや事業会社での実務経験、財務分析やプロジェクト管理などの専門スキル、コミュニケーション能力といった様々な経験や知識・スキルを持つ人材が求められることから、その専門性と責任の重さも相まって、年収水準はとても高くなっています。
M&Aアドバイザリーは企業の大きな転換点において中心的な役割を果たすことができることから、大きなやりがいを実感できますし、業務を通じて専門性を高めていけるため、以降のキャリアの充実にもつながっていく職種だといえます。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、大手信用金庫に入庫。個人・法人営業及びビジネスマッチング等に従事。
MS-Japanに入社後は、横浜支社の立ち上げに加え、経理・人事・法務・経営企画・公認会計士・税理士等、幅広い職種のマッチングに従事。
2021年より東京本社へ異動後は、公認会計士・税理士・弁護士・社労士等の士業を専門とするJ事業部の管理職を務める傍らプレイヤーとしても従事。
会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
あなたへのおすすめ求人
同じカテゴリの最新記事
弁護士の初任給はいくら?経験年収別・勤務先別の年収や年収アップの方法など
経理は年収が低い?真相を独自データで解説!年収が高い経理の特徴など
経理の転職情報|経理転職のプロMS Agentが徹底解説!
公認会計士の転職ならMS Agent|転職先の選び方やオススメ求人を紹介!
【弁護士も副業をする時代に】おすすめの副業と注意点を解説!
令和6年度弁理士試験合格発表|最新の合格率や合格後の流れを解説!
社会保険労務士(社労士)試験の難易度・合格率は?勉強時間や資格を活かせるキャリアなど
法務の転職・求人|最新の転職市場や転職成功のポイントを解説!
人事の転職ならMS Agent|経験・未経験別の人事転職成功のポイントを解説!
サイトメニュー
業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。
新着記事
求人を職種から探す
求人を地域から探す
セミナー・個別相談会
業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。