2021年08月17日

令和3年度(第71回)税理士試験が8月17日から開始。受験申込者数増加に対して、受験者数はどうなるのか?

管理部門・士業の転職

今年の税理士試験は、2021年8月17日から19日の3日間にかけて実施されます。

会計業界としては、直近10年以上減少し続けていた受験申込者数が、前年度費で増加となり、明るい兆しの中で試験当日を迎えています。

しかし、昨年に続き新型コロナウイルス感染症の流行が拡大する中での実施となり、実際の受験者数が申込者数に比例して増加するのかが心配されるところです。

そこで、令和3年度の税理士試験の受験申込者数の動向、感染症対策を踏まえた注意点、今後の求人動向について概説します。

1.受験申込は増加、実際の受験者は増えるのか?




■税理士試験受験申込者数・受験者数・受験率の推移

平成21年度(第59回) 平成22年度(第60回) 平成23年度(第61回) 平成24年度(第62回) 平成25年度(第63回) 平成26年度(第64回)
2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度
受験申込者数(実人数) 62,830 62,996 59,975 58,453 55,332 49,876
受験者数(実人数) 51,479 51,468 49,510 48,123 45,337 41,031
受験率 81.9% 81.7% 82.6% 82.3% 81.9% 82.3%

平成27年度(第65回) 平成28年度(第66回) 平成29年度(第67回) 平成30年度(第68回) 令和元年度(第69回) 令和2年度(第70回) 令和3年度(第71回)
2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
47,145 44,044 41,242 38,525 36,701 35,135 35,774
38,175 35,589 32,974 30,850 29,779 26,673
81.0% 80.8% 80.0% 80.1% 81.1% 75.9%

税理士試験受験の申込者数は、平成22年度(第60回)を境に減少し続けていましたが、今年増加に転じました。前年度対比101.8%(639人)とわずかながら増加ではありますが、11年ぶりの増加ということで、会計業界にとっては明るい兆しです。

しかし、新型コロナウイルス感染症の流行したいわゆるコロナ禍での実施となった、昨年(令和2年度)の税理士試験では過去平均で約80%程度だった実際の受験者率(※)が、75.9%に低下していたことを考慮すると、実際の受験者数の動向が気になります。

※受験者率の算出式…受験者数(実人数)÷受験申込者数(実人数)=受験率

税理士試験受験を国税局等に申込書類を提出する期限の5月中旬と比較して、感染者数は大幅に増加しています。平日に実際に試験会場に足を運ぶ必要があることを考慮すると、実際の受験者率が昨年並み、又はそれ以上に低下する可能性があります。

仮に過去10年平均の受験者率となった場合、実際の受験者は28,995人で昨対比108.7%(2,322人)の大幅増加となります。一方で、昨年同等の受験者率の場合は昨対比101.8%(485人増)に留まります。

また万が一、以上に受験者率が悪化する可能性もあります。仮に受験者率が74.6%を下回ると実際の受験者数はマイナスになります。


受験申込者数(実人数)
受験申込者数(実人数) 35,774

シミュレーション 受験者率 受験者数見込(実人数) 昨対増減率 昨対増減数
過去10年平均 81.1% 28,995 108.7% 2,322
昨年並み 75.9% 27,158 101.8% 485
受験者増減なし 74.6% 26,673 100.0% 0

まずは転職エージェントに無料相談する

■科目別受験申込者数

簿記論 財務諸表論 所得税法 法人税法 相続税法
今年 16,032 13,696 1,954 4,917 3,517
前年 15,401 12,755 2,107 5,195 3,555
対前年比 104.1% 107.4% 92.7% 94.6% 98.9%
増減数 631 941 -153 -278 -38

消費税法 酒税法 国税徴収法 住民税 事業税 固定資産税
8,786 804 2,824 616 481 1,439
9,010 809 2,857 632 537 1,443
97.5% 99.4% 98.8% 97.5% 89.6% 99.7%
-224 -5 -33 -16 -56 -4
【参考URL】
国税庁「令和3年度(第71回)税理士試験 受験申込者数(科目別・試験地別)」

受験申込者数は若干の増加となりましたが、科目別の受験申込者数の増減を見ると増加しているのは簿記論、財務諸表論で、簿記論が昨対比104.1%(631人)、財務諸表論が昨対比107.4%(941人)の大幅な増加となっています。一方で、その他の科目は全て減少しています。

一般的に税理士試験は、簿記論、財務諸表論を受験してから税法科目に挑戦する傾向があります。

税理士試験の受験者数が減少を続ける中で、当資格の登竜門である簿記論、財務諸表論の受験者数が増加したことは、来年度以降にその他の科目受験者の増加に繋がる可能性が伺えます。

まずは転職エージェントに無料相談する

2.令和2年度(第70回)に続き会場分散で感染対策


今年度も、昨年に続きコロナ禍での税理士試験実施となっており、試験会場の分散などの対応が取られています。

試験会場は12都道府県で18か所に分散されています。

また、国税庁では税理士試験の情報ページにて、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を踏まえた注意事項について」を掲載し、令和3 年度(第 71 回)税理士試験を受験者向けに、注意喚起を行っています。

【参考URL】
国税庁「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を踏まえた注意事項について」

この注意事項には、以下7つの項目があります。

1.検温の実施、体調不良の方の受験

2.マスクの着用、アルコール消毒・手洗いの実施

3.試験会場内の混雑緩和

4.試験室内の喚起

5.試験実施時の対応

6.その他

体調管理を徹底して試験に臨むことや十分な感染対策を講じることを促していますが、一部気になる点を抜粋します。

咳を繰り返す場合は受験拒否又は停止

「咳を繰り返すなどの症状が見られる方には、他の受験者への感染のおそれがあるため、健康状態を確認した上で、受験を拒否又は停止することがあります。」との記載がありますので、のどの調子が悪いなどの症状がある方は、注意が必要です。

マスク着用方法の指定

「マスクを着用していない場合は入場できません。」はもちろんですが、「マスクの着用に当たっては、鼻と口を確実に覆ってください。」という具体的な指定がされています。

サイズが合わないマスクをしていて、試験中に注意を受けるなどすると、集中が途切れる可能性があります。

普段使い慣れたマスクを持参するようにしてください。

係員の指示に従うこと

「感染拡大防止対策の徹底に関して、本注意事項を守らない場合や、係員の指示に従わない場合等には、受験を拒否又は停止することがありますので、ご注意ください。」と、管理監督する係員のルール厳守に対する記載があります。

不要なトラブルを避けるため、係員の指示や案内には注意を払っておきましょう。

ゴミの持ち帰り

「ゴミは各自持ち帰ってください(ゴミ箱の使用は禁止します。)」は、昨今、多くの施設で行われていますが、ゴミを持ち帰る袋などを用意し忘れてしまうことは良くあります。

ちょっとしたものが持ち帰れるビニール袋などを用意しておくと良いでしょう。

当該注意書きに記載がある内容に該当して、受験できなかった場合でも、追試験や受験手数料の還付等の特別な措置は予定されていませんので、注意しましょう。

まずは転職エージェントに無料相談する

3.会計業界のキャリアパスを考えるなら8月・9月がお勧め

税理士試験の受験をされている方は、多くの時間を試験勉強に費やしているため、キャリアについて考える時間が取れていないようです。

そんな方にとって、税理士試験直後の8月後半から9月は、情報収集に最適な時期です。

すぐに転職をしないという方にとっても中長期的なキャリアパスを考える絶好のタイミングなので、一度、ご自身のやりたいことを振り返ってみてはいかがでしょうか。

実際に、税理士試験が一段落する8月後半から、例年、会計事務所の採用活動が活発になります。

多くの会計事務所で求人募集が発生するので、具体的にどのような選択肢があるのか?希望するキャリアに辿り着くために必要な要件はなにか?を、実際の求人情報を見ながら検討することができます。

MS-Japanでは、税理士試験受験者の方にお勧めの「各種キャリアセミナー」や「何でも聞ける相談会」を随時開催しております。

ぜひご興味お持ちいただけるイベントがあれば、ご参加いただければ幸いです。

あなたへのおすすめ求人

サイトメニュー

職種で求人を探す
資格で求人を探す
勤務地で求人を探す
資格の転職情報を調べる
転職セミナー・個別相談会
転職サービス紹介
転職ノウハウ
求人企業の皆様へ
MS-Japanについて

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

無料でキャリア相談する

関連おすすめ記事

新着記事

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

無料でキャリア相談する