迫る本格的なIoTの参入。情報革新の時代に求められる企業法務とは?
ソフトバンクグループがイギリスの半導体設計の大手企業であるアーム・ホールディングスの株式を約240億ポンド(約3兆3,000億円)で買収し、大きな話題となりました。
ソフトバンクがこのような大規模な買収を行った理由には、IoT事業の強化があげられます。
7月21日に行われた法人向けイベントの中で、代表取締役社長である孫正義氏は今回の買収を10年前から計画していたと述べており、情報・流通といったさまざまな分野に画期的な変革を促すものとして、早い段階からIoTに着目していたことを明かしました。
IoTを企業が導入する場合、法務に関してはどのような点に配慮しないといけないのでしょうか。今回はIoTの内容を紹介するとともに、注意すべき法律について説明します。
IoTとはなにか?
このニュースによって一般的にも認知が進んだIoTですが、普及すれば経済活動から生活まで、広い範囲で変化がもたらされることが予想されます。
IoTとは「Internet of Things」の頭文字をとったものです。
その内容とは、身の回りのあらゆる機器やものにセンサーを組み込み、インターネットにつなげることで、情報のネットワークをつくるというものです。
たとえば、自動車にセンサーを組み込むと、車同士で位置情報を交換し、交通渋滞の緩和につながると考えられています。
他にもシャツや時計など、人が身につけるものに組み込むことで、心拍数および血圧の管理が便利になったり、電機メーターに組み込んで自宅の家電と情報を連動させ、電気の使用状況を把握しやすくするなど、医療分野や日常生活といった多くの面での活用が期待されています。
ソフトバンクが本格的なIoT分野への参入に踏み切った背景には、この技術が将来的にあらゆる局面に応用され、さまざまな形で現状に変化をもたらすものであるからだといえるでしょう。
2016年7月28日のNHK NEWS WEBに掲載された記事によると、ソフトバンクが買収した、アーム・ホールディングスが知的所有権を持つ半導体は消費電力が低いことが特徴で、今後さまざまなものにこの半導体を使ったセンサーを組み込むことで、 IoT をさらに推進させるのではないかといわれています。
IoTを活用する上で意識すべき法律は?
IoTを業務に取り入れる場合、さまざまな法律に注意を払わなければいけません。その中でも特に重要なものに関して説明しましょう。
IoTが活用されれば数多くの情報がネット上で扱われるようになるので、セキュリティの強化は必須です。
まず、当然の対応として、個人情報保護に関するコンプライアンスには配慮しなければいけません。しかしそれと同様に、ウェブサービスを提供する上で欠かせない利用規約の作成も、入念に行う必要があります。
利用者が納得できる規約の作成から違反した場合の適切な制裁措置まで、細かい点まで充分に気を配り、サービスを提供する相手が同意できる内容にしなくてはなりません。
また、IoTを組み込んだ製品の製造と販売を行う場合には、知的財産権に抵触しないよう注意することも必要です。特許権をはじめ意匠権、著作権、商標権、実用新案権といった法律に基づいて検討を行い、法的なリスクを排除することが前提となります。
さらにIoT商品でいえば、今までにない商品を開発し販売することになると、その商品自体が何の法律に関わるのかが不透明になります。扱うものに応じて電気用品安全法、電波法、製造物責任法など、さまざまな法律への配慮が求められます。
以前は一部の分野でのみ注目されていたIoTですが、ソフトバンクの本格参入と、それによって高い関心が寄せられたことにより、今後は普及に向けた動きがますます加速していくものと考えられます。
この流れを企業の取り組みに活かすことができれば、これからの活動の幅は大きく広がるでしょう。この機会にIoTとそれに関わるコンプライアンスについて理解し、業務への活用を検討してはいかがでしょうか。
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