40代の法務の転職で求められることとは
企業の採用活動において、優秀な新卒者の確保・専門性の高い分野の経験者採用が難化する中、法務もまた採用枠が広がっている職種の一つに数えられます。
かつては転職市場で厳しいとされてきた40代に対しても、高い専門性が求められる職種として相応の待遇を用意する企業が増えてきており、ミドル世代でも新しいチャンスをつかめる可能性が広がりました。
その一方で、誰でも簡単に椅子を勝ち取れるわけではないため、企業が求めることを事前に把握した上で転職活動を行う必要があります。
この記事では、40代で法務に転職する際の心得・採用されるための具体的なポイント・思わぬ落とし穴などについて解説します。
35歳転職限界説は昔の話。40代でも転職はできる!
一昔前の転職市場においては、求職者に若さを求める企業が多く見られ、例えば「長期キャリア形成のため」と断って年齢制限をかけている求人が目立ちました。
そのため、求人サイトなどの転職サービスでも「転職するなら若いうちに」・「歳をとると求人がなくなる」といった情報が半ばノウハウのように紹介されることが多く、中でも『35歳転職限界説』は広く知られています。
しかし、現代の企業の採用活動は厳しさを増しており、求人を出しても応募者が見つからない企業は少なくありません。
高い専門性を持つ人材・会社の事情を熟知している社員が退職を迎えるにあたり、法務も含め後継者が見つからず悩む企業は意外と多いのです。
そのような中、応募者の年齢に構っていられない事情を抱えた企業が、40代以上の年代も含めて応募者を募っているのが、比較的最近の転職市場の動きとなります。 バックオフィス部門において特に専門性が高い法務に関しても、同様の傾向が見られます。
そもそも、法務という職種は新卒で配属されるケースが非常に稀で、基本的に経験者・あるいは別部署からの異動により配属されるケースが多いという特徴があります。
法務経験者の中には、大学で法学部をそれなりに良い成績で卒業したにもかかわらず、法務部に配属されず悔しい思いをした方も多いのではないでしょうか。
このような人事が多くの企業で行われるのは、法務という職種の特殊なミッションが関係しています。 すなわち「自社にとって最大限有利な形で法令を解釈し運用する」というものです。
学生時代に学ぶ法律の知識量・運用経験は限られていますから、新卒者が実務で鍛え上げられた顧問弁護士以上のパフォーマンスを発揮するのは、実際のところかなり難しい部分があります。
一方で、顧問弁護士も顧問先すべての内情に精通しているわけではないため、運用面においては知識・経験が不十分な場合もあります。
諸々の法律につき、企業にとって最大限有利な解釈を行うためには、現場感覚が求められます。 その感覚は業種によりけりですが、同じ業種であれば共通の解釈もあるため、経験者にアドバンテージがあります。
こうした事情から、自社で働くのに必要十分なノウハウを持っている・あるいは学ぶ素養がある人材を採用しようと試みる企業が多いため、法務は経験者が優遇される傾向にあります。
よって、40代でも過去の実績や経験が魅力的と判断されれば、法務として採用される可能性は十分あると言えるのです。
40代の法務の転職で求められることとは
法務の人材を採用する際、その採用基準は企業によりますが、年代別に一定の傾向は見られます。 続いては、20代・30代で転職を検討する場合と、40代で転職する場合の違いについて、必要なスキルも含めお伝えします。
20代・30代の採用傾向
一般的に、20代は未経験および経験が浅い方でも転職しやすいと言われますが、法務に関してはスタッフ・アシスタント職として採用されれば万々歳で、ベンチャー以外は総じて門戸は狭い傾向にあります。
30代で一定の業務経験があれば、マネジメント未経験でも売り手市場と考えてよいでしょう。 今後マネジメントに携わることも想定しつつ、法務としてキャリアアップを検討するなら、やはり30代が大きなチャンスと言えそうです。
40代に求められること
法務として40代で転職する場合、実務面で即戦力になれる経験は最低限求められるものと考えてよいでしょう。具体的には、得意な法令知識・プロジェクト等の経験が活かしやすい、同業種間での転職にチャンスがあります。
異業種で考えるなら、現職におけるフェーズが近いベンチャー企業・大手企業を狙った方が、仕事の流れ・法務部門の体制整備の度合いなどが近しいため、即戦力として採用されやすくなるはずです。
法務部門が独立している大手企業を検討するなら、大きなプロジェクトに携わった経験・専門性の高い業務の経験があるかどうか、過去の仕事の棚卸をしておきましょう。具体的には、戦略法務・海外法務に携わった経験があれば、その中からピックアップしてアピールするのが有効です。
ちなみに、中小企業でも法務担当者がいることは珍しくありませんが、その場合、管理部の中の一つ(例えば総務部など)のメンバーとして数えられるケースが見られます。 よって、中小企業を狙う場合は、他部門の仕事にも知見もしくは実務経験があると有利です。
マネジメント経験について
40代という年齢で考慮したいのが、マネジメント経験の有無です。 マネジメント経験が必要かどうかは、転職先の法務部門の人員構成によって変わってきますが、あった方が有利なのは間違いありません。
具体的には、マネージャー・課長クラスのポジションを募集している企業が多く見られ、部下の人事考査に加えて、自ら実務に携わるプレイングマネージャーが歓迎される傾向にあります。
応募する会社の規模が小さく、管理部門も比較的コンパクトな場合、法務以外の業務にも精通している・マネージャー経験があると、その分評価は高くなるでしょう。
ここに注意!40代法務転職の落とし穴とは?
40代であっても、法務として転職できる可能性が十分あることが分かったところで、続いては転職に際しての「落とし穴」についてお伝えします。
20代・30代では考える必要がなかったことも、40代になると希望条件に含めて考える場面が増えてくるため、以下の点には十分注意が必要です。
「入社後即マネジメント職」を必須希望条件にすると活動が長期化する可能性がある
年齢に伴う経験を考慮して、40代にマネジメント経験を求める企業は一定数存在していることから、マネジメントを経験している求職者の中には「入社後即マネジメント職」に就くことを求める人がいます。
しかし、入社して間もない人間にマネジメントを任せるとなると、企業は相応のリスクを背負う形になります。
そのため、まずはマネジメント職候補として採用し、その後の活躍を確認した上で昇格させる形で考えている企業が多く見られます。
もう1点注意しておきたいのは、そもそもマネジメント職はスタッフ職等に比べて数が限られることです。
転職活動において理想を追求することは大切ですが、高倍率を勝ち抜くことばかりにこだわっていると、次第に追い詰められ転職先選びを誤ってしまう可能性があります。
そのため、十分なキャリアがあると自己評価できていても、入社時点でマネジメント職に就くことにこだわらず、様々な観点から転職先を検討することをおすすめします。
意外と多い?「カルチャーミスマッチ」にならないために
40代を迎えるまでに培った経験は、転職活動においてプラスにもなればマイナスにもなります。 せっかく採用が決まっても、入社後に社風が合わなかったなどの理由から、転職に失敗してしまうケースは珍しくありません。
転職を予定している企業のフェーズ・人員構成が、現職と大きく異なっていると、今まで自分が蓄積してきた働き方・考え方との間にギャップが生じる恐れがあります。
転職先が現職と似たような社風である・あるいは自分自身がカルチャーギャップを楽しめる性格だと自覚している、などの理由があれば気にする必要はありませんが、そうでければミスマッチのリスクは大いにあります。
対策としては、面接時・入社前の社員面談などで、社風について気になる点を一通り確認しておくことが大切です。
例えば、キャリアアップのため資格取得の勉強時間を確保したいのであれば、社内レクリエーション・飲み会などが頻繁にあるかどうかを確認するなど、間接的に話を聞いてみましょう。
質問する際のポイントとしては、自分がどうしてそれを聞くのか、採用担当者目線で理由を明確にすることです。 「キャリアアップ=御社に貢献するため」というスタンスで質問すれば、前向きな返答が期待できるはずです。
まとめ
法務として40代で転職するためには、具体的な実績・キャリアが求められます。 しかし、年齢だけで転職のチャンスが失われるような状況は、良い意味で考慮する必要がなくなりつつあります。マネジメント経験があれば、より採用される確率は高くなるでしょう。
しかし、入社後にすぐマネジメント職に就任することをイメージしていると、出鼻をくじかれるかもしれません。
カルチャーギャップも、転職後の充実度を分ける大きな要素の一つとなりますから、応募・内定前の段階で入念に企業情報を確認する必要があります。
転職市場において、40代・法務の経験は大きな武器になります。 今までに獲得してきた知識・経験を総動員して、新しいフィールドを目指して欲しいと思います。 この記事が、そのための灯台となれば幸いです。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、ウェディングプランナー、業界大手で求人広告の企画提案営業を経て、MS-Japanへ入社。
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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