公認会計士の年収が低いと感じる理由は?年収アップの方法と合わせて解説!
公認会計士試験は、医師国家試験・司法試験と並ぶ三大難関国家試験の一つです。
試験合格者の中には、合格・就職と同時に高年収が実現できると考えている人も多く、実際に公認会計士は年代を問わず日本の平均年収よりも高い給与を得ている傾向にあります。
その一方で、資格の難易度に比べて、得られる年収が少ないと感じている人もいるようです。
この記事では、自分の年収が低いと感じている公認会計士向けに、年収の相場・年収アップの方法などについて解説します。
公認会計士の年収は低い?
厚生労働省が実施している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の月額平均賃金は311,800円となっており、ボーナスを除いた1年間の賃金を計算すると3,741,600円と計算できます。
また、ボーナスの平均額は約792,000円のため、これを賃金に足すと4,533,600円となり、本記事ではこの数値を一般労働者の年収の大まかな目安として考えます。
これに対して、弊社MS-Japanの転職エージェントサービス「MS Agent」を利用して、2022年4月~2023年3月までに転職を成功させた公認会計士の平均年収は、以下の通りとなっています。
年代 | 年収 |
---|---|
20代 | 7,134,940円 |
30代 | 8,161,324円 |
40代 | 9,270,082円 |
50代 | 8,431,867円 |
60代以上 | 7,100,400円 |
全体 | 8,019,723円 |
40代では一般労働者の年収目安の倍額以上となっており、数値を見る限り、決して公認会計士の年収は低いわけではないことが分かります。
公認会計士の年収が低いと感じる理由
公認会計士の年収は、一般的な年収額に比べて高い傾向にあるにもかかわらず、年収が低いと感じてしまう人は一定数存在しています。
以下、公認会計士が「自分の年収は低いのではないか」と感じる理由について、主なものをご紹介します。
資格の取得難易度が高い分、年収を期待しすぎてしまった
先述した通り、公認会計士は日本国内でも最難関に区分される資格試験です。
合格までに必要な勉強時間は2,500~3,500時間が目安といわれており、人によっては数年単位の時間を勉強に費やさなければなりません。
そこまでの努力を積み重ねて合格を勝ち取ったにもかかわらず、それほど年収が上がらないと感じている人は、意外と多いかもしれません。
実際、公認会計士が年収1,000万円以上を実現するためには、監査法人で勤務する場合はマネージャークラス(経験目安10年程度)になる必要があり、誰もが資格取得だけで年収増を実現できるとは限りません。
取得難易度が高い分だけ年収を期待していたものの、納得のいく高年収を実現するには試験合格後の努力や才覚も求められるため、現実との差に戸惑いを感じてしまう人も少なくありません。
自分の年収が低いと感じている公認会計士の多くは、働く中で年収への期待が裏切られた結果、「努力の割に年収が低い」というイメージを持ってしまうものと推察されます。
勤務先によって年収が違うため、ギャップを感じてしまった
公認会計士は、まず監査法人で経験を積む方が多いですが、その後はキャリアを活かして様々な場所で働くことができます。
具体的には、税理士法人や会計事務所、コンサルティングファーム、一般企業などが転職先となります。
大手監査法人で勤務するのであれば、5~10年程度で年収800万円以上を順当に狙えるでしょう。
しかし、一般事業会社で勤務した場合、役職に就かなければ年収が上がらなかったり、場合によっては非常勤として働いたりするケースも考えられます。
【大手監査法人の年収=公認会計士の年収】という思い込みが生まれてしまうと、自分の実際の年収との間にギャップが生まれてしまい、実際には高年収なのに「自分は大手監査法人で働く会計士に比べて年収が低い」と感じてしまうおそれがあります。
このようなケースでは、本当に自分の年収は周囲と比較して低いのか、いったん現状を客観的な視点で再確認する必要があるでしょう。
公認会計士が年収を上げる方法3選
公認会計士は、努力や環境次第で年収を上げやすい職種の一つであるため、年収アップのため正しい行動を起こすことが大切です。
以下、公認会計士が年収を上げる方法について解説します。
スキルを磨いて昇給する
公認会計士に限った話ではありませんが、現在働いている職場で昇給を実現するためには、スキルを磨いて能力・実績をアピールするのが有効です。
例えば監査法人なら、当然ながら公認会計士資格保有者が数多く働いているので、そこで差別化を図るためには別の資格・スキルをアピールできるようにするのが得策でしょう。
具体的には、上の役職を狙うためにはマネジメントの能力が求められますので、そのスキルや知見を勉強し実践したり、実務レベルで使用できる英語スキルを磨いたりすると、業務の幅を広げることにつながります。
もちろん、日々の業務に対して積極的にチャレンジし、職場で信頼されるよう努力することも、昇給を実現する上で不可欠です。
転職する
大手監査法人のように、たくさんの人が働いている環境では、出世したいと思っても椅子の数が限られています。
スキルを磨き、自分なりに精一杯努力したとしても、チャンスに恵まれない可能性は十分考えられます。
そのような場合は、現在の職場を離れ、転職という選択肢を選ぶのもよいでしょう。
転職市場では、魅力的なスキル・経験を持つ人材は高く評価されるため、優秀な人材が年収を上げるチャンスは数多くころがっています。
自分の得意分野・専門分野が固まっている場合は、当然ながらその分野で働いた方が有利です。
現在働いている職場に対して魅力を感じなくなったのであれば、まずは色々な求人に目を通すところから始めてみてもよいでしょう。
年収1,000万円以上の会計士求人を探す
独立開業する
現職でも一定の収入が得られていて、その上で組織から得られる収入に限界を感じ始めたら、独立するという手もあります。
公認会計士は税理士登録も可能であることから、例えば会計事務所を開業して幅広い層のクライアントを確保することも可能です。
会計事務所は監査法人よりも給与水準が低いため、税務経験を積むために会計事務所に転職する際には年収が落ちることが多いですが、将来的に独立開業した場合、収入は自分の努力次第で青天井となりますから、働いた分だけ収入を増やせるチャンスが生まれます。
自分の努力に対して納得のいく収入を得たいと考えている人は、独立した先輩などから話を聞き、自分の可能性を試してみるのもよいでしょう。
公認会計士が年収をアップさせやすい転職先は?
転職する場合、公認会計士として培ってきた経験を活かした上で、年収アップにつながる職場を探すことが大切です。
以下、具体的な転職先をいくつかご紹介します。
大手監査法人
中小監査法人等での勤務を経験し、最先端の監査を学んでキャリアアップしたいと考えている人は、パートナー職や将来の独立を想定して大手監査法人を狙う方法があります。
個人ではなくチーム制で監査・アドバイザリーのサービスを提供する経験が積めるため、大手監査法人から他の職場へ転職した場合にも、チーム単位で働いた経験が活かせるでしょう。
コンサルティングファーム
自分の専門分野がある程度固まっているようなら、特定の領域に特化してサービスを提供しているコンサルティングファームへの転職を考えても良いでしょう。
監査法人での実務経験を積んだ人材は、FASでのニーズが特に高い傾向にあるため、M&Aや事業再生などの分野で専門性を高められるでしょう。
外資系企業
海外の案件を担当した経験が豊富だったり、英語力を活かしたキャリアアップを検討していたりする人は、外資系企業で勤務する選択肢もあります。
国際会計基準(IFRS)・米国会計基準(US-GAAP)での決算対応ができる人材や、SAP・Oracleなどのソフトの仕組みについて理解がある人材は、早期に活躍できるチャンスが巡ってくる可能性があります。
転職で年収アップを叶えた事例
転職の目的を持って、正しい方向を向いて転職活動を進めれば、転職による年収アップは十分可能です。
以下、MS-Japanのサービスを利用して、転職で年収アップを叶えた事例をご紹介します。
将来的な独立を見据え、監査法人から会計コンサルファームへの転職を実現
Aさん(20代男性)
転職前:年収650万円
転職後:年収750万円
大手監査法人で勤務されていたAさんは、ご自身のキャリアの目標である「独立」を叶えるため、横断的に業務経験を積める会計コンサルファームへの転職を決意されました。
Aさんは主査経験がないことをネックだとお考えでしたが、その点はさほどマイナスにならないこと、今のタイミングであれば転職を決意した方がよいことを弊社から理由を添えてお伝えした結果、コンサル未経験でありながら大幅な年収アップを実現されています。
公認会計士としての専門性を活かすために再び監査法人に転職
Tさん(30代男性)
転職前:年収700万円
転職後:年収850万円
大手監査法人から東証プライム上場企業に転職されたTさんは、社内で仕事ぶりを評価されていたものの、公認会計士としての専門性を活かしたいとの思いから転職を決意されました。
Tさんのスペシャリスト志向の強さを鑑み、弊社から監査法人のアドバイザリー部門をご提案したところ、業務範囲の広さ・昇格可能なポジションに興味をお持ちいただき、見事大手監査法人への転職・年収アップに成功されています。
年収アップ・キャリアアップを同時に実現
Iさん(30代女性)
転職前:年収450万円
転職後:年収600万円
一般事業会社から中堅監査法人に転職されたIさんは、学生時代の友人と再会した際に、Big4監査法人とは年収に大きな差があることを知り転職を決意されました。
当初は出遅れを取り戻したいとお考えでしたが、キャリアアップを考えるのであれば経験の幅を広げられるアドバイザリー業務に従事した方がよいと思い直し、最終的にはBig4監査法人系列のFASに転職され、年収アップ・キャリアアップを同時に実現されています。
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サイト上で公開されている求人はごく一部です。そのほかの求人情報は会員登録することでご確認いただけます。
まとめ
公認会計士は、一般労働者に比べると高年収の職種ですが、その資格取得難易度の高さに対して年収が十分でないと考えている人もいるようです。
勤務先によって年収が違うことも珍しくありませんから、周囲と自分の年収を比較して「やってられない」と感じるケースは往々にして存在します。
年収アップを実現するためには、自分の能力を強化して昇給を目指すほか、転職や独立という選択肢もあります。
転職する際は、自分がこれまで培ってきた経験を活かせる、または正当に評価してくれる職場を選ぶことが、年収アップにつながるでしょう。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、幸せに働く人を増やしたいという想いから新卒でMS-Japanに入社。
上場企業を中心とした求人開拓から管理部門全般のマッチングを行い、2021年1月より専門性の高いJ事業部に異動。
主に会計事務所、監査法人、社労士事務所の担当を持ちながら士業領域での転職を検討している方のカウンセリングから案件紹介を両面で行う。
会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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