2024年08月16日

財務の転職は難しい?未経験から転職する方法やキャリアパスなど

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「財務職の転職は難しい」「経理経験者が財務として転職するのは難易度が高い」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
たしかに財務の中途採用は求人数も少なく、非常に転職のハードルが高いです。しかし、転職のポイントさえ押さえれば、実は未経験から財務への転職も不可能ではありません。

この記事では、財務の中途採用の実態や、財務として転職を成功させるポイントなどを紹介します。財務として転職を考えている方や、財務としてのキャリアプランに悩んでいる方などは、ぜひ参考にしてください。

そもそも財務とは

財務とは、経理が作成した帳簿や財務諸表などの情報を活用し、財務戦略の立案や予算・資金の管理、余剰資金の運用などを担う業務です。
銀行融資や株式発行などを通じて資金を調達する役割も財務が担います。

企業のお金に関する管理は経理部門でも行われますが、経理と財務の役割には明確な違いがあります。
経理は、企業の日々のお金の流れを正確に記録し、帳簿を整理することで過去の財務状況を把握します。
一方、財務は将来の展望を見越して必要な資金を調達する役割を果たします。
つまり、経理過去の会計情報を通じて企業の経済状況を把握するのに対し、財務未来の財務計画を立案し、必要な資金を適切に確保することに焦点が当てられます。

財務戦略では、企業の目標やビジョンに基づいて長期的な財務目標を設定し、それに向けた戦略を策定します。
また、資金の効率的な利用や投資先の選定、資金リスクの管理も財務の役割です。
資金不足が起こらないように予算を適切に管理し、実績との比較やリスクを評価することで、経営判断に役立てます。

さらに、銀行や投資家といったステークホルダーに対する信用も財務の仕事が大きく影響します。
財務は、常に市場の変動を見極めつつ、リスクを最小限に抑えながら、企業の持続的な成長や利益の最大化をサポートする部門なのです。

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「財務の転職は難しい」といわれる理由

「財務の転職が難しい」といわれている理由は「求人数が少ない」「経験者が優遇される傾向にある」「選考通過のハードルが高い」の3つです。

求人数が少ない

財務部を設けている企業は主に上場企業大企業など一部の企業です。また財務部があったとしても、少数精鋭で運営しているところも少なくありません。
このような背景から、そもそも財務の求人は少ない傾向にあります。すると当然、求人倍率も高くなるので、転職が難しくなるというわけです。

経験者が優遇される傾向

先述したように、少人数で仕事をこなしている財務部が多く、新人教育にかける工数が確保できないケースがほとんどです。そのため、財務に限った話ではないですが、企業は即戦力人材を求めて採用活動を行う傾向があります。

実際に応募資格として5~10年の財務経験を必須とするような企業も多く、魅力的な求人でも応募資格を満たしていないということがあるようです。
財務は特別な資格がないと業務に就けない職種ではないのですが、その分、経験は重視されます。

選考通過のハードルが高い

企業活動に大きな影響のある財務ポジションは、必然的に企業側の判断も慎重になりがちです。
ただ財務経験が豊富なだけで採用されるというわけではなく、業界・企業の理解経営層や社員との相性なども重要視されます。

また、組織のパフォーマンスを最大限発揮するために、マネジメント能力も求められるケースが多いでしょう。
採用要件が非常に高いことも、「財務の転職が難しい」といわれている理由です。

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未経験から財務に転職するには

財務は経験者を優遇する傾向が強いと説明しましたが、未経験から転職することは不可能なのでしょうか?結論から述べると、ハードルは高いものの決して不可能ではありません。
下記の3つのポイントを押さえれば、未経験からでも財務へ転職できる可能性が高まります。

財務と関連性の強い職種での経験をアピール

財務未経験であっても、財務と関連性の高い職種経験があれば転職で有利に働くケースはあります。例えば銀行員税理士公認会計士中小企業診断士としての職務経験などは非常に有効です。
たとえ未経験者であっても、上記のような職種経験があれば財務としての転職の道が拓けるでしょう。

財務に関連する資格を取得する

上記の財務と関連性の近い職種の中には、資格がなければ就けないものもあります。逆説的に考えれば、資格さえ有していれば「財務業務を行うのに十分な知識がある」と示すことが可能です。

未経験から財務として転職を目指す場合は、以下のような資格を取得することで、自身をアピールできるでしょう。

・中小企業診断士
・公認会計士
・税理士
・日商簿記
・ファイナンシャルプランナー(FP)
・ビジネス会計検定

財務の転職が有利になる代表的な資格については、下記で詳しく解説します。
また、級が分かれている検定ではできるだけ難易度の高い資格を取得しましょう。初歩的なクラスでは、資格を取得してもあまり評価されないことも珍しくありません。

経理兼任の財務ポジションを探す

企業によっては経理部と財務部が分かれておらず、経理部が財務部の業務も担っていることもあります。
そういった企業の求人であれば、たとえ財務部経験がなくても、経理部があれば選考が有利に進むケースもあるでしょう。

「経理求人」と掲げていながら財務の業務内容が含まれていることもあるので、こうした求人を見つけることも未経験からの転職を成功させるポイントです。

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財務の転職で有利になる資格

資格を応募要件にしている財務の求人はほとんど見られません。しかし、未経験の場合は、資格をもっていることで財務に関する知識や転職への熱意をアピールできます。
以下に、財務の転職で役立つ主な資格を紹介します。

FASS検定

FASS検定は、資産・決算・税務・資金の分野において、経理や財務に共通する知識が問われる検定です。
会計知識全般の簿記に比べて、FASS検定は分野ごとに実務に近い知識応用力が問われます。
総合点と達成度で高スコアを取得することにより、実務経験がなくても財務に通じた知識やスキルの裏付けとなるでしょう。

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーは、年金や資産の形成・運用など、個人のライフプラン設計を行うための知識が問われる資格です。
ファイナンシャルプランニングの考え方は財務にも通じるものがあり、将来の資金計画や投資戦略を立てる際に役立ちます。
知識を活用できる分野は、保険金融不動産など幅広く、財務の転職活動でも業界の選択肢が広がります。

税理士

税理士は、税務に関するスペシャリストとして、独立開業も可能な国家資格です。
税理士の試験科目には、簿記論財務諸表論法人税論所得税論など、財務に関連する知識が含まれています。
税理士の独占業務は、「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つですが、そのスキルの高さから財務部門に通じる仕事を行うことも十分可能です。

税理士資格は社会的な信用度も高く、未経験から財務に転職するための資格として高い評価を得られるでしょう。

公認会計士

公認会計士は、財務諸表の監査を行うプロフェッショナルとしての国家資格です。
この資格をもつことで、財務分析や戦略的な意思決定において信頼性の高い情報提供能力があることの証明となります。企業の内部監査やコンサルティング会社だけでなく、財務部門においても当然有利です。

ただし、公認会計士は医師や弁護士と並ぶ三大国家資格の1つであり、試験合格率10%前後という超難関資格です。
未経験で財務に転職するためだけに取得するのは、労力が見合わない可能性が高いでしょう。

以上の資格は、財務の転職において有利になる可能性があります。
資格取得には試験勉強にかかる時間と努力が必要になるため、モチベーションが維持しやすいように自身のキャリアプランや志向に合った資格を選ぶことがポイントです。

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財務の転職で求められるスキル

財務の転職では、「分析力」や「コミュニケーション力」、「専門知識の豊富さ」などが重視されます。
どれも財務として成果を出すためには欠かせないスキルです。

分析力

財務のメイン業務として、「自社の課題を見つけ、改善案を提案する」というものがあります。課題を見つける際も、改善案を考える際も、数字を読み取り、因果関係や競合との差などを分析しなければなりません。
財務にはデータを客観的に分析し、改善へと導く能力が求められます。

コミュニケーション力

財務は社内の人だけでなく、銀行員など金融機関の人や、顧問弁護士、税理士、会計士など、社外のさまざまな人と関わる機会の多いポジションです。
場合によっては、お金に関する少し言いにくい依頼をしなければならないこともあるでしょう。関係各所と連携して、スムーズに財務業務をこなすためには、常日頃からステークホルダーと良好な関係を築いておかなければなりません。

財務には他社と議論、折衝、交渉するための高いコミュニケーション力が必要です。

会計・経理・法律関連の知識

財務に関する分析や戦略立案のためには、会計や経理、関連する法律に関する知識が必要不可欠です。
たとえば経理の経験があれば、帳簿やお金の処理に関する知識は身についていることでしょう。しかし、財務を担当することになれば、「どうやってお金を集めて」「どうやってお金を使うのか」まで考えなければなりません。

このような場合には、金融に関するさらに深い知識が必要になります。また、健全な投資や税務のためには、法律に関する知識も欠かすことはできません。
ときには経営者の視点での意見を求められることもあります。財務として成果を上げるためには、さまざまな専門知識が必要なのです。

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財務に転職した後のキャリアパス

財務として転職した後は「経営企画にも携わる」「管理職に就く」「CFOを目指す」などのキャリアがあります。
それぞれの詳細について説明します。

経営企画

予算策定や財務分析の能力を活かしたい場合は、経営企画に携わるというキャリアがあります。
経営企画では事業計画の立案や実行、軌道修正などを行いますが、その際には財務で磨いた分析力や課題把握能力、提案力などが大いに活かせるでしょう。
経営企画に携わることで、ビジネスの全体像をより理解しやすくもなります。

管理職

財務を中心に経理や労務、人事などの知見を深められれば、管理職としてバックオフィス全体を統括する道も見えてくるでしょう。
組織運営人材育成に興味がある方は、管理職を目指すというのもキャリアの選択肢の1つです。

CFO

CFOとは財務最高責任者のことです。CFOは経営陣の1人として、予算管理や戦略立案、キャッシュフローの最適化など、財務に関するさまざまな業務を行います。
財務に関する高い専門性だけでなく、コミュニケーション力やリーダーシップ、マネジメント能力など、多くのスキルが必要です。
ハードルは高いですが、挑戦しがいのあるキャリアと言えるでしょう。

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財務に転職する際のポイント

財務に転職する際に注意したいポイントは「自分のスキルを棚卸しする」「応募先の企業が求めるスキルを把握する」「転職後のキャリアを明確にする」の3つです。

自身のスキルの棚卸しをする

財務職に限らず、転職において自分のスキルや知識得意分野苦手分野などを整理しておくことは非常に大切です。
また、自分のできることをアピールすることも重要ですが、できないことや苦手分野を正直に話すこともプラスに働くことがあります。
入社後にどうやって苦手分野を伸ばしていくのか、できないことを克服するためにどのような努力をするのかを明確にすることで、意欲を感じ取ってもらえることがあるからです。
転職の際には、まず自分を知ることから始めるとよいでしょう。

応募先の企業が求めるスキルを把握する

自分のスキルを棚卸しできたら、次は相手が求めていることを把握します。優れたスキルや経験をもっていても、企業が求めているものにマッチしなければ成功は難しいでしょう。
求人票には応募資格の他にも、主な業務会社の特徴活躍しやすい人物像などが書かれています。求人内容をしっかりと確認し、自分が活躍しやすい職場なのかを検討しましょう。

転職後のキャリアを明確にする

転職はゴールではなく、新たな仕事のスタートです。そのため、転職後にどのようなキャリアを歩みたいのかを明確にしておく必要があります。
面接のよくある質問として「入社後、どのようなキャリアを思い描いていますか?」というものがあります。
この質問にうまく答えられなければ面接官の印象も悪くなる可能性があるうえに、たとえ採用に至ったとしても入社後に苦労してしまうかもしれません。

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財務の求人例

ここでは、管理部門・士業に特化した転職エージェント「MS Agent」でご紹介可能な財務求人をご紹介します。

大手製品を扱う電子部品商社首位の上場企業より【財務スタッフ※未経験歓迎※】の求人

仕事内容
・資金繰り/為替管理/資金調達・運用/金融機関対応等、財務の基本業務
・グループ全体の最適化を目指した財務戦略の立案に必要な調査・資料作成
・定例的なマネジメントに対して報告、およびその会議運営
※グループ財務戦略の立案やM&Aの財務デューデリジェンス/ファイナンスなど、より専門性の高い近い業務にも挑戦いただくこともあります。
必要な経験・能力
以下いずれかのご経験をお持ちの方
・事業会社での財務、経理業務経験のある方
・金融機関(銀行・証券会社)での業務経験(営業もしくは窓口業務・バックオフィス3年以上)のある方
想定年収
400万円 ~ 500万円

業績好調!老舗物流関連企業より経理チームリーダー(課長クラス)の募集

仕事内容
・経理処理業務の全体コーディネート
・財務会計、税務業務(単体・グループ会社の月次・年次決算の取りまとめ等)
 ※日常の仕訳処理業務は グループ会社にアウトソースしております。
・資金調達、資金管理、資金運用、資金最適化等
・管理会計業務(予算策定、予算管理 等)
・業務プロセスの改善施策の立案・実行、経営層へのレポーティング
・全社および各グループ会社に対する財務面からの助言および戦略遂行支援
メンバーマネジメント(アシスタント、アウトソース先含む)
必要な経験・能力
以下いずれかのご経験をお持ちの方 ※業界不問
・事業会社における企業全体の決算業務のご経験(3年以上)
・監査法人事務所 or 会計事務所 or 税理士事務所における業務経験(3年以上)
・メンバーマネジメント経験
想定年収
600万円 ~ 800万円

社会人向けのスクールを運営する企業で財務部長(将来のCFO候補)を募集

仕事内容
・財務業務全般
・財務部の組織・仕組み構築
・銀行折衝
・資金繰り
・内部統制
・将来のIPOに向けた準備業務
必要な経験・能力
・財務のご経験を5年以上お持ちの方
想定年収
800万円 ~ 1,000万円

まとめ

「求人数が少ない」「経験者が優遇されやすい」などの理由で、財務として転職するのが難しいことは事実です。しかし、転職が不可能かと問われれば、決してそうではありません。
自身のスキルや強みを把握していれば、未経験からでも財務に転職できるチャンスはあるのです。

財務の経験やスキルに自信がない方は、資格を取るのも手段の1つです。また、財務には「分析力」や「コミュニケーション力」「専門知識」などが求められるので、転職活動の際にはこれらの能力をアピールしましょう。

転職候補先が求めている能力を理解し、今後の財務としてのキャリアプランまで考慮して転職活動を行うことが、転職成功の秘訣です。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

椿 大樹

大学卒業後、外資系小売り業に就職、セールスマネジメントや採用、教育研修を経験。
人がいかに業績を左右するかについて認識し、現職のMS-Japanに転職する事を決断。
入社以来、東海エリアのキャリアアドバイザーとして、キャリアチェンジやスキルアップを目的とした若年層の支援を中心に担当しております。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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