2023年10月02日

内部監査の仕事内容とは?向いている人や必要な資格など、転職前に知りたい情報まとめ

管理部門・士業の転職 管理部門・士業の転職

内部監査について、社内でその存在は知っていても、 具体的な仕事内容については知らないというケースが少なくありません。
また、どのようなキャリアを積むことで転職・異動できるのかについても、あまり知られていないでしょう。

内部監査は、企業の問題点や経営リスクを早期に見つけ出し、 解決策を講じて信頼を保つ重要な役割を担う職種です。
この記事では、内部監査担当者への転職を検討している方向けに、転職前に知っておきたい情報をまとめました。

内部監査とは

内部監査とは、企業内の内部監査人が行う組織活動に対する調査・評価活動を意味します。内部監査人は調査結果をもとに、対象の部署に対する助言や勧告、経営陣への報告などを行います。

内部監査の主な目的・役割は、組織内のガバナンスを強化し、不正行為の防止や業務効率の向上を促進することです。
2006年の会社法改正によって、大企業においては内部監査の実施が義務付けられています。

まずは転職エージェントに無料相談する

内部監査の仕事内容とは

内部監査の仕事内容を一言でまとめると、業務効率化・不正防止の観点から調査や評価を行うことです。 具体的には、以下の手順で内部監査が行われます。企業を問わず、基本的なフローは共通していると考えてよいでしょう。

監査計画

内部監査では、徹底的に社内を調査するため、監査計画を入念に策定する必要があります。 いつ、だれが、なぜ、どこを監査するのか、ひとつひとつ計画を策定していきます。

内部監査において重要なのは客観性であり、対象部署と関係が深い人物が監査を行うことはできません。 チェック項目には、現場で意識しないような細かい内容を含め、確認の漏れ・抜けを防止します。

予備調査

監査計画が固まったら、次は対象部門にこれから監査することを通知し、監査に必要な書類の準備・スケジュール調整などを行います。
これを予備調査といい、監査の目的を対象部門に伝えることで、担当者同士で認識をすり合わせます。
ただし、問題を意図的に隠そうとする悪意ある部署に対しては、抜き打ちで監査を行うこともあります。

監査

予備調査で作成した書類・得られたデータをもとに、本格的に調査を行うのが監査です。
予備調査の段階で問題点に気付いた部分も含め、監査のタイミングでチェックを入れていきます。

監査対象の部署を内部監査人が訪問し、事前に作成したマニュアル・チェックリスト等に従って、 各種文書がきちんと整理されているか・従業員は現場でどんな業務に従事しているかなどを確認します。
ヒアリング対象には、各部署の管理職・責任者だけでなく、 新入社員や現場で仕事をしている従業員なども含まれます。

監査結果の取りまとめ、報告

監査が終わったら、内容を取りまとめて評価します。
チェックした内容について、マニュアル通りの規定となっているか、 社内外のルールをきちんと守っているかどうかを確認します。

監査結果は、結果報告書として、経営者・監査対象の部門長に提出します。
結果報告書では、問題点と改善の必要性をまとめつつ、未改善の場合のリスクにも触れます。

改善案の策定

内部監査は、ただ問題点を収集し、報告するだけではありません。
監査対象の部門には改善計画書・回答書を渡して、具体的な改善へのアプローチを提案します。

部署内のリソースだけでは改善が難しい場合や、 監査対象の部署以外にも問題が波及している場合は、経営陣に対してその旨を伝えます。
経営陣に対して、改善が利益につながる行動であるとアピールするのが、 内部監査担当者の腕の見せ所です。

まずは転職エージェントに無料相談する

内部監査に必要な資格

内部監査の仕事を行うために必須の資格はありませんが、転職活動で能力を客観的にアピールしたりするために役立つものがいくつかあります。
以下で紹介するのは、日本内部監査協会(IIA-J)が提供する内部監査の代表的な資格です。

内部監査士(QIA)

QIAは、IIA-Jが主催する内部監査士認定講習会を修了した人が取得できる資格です。この講習会では、内部監査に関する理論や実務の知識を学習できます。合格認定は講習への出席率と論文審査によって判断されるので、合格率は非公開ながら比較的取得しやすい資格と捉えられます。
内部監査に関する基本知識を学ぶと共に、できるだけ手軽に資格を得たい人におすすめです。

公認内部監査人(CIA)

CIAは、アメリカ発祥の国際的な認定資格です。この試験は約190の国と地域で実施されており、日本でも1999年から日本語受験が可能となりました。
CIAの合格率も非公開ですが、その難易度は比較的高く、最終合格率は一般に10%〜15%程度とされています。資格認定には実務経験の証明も必要です。そのため、内部監査の経験を積んだ上で、さらにスキルアップやキャリアアップに取り組みたい人向けの資格です。

公認リスク管理監査人(CRMA)

CRMAはリスクマネジメントに関する国際的な認定資格です。内部監査では業務プロセスのリスク評価を実施し、結果を経営陣に報告する必要があるため、リスクマネジメントの知識が欠かせません。
なお、CRMAは英語受験のみ可能なので、英語力が必要です(2023年8月時点)。そのため受験自体の難易度が高いですが、取得すればリスクマネジメントの知識と英語力の両方を証明できます。

まずは転職エージェントに無料相談する

内部監査に向いている人

内部監査では、内部統制の仕組みや統計に関する知識、監査技術などが必要です。しかし専門的な知識やスキルがあるだけでは内部監査人は勤まりません。以下で挙げる資質やスキルを兼ね備えている人は、内部監査の仕事に向いていると言えるでしょう。

コミュニケーション力、ヒアリング力

内部監査の目的は、社内もしくは部署の問題を洗い出し、改善案を提案することです。そのため各部署と適切にやり取りして現場の状況をヒアリングし、経営陣へ的確に伝えられるコミュニケーション力が欠かせません。
立場に関係なく、さまざまな従業員や役職者と話せるキャラクターを構築していれば、 見落としやすい問題も拾い集めやすくなります。問題点を上層部に伝える際にも、現場で働いている人の声を届けやすくなるはずです。
人とやり取りする機会が多い監査では、従業員の動きをよく見る観察力なども求められます。

情報収集力

監査を正確に行うためには、資料調査やヒアリング調査などを通して必要な情報を集める情報収集力が欠かせません。単に情報を集めるだけでなく、情報源の信頼性や妥当性を検証し、偏りや誤りがないか確認することも重要です。
情報収集の過程では各部署から、警戒されたり疎まれたりすることもありますが、その状況渦でも着実に情報収集できる根気強さなども求められます。

分析力

いくら情報を集めても、問題点や改善点を特定できなければ意味がありません。そこで重要になるのが分析力です。
内部監査の成果を業務や事業に還元するには、集めた資料や数字、従業員の様子などを鋭く観察し、合理的な解決策を提案できる能力が求められます。監査対象部署の業務や、経理の知識などに通じていると、より的確な分析ができるでしょう。

調整力

内部監査にあたって、立案した監査運営計画や年間監査計画に基づいて、スケジュールなどの各種調整を関係者間で行う必要があります。そのため、内部監査の担当者は、効率的な計画を立案できる能力や、それを円滑に実行するための調整能力を持っていることも重要です。

転職活動では、これらのスキルや裏付けとなる実績を、応募書類や面接で明確に伝えましょう。

まずは転職エージェントに無料相談する

内部監査の仕事に将来性はあるのか

内部監査の仕事に 将来性はあるのか

企業を取り巻く環境は年々厳しさを増し、 経営陣には社内外の変化に合わせた柔軟な対応が求められているため、 転職者も含め優秀な人材の確保が大きな課題になっています。
そのような状況の中、より重要な役割を担うのが内部監査の仕事です。
内部監査が行うコンプライアンスの推進や業務効率化は、すべての企業にとって重要な課題だと言えるでしょう。

また、2022年には、内部通報における通報者の保護を定めた改正公益通報者保護法が施行されています。このことは、従業員による不正の確率が一定数存在し、不正を解決するには「社内の従業員から情報を募る必要がある」という現実を示しています。
社内の不正や問題を分析して、改善策を提案する内部監査の仕事は、まさにこれから重要度を増していくと考えられます。

内部監査の重要性が高まりに伴い、転職市場における内部監査人のニーズも高まると予想できます。できるだけ早く優秀な人材を獲得して、ノウハウを蓄積したいと考えている企業も少なくないでしょう。

まずは転職エージェントに無料相談する

内部監査の仕事に就く方法

内部監査の仕事に就くための方法は主に2つあります。現在勤務している企業内での異動、もしくは新たな企業への転職です。
どちらのケースでも、内部監査になるためには一定のビジネス経験を積んでいることが求められます。

異動

現在勤務している企業に内部監査部門が存在する場合は、異動願を出すことが可能です。
一般的には、社内の業務プロセスや規定、慣行などに精通している人が内部監査部門に配属されることが多い傾向にあります。そのため、社内で一定のキャリアを積み重ねた人の方は、内部監査部門への異動願が通りやすくなるでしょう。
財務や法律などの知識や、CIAや公認会計士など内部監査の関連資格などを持っていれば、より希望が通りやすくなると期待できます。

転職

内部監査部門が自社に存在しない、または異動が難しい状況であれば、転職を考えることもひとつの方法です。転職によって内部監査部門を目指す場合は、CIAや公認会計士など、知識やスキルを客観的に証明できる資格の取得をおすすめします。
また、資格以外にも、経営や経理、労務などの知識と実績が豊富にあれば、転職市場で評価されるでしょう。

まずは転職エージェントに無料相談する

まとめ

内部監査は、数ある職種の中でも「将来的にニーズが高まる職種」であると予想されます。しかし、内部監査の仕事に就くためには、内部統制の知識だけでなく、コミュニケーション力や分析力など、様々なスキルが必要です。また、内部監査の対象部門の業務理解も求められます。
特に、実務未経験者が内部監査人として転職したい場合、 相応の実力をアピールするための資格取得がおすすめです。
真剣に転職を考えているなら、現職で過ごす時間を無駄にせず、身の回りの様々な問題について、あらゆる方向から改善を考える習慣を身につけましょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

小島 亜里紗

大学卒業後、ウェディングプランナー、業界大手で求人広告の企画提案営業を経て、MS-Japanへ入社。
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

あなたへのおすすめ求人

サイトメニュー

職種で求人を探す
資格で求人を探す
勤務地で求人を探す
資格の転職情報を調べる
転職セミナー・個別相談会
転職サービス紹介
転職ノウハウ
求人企業の皆様へ
MS-Japanについて

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

関連おすすめ記事

新着記事

Manegyニュースランキング

マネジーでポイントを貯めて、
豪華商品に交換しよう!

詳しくはこちら

powered by

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。