【内部統制・内部監査・内部統制監査】各言葉の意味や注目されている背景を解説!
内部統制や内部監査という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。
ビジネスに関わる人なら知っておきたい言葉です。今回は、内部統制・内部監査の違いや役割について解説します。
また、内部統制部門への転職を検討している方向けに、必要なスキルや経験なども紹介しています。
内部統制や内部監査について気になる方は、参考にしてみてください。
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内部統制、内部監査とは何か?
内部統制とは
内部統制とは、会社が健全に事業活動を遂行するためのルールや仕組みのことです。
たとえば、書類の不備を防ぐためのダブルチェックなどの仕組みが挙げられます。
内部統制の目的は、財務報告の信頼性を確保し、法令遵守を促進することです。
内部統制を理解するためには、4つの目的と6つの要素を理解しておくことが肝心です。
まずは目的をチェックしましょう。
- ①業務の有効性及び効率性:事業活動の目的の達成のため、業務の有効性及び効率性を高めること
- ②財務報告の信頼性:財務諸表及び財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある情報の信頼性を確保すること
- ③事業活動に関わる法令等の遵守:事業活動に関わる法令その他の規範の遵守を促進すること
- ④資産の保全:資産の取得、使用及び処分が正当な手続及び承認の下に行われるよう、資産の保全を図ること
内部統制の要素は以下の6つです。
- ・統制環境:組織の文化や構造、リーダーシップなど、統制を支える基本環境
- ・リスクの評価と対応:リスクを特定し、それに対応する方法
- ・統制活動:リスクを管理するための具体的なポリシーと手順
- ・情報と伝達:関連情報を適切に収集し、共有すること
- ・モニタリング:統制システムの効果を定期的に監視し、必要に応じて改善すること
- ・ITへの対応:情報技術を利用して統制活動を支援すること
内部統制は、とくに財務報告に関連して重要視され、経理や財務の専門知識や法律知識など幅広いものが求められます。
昨今、日本企業の不祥事が相次ぐなかで、内部統制は大きく注目されている要素です。
内部監査とは
内部監査とは、組織内部の人間が行う監査で、内部統制がしっかりと機能しているかをチェックすることです。
具体的には、組織のガバナンス構造とプロセスを評価し、組織の目標と戦略に沿って効果的に機能しているかを確認します。
簡単に表現すれば、「不祥事のリスクがないかどうか」を見るのが内部監査です。
組織が直面するさまざまなリスクを特定しつつ、必要に応じて改善策を提案するのも内部監査の重要な役割です。
組織内のさまざまなレベルで行われ、経営陣に対してフィードバックを提供し、組織の持続的な改善を目指します。
似ている言葉「内部統制監査」って何?
内部統制や内部監査と混同しやすいワードとして「内部統制監査」があります。
内部統制監査とは、企業が作成した内部統制報告書が適正な内容かどうかを、外部の監査法人が監査することです。
内部統制監査は、ミスや不正を防止する目的で行われ、内部統制評価に照らし合わせてチェックされます。
内部統制監査は、社内の人材ではなく外部の監査法人が担当し、会計監査と同じ担当者がその役割を果たします。
一方の内部監査は、内部統制が正常に機能しているかどうかを確認するプロセスであり、内部統制の一部として位置づけられます。
社内の人材によって行われ、法令や社内規定が遵守されているかを確認するのが主な仕事です。
「統制」の文字がないだけではありますが、両者はまったくの別物です。
内部統制の進め方
内部統制を進める際の最初のステップは、統制環境の構築です。
組織の経営方針や戦略などを基礎として、内部統制を支える環境を整えます。
とくに組織文化が内部統制の基礎となるでしょう。
次に、リスクの評価と対応です。
内部統制はトップダウン、つまり経営陣の意思決定によって進められます。
経営陣、もしくは経営者が事業活動に伴うリスクを適切に評価し、それに対応するための基準や仕組みを設けます。
もちろん経営陣だけでなく、従業員もリスクに対して適切に判断・評価できるようにするのが重要です。
具体的には、まず決算・財務報告が正確で信頼性が高いことを保証するための統制を評価します。
次に、各業務プロセスが企業の目標と戦略に沿って効率的に運営されているかどうかを評価するのが一般的な流れです。
内部統制の評価が終わると、経営者はその結果を報告書にまとめます。
この報告書は、監査人によってチェックされ、内部統制監査を経て提出されます。
内部統制報告書は、日本の内部統制報告制度(J-SOX)に基づいて、金融庁に提出する必要があるものです。
事業年度ごとに、有価証券報告書と一緒に提出されます。
もし監査人が報告書の内容に問題があると判断した場合、経営者は評価を一からやり直さなければなりません。
経営者と監査人が事前に協議を行い、報告書の内容についての誤解や不一致を防ぐ意識が重要になってきます。
リスクの評価・対応ができたら、実際に「統制活動の実施」をします。
権限や職責の明確化、職務の分担などを通じて、組織内で業務が効率的かつ適切に遂行されるようにします。
内部統制が注目されている背景
内部統制が注目される背景には、相次ぐ日本企業の不祥事が挙げられます。
不祥事と聞くと莫大な損害が発生した事件を思い浮かべる方がいるかもしれませんが、ごく普通の社員が起こした不正報告なども不祥事です。
また、SNSを通じた内部告発により、今まで不正が見過ごされていたことがわかり、多くの企業が内部統制の強化を重視するようになっています。
内部統制には、大きく予防的な統制と発見的な統制の2種類があります。
予防的な統制はリスクがそもそも起きないように手段を講じること、発見的な統制はリスクを伴う事象が発生したことに早期に気づくための仕組みを作ることです。
この2種類がうまく機能すると、不正が発生しやすい機会・リスクを減らして不祥事の芽を摘みながら、業務全体が可視化されて健全な事業活動へと導くことができます。
内部統制に必要なスキルとは?
内部統制は、会社に関わる社員全員が遵守することが求められます。
ただし、一般的に内部統制といえば「財務報告に係る内部統制」が着目されることが多いです。
そのため、主に経理の人が関係します。
財務報告に係る内部統制において、優秀な経理人材は多くの企業で求められています。
大企業であっても、財務報告書類すべてをチェックできる人材は少ない現状があります。
そのため、財務報告に係る内部統制をできる人材は貴重です。
財務報告に係る内部統制のできる人材になるには、経理・財務・会計の基礎知識はもちろん、会社法、SOX法などの法律知識や、IFRSなどの知識が必要です。
知識だけではなく実務経験も有しているとなお高い評価を得られます。
内部統制の重要性はますます高まっていますので、これらの知識やスキルをもっている人材は、今後も需要があると考えられるのです。
内部統制部門に転職するには
内部統制部門に転職することは、未経験者には難しいです。
財務アドバイザリーやコンサルティングファームなどでの内部統制アドバイザリー業務を経験しているなら、転職できる可能性があります。
また、可能であれば公認会計士資格や、国際的な資格であるCCSA(内部統制評価指導士)、CFE(不正検査士)などの資格をもっていると有利です。
なお、内部統制はすべての社員が関わっており広範なので、内部統制のすべてがわかるプロフェッショナルを目指すことは厳しいでしょう。
しかしながら、財務報告に係る内部統制のプロフェッショナルや、内部監査のプロフェッショナルなど、特定の領域でプロフェッショナルとして活躍する人はいます。
自分がどのプロフェッショナルを目指すのかを明確化しておくと、転職活動をスムーズに行いやすいです。
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仕事内容 |
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必要なスキル・経験 |
・製造業での内部監査部門業務経験もしくは内部統制部門業務経験 ・J-SOX評価に関する推進、リスクマネジメント推進のご経験が豊富な方 ・渉外力、プレゼンテーション能力 など |
想定年収 |
700万円 ~ 1100万円 |
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必要なスキル・経験 |
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想定年収 |
700万円 ~ 1000万円 |
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必要なスキル・経験 |
・経理経験者 ・業務上での英語使用経験 |
想定年収 |
550万円 ~ 800万円 |
まとめ
内部統制や内部監査、内部統制監査は混同しやすい部分もありますが、定義をきちんと整理すればそれほど難しいわけではありません。
転職の求人での内部統制は、財務報告に係る内部統制など、特定の領域を指しているケースが多く見られます。
転職を視野に入れているなら、ゼネラリストというよりも、特定の領域でのプロフェッショナルを目指すのがおすすめです。
上記のような分野での転職を検討している場合、実務経験や評価される資格をもっていると有利です。
自分の目指したい領域を明確化して、必要な業務経験や資格を洗い出し、地道に活動していくのがよいでしょう。
転職の進め方に疑問を抱いている場合は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。
MS-Japanでは、内部統制や内部監査に関わる求人を多数ご用意しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、外資系小売り業に就職、セールスマネジメントや採用、教育研修を経験。
人がいかに業績を左右するかについて認識し、現職のMS-Japanに転職する事を決断。
入社以来、東海エリアのキャリアアドバイザーとして、キャリアチェンジやスキルアップを目的とした若年層の支援を中心に担当しております。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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