2024年09月18日

IPO内部統制実務士の難易度は?実務ではどんなシーンで役に立つのか

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「IPO・内部統制実務士」という資格をご存じでしょうか
企業は不祥事や社員のミスにより、社会的な信用を落としてしまうリスクを常に抱えています。
社会的な信用を失うと企業活動や株価に悪影響が出るため、そのような事態は極力未然に防がなければなりません。
IPO・内部統制実務士は、そのための仕組みづくりにおいて大きな役割を果たします。

今回は、このIPO・内部統制実務士とは、どのような資格なのか、資格取得の難易度、資格を取ると実務でどのように役立つのか、またどんなキャリアを積めるのかについて解説します。

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そもそもIPO・内部統制とは?

IPO(Initial Public Offering)とは、「新規株式公開」のことで、未上場企業が証券取引所に新規上場し、非上場企業から上場企業(公開企業)となるために必要なプロセスです。
企業はIPOを通じて、不特定多数の投資家から直接的に資金を調達し、その資金を新規事業の展開、設備投資、借入金の返済をはじめとする事業展開に活用します。
上場することで、企業は知名度や信用力を向上させることができ、さらなる資本調達やビジネスチャンスの拡大も期待できるなど、IPOは企業に多くのメリットをもたらします。

公開企業となることで、成長性の高い会社の株式を機関投資家以外の一般投資家(個人)でも取得することができるため、株式を運用している人にはIPOは魅力的に映ります。
しかし、市場では魅力的な株式しか購入されないため、どの企業でもIPOができるわけではありません。
IPOを実施するためには、企業は上場基準を満たし、審査に通過する必要があります。

内部統制とは、企業が健全に事業活動を遂行するためのルールや仕組みを指します。
内部統制の目的は、財務報告の信頼性を確保し、法令遵守を促進し、業務の有効性及び効率性を高め、資産の保全を図ることです。
内部統制を理解するためには、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング、そしてITへの対応といった広範にわたる知識が必要です。
近年、日本企業の不祥事が相次ぐ中で、内部統制の重要性はますます高まっており、企業が持続可能な成長を遂げるためには不可欠な要素となっています。

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IPO・内部統制実務士とは?

IPO・内部統制実務士資格は、公益社団法人全日本能率連盟の「マネジメント関係資格認証審査会」が認証する資格であり、株式上場(IPO)に関わる業務ができる人材や、法令に則って企業内の不祥事等に対処する「内部統制」を行える人材の育成を目的としています。
この資格を取得していると、今後上場予定のある企業でIPO業務を担当する場合や、企業の内部監査部門や関連する管理部門で勤務する場合に、自らの専門知識と能力が経済産業省の基準を満たした実力であることの証明となります。

IPO・内部統制実務士資格は3つの段階的な構造となっています。
標準資格である「IPO・内部統制実務士」から始まり、その後「上級IPO実務士」「上級内部統制実務士」などの上級資格に挑戦できるため、専門性の深化とキャリアのステップアップが図れます。

資格認定試験の出題範囲は、IPOに関する基本的な知識、上場基準や審査プロセス、資金調達方法、企業評価、そして内部統制に関する基本的な概念、リスク管理、コンプライアンス、財務報告の信頼性確保、法令遵守の促進、資産の保全など多岐にわたります。
これらの範囲を網羅することで、受験者は実務に必要な広範な知識を身につけることができます。

資格認定は、資格登録後2年間有効であり、その期間中に資格更新講習会(年3回実施、Web配信あり)に参加し、所定の単位を取得することで更新が可能です。
このプロセスをクリアするために、定期的に知識のアップデートを行っているのも、IPO・内部統制実務士資格へと信頼が寄せられる理由のひとつといえるでしょう。

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IPO・内部統制実務士の2024年度・2025年度の試験概要について

IPO・内部統制実務士の2024年度・2025年度の試験概要について、以下にまとめます。

実施日時

IPO・内部統制実務士の試験は年2回行われます。
2024年度の試験は8月25日(日)に実施されました。
2025年度の試験については、3月2日(日)の13時30分~16時30分に実施されます。
入場は12時50分、受付は13時の予定となっており、受験説明は13時15分から開始されます。

試験会場

試験会場は東京と大阪の2ヶ所で実施されます。
東京会場は東京都豊島区南池袋の第3高村ビル5FのTKP池袋カンファレンスセンター、大阪会場は大阪市北区梅田の毎日新聞ビルB1階のうめだMホール桜です。

受験対象者

受験対象者は、上場予定企業のIPO担当者、企業の企画、経理、法務、監査、総務、内部監査の担当者や部門長、役職者、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンスの担当者、法務、会計、ITなどの国家資格者で上場や内部統制の職域を拡大したい方、上級IPO実務士や上級内部統制実務士を目指している方です。

受験料、登録料

受験料は税込みで11,000円です。資格登録料は不課税で6,000円となります。
受験申込期限は2025年2月3日(月)15時まで、受験料等の納入期限は2025年2月7日(金)15時までとなっています。

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IPO・内部統制実務士の難易度・合格率は?

難易度・合格率

IPO・内部統制実務士資格認定試験の合格率は70~80%程度となっています。
これは、そもそも約7割程度の正解想定をして問題が作成されているためであり、試験自体はそれほど難しくないと言えます。

試験範囲は多岐にわたりますが、公式テキストである教材と事前の資格養成講座の内容を理解しておけば十分に合格できる難易度です。
問題形式はIPOと内部統制の2つの分野から出題されます。
IPOの問題は選択式問題と資本政策に関する記述式問題、内部統制は記述式問題が中心です。
内部統制の問題として必ず出題されるリスクコントロールマトリックス(RCM)関係の問題は、必ず記述式となっています。
全体としてみると、約3分の2が選択式問題、約3分の1が記述式問題です。

尚、上級IPO・内部統制実務士資格認定試験の合格率は30%程度となるように設計されており、上級の難易度は高いです。
上級試験は原則として、IPO・内部統制実務士試験の合格者が受験対象者となるため、まずはIPO・内部統制実務士試験の合格を目指すことが定石になります。

学習時間

全日本能率連盟が実施している講座の合計時間が12~25時間であり、こちらを目安に設計されているため、おおむね12~25時間と考えていいでしょう。

独学の場合も必要な学習時間は同程度であり、公式テキストを使用して学習することが一般的です。
また、試験を主催している一般社団法人日本経営調査士協会資格試験認定委員会主催者が原則4日間の「資格者養成講座(合計約10時間)」や「試験対策講座(2〜2時間半)」を実施しているため、これらの独学の場合は講座を活用することも検討しましょう。

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IPO・内部統制実務士を取得するメリット

IPO・内部統制実務士を取得するメリット

IPO・内部統制実務士資格を取得するメリットは多岐にわたりますが、まず挙げられるのが、資格を取得することで実務知識を証明できる点です。
IPO・内部統制実務士資格は、経済産業省の基準を満たす資格であり、この分野での専門知識と実務能力を有していることの証明となるため、上場予定の企業や内部監査部門や関連する管理部門からは魅力的な人材であると映ります。
また、上級資格である「上級IPO実務士」や「上級内部統制実務士」を取得することで、さらに高い専門性と実力を証明できるので、より高度な職務への挑戦やキャリアアップへとつながっていきます。

また、資格取得後も継続的な情報収集人的交流ができるのもメリットです。
資格更新のための講習会は年に3回程度実施されており、最新の情報を学ぶ機会となるほか、講習会を通じて同じ分野の専門家と交流する機会があり、人的ネットワークを広げることもできます。
スペシャリスト同士の人的ネットワークは、情報交換や協力関係の構築において非常に重要です。
業界や業務に関する情報を共有することで、自身の業務の質の向上を図れるなど、キャリアアップへと通じる大きなメリットを享受することができます。

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IPO・内部統制実務士は実務でどのように役立つ?

IPO準備企業の場合

IPO・内部統制実務士は、IPO準備企業において上場審査に耐えうる内部管理体制を整える重要な人材として活躍します。
IPO準備企業は、業績や将来性においては問題ない場合が多いものの、内部管理体制の整備が不十分であることがよくあります。
上場審査では、金融庁を中心とした各機関から厳しい条件が求められ、不正やトラブルの発生を防ぐための管理体制の確立が必須です。
IPO・内部統制実務士は、財務報告の信頼性を確保し、コンプライアンスの徹底を図り、リスク管理を行うための仕組みを構築するなど、企業の内部管理体制を強化する役割を担うことで、上場審査に合格するための基盤づくりに貢献します。

上場企業の場合

IPO・内部統制実務士は、すでに上場している企業においても内部統制の担当者として重要な役割を担います。
なかでも、J-SOX法への対応では、その専門知識と実務経験が強く求められます。
J-SOX法は、上場企業に対して内部統制報告制度を義務付けるものであり、財務報告の信頼性を確保するために必要な内部統制の整備・運用・評価が求められます。
IPO・内部統制実務士は、企業の内部統制の現状を評価し、必要な改善策を提案・実施することで、内部統制の有効性を確保します。
また、内部統制報告書を作成し、監査人との協議を通じて報告書の内容に誤解や不一致がないよう調整します。

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まとめ

IPO・内部統制実務士はIPO業務や内部統制に関する専門知識・実務経験を豊富に持っているため、上場準備中の企業、上場済みの企業のいずれにおいても重要な役割を担うことのできる魅力的な人材として映ります。
資格取得には、IPOの基本知識や上場基準、内部統制の概念、リスク管理、コンプライアンス、財務報告の信頼性確保など、様々な分野の理解が必要となりますが、高度な専門性を持つプロフェッショナルとしてキャリアアップを図れるほか、企業経営に中枢に近い場所で携わることができるなど、多数のメリットも期待できます。
IPO準備企業や上場企業の内部監査部門で活躍したいと考えている方には、挑戦してみる価値は十分にある資格であるといえるでしょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

鈴木 雅也

大学卒業後、飲料メーカー営業、学習塾の教室運営を経て19年MS-Japanに入社。キャリアアドバイザーとして企業管理部門、会計事務所などの士業界の幅広い年齢層の転職支援を担当。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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