財務報告実務検定とは!?転職やキャリアアップにつながるのか?
有価証券報告書をはじめとする上場企業の財務報告書類作成の実務能力を証明できる、財務報告実務検定。
あまり知られていないですが、財務報告の実務能力の証明につながるため、キャリアアップに役立ちます。この記事では、財務報告実務検定の難易度や取得後のキャリアなどについて詳しくご紹介します。
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財務報告実務検定の受験者
上場企業は以下のような財務報告書類を定期的に作成・開示しなければなりません。
・金融商品取引法に基づく書類 …有価証券報告書、四半期報告書など
・会社法に基づく書類 …招集通知、事業報告、計算書類、連結計算書類など
・証券取引所の適時開示に基づく書類 …決算短信、四半期決算短信、コーポレート・ガバナンス報告書など
書類の数が多いうえ、類似していながら異なる書類があるため、作成の実務は膨大かつ複雑です。
作成の基礎となる情報は、経理部門で作成する計算書類です。
しかし、それだけでなく、総務や経営企画、IRなど各部門から得られる情報を適切に盛り込まなければなりません。
財務報告実務検定は、この財務報告の実務能力を評価するための試験です。 高得点を獲得できれば「財務報告のスペシャリスト」とみなされるため、受験者には次のような人がいます。
・簿記試験の合格者
財務報告に必要な知識は簿記が基礎となりますが、それだけでは足りません。
この検定を受けることで必要な知識を体系的・網羅的に取得できます。
・財務報告部門への異動・転職を希望する人
財務報告部門へ異動・転職を希望する人にとっては、実務能力を客観的に証明できます。
・一般企業で働きたい公認会計士
一般企業で働きたい公認会計士にとっては、すでに習得している財務・会計以外の専門知識を習得できます。
・財務報告の担当者
財務報告書類の一部を縦割りで担当している人にとっては、業務の全体像を確認することにつながります。
財務報告実務検定の概要
財務報告実務検定の概要を見てみましょう。
検定には「連結実務演習編」と「開示様式理解編」の2種類あります。
いずれもコンピュータ画面で試験を行うCBT(Computer Based Testing)方式で、希望日の3日以上前に申し込めば全国の試験会場で受験でき、結果もその場でわかります。
受験資格はありませんが、「日商簿記3級以上の知識を有していることが望ましい」とされています。
財務報告実務検定「連結実務演習編」について
連結実務演習編は、財務報告に必要となる連結業務、開示業務、およびXBRL業務の全体を網羅する内容です。
必要となる基礎資料の作成から、連結精算表を経て連結財務諸表の作成までのデータの流れや手順、開示ルールなどが問われます。
試験時間は90分、問題数は、連結業務が3~5問、開示業務が3~5問、XBRL業務が1~2問で、それぞれ選択式問題および計算問題から構成されます。
合格ラインは100点満点中70点以上とされています。
財務報告実務検定「開示様式理解編」について
開示様式理解編は、財務報告業務のうち開示業務のみを深掘りした試験です。
開示書類それぞれの目的や作成方法、データの関連性、および内部統制までが広範囲・体系的に問われます。
試験時間は120分、問題数は選択式問題が100問と、総合問題(計算問題を含む小問2~3文により構成)3問です。
合格ラインは、1,000点満点での得点により以下の資格レベルが認定されます。
得点 | 称号 | スキルレベル |
1,000~800点 | Advanced | 財務報告書類の作成・開示を指揮する能力を備えている |
799~600点 | Standard | 開示実務担当者としての能力を備えている |
599~400点 | Basic | 開示実務の補助者としての能力を備えている |
399点以下 | なし | 最低限のスキルレベルに到達していない |
財務報告実務検定の難易度
連結実務演習編については、合格率は公表されていません。
開示様式理解編については、これまで上場企業の経理・IR・経営企画などの部門の人、監査法人に入所して年数が浅い公認会計士などを中心として3,000人が受験し、約70%が合格(Basic以上の取得)しています。
合格者の内訳は、Advancedが約15%、Standardが約35%、Basicが約50%です。
勉強は、公式テキストおよび公式問題集を使用して行えば、実務経験がない場合でも、独学で一定レベルに到達可能とされています。
もし独学に自信がない場合、あるいはより高得点を狙いたい場合には、受験対策講座を受講するのもよいでしょう。
キャリアアップや転職にも役立つ
財務報告実務検定は2010年にスタートした比較的新しい検定試験であるため、知名度はまだそれほど高くありません。
しかし、財務報告の実務能力をはっきりと証明できることがメリットです。
Standard以上を取得していれば、上場企業の経理・財務、総務などの管理部門、ビジネスコンサルティング企業、あるいは金融機関などに転職しようとする際に評価を高めることができ、キャリアアップにつながるでしょう。
まとめ
財務報告書類作成の実務能力を客観的に証明できる財務報告実務検定。 知名度はまだそれほど高くないものの、キャリアアップや転職に役立ちます。 上場企業の経理・財務部門などへの転職を考える場合には、取得してみてはいかがでしょうか。
<参考>
・財務報告実務検定
・日本IPO実務検定協会『協会設立趣旨/概要』
・ CBTS『財務報告実務検定』
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