人事の転職で年齢は関係ある?年代別のポイントや転職成功事例など
人事の仕事に興味があったものの、時間が経ってしまい、今から人事として転職することに不安を感じる方もいるかもしれません。
かつては「35歳転職限界説」とも言われていましたが、現在の転職市場が気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、人事の転職市場において年齢がどれほど影響するのかについて解説します。
さらに、転職時のポイントや成功事例を年代別にまとめていますので、人事への転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
「35歳転職限界説」はもう古い!最新の人事の転職市場
「35歳転職限界説」とは、35歳を過ぎると一般的に転職が難しくなるという考え方です。企業側は中途採用のコスト増を嫌い、若い世代を優先して採用すると考えられています。
しかし、すべての業界や職種に当てはまるわけではありません。管理部門・士業に特化した転職エージェントである「MS Agent」の、2023年における人事・総務職に関するデータを見てみましょう。
30代の転職希望者は全体の35.9%であるのに対して、30代の転職決定者は40.7%と転職希望者の割合を上回っています。
このデータを見れば、人事職に「35歳転職限界説」が必ずしも当てはまらないことが分かります。
人事への転職において特に考慮されるもののひとつが「経験」です。未経験者を育成するには、企業としてもコストがかかります。また、人事職という組織全体のリーダーシップや戦略的な人事方針を立案する重要な職務であることを考えれば、経験者を優先するのも納得できます。
加えて、人事への転職では業務に活かせるスキルも重要です。デジタル技術の進化により、人事業務もデジタル化されているため、データ分析能力などのスキルを持っていれば有利になります。
さらに労働法や規制、社会保険に関する知識も、人事担当者にとって不可欠です。特に、この分野のプロフェッショナルである社労士資格を取得していると、人事への転職に有利になります。
人事・総務への転職希望者の5.6%が社労士資格を取得しているのに対して、転職決定者の10.4%が社労士資格を取得していました。
このように、人事職に密接しているスキルを取得していれば、年齢を問わず人事への転職において優位に立ち回れます。
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未経験から人事へ転職できる年齢は?
人事職における「未経験OK」と記載されている求人は、多くの場合、20代~30代前半を対象としています。その一方で、人事・総務職の「未経験OK」求人の割合は、直近の2023年度では全体のわずか13.6%に過ぎませんでした。
この数字だけ見ると、未経験者が人事職に転職するのは厳しいように感じるかもしれません。しかしながら、いくつかの要点を押さえておけば、未経験者であっても人事への転職は可能となります。
まずは、未経験者を多く募集している業種に絞ることが重要です。「MS Agent」のデータによれば、「未経験OK」の人事・総務求人のうち、全体の20.8%をサービス業が、全体の19.8%を製造業が占めています。これらの業種であれば、未経験からでも人事職として転職できる可能性が高まります。
また、人事の業務は人材採用・人材教育・人事制度設計・労務管理などがありますが、中でも人材採用の業務は未経験者を採用しやすいと考えられています。したがって、業種と業務内容を絞り込むことで、人事への転職の道が開かれます。
未経験者であっても、人事に適したスキル・資格を所有していると、採用される確率が上がります。これは経験者でも同様であり、例えば上述した社会保険労務士の資格取得は有利に働きます。
それ以外にも、労務管理士など人事に関連するほかの資格や、労働者の心の機微を察知し配慮するのに役立つ「メンタルヘルス・マネジメント検定」、労働者が働きやすい職場を構築するのに役立つ「産業カウンセラー試験」といった検定を受けることも有効です。
さらに、データ分析能力やコミュニケーション能力など、人事で働くうえで必要となるスキルを身につけ、磨き上げていくことが望ましいです。
そして、そうしたスキルや資格、あるいは前職での経験が人事にどう反映するかを採用担当者に明確に伝えましょう。
人事で働きたいという熱い志望動機を自分の言葉で正確に語り、未経験ではあるものの柔軟性と継続的な学習の姿勢を見せることが、採用への鍵となります。
以上のことを踏まえれば、30代後半の未経験者であっても、人事への転職は決して不可能ではありません。
【転職先別】人事の仕事や働き方
一口に人事と言っても、会社の規模によって業務内容や役割が異なります。転職の際には、自身が希望する業務内容と会社の規模をマッチングさせることが重要です。
以下では、企業別に人事の役割や働き方について解説します。
大手企業
人員が多い大手企業の人事部門の特徴は、業務が分業制であることです。
人事には、採用や人事制度の策定、教育・研修などさまざまな業務がありますが、大手企業ではそれぞれの業務を専門化して担当することが一般的です。そのため、高度な知識やスキルが求められ、特定業務に特化した能力や経験が必要でしょう。
求人も特定業務に絞られる都合、採用枠は少なく、即戦力として活躍できる人材が求められます。
これらの点から、大手企業の人事職への転職を考える際は、企業の求める人材像やスキルに合致する求人に焦点を当てることが重要です。
中小企業
中小企業では、人事部と総務部が別れているケースは少なく、一般的には管理部内で人事総務担当として活動します。
企業の規模や組織構成によって異なりますが、少人数で業務を行うため、幅広い業務に携われます。
経営層との距離が近く、意見や提案が通りやすい傾向にあるため、システム導入や業務フローの改善などに関与できることもあります。
また、中途採用に対するニーズが高く、未経験者に対しても積極的に採用する企業もあります。
IPO準備企業
IPO準備企業は、企業の上場に向けて、経理(財務)に次いで人事の求人に力を入れているのが特徴です。人材開発に注力しているケースも多く、採用や教育がIPO準備企業の人事部門で重要な業務となります。
また、未整備の組織から上場に必要な管理体制を築くため、ルーチン業務に加えて幅広い対応力が求められます。特にマネージャークラスでは即戦力が求められ、経験者や社労士資格所有者が優先的に採用されます。
ベンチャー企業
企業規模によっては、中小企業と同様に人事が担う業務の幅が広くなります。採用と教育を同時に担当するケースも少なくありません。
特にベンチャー企業ではスピード感を求められ、専門性よりマルチタスク能力や事務処理能力が重視されることもあります。
したがって、転職の際にはそのような点をアピールするのが効果的です。
外資系企業
外資系企業では、基本的に人事部は人事権を持たず、各部署のマネージャーや責任者が人事権を有しています。
採用や評価、異動などの人事における意思決定も現場を知るマネージャーが担うことが多く、人事部はそれらが効率よく遂行されるよう支援することが主な役割です。
その分、人事の各分野に関する専門的な知識・スキルが求められます。
もっとも、これは企業により異なり、日本に馴染みのある人事制度を採用している企業もあれば、本国基準の制度を導入している企業もあります。
そのため、外資系企業の人事への転職にあたっては、企業ごとの人事制度を事前に把握しておくことが大切です。
【年代別】人事へ転職する際のポイント
企業が求める人物像は、年齢によって異なります。以下では、年代別に人事への転職で重要なポイントをまとめました。
20代・人事へ転職する際のポイント
第一に、人事の基本的な知識や労働法に関する理解、そしてコミュニケーション能力や問題解決能力などのスキルが求められます。
また基本的であるものの、履歴書や職務経歴書を丁寧に作成することが重要です。面接では、転職や志望について前向きな姿勢を示し、よい印象を残すこともポイントです。
同じ20代でも、20代前半と20代後半とでは話が変わってきます。
20代前半では、第二新卒としてポテンシャルを期待して採用されることがあるため、未経験者でも意欲を示せば採用の可能性が高まります。
また、前職での経験が人事業務にどう活かされるかを明確に伝えることも大切です。未経験者の場合は、採用部門を目指すと良いでしょう。
一方、20代後半は転職市場において最も価値が高いと考えられます。即戦力として期待され、長期間の勤務が見込まれるからです。
転職を検討する際には、自身の経験や能力が企業にもたらす価値をイメージすることが重要です。
さらに、20代前半よりも資格の取得やスキルの向上を意識するよう心がけてください。
30代・人事へ転職する際のポイント
30代での転職は20代と比較して、より即戦力としての能力が求められます。
人事経験者であれば、一定の知識やスキルはもちろん、豊富な実務経験が望まれます。例えば、社労士資格やキャリアコンサルタントの資格を持っている場合は、より条件のよい企業への転職が実現するかもしれません。
加えて、丁寧な履歴書の作成や、面接での的確な受け答えも大切です。
一方で、30代での人事未経験者を募集しているのは一部の企業に限られています。難易度は高くなるため、コミュニケーション能力やマネジメント能力を磨くとともに、資格取得にも全力を注ぐことが重要です。
人事でのキャリアを積みたいと強く願う場合には、条件が完璧でなくても、その意志を貫くことが大切です。
40代・人事へ転職する際のポイント
40代での転職は一段と難易度が高くなりますが、若手の人材不足やマネジメント人材の不足といった背景から、求人自体は増加傾向にあります。
中長期的な視野に立って、転職エージェントを活用して複数の求人に応募するなど、焦らずに転職活動を進めることが重要です。
応募先は自身が経験した業界を中心に選び、これまで培ってきたキャリアを十分にアピールするよう心がけてください。また、転職活動の間に資格取得に取り組むことも有効です。
【年齢別】人事への転職成功事例
最後に、人事職への転職に成功した事例を年齢別に3つご紹介します。
20代・未経験から人事への転職成功事例
Kさん(20代後半/男性)
上場企業
営業担当
年収:510万円
上場企業
人事担当
年収:450万円
IT企業で営業をしていたKさんは、学生時代から人事に興味を抱いていました。しかしその職場ではジョブローテーションが行われていなかったため、自らの夢を追求するために未経験ながら人事への転職を決意します。
未経験者向けの求人に積極的に応募し、不安ながらもチャレンジしました。結果として、同じIT業界の人事採用ポジションに内定が決定。新たな職場の社風やカルチャーが自分に合っていると感じ、内定までのプロセスも迅速でした。
転職成功の要因は、明確な志望動機です。なぜ人事に転職したいのかを考え、それを明確にアウトプットしました。また、同じ業界でのキャリアチェンジということで、自身の活躍イメージも具体的に持つことができた点も有利に働きました。未経験者であっても、転職の基本を丁寧に準備することが成功の鍵となりました。
30代・人事経験を活かした転職成功事例
Aさん(30代前半/女性)
数千名規模の企業
人事担当
年収:580万円+諸手当
数百名規模の企業
人事担当
年収:550万円
もともと人事の仕事をしていたAさんは、組織上の問題で他部署への異動が決まりました。しかしAさんは人事でのキャリア構築を望んでいたため、スキルアップの機会を求めて転職活動をスタートしました。
幅広い経験と人柄が評価され、中堅企業の管理部門全般ポジションとIT企業の採用ポジションから内定を獲得。最終的に新しい採用手法を学べると考え、IT企業への転職を決めました。
IT企業では、人事の求人はほかの企業と比較して多く、今後もその傾向は続くと予想されています。そうした中で、IT企業が求めているのは、優秀な人材獲得経験や多様な採用手法など優れたスキルを持つ人物です。
Aさんのようにあらかじめ自身のスキルを磨くことで、自らの市場価値を高め、会社そのものの安定性によらずキャリアの安定性を担保でき、新しいキャリアの道を進むことが可能になります。
40代・人事の業務範囲を広げた転職成功事例
Sさん(40代前半/女性)
一般企業
労務総務担当
年収:450万円
外資系企業
労務担当
年収:460万円
前職で労務総務業務を担当していたSさんは、総務業務の増加により労務に集中できなくなり、転職を決意しました。
転職活動を始めた当初は労務業務に特化した企業や事務所に応募しましたが、なかなか決定打が見つからず、悩んでいました。しかし、自分の志向を整理した結果、労務実務に加えて業務フローの改善や、システム導入などの未経験業務にも挑戦したいという決意が固まりました。その結果、設立間もない外資系企業に転職することになりました。
Sさんのように転職活動中に迷った場合は、一度立ち止まり、情報を整理し、チャレンジすべき業務を明確にすることが重要です。また、転職エージェントなどを活用して情報収集することも役立ちます。
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まとめ
未経験者や30代が人事に転職する例が増えており、もはや「35歳転職限界説」は当てはまりません。
経験者であれば、過去の経験を的確にアピールして、よりよい転職先を見つけることができます。
また、未経験でも心配する必要はありません。多くの企業が人事のポジションで募集をかけています。基本的な面接態度や適切な履歴書作成はもちろん、人事に関するスキルを磨くことや、新たなスキルを身につけることもおすすめです。
より確実に転職活動を進めたい場合は、転職エージェントを活用すると良いでしょう。キャリアプランの提案から履歴書作成のサポート、面接対策、条件交渉までトータルでサポートします。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。企業側を支援するリクルーティングアドバイザーとして約6年間IPO準備企業~大手企業まで計1,000社以上をご支援。
女性リクルーティングアドバイザーとして最年少ユニットリーダーを経験の後、2019年には【転職する際相談したいRAランキング】で全社2位獲得。
2021年~キャリアアドバイザーへ異動し、現在はチーフキャリアアドバイザーとして約400名以上ご支援実績がございます。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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