2015年07月27日

【コラム】同族経営の企業法務が危ない?

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【コラム】同族経営の企業法務が危ない?

2015年に「お家騒動」で注目を集めた大塚家具をはじめとした「同族経営」の企業について解説します。

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企業法務は困惑!? 親子の確執は続くのか

実の親子である大塚久美子社長と創業者で会長だった父・勝久氏のお家騒動は実に面白かった。3月下旬に開かれた株主総会で久美子社長の取締役選任案と勝久会長側の提案が出されたが、久美子社長の会社提案が61%の支持を得て幕引きとなった。これにより創業者の大塚勝久氏は取締役を退くことになる。

株主総会では久美子社長の実母である千代子氏が一般株主として発言し、久美子社長を痛烈に批判したことで根深い親子の確執が浮き彫りになった。久美子社長は一橋大学を卒業して富士銀行(現みずほ銀行)に入行。銀行では企画部門に所属するなどバリバリのキャリアウーマンといった経歴をもつ。後に父親が経営する大塚家具へ入社するが一旦、大塚家具を退職。コンサルティング会社を設立するなどして、2009年に大塚家具の救世主として代表取締役社長に就任した。

同族経営=悪か?

久美子社長はいいとこ育ちのお嬢様であるものの、その生き方をみると親にしかれたレールを歩むタイプとは異なるようだ。物静かなしゃべり方とは裏腹に自ら道を切り開く強靭な精神を持つ女性であり、芯の強さがひしひしと伝わるから人は見た目で判断できない。皮肉な話だが久美子社長の勝気な性格も父・勝久氏譲りであるのは間違いないだろう。似たもの親子である。久美子社長は若いこともあってか、Twitterのアカウントを開設して情報発信をしている。著名な上場企業の社長がTwitterを使うのは珍しい。発信内容を拝見すると、一連の騒動を取り上げた報道をチクリと批判するものもある。

とにもかくにも一応、決着が見られた大塚家具の騒動は同族経営の批判を招いた。過去を振り返っても同族経営ゆえの内紛は幾度となく起きている。そのイメージが先行してか"同族経営=悪"という印象がもたれることもあるようだ。そもそも日本は欧米に比べファミリー企業が多いとされる。大半は中小企業であるが大企業も例外ではない。同族経営の大企業として知られていたのがサントリーだった。

同族経営は宝の山!?

同社は日本初のウイスキーを販売するなど酒類業界で絶大な地位を確立していく。創業者一族が株式を所有し非上場を貫いていたのもサントリーの語りぐさになっていた。国内有数の優良企業であるサントリーが外部から社長を招へいしたのは昨年のことだ。新浪剛史ローソン前会長がサントリー社長に決まったときは驚かされた。同族経営は意思決定の速さなどから新規事業の立ち上げがスムーズにできる。星野リゾートの星野佳路社長は「ファミリービジネスは宝の山である」(日経ビジネスから引用)とも述べている。

同族経営といっても創業一族の株式所有の比率、経営への関与など様々なタイプがある。大塚家具の人事案は一般株主からの支持で久美子社長が信任された。経営方針の対立から始まった大塚家具の騒動。トヨタやキヤノンなどの巨大メーカーも同族会社に該当する。創業者一族の揉め事はよくあるが、上場企業における同族経営だからといって問題を抱える企業はそうそうない。ただ、株式所有などは企業法務に直結するだけに同族経営が与えるインパクトはやはり大きいようだ。

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