2024年04月25日

会計アドバイザリーの年収は高い?会計士が転職したら年収は上がるのか

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公認会計士は監査を独占業務としていますが、監査以外にもキャリアの選択肢があります。
その一つが、会計アドバイザリーと呼ばれる分野です。
会計の専門知識を活かして企業をサポートする役割は、収入面などの待遇に期待が持てるとされています。
果たして公認会計士が会計アドバイザリーとして転職すれば収入はアップするのでしょうか。

ここでは、監査法人のアドバイザリー部門とFASに着目し、その具体的な業務年収スキルなどをみていきます。

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会計アドバイザリーとは

アドバイザリーの業務は、組織が抱えている特定の問題に対処するというよりも、組織そのものに対してアドバイスを行うことが一般的です。
主に外部参与や顧問・相談役のような立ち位置でプロジェクトに参加し、中期~長期的に組織体制の構築や大規模な案件に関わります。
アドバイスの範囲は広範にわたるため、大手であれば各専門分野を持ったチームが複数存在していたり、中小規模の場合は特定の分野に特化した専門手段であるケースが多いです。
具体的な課題に対して短期的な効果を狙うのではなく、長期的な視点で組織の人材や環境などに好影響を及ぼすことを追求します。

会計アドバイザリーは、上記の特徴を踏まえつつ、会計知識を持った専門家が会計全般のアドバイスに携わる仕事です。
ただし、公認会計士のように資格を有した職種として明確に定められているわけではありません。

以下に、公認会計士が会計アドバイザリーとして転職するにあたり、代表的な「監査法人のアドバイザリー」および「FAS」を取り上げ、それぞれについて詳しく解説していきます。

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会計アドバイザリーの業務内容

監査法人のアドバイザリー

監査法人のアドバイザリー業務は、企業が経営課題に対処し、業績向上を図るために専門的な助言を提供する重要な活動です。
以下に、IFRS、内部統制、IPO、DXに関する代表的な業務例を挙げてみます。

IFRS導入支援では、企業が国際財務報告基準(IFRS)に適合するための戦略的アドバイスや導入プロセスを指導します。 業務には、財務情報の変更点の評価や財務報告の準備も含みます。

内部統制支援は、企業の内部統制体系に実効性があるかどうかを評価し、改善策を提案する業務です。
経営陣や株主が信頼できる財務情報を得るため、会計アドバイザリーが内部統制の整備や適切な実施をアドバイスします。

IPO支援では、企業が株式市場に上場する過程で必要な戦略的サポートを行います。 企業価値の最大化や規制当局への適合、リスク管理の強化など、上場に向けたさまざまな側面での助言が含まれます。

DX支援は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためのアドバイスを提供します。 業務プロセスの効率化、新たなテクノロジーの導入、デジタル化戦略の策定など、企業のデジタル環境を整備し、競争力を維持・向上させるための支援を行います。

なお、これらの業務は監査法人によって異なる場合があり、企業の特定のニーズに合わせてカスタマイズされることもあります。

FAS

FAS(Financial Advisory Services)は、企業や対して財務に関する専門的なアドバイスやサポートを行うコンサルティングファームです。
FASの主な業務内容は以下のとおりです。

トランザクションアドバイザリー

企業が合併や買収、売却などのトランザクションを検討する際に、FASは経済的な側面からアドバイスを提供します。
価値の最適化やリスクの最小化に焦点を当て、戦略的な意思決定をサポートします。

バリュエーション

バリュエーションは、企業や資産の評価を行うサービスです。
様々なバリュエーション手法を使用して、企業の適正な評価や投資判断に貢献します。

ポストマージャーインテグレーション

合併や買収が完了した後、FASは企業の統合プロセスをサポートします。
組織の合理化、業務の最適化、文化の調整などを通じて、ポストマージャーインテグレーションの成功を促します。

フォレンジック

フォレンジックは、詐欺や不正行為の調査・予防に関するサービスです。
法的な観点から企業のリスクを評価し、不正行為の証拠収集や対策の提案を行います。

リストラクチャリング

企業が経済的な困難に直面する際、実効性のあるリストラクチャリングがFASの強みです。
財務の改善や債務の再構築を通じて、企業の持続可能な成長をサポートします。

M&Aアドバイザリー

FASが企業の合併や買収に関与し、ストラテジーやデューデリジェンスを通じてクライアントの目標達成を支援します。
価値創造とリスク管理が中心となります。

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会計アドバイザリーの年収

アドバイザリーの年収

監査法人のアドバイザリー部門の年収は、全国平均で約780万円、東京平均で約810万円とされています。
これに対して、同じ大手監査法人の監査部門の年収は、全国平均が約650万円、東京平均が約680万円となっており、アドバイザリーの方が平均的に高い傾向があります。

この違いは、監査とアドバイザリーの案件の単価が理由といわれています。アドバイザリー業務は会計や法律に関する知識以外にも、その法人独自に蓄積されたノウハウを持ってクライアントにアドバイスを行います。
独自のノウハウを提供することで、業務の付加価値が高くなり、結果として高い報酬を得ることができるため、その利益をスタッフにも還元できる仕組みになっているのです。

このような背景は、公認会計士が監査部門からアドバイザリー部門へ転職すると「ほぼ年収が上がる」と言われる裏付けとなるものです。
転職先のアドバイザリーにおいて、コンサルティング分野で評価されるようなスキルを発揮する公認会計士は、高い年収に期待できます。
年収アップを目指す公認会計士にとっては、強みの側面を活かせるキャリアチェンジと言えるでしょう。

FASの年収

年齢や経験による差異はありますが、FASと監査法人の監査部門との年収目安について役職別に比較してみましょう。
尚、以下は各種手当も含めた年収のイメージです。

まず、FASの役職別年収です。

  • アナリスト:600~900万円
  • シニアアナリスト:900~1,200万円
  • ヴァイスプレジデント:1,200~1,500万円
  • シニアヴァイスプレジデント:1,500万円以上
  • パートナー:2,000万円以上

対照的に、監査法人(監査部門)の役職別年収は以下となります。

  • スタッフ:450〜600万円
  • シニアスタッフ:600〜800万円
  • マネージャー:900〜1,200万円
  • シニアマネージャー:1,200~1,500万円
  • パートナー:1,500〜2,000万円以上

役職の名称は各法人によっても異なりますが、同格の職位でFASと監査法人(監査部門)の年収を比較すると、すべての職位においてFASの方が年収を上回っています。
例えば、スタートポジションのFASアナリストと監査法人スタッフでは数百万円のレンジ差があります。
中堅クラスのFASヴァイスプレジデントと監査部門マネージャーでも、年収レンジに大きな開きが見られます。
上位クラスを含めて、監査部門のレンジ上限がFASのレンジ下限になっていることも、水準の違いを明確に示すものです。

FASは企業の財務戦略や投資判断など、高度なファイナンシャルアドバイザリーを提供するため、高額な報酬が支給される傾向にあります。
FASの年収が監査法人の監査部門よりも高水準である背景には、高度な専門性や業務の特性が反映されているようです。

これは、前述のアドバイザリー部門と同様に、公認会計士が監査法人からFASに転職した場合、年収が上がる裏付けとなるでしょう。
転職を機に、公認会計士は監査法人での専門知識とFASでの経験が相まって、年収向上に伴うキャリアアップに期待できます。

会計アドバイザリーは忙しい?

会計アドバイザリーは忙しい?

アドバイザリーやFASは、年収の水準が高い反面、「忙しい」というデメリットが伴うことも事実です。
以下に、その理由を取り上げてみます。

まず、監査法人のアドバイザリーは、業務をこなすほど売り上げが上がるため、高い需要に応える必要があります。
プロジェクト(ディール)には期限が設定されており、これを守るためには迅速で効率的な作業が求められます。
さらに、ステークホルダーが多いため、関係者との連携や調整に時間を要することが挙げられます。
これらの要因が重なり、アドバイザリーのチームは常に高いパフォーマンスを維持しなければなりません。

一方、FASも同様にM&Aのディールには期限があり、スピーディーな対応が求められます。
知識習得には時間がかかり、最新の業界トレンドや法規制の理解が必要です。
クライアントのニーズに応えるためには、各プロジェクトに適した戦略や解決策を準備するにも時間がかかります。
このような背景が組み合わさり、FASチームは迅速かつ専門的なサービスを提供するために忙しく働いています。

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会計アドバイザリーに転職する際に求められるスキル

監査法人のアドバイザリー部門に転職する際、どのようなスキルが必要になるのでしょうか。

まず、論理的思考力はクライアントのビジネス課題を分析し、解決策を提案する上で不可欠です。
アドバイザリーが備えるべきスキルとして、問題の本質を把握し、結論を導く能力が求められます。

大手監査法人のアドバイザリー部門では、グローバルなビジネス環境での課題に向き合うことが少なくありません。
そのため、英語力も国際的な案件や多様なクライアントとのコミュニケーションに不可欠です。
英文資料やメールのやり取りなど、円滑な情報交換を行うためにはビジネスレベルの英語力が必要とされます。

また、コミュニケーション能力協調性も、クライアントとの信頼関係やチーム内での円滑な業務進行に重要です。
クライアントの要望を理解し、適切なアドバイスを提供するためには弾力的なコミュニケーションスキルが求められます。
協力し合いながら課題に対処することが期待されるため、協調性も欠かせません。

一方、FASで求められるスキルは、従事する業務内容によって異なります。

トランザクションアドバイザリーのスキル

合併や買収に関わるため、分析力戦略的思考が必要です。
財務の側面や法的課題に詳しいことを期待され、数値分析リスク評価能力も求められます。

バリュエーションのスキル

財務モデリングや市場トレンドに精通し、適切なバリュエーション手法を選定する洞察力が重要です。
業界知識と将来のキャッシュフロー評価に対する洞察も含まれます。

ポストマージャーインテグレーションのスキル

合併・買収後の統合プロセスを管理するため、プロジェクトマネジメントスキルチームリーダーシップが必要です。
異なる企業文化に対する順応性も身につけておきたいスキルです。

フォレンジックのスキル

不正行為や企業のリスク調査に対応できる知識に加え、デジタルフォレンジックと調査手法に明るいことが肝要です。
関係者との接点が多いことから、コミュニケーション能力問題解決力も欠かせません。

リストラクチャリングのスキル

企業の経済的な課題に対処し、再建を図るための財務分析や金融機関との交渉力が求められます。
クライアントと連携しながら継続可能な解決策を導く経営感覚も大切です。

M&Aアドバイザリーのスキル

合併や買収に精通した戦略的思考に加えて、財務モデリング交渉サポート能力が要求されます。
市場動向や法的な変更に敏感であることも重要です。

上記各分野で共通して求められるスキルには、コミュニケーション能力プロジェクトマネジメントスキル法的知識財務分析力などが挙げられます。
ただし、特定の業務に対する専門知識やスキルも同様に不可欠です。

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まとめ

年収比較からも明らかなように、監査法人のアドバイザリー部門やFASは、監査部門に比べて年収が高い傾向にあります。
会計アドバイザリーの分野では、公認会計士が持つ専門的な会計知識やスキルが高く評価され、それに見合う報酬が水準となっているようです。
監査部門に属する公認会計士が、キャリアを活かして会計アドバイザリーに転職することは、年収アップにつながる道筋と言えるでしょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

橋本 亜以子

大学卒業後、化粧品メーカーへ入社。10年間商社向け営業に従事、同時に後進の育成や新卒採用も担当。
MS-Japan入社後は法人担当として事業会社の管理部門や会計事務所などの採用支援を担当。法人担当と兼任でキャリアアドバイザーとして士業(会計事務所・監査法人・コンサル・社労士事務所)希望の方の転職支援に従事。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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