2023年09月11日

会計士は内部監査に転職できる?内部監査のキャリアパスとは

管理部門・士業の転職

会計士は内部監査に転職できる?

公認会計士と内部監査には「監査」という共通点があります。
同じく監査に関わる仕事ということで、転職先候補に挙げておられる方もいらっしゃるかと思います。
監査の経験が活かしやすく最適な転職先のように感じますが、実際はどうでしょうか。

本記事では、内部監査とはどのような仕事を担う部門なのか公認会計士の転職先に適しているのか、内部監査に就職した場合の将来性、公認会計士が転職した際のメリット・デメリットなどを解説しています。
公認会計士や、公認会計士を目指す皆さまの転職選びの助けになれば幸いです。

管理部門・士業の転職

内部監査とは

就業先によっては、これまで内部監査部門と接する機会があった方もいるかと思います。
しかし、詳しいことは知られておらず、多く謎めいた部署のイメージをお持ちの方はいらっしゃるのではないでしょうか。
以下では、内部監査と具体的な仕事内容について説明します。

内部監査とは?

内部監査とは、企業が任意で設置している社内業務の監査役です。
社内の内部統制としての役割を持っており、「経営目標の達成」や「不祥事を未然に防ぐ」ために活動しています。
一般社団法人内部監査協会によると「組織の経営目標達成に役立つため、公正かつ独立した立場でガバナンスプロセス、リスクマネジメント、リスクコントロールに関する経営状況を規律遵守の態度で評価し、客観的な意見・助言・勧告を行うアシュアランス業務およびアドバイザリー業務である」のように説明されています。

内部監査の重要性

内部監査は社内の従業員で構成され、この従業員を内部監査員と呼びます。
企業の規模によっては実施が義務とされていない場合もありますが、リスクマネジメントの観点から内部監査を設置する企業も存在します。
業務や経営におけるリスクを客観的に把握し、報告や提案から組織を成長させるために行います。
とくに、将来上場を考えている企業であれば、上場の審査項目に「コーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性」というものがあり必要です。

内部監査の仕事例

内部監査計画
徹底的に社内を調査するため、いつ・どこで・誰が・なぜ調査するのか、細かく計画を立てます。
予備調査
監査対象の部門に対し、監査の通知・必要書類の準備・スケジュール調整などを行います。
内部監査
事前に作成した資料やデータをもとに監査を実行します。
マニュアルやチェックリストに従って各種資料が整理されているか、現場では従業員の業務を確認し対象者にヒアリングを行います。
分析評価
監査後の内容をまとめて評価し、マニュアルや社内外のルールが守られているか分析します。
結果は報告書にまとめて経営者・監査対象の部門長に提出します。
報告、改善提案
対象部署に改善計画書と回答書を提出し、具体的な改善策を提案します。

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会計士は内部監査に転職可能?

会計士が内部監査に転職できるかどうか

監査法人で監査・内部統制の経験がある公認会計士は内部監査でも優遇されます。
また、内部監査の経験者は少数派であるため、人材不足を補うために内部監査としての業務が未経験でも採用される可能性はあります。
また、内部監査の経験者は比較的年齢が高く、仕事では経営陣、各部門長、監査法人など、異なる年齢や立場の人とコミュニケーションを取らなければならず適切な対応力が求められます。

内部監査の求人動向

不祥事による株価暴落やイメージダウンなど、経営にダメージを与えるような報道を目にすることも珍しくありません。
このようなリスクから企業を守るために、内部監査や内部統制の重要性が再認識され、これに伴い内部監査の求人は増加傾向にあります。
特に大手企業を中心に多くの企業で内部監査の求人が増えています。
また、内部監査部門の設置や拡大、外部監査法人との連携強化、内部監査員のスキルアップのための研修など、多岐にわたる業務を行っています。

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内部監査に向いている人の特徴

以下では、内部監査に向いている人の特徴3選を紹介します。

1.高いコミュニケーション能力

内部監査では、各部門の従業員に細かな指摘をする場面が出てくるため、場合によっては監査対象者から反感を買うことがあります。
逆に、距離が近すぎると監査業務に影響が出る可能性があるため、適度な距離を保ち監査業務に当たらなければなりません。
監査業を遂行しつつ、従業員への指摘とフォローをうまく使い分けた高度なコミュニケーション能力が求められます。

2.観察力・洞察力

内部監査員は社内の不正をいち早く発見しなければならないため、人・物・金の動きに敏感である必要があります。
また、法律や就業規則の観点から、社内を客観的に判断する観察力・洞察力が優れている人が重宝されます。

3.ITリテラシー

さまざまなITツールを取り入れている企業が増えているため、監査員も対象となるITツールが正常に機能しているか確認できるようなITリテラシーが求められるようになりました。
IT監査の経験がある、ITリテラシーが高いなど、内部監査経験者にない強みがあると高い評価が得られるでしょう。

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内部監査に求められるスキルや資格とは

内部監査の求人では、実務経験のある即戦力が求められます。
ただし、ポテンシャル次第では未経験でも内部監査に採用される可能性があるため、以下では、内部監査に求められる資格・知識について説明します。

内部監査に求められる資格とは?

公認会計士
国内で監査業務の独占が認められている資格であり、税務・会計・企業戦略などのコンサルティングや、株式公開支援など幅広く活躍できる資格です。
内部監査においても公認会計士の資格は有効で、取得難易度が高いことから採用時に有利に働く資格といえます。
公認内部監査人(CIA)
内部監査人協会が認定している内部監査に関する国際的な資格で、実務経験や能力だけでなく、倫理面など指導的な役割を担っています。
内部監査士(QIA)よりも難関資格といわれており、内部監査としての専門性をアピールしやすい資格です。
内部監査士(QIA)
日本内部監査協会認定資格で、講習会を修了した人に与えられる資格です。
内部監査理論や実践など、内部監査に関する幅広い知識が得られます。
年7回開催される講習会に、昼間10日もしくは夜間25日、計50時間の受講を経て認定されます。
公認リスク管理監査人(CRMA)
内部監査に必要なリスクマネジメント能力の高さを証明する資格です。
2023年時点では、言語対応が英語のみとなっており国内での保有者が少ない資格です。
リスクマネジメント能力が備わっていると判断される資格ですので、持っていれば評価されるでしょう。

内部監査に求められる知識とは?

内部統制知識
内部統制の仕組みを理解し、正常に機能しているか確認するための知識です。
ルール通りに運用されているか、確認するために内部統制を深く理解している必要があります。
財務諸表知識
企業の経営状況や、リスクを把握するために財務諸表を理解することが求められます。
損益計算書や、バランスシート、キャッシュフロー計算書などの基本的な財務諸表を読み解く能力が必要です。
ITリテラシー
近年、ITが企業活動の一部として取り入れられているため、ITの基本知識やシステム構成の理解が求められます。
特に、大手企業や、IT業界では、ITリテラシーが必須とされています。
法律知識
監査に関連する法律や、企業活動に関連する法律を理解していることが求められます。
企業がどのような法律に抵触しているかを確認するための知識が必要となります。

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内部監査の将来性・キャリア

内部監査の 将来性・キャリア

リスクが多様化している現代では、コンプライアンス意識がある内部監査人の育成が重要視されています。
企業規模により内部監査部門の設置は任意ですが、内部監査人として経験のある人材は重宝されます。

内部監査の将来性

上場企業の内部監査員として働く以外に、中小企業の内部監査要員として採用されるケースもあります。
中小企業は内部監査が義務化されていないものの、リスクマネジメントの観点から自主的に実施している企業があり、内部監査に対応できる人材は引き続き必要とされるでしょう。
多忙な経営者に代わって企業の問題点の報告や改善提案ができる人材が求められています。

内部監査のキャリアパス

上場企業の内部監査での経験があれば、専門的な職種として転職市場では高く評価されます。
しかし、内部監査での経験をキャリアパスの手段として活用する場合、所属する企業によっては道が分かれる可能性があります。
例えば、若手社員を内部監査に配属したものの専門職としての経験が得られる前に人事異動をさせたり、重要なポジションは外部から採用するケースもあります。
「経営や管理部門の責任者として内部監査の経験が必要」という理由で所属するのと、「内部監査員としてキャリアアップを目指す」のとでは方向性が異なります。
ご自身がどのようにキャリアアップしたいのか、明確にしておくとよいでしょう。

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会計士が内部監査に転職するメリット、デメリット

公認会計士が内部監査に転職するメリット

ワークライフバランスが取りやすい
内部監査の業務はある程度年間スケジュールを決めて実施されるため、ワークライフバランスが取りやすいという特徴があります。
時期としては、評価実施期期間である決算後(3月決算の場合11月ごろ)、第2四半期後(5、6月ごろ)が繁忙期です。
人手不足、組織再編成の頻度など企業ごとに変動はありますが、基本的に閑散期は公私のスケジュール管理がしやすいといえるでしょう。

公認会計士の監査経験がいかせる
内部監査では監査経験を存分に発揮できるでしょう。
評価範囲の選定、RCM(リスクコントロールマトリックス)作成など、基本的に必要なスキルは同じと考えてよいでしょう。
また、内部監査を経験することで、企業会計士として業務フロー全般を理解できるようになります。
業界の慣行や業界知識が身につくため、同業他社からのニーズが高まり転職時には有利に働くでしょう。
監査業務の経験をいかしたいという方にとっては、転職候補になると思います。

公認会計士が内部監査に転職するデメリット

キャリアの幅が狭くなる
内部監査に転職すると、その後の転職先が限定されてしまうというデメリットがあります。
内部監査から転職する場合、同業他社の内部監査、中小や大手の監査法人、内部統制コンサルティング企業などが挙げられます。
中でも、内部監査・内部統制の求人が非常に少ないため、内部監査から転職する場合は難易度が高くなります。

やりがいを感じにくい
内部監査とはその業務自体が利益を生まない業務であるため、成果を出すことが難しく、やりがいを感じにくいという面があります。
結果として、経営陣からの評価も低く、報酬も期待するほど高くはありません。
そのため、やりがいを感じて仕事をしたいと考える方には向いていないかもしれません。

以上、内部監査の将来性、キャリア、会計士が内部監査に転職するメリット、デメリットについての詳細を紹介しました。
どのようなキャリアを築いていくかは、個人の価値観や目指す方向性によるため、慎重に考慮することが大切です。

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まとめ

公認会計士が内部監査に転職先に考えるのであれば、もとの監査経験がいかせるため、よい選択肢だといえます。
しかし、内部監査を実施しているほとんどの企業が上場企業であり、中小企業には実施義務がなく内部監査を行わないところもあり求人数が少ないのが現状です。
ポテンシャル採用で未経験者を採用することもありますが、基本的に即戦力として経験者が好まれるため、公認会計士の資格があっても油断はできません。

求人数も限られ厳しい道のりではありますが、内部統制や監査業務を内部から知ることができるため、業界を深く知るチャンスではあります。
内部監査を次の目標にする際は、その後のキャリアプランについてもしっかりと計画を立ててから挑むようにしましょう。

管理部門・士業の転職

この記事を監修したキャリアアドバイザー

椿 大樹

大学卒業後、外資系小売り業に就職、セールスマネジメントや採用、教育研修を経験。
人がいかに業績を左右するかについて認識し、現職のMS-Japanに転職する事を決断。
入社以来、東海エリアのキャリアアドバイザーとして、キャリアチェンジやスキルアップを目的とした若年層の支援を中心に担当しております。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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