「ポテンシャル採用」

第28回2007/03/14

「ポテンシャル採用」


「ポテンシャル採用」

景気回復や2007年の団塊世代の大量退職に伴い、企業の採用意欲が高まる中、
企業規模・ステージを問わず、各社共通の採用ニーズの存在が浮き彫りになって来ました。


景気停滞時に新卒採用に消極的であった企業は、
現在深刻な若手の人材不足に悩まされており、
いびつになった社員の年齢構成を解消するため、20代の採用に力を入れ始めています。
一方で、新卒入社3年未満での転職層―いわゆる第二新卒層を含む
20代の若手層の転職状況も活発化しており、若手転職市場は熱気を帯びるばかりです。


企業の中途採用は、「即戦力キャリア採用」と「ポテンシャル採用」の2つに分かれますが、
今回の人事キーワードでは、『ポテンシャル採用』について焦点を当て解説します。


1.ポテンシャル採用とは

ポテンシャルとは、潜在的な力・可能性としての力という意味。
これまでの経験・実績だけで判断するキャリア採用とは異なり、
今後の成長の可能性で判断して採用の可否を決めるものです。


2.ポテンシャル採用のメリット

新卒採用とは異なり、社会人としての言葉遣いやマナー、
コミュニケーションスキルが備わっている人材を確保できる点に最大のメリットがあります。


また、固有の企業カラーに染まっていない場合が多く、
自社の新卒採用と近いイメージで、
将来の幹部候補となり得る若手層を採用出来るという意味でも、有用です。


3.ポテンシャル採用において見極める必要がある2つのスキル

下記の、「トランスファラブルスキル」と「セルフマネジメントスキル」という
2つのスキルをきちんと理解しアピール出来る人材こそが、
ポテンシャル採用の基準をクリアした人材と言えるでしょう。


1.トランスファラブルスキル
学生時代の経験を含めて、これまで培った知識や経験のうち、
他の業種や職種にも転用出来るスキルのこと。
社会人としての基礎力に近いもので、
コミュニケーション能力や問題解決能力、情報収集力などのことを指します。


2.セルフマネジメントスキル
自分自身がどういった価値基準を持って物事を判断し、
行動しているかを理解する技術のこと。仕事に対する価値観の自己理解と言えます。


4.ポテンシャル採用市場の現状

20代の若手層の求人数が、総求人数の約8割を占めることからも分かるように、
企業側は若手人材を欲しており、売り手(候補者)が優勢な状況にあります。
新卒採用のみで人員を確保出来、
中途採用を行わない1部上場クラス・老舗企業といった大手企業からの求人数が増加しており、
若手層の活躍が企業の成長を支えるベンチャー企業からも、
更なる戦力の確保を目指し求人依頼が殺到しています。
新卒時には学歴などの点で入社が出来なかった企業に、
ポテンシャル採用だからこそ入社が出来るというケースも多く見られるのが現状です。


5.ポテンシャル採用を成功させるには

経験や実績などの数値ではかるキャリア採用とは異なり、
潜在能力や可能性といった抽象的で目に見えない点で
採用の可否を決定しなければなりませんので難しい判断基準が求められます。
つまり候補者の長所や伸びしろをきちんと理解し、
採用することのメリットをより具体的イメージする必要があるのです。


ポテンシャル採用の成功の鍵は、
自社の魅力をどれだけ候補者にアピールできるか、に尽きます。
給与条件や福利厚生などの処遇はもちろん大切ですが、
それよりも、候補者のキャリアビジョンを実現出来る環境があるかどうかを示すことが重要です。


6.総括

『ポテンシャル採用』は、
不足している若手層を充足させることが出来るという意味で非常に有用です。
スポット的に担当者の穴埋めをする場合が多いキャリア採用とは異なり、
会社の方向性を理解し会社と共に成長し得る、
新卒採用により近いポテンシャル採用層の若手人材の採用は、
会社の中枢部分を支えるもので、今後の会社の成長性に大きく影響する存在です。


将来の幹部候補として、長期スパンで企業の成長・ビジョンの実現を捉え、
活躍を期待する人材の確保の手段として、
是非『ポテンシャル採用』を取り入れてみてはいかがでしょうか。

管理部門・士業業界最大級の求人数と職種・転職に精通したアドバイザーが転職をサポート。ご要望に応じた転職先をご提案いたします。

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