2024年04月08日

弁護士は在宅可能?一般民事・企業法務・インハウスに分けて解説!

管理部門・士業の転職 管理部門・士業の転職

働き方が多様化した今日、業界を問わず在宅で仕事をする方が増えています。
情報の保護や対面での対話の重要性が問われる弁護士の仕事は在宅に不向きである印象が付きまとうものの、テクノロジーの進歩は弁護士にも在宅勤務という選択を可能にしています。
この記事では弁護士が在宅勤務する場合の課題や環境についてまとめるとともに、事務所所属の企業法務系弁護士・事務所所属の一般民事系弁護士・インハウスローヤーの3つのカテゴリに分け、在宅勤務との相性について解説していきます。

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弁護士のリモートワークに関する3つの課題

弁護士が在宅勤務をできるかどうか判断するのは、まず以下の3つの課題について考える必要があります。

紙の書類を扱う場合が多い

弁護士業務はいまだに紙文化が根強く、訴状の提出や裁判所からの送付物など、重要な書類は紙でやり取りされることが多く、リモートワークの導入を阻害する要因のひとつとなっています。

個人情報の取り扱いが難しい

弁護士は守秘義務を負っており、機密情報の取り扱いには細心の注意を払う必要があります。 リモートワークを行う場合、事件記録などの重要な情報を事務所外に持ち出すことになるため、紛失や盗難のリスクが増えることから、情報保護の観点より、リモートワークの導入を慎重にさせてしまいます。

社内の情報共有が難しい

弁護士と事務員の業務内容は大きく異なっており、弁護士が自宅で仕事を進められたとしても、事務員は官公署への書類提出をはじめとする物理的な移動やFAXのやり取りなど事務所での作業が必要となる場合があります。 このような背景より、すれ違いが生じやすいため、社内全体での情報共有が難しくなってしまう点も考慮しなくてはなりません。

これらの課題を補えるようであれば、弁護士の業務を在宅で行うように体制を整えていくのも良い選択肢となってくるでしょう。


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リモートワークできる弁護士求人は58.7%

それでは、実際にどれぐらいの企業・事務所が在宅勤務可能なのでしょうか?
弊社MS-Japanの転職エージェントサービスMS Agentに2023年の1年間でご依頼いただいた求人を参考に見てみると、2023年に募集された弁護士求人は、全体の58.7%がリモートワーク可能でした。

新型コロナウイルスの流行や働き方改革により、リモートワークが普及しましたが、コロナウイルスの5類移行を機に出社スタイルに戻す企業・事務所も増えている一方で、6割近くはまだリモートワークも取り入れたハイブリット勤務を行っており、リモートワークが働き方として定着している企業・事務所も多いことがうかがえます。


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企業法務弁護士の在宅事情

企業法務を扱う弁護士が在宅勤務を行うことは技術的に見れば可能です。クラウドの活用により、業務データやスケジュール、タスクの管理、チーム間のコミュニケーションなどをリモートで行うことが可能となっているためです。また、郵便物も電子化され、タスク管理アプリの活用により、コロナ禍においてフルリモートでの業務遂行を実現する事務所も見られました。

しかし、「理論的に可能」であっても、「実際に可能」であるとは限りません。企業法務は基本的にチームワークが重視されるため、特に新人弁護士の場合にはリモートワークでの対応は限界があるといえます。同じ案件を担当する他の弁護士との円滑なコミュニケーションを叶えるために、対面でのコミュニケーションが必要な状況が生じることが少なくないからです。また、すべてのデータをクラウドで管理することは、メンバーに一定のITリテラシーを求めることを意味します。日常的にパソコンやスマートフォンを使いこなしている方であればスムーズに対応できるかもしれませんが、それが難しい方にとっては、これもまたリモートワークのハードルとなるでしょう。


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一般民事弁護士の在宅事情

一般民事弁護士の在宅事情一般民事を取り扱う法律事務所では個々の弁護士が自由に業務を進めることが多く、企業法務と比べて在宅勤務が適用しやすい環境にあります。最近の民事訴訟のIT化法案の成立により、より一層在宅ワーク環境の向上も追い風となっています。

IT化法案は、民事訴訟の進行をスムーズにし、弁護士の仕事の効率性を高めるための手段として導入されました。裁判所に足を運んで訴状を提出したり、訴訟記録を閲覧したり、といった手続きがオンラインで可能になりました。また、証人尋問のリモート実施要件も緩和されました。従来、証人が遠隔地に居住している場合や、法廷での尋問が精神の平穏を害する可能性がある場合に限り、リモート尋問が可能でしたが、今回の法改正により、当事者に異議がなければ、証人尋問をリモートで実施することもできるようになりました。判決書も電子化され、紙媒体の需要が減少したことから、判決書の提出や受け取りに伴う手間や時間が軽減され、審理期間が短縮化されるなど、弁護士が事務所に常駐していなければならない理由が失われていることから、一般民事を取り扱う弁護士が在宅で業務を担うことのできる環境の整備は今後もさらに進んでいくだろうと予想されます。


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インハウス弁護士の在宅事情

インハウスローヤーは在宅勤務しやすい環境であるといえます。この理由は、企業法務という仕事の性質と在宅勤務の親和性、法務のテレワークを支えるITサービスの拡充、そして新型コロナウィルスの影響による勤務スタイルの多様化が進んだためです。

企業の法務部門はオフィスワーク中心であり、多くの業務がパソコンを介して行われます。そのため、物理的な場所に縛られずに業務を行うことが可能であり、在宅勤務との親和性が高いといえます。事実、新型コロナウィルスの緊急事態宣言後に行われた日本組織内弁護士協会(JILA)のアンケートによれば、インハウス弁護士の90%以上が在宅勤務を経験していました。

このような状況を実現できた理由はITサービスの充実に他なりません。チャットやビデオ会議を可能にするMicrosoftのTeamsやビデオカンファレンスサービスのZoomなどのツールのおかげで、オフィスから離れた場所でもコミュニケーションと情報へのアクセスが可能になりました。さらに、「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」など法務向けのITサービスも利用されています。

しかし、完全な在宅化に向けてはまだ課題が残されています。上述のアンケート結果によれば、法務部門のテレワークの最大の障壁は「ハンコ」です。ハンコ文化がより電子化されれば、インハウス弁護士はより一層、在宅でスムーズに仕事を進めやすくなるといえます。

また、新型コロナウイルスが5類感染症と認定されたことにより、ビジネス推進において出社を求める方針とする企業が増えていますので、企業文化の確認も必要です。


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リモートワーク可の弁護士求人例

ここではMS-Japanの転職エージェントサービスMS Agentで取り扱う、リモートワーク可能な求人事例をご紹介いたします。

弁護士※リモート推奨/既存拠点のどこでも勤務可能

仕事内容
■個人向け業務:
不貞慰謝料 / 犯罪・刑事事件 / 離婚・男女問題 / 遺産相続・遺言書 / 借金・債務整理 等
■法人向け業務:
契約法務 / 新規事業法務 / アプリ・ウェブサービス / SaaS・サブスク法務 / 人事労務問題 / 企業間紛争 等
※案件の割合:
不貞慰謝料(60%)、刑事事件(17%)、企業法務(8%)、離婚(8%)、相続(2%)、債務整理(1.5%)、その他(2%)
必要な経験・能力
■弁護士有資格者
<歓迎スキル>
■TSLの取扱い分野(男女問題・刑事事件・債務整理・企業法務・相続など)の実務経験
<求める人物像>
・共感力とコミュニケーション能力がある方
・組織に対する柔軟な姿勢
※企業法務の経験の有無は問わない
※インハウス弁護士、検察官、他職種の経験者も歓迎
想定年収
700万円 ~ 2000万円

【弁護士】法務/リモート可◎

仕事内容
【主要業務】
・株主総会の企画・運営、招集通知・事業報告の作成、想定問答の準備、投資家の議決権行使への働き掛け
・法務リスク、レピュテーションリスクに関する経営等への適時・適切な情報提供・提言
・契約書のリーガルチェック、訴訟管理・対応業務、法務相談対応
・有価証券報告書の作成・開示、東証における適時開示
・インサイダー取引防止態勢の構築・運用、商業登記対応
【変更の範囲】
適性に応じて会社の指示する業務への異動を命じることがある
必要な経験・能力
■必要とされる経験:
・企業法務経験、株主代表訴訟対応、海外訴訟指揮経験
・後輩弁護士の指導経験(管理職経験)
■必要とされる知識:
・全般的な法律知識、特定法律関連知識(会社法、金融商品取引法、保険業法など)
・訴訟対応知識・経験
・契約書審査能力
■必要とされるスキル:
・弁護士資格保有者
・TOEIC 800以上が望ましい
想定年収
700万円 ~ 1800万円

弁護士※時短勤務可・リモートワーク可/働き方柔軟に対応

仕事内容
交通事故(被害者側のみ)、企業法務、離婚、相続、労働、破産、財産管理等の幅広い法律分野。
経営者との多様な相談対応。多様な案件を経験し、自身の能力やスキルを磨く。
必要な経験・能力
<必須条件>
◆弁護士資格
<求める人物像>
◇責任感を持って弁護士業務に取り組める方
◇素直・プラス発想・勉強好きの方
◇将来一緒に事務所を創っていける方
想定年収
600万円 ~ 990万円


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独立した弁護士が在宅勤務をするには?

弁護士が在宅勤務をするためには、リモート設備を整えること、在宅勤務体制を構築すること、の2つのステップが必要となります。

リモート設備を整える

クラウドとVPNの利用がおススメです。クラウドはMicrosoftのOneDrive、Dropbox、Googleドライブなどのサービスを利用し、データを事務所内のコンピュータではなく、インターネット経由でアクセスするサーバ(クラウド)に置きます。これらの利用には弁護士の守秘義務を担保することが必要となってくるため、利用規約を熟読して第三者が自由にデータにアクセスできないようなものを選ぶことが重要です。より安全を期す場合には、VPNを利用することで事務所内のPCに安全にアクセスすることができるので、データを外部に置く必要がなくなります。

在宅勤務体制の構築

在宅可能な業務を棚卸し、就業規則などを確認するとともに、従業員や取引先に対する説明やフォロー対応の整備が必要です。これらを経ることで情報漏洩や作業効率の低下のリスクを評価し、万が一の場合が起きたときにも備えやすくなります。また、特にテレワーク中は従業員同士のコミュニケーションが不足しがちなので、管理する立場の従業員に積極的なコミュニケーションを促すことも大切なポイントとなってきます。


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まとめ

弁護士の仕事は大きく分けると事務所所属の一般民事系、事務所所属の企業法務系、インハウスローヤーの分野となりますが、これらの業務はいずれも環境さえ整えることができれば、在宅勤務で行うことは十分可能です。

一般民事では、クライアントとのコミュニケーションをITサービスの活用を介して行うことで、在宅勤務が可能になります。企業法務でも同様に、ITツールの活用でリモートでの法的助言やコンサルティングが実現可能です。特に注目すべきはインハウス弁護士の在宅勤務の進展です。

新型コロナウイルスの蔓延に伴い、90%以上のインハウス弁護士が在宅勤務を経験しているとの日本組織内弁護士協会(JILA)のアンケート結果は、法務が在宅業務との親和性を持っている証であるともいえます。今後のハンコ文化の改善や在宅ワークに伴う企業文化の確認は必要ですが、弁護士の仕事はより在宅で済ませられる環境へと近づいていくことでしょう。

管理部門・士業の転職

この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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