2023年04月01日

製造業(メーカー)経理で求められるスキルとキャリア

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製造業(メーカー)経理で求められるスキルとキャリア

製造業の経理、いわゆるメーカー経理は、一般的な小売業・商社等の経理と異なり、工業簿記の概念を知らなければなりません。 小売業は「仕入れたモノを売る」ことで商売が成り立っていますが、製造業は「原材料を購入して自社で製造したモノを売る」ことで収益を生み出しています。

すでに出来上がっているものを仕入れるのではなく、自社で商品を製造して業者に売る・あるいは直接販売する工程があるため、単純な商業簿記では正確に原価を把握することはできません。 この記事では、メーカー経理で求められるスキルやキャリアについて、製造業の特徴を踏まえつつご紹介します。


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メーカー経理は「原価計算」が必須と心得る

自社工場で製品を製造する場合、単純に材料を仕入れたとしても、それだけが経費になるわけではありません。 具体的には、外部から購入した原材料の「材料費」・材料を組み立てたり加工したりして製品を作る工員の工賃である「労務費」・製品を作るにあたり使用する設備や電気料等のランニングコストである「経費」などが組み合わさって、原価が算出されます。

また、原価の性質によって、発生した費用は直接費と間接費に分けられます。 直接費というのは、製品を製造する際に直接関わる部分で発生した費用のことで、例えば石鹸Aに対しての主要材料の一つが苛性ソーダだとしたら、苛性ソーダは製品Aの直接費として分類されます。

これに対して間接費は、例えば石鹸Aと洗剤Bを作っている工場が同じ場所に立地していて、建物の賃料や電気料がひとまとめになっている場合、どちらの製品にどの程度電力を使っているのかが分からないため、間接費として分類します。 単純にまとめると、商品が出来上がるまでにかかったお金を用途ごとに細かく分けることで、製品1個あたりの製造原価を計算することが、メーカー経理には求められます。


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原価計算の手順

原価計算について基本的な考え方が分かったら、次は原価計算の手順を押さえる必要があります。 先にご紹介した流れで、材料費・労務費・経費につき直接費と間接費に分けたからといって、その時点で原価が集計されたわけではありません。

工場は、直接製品の製造作業が行われる部門(製造部門)だけでなく、工場の製造作業を支える部門(補助部門)の働きがあって初めて稼働します。 そのため、直接費と間接費はそれぞれの原価要素に応じて、直接の部門に費用を組み込む「賦課(ふか)」・一定の基準に従って部門別に振り分ける「配賦(はいふ)」の手順を踏まなければなりません。

ここまでのステップを踏んでから、次は原価要素を各製品別に集計して、最終的な「製品単位での製造原価」を割り出します。 生産形態の種類に応じて、用いる計算方法が異なる点に注意が必要です。

最も基本的な考え方として、「個別原価計算」は比較的分かりやすいでしょう。 この計算方法は、異なる種類の製品を個別に生産する方法に対して用いられ、製造作業についての命令書である「特定製造指図書」の製品ごとに原価の算定が行われます。 同じ種類の製品を作っている場合は「単純総合原価計算」が、同じ種類でも大きさや形で区別される場合は「等級別総合原価計算」が用いられていることが多く、実地で計算する場合は社内ルールを事前に把握することが大切です。


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経営における原価計算の重要性

原価計算は、経営において複数の目的を持った会計処理です。 例えば、経営における以下のような要素を担っています。

  • ○正確な利益を把握すること
  • ○損益分岐点を把握すること
  • ○製造工程における原価のムダを把握すること
  • ○事前に利益をある程度まで把握すること
  • ○設備・人員等に割り振る計画を立て、自社のリソースを把握すること

これらの情報は経営戦略に直結するため、会社としてどの部門に力を入れ、どの部門の予算を縮小するかなど、戦略上の具体的な数字を算出するために有効活用されます。 せっかく売上が前年度を上回ったとしても、その分原価割れやおかしな支出があれば、結局のところ、自社できちんと儲けを出しているのかが分からなくなります。

また、単純に材料を仕入れただけでは利益を出せない製造業では、どれだけ質の高い製品を効率的に安く製造できるかが勝負です。 そのためには、原材料にこだわるのか、あるいは工員の技術にこだわるのか、強みを絞った投資が必要です。 限られたリソースを有効に活用するためにも、製造原価を正確に把握することは、メーカー経理にとって重大な使命と言えるでしょう。


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メーカー経理へのキャリアパス

メーカー経理へのキャリアパス

経理職の年収は、事業規模が大きくなるほど上昇する傾向にあります。 また、製造業と非製造業とで金額に差が生じる例も少なくなく、小売業からメーカー経理への転職により、年収アップが見込める場合も十分考えられます。 メーカー経理で働くために、製造業での職務経験は必ずしも求められるわけではありません。 経理担当者が少ない工場なら、仕訳の実務経験があれば応募可能としている職場も見つかるため、求人情報をこまめにチェックしましょう。

ただし、大手企業・外資系企業に転職する場合は、事業管理や原価管理の経験があること・高度な会計に関する資格を持っていることなどが条件になる会社もあります。 キャリアパスについても、海外駐在を前提とした雇用条件になっているところは珍しくなく、係長クラスで年収800万円を実現できるケースも見られます。 製造業は、海外に拠点を持っている会社が多いため、英語など外国語のスキルがあった方が有利に働きます。 メーカー経理として大きな成果を望むのであれば、グローバルな環境で働くことが求められると考えてよいでしょう。

弊社MS-Japanは、管理部門に特化した転職エージェントです。原価計算の経験がない方でも応募できる求人も揃えています。メーカーの経理職にご興味のある方はお気軽にご相談下さい。

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