企業法務が人材不足の今、転職市場は求職者有利な状況に!
法務への転職を希望し、転職市場について調べている中で、法務が人材不足であるという情報を知った方は少なくないでしょう。
この状況は、転職希望者にとって絶好のチャンスとなるかもしれません。
本記事では、法務経験者と未経験者それぞれの転職の可能性、求められるスキルや資格、法務で描けるキャリアパスについて解説していきます。
人材不足の観点から、どのような人材が求められているのかご理解いただき、希望の転職につながれば幸いです。
法務の人材不足はホント? ウソ?
MS-Japanが2023年に実施した「法務部門の課題に関するアンケート調査」によると、法務部門では「人手不足の解消」が最も優先すべき課題として挙げられました。
多くの企業では、法務部門が限られた人数で業務を遂行しているなど、慢性的な人材不足に悩まされていることが明らかになっています。
企業法務には高度な専門知識を要するため、適切な人材の確保が難しいのが現状です。
法務部門の業務には、法令遵守や契約書の作成・管理、リスクマネジメントなど、多岐にわたる専門的なスキルが求められます。
自社の法務にマッチする人材を見つけるのは容易ではなく、この状況は、特に中小企業において顕著です。
結果として、法務部門の人材不足は深刻な課題となっています。
企業法務が人材不足と言われる原因
法律の専門知識を持つ人材の確保が難しい
特に法令が改正されるたびに新しい知識を身につける必要があり、そのためには継続的な学習が欠かせません。
企業が即戦力を求める一方で、これに対応できる人材は少なく、法務分野での人材確保が難しくなっています。
また、法律の専門家としての資格やスキルを持つ人材も限られており、特に若手の法務人材は希少です。
未経験人材の採用が難しい
その反面、直接利益を生み出さない管理部門への人員増加は、特に中小企業で躊躇されがちです。
新卒や未経験者を採用して育成する余裕がない企業も多く、専門性の高い法務は経験者に頼る傾向があります。
結果的に、一人の法務担当者が多くの業務を抱える「一人法務」状態となる企業が目立ち、これが人材不足と言われる一因となっているようです。
大手企業で法務人材を争奪している
中小企業はこうした条件に応じにくい一方、環境や制度が整った大手企業は、高いレベルの条件を提示する余裕があります。
その結果、優秀な法務人材が大手企業に集まり、余裕のない企業で人材が不足するといった偏りが生じているのです。
大手企業が法務部門の充実に注力し、待遇改善やキャリアパスの明確化を進めていることも、偏りに拍車をかけています。
人材不足が及ぼす法務の将来性への影響
企業があらゆる領域でデジタル技術を取り入れる動きは、法務の業務においても例外ではありません。
すでに、法務の人手不足を補うために、AIやデジタルトランスフォーメーション(DX)による業務効率化が図られています。
いわゆる「法務DX」「デジタル法務」の一環として、ルーティン業務の自動化や契約書のデジタル管理により、効率性の向上が見られます。
また、「リーガルテック」という言葉の普及に伴い、法務業務を支援するリーガルテックツールの導入も進んでいます。
リーガルテックツールは、契約書の作成・管理、法令検索、リスクアセスメントなどを効率的にサポートし、法務部門の負担を軽減するものです。
しかし、主に単純作業を得意とするAIは、人間とのコミュニケーションには向いていません。
法務業務には、人間の洞察力や法的判断、倫理的配慮などが欠かせず、対人のトラブル対応も含めて、AIでは代替できない部分が多く潜在します。
テクノロジーの導入によって人材不足の課題が解消される部分もありますが、法務の核となる業務は人間の能力が必要です。
むしろ、法務人材とAIとの共存が、法務の将来に明るい相乗効果をもたらすでしょう。
裏を返すと…法務は「売り手市場」
特に以下のような好機が象徴的です。
法務経験者は市場価値が高い
20代や30代の若手のみならず、40代でも応募企業にマッチする経験やスキルがあれば、転職の可能性が高まります。
経験者の場合は、これまでの実務経験やスキルを活かせる業界の求人を目当てに、転職活動を進めると良いでしょう。
例えば、M&Aやコンプライアンス対応などの専門分野での経験がある場合、そのスキルを求める企業は少なくありません。
市場価値を活かすためには、実務経験にもとづく具体的な成果や実績をアピールすることが肝要です。
20代であれば実務未経験でも転職のチャンスがある
しかし可能性はゼロではなく、法律の基礎知識がある20代であれば、実務未経験でも法務人材として採用されるチャンスが広がっています。
特に、ビジネス実務法務検定やビジネスコンプライアンス検定など、法務に関連した資格を取得することで、選考時に評価されやすくなります。加えて、法学部を卒業されている方などで、実務経験がない方を対象としている求人もございます。
資格は法務の基礎知識を証明する手段として有効であり、企業にとっても新たな法務人材の育成コストを抑えられるメリットがあります。
売り手市場における「若さ」は、求職者の特権的な強みです。
若いうちからの挑戦と準備が、未経験者にとっての転職成功のカギと言えるでしょう。
法務に求められるスキルや資格
ここでは、法務に求められるスキルと資格に着目してみましょう。
法律の専門知識
企業法務は広範な法分野をカバーするため、法令の理解だけでなく、実務に即した知識が求められます。
また、法改正に対する迅速な対応能力も重要です。
法務担当者は常に最新の法情報を収集し、自社の業務に適用する力が求められます。
さらに、国際取引やM&Aなどの特殊な案件に関する知識も、競争力を高める要素となります。
課題解決能力+提案力
共通する点は、それぞれの課題や問題の本質を見極め、解決に導くことです。
そのためには、法知識を駆使するだけでなく、実効性のある提案力も求められます。
課題は他者から与えられるものではなく、自ら発見し、能動的に対処する姿勢が重要です。
課題解決能力と提案力は、法務人材としての評価を高めるスキルと言えるでしょう。
ビジネス実務法務検定
3級から1級まであり、合格率は3級で約70~80%、2級で約20~50%、1級は約10%程度となっています。
3級と2級は働きながらでも取得しやすく、2級合格後に1級への受験が可能です。
ビジネス実務法務検定は法務分野で知名度が高いことから、この資格を人事異動や採用時の評価に活用している企業は少なくありません。
法務の実務未経験者でも2級以上を持っていれば、転職活動でアピールしやすいでしょう。
ビジネスコンプライアンス検定
試験は初級と上級があり、初級の合格率は約40%、上級が25%程度です。
この検定資格を取得すると、企業が求める基本的なコンプライアンス知識を有している証明になります。
合格に必要な学習期間は、初級で1〜2ヶ月、上級で2〜3ヶ月と比較的短期間です。
法務を目指す転職で評価されやすいだけでなく、自らのコンプライアンスに対する意識が高まるため、ビジネスパーソンとしても取得する価値があります。
企業法務で描けるキャリアパス
例えば、3~5年までは若手の法務人材として、その後8〜10年までは中堅スタッフとして経験を積んでいき、その後は以下のようなキャリアパスが考えられます。
法務部門の管理職
管理職の主な役割は、部下の育成や業務の効率化、法的リスクの管理など、部門運営に関するマネジメントが中心です。
課長やマネージャーなどの役職に就くことで、自身の裁量によってチームビルディングを行うなど、やりがいも実感しやすくなります。
法務の専門性を高めるリーダーとして活躍すれば、さらなるキャリアも視野に入ってくるでしょう。また、M&Aや商事法務など企業にとって、専門性のあるキャリアなどにも挑戦できるポジションもございます。
法務を含む管理部門全体の統括責任者
法務実務の十分な経験と実績を伴っていれば、決して不可能なキャリアではないでしょう。
経営層と連携しながら、攻めと守りの法務を執り行うことで、企業全体の運営に影響を及ぼす立場となり得ます。
管理部門全体を見渡すキャリアは、役員や経営層に抜擢される可能性にも通じます。
特定分野の法務専門性を極める
例えば、労働法や知的財産権、国際法務などに精通していれば、その分野のスペシャリストとして社内で活躍することができます。
専門性を深めることで、高度な法務戦略の立案や、複雑な法的問題を解決に導くことも可能です。
専門性を活かしたキャリアパスは、自社内だけでなく業界での評価につながり、キャリアの可能性を広げる機会となるでしょう。
まとめ
転職市場は「売り手市場」となっており、法務経験者はもちろん、若手の未経験者にも転職のチャンスがあります。
法務に求められるスキルや資格を理解し、自身のキャリアパスを描くことで、法務分野への扉は開かれます。
企業法務が人材不足の今こそ、求職者に有利な条件や法務人材としての市場価値を最大限に活かし、キャリアの成功を目指しましょう。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。企業側を支援するリクルーティングアドバイザーとして約6年間IPO準備企業~大手企業まで計1,000社以上をご支援。
女性リクルーティングアドバイザーとして最年少ユニットリーダーを経験の後、2019年には【転職する際相談したいRAランキング】で全社2位獲得。
2021年~キャリアアドバイザーへ異動し、現在はチーフキャリアアドバイザーとして約400名以上ご支援実績がございます。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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