気になる!税理士のボーナス事情
もうすぐ7月になります。すでに夏のボーナスが出て、思い思いの用途に使ったり、貯めたりしている方も多いのではないでしょうか。お金を扱う職業である税理士は、どれほどのボーナスをもらっているのか気になるところです。今回は、税理士のボーナス事情についてお届けします。
税理士にとってのボーナスシーズンはいつ?
企業や税理士事務所に勤務している税理士に対しては、その企業や事務所に利益が出ていれば、ボーナスが支給されることになります。多くは一般の会社員と同じく、夏と冬の2回支給のタイミングがあります。
ただ、夏のボーナスシーズンにあたる6月から7月は、税理士にとって繁忙期がピークに達して、佳境を迎えているか、繁忙期をようやく過ぎて落ち着いたころです。
法人の確定申告は、期末で締めて、その締め日から2か月以内に税務署に申告しなければなりません。多くの法人では年度末である3月末日を締め日として設定しているところが多く、確定申告の代行者として依頼を受けている税理士としては、5月末日を〆切として確定申告を申請しなければならない場合が多くなるのです。
その後、ピークを過ぎてもしばらくは他の仕事が山積みになっている場合もありますし、一息落ち着ける場合もあります。つまり、ボーナスをもらっても、すぐに使う暇がない税理士がいれば、使い道をゆっくり考えられて、しばらく旅行などに出かけられる税理士もいます。繁忙の具合は、各税理士にとっての勤務先の状況によってまちまちです。
税理士のボーナスの平均額は?
税理士業界では、独立開業をしている人が多数派なのですが、企業や税理士事務所に勤務している人も、税理士全体の約2割を占めています。彼らは、企業や事務所に雇用されている関係で、労働契約等に基づいて、給与や賞与を受け取る立場となります。
厚生労働省が、社会人の給与水準の現況について毎年調査している統計結果をまとめた「賃金構造基本統計調査」平成29年度版には、「公認会計士、税理士」という項目が載っています。
つまり、税理士と公認会計士を合わせた給与の統計しか、公式には存在しないのです。全体平均を公認会計士資格者が引き上げるか引き下げるかしている可能性もありますが、同じ会計系の資格ですので、税理士のボーナス額の目安になります。
「賃金構造基本統計調査」平成29年度版によれば、男性の「公認会計士、税理士」の平均年齢は、40.3歳、同じく女性は41.7歳となっています。
その「年間賞与その他特別給与額」の「40歳~44歳」の統計をチェックすると、男性は「311万7500円」、女性は「248万0700円」と出ています。
賞与が年2回出ると考えて、かなり魅力的な額のボーナスが支給されていると考えていいでしょう。
また、「賃金構造基本統計調査」では、所属している事業所の「規模別」データも公表されています。
企業規模が「10人~99人」の場合、年間賞与は「110万8800円」。
企業規模が「100人~999人」の場合、年間賞与は「126万6700円」。
企業規模が「1000人以上」の場合、年間賞与は「254万6100円」となっています。
企業規模と賞与の額は、正の相関関係があるといえるでしょう。
ボーナスを得るなら、税理士事務所と一般企業、どちらがいい?
待遇面で税理士資格を活かすという意味では、結論から申し上げると、一般企業で経理の責任者として就いたほうが有利でしょう。
なぜなら、経費削減の見地から、企業の税務処理は外注するよりも内製的に進めていく傾向がますます強まっていくと考えられるからです。企業内の事情を知悉している税理士資格者が経理部にいれば、社内では唯一無二の存在として評価されるため、待遇も上がっていきやすいです。
税理士業界は、決して順風満帆ではありません。むしろ、逆風が吹きつつあります。
税務の専門家として、決算や確定申告を代行することが、税理士の主要業務です。これらを手作業で行っていた時代には、税理士の社会的存在感は大きかったのですが、コンピュータや会計ソフトの発達によって、税務や会計の素人でも、それなりの帳簿や確定申告書を仕上げられるようになっています。
これから、AI(人工知能)やIoT(物のインターネット化)の技術が飛躍的に進展し、会計の分野でも応用されるにつれて、数字合わせだけなら機械がより高速かつ合理的に処理されていくでしょう。
つまり、独立開業している税理士は、「お金の計算に強い」という基礎能力もさることながら、将来的にはクライアントや税務当局と直に対峙する、人間的なコミュニケーション能力や交渉能力、コンサルティング能力がより一層求められるものと予想されます。
まとめ
あくまで統計上の平均で語るとするならば、勤務税理士のボーナス水準は、一般の社会人よりも相当高い水準に達しているといえます。
しかし、その水準が将来的にも約束されているわけではありません。コンピュータがこれから飛躍的に発達していくにつれて、税理士の役割は過渡期を迎え、変容を余儀なくされています。その過渡期に対応できた税理士ならば、社会的な重要性は減衰せず、ボーナスなどの待遇も引き続き高い水準で維持されることでしょう。
<参考>
・e-Stat政府統計の総合窓口-賃金構造基本統計調査 / 平成29年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種
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