求人増える国際法務にはどんなスキルが必要?
グローバル化によりニーズが高まる国際法務
国際法務とは、国内企業が海外へ進出する際に必要となる法務のことです。近年、海外企業とのM&Aや、アジアへ進出する企業が増えたことで、国際法務担当のニーズはますます高まっています。 国際的な法務担当ということで、外資系企業の法務担当と混同されることがありますが、国際法務と外資系企業の法務は大きく異なります。外資系企業の場合は、国内の事業であれば日本国内の法律の知識があれば十分ですが、国際法務の場合は、進出先の国の法律や商慣習を理解する必要があるのです。
グローバル化するビジネスの現場において、大きな可能性を湛(たた)えている国際法務。その仕事内容と、採用の条件とはどのようなものなのでしょうか。
国際法務の具体的な業務内容
国際法務は、海外進出する企業を支えるため、さまざまな法的サポートを行います。その仕事は、社外向けの業務と社内向けの業務とに分けられます。 社外向けの業務としては、子会社や貿易相手、現地代理店とやりとりしながら、契約交渉・契約書作成、紛争・訴訟の対応などを行います。
社内向けの業務としては、M&Aや子会社の設立、事業再編といった大々的なプロジェクトから、日々の細かな業務まで、国際的な視点から法的アドバイスを行います。海外進出には、各国の法律や税制度、会計基準などに対応した戦略が求められるため、専門的知識を持った国際法務担当者の意見が不可欠なのです。
国際法務担当になるためには?
国際法務担当になるためには、第一に高い英語力が求められます。国際法務担当は、英文の専門用語がならぶ契約書を、正確に理解し、誰にでも理解できるものとして作成することが求められるからです。海外留学経験者は有利でしょう。
また、法律の知識もいうまでもなく求められます。国際法務担当として適格であるとみなされるための資格として、米国をはじめとする海外弁護士資格があげられます。ただし、海外弁護士資格は有資格者が少ないため、日本の弁護士資格でも、国際法務担当者になるためには有利です。また、弁護士以外でも、司法書士や行政書士、弁理士、社会保険労務士などの法律系国家資格の保有者、および法科大学院修了者も評価されるケースが多いです。
国家資格以外でも、ビジネス実務法務検定も評価されるケースがあります。ビジネス実務法務検定とは、ビジネスにおける法令遵守の基礎となる実践的な法律知識を、体系的・効率的に身につけることを目的とした検定です。法律系の国家資格を保有していない場合には、受検を検討するのも良いでしょう。
進出国の理解が求められる国際法務
国際法務を担うには、国際法を理解しなければなりません。国際法とは、国家間の関係を規定する法律のことで、文章化されている「条約」と、文章化されていない「慣習法」から成り立っています。また、国際法の背景にある国際情勢の把握も求められます。 そのほか、進出先の国の法律や商慣習、歴史、文化などに精通していることも大切です。時には英語だけでなく、その国の言語の理解も求められます。
海外ロースクールに留学した経験がある人や、海外弁護士資格を持っている人は、現地の言語・文化を理解しているとされ、国際法務に必要な素養があると判断される可能性が高いでしょう。
経験者が少ないことから、企業の採用意欲が高いと考えられる国際法務。少しハードルが高く思えるかもしれませんが、海外経験・法律知識のある人は、積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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