ケース面接とは?流れや評価ポイント、出題傾向などを解説
コンサルティングファームなど、主に企業戦略の分野に携わる職種では、面接の方法・傾向も独特です。
特に、応募者の論理的思考力や問題解決能力を把握するための「ケース面接」は、一般的な企業面接ではほとんど実施されないため、事前準備なしでは太刀打ちできない可能性があります。
この記事では、ケース面接の流れや評価ポイント・出題傾向など、ケース面接対策ついて解説します。
ケース面接とは
ケース面接を実施する企業はそれほど多くなく、実施する企業にも特徴が見られます。
以下、ケース面接の概要や、ケース面接を行う主な業界について解説します。
ケース面接とは
ケース面接とは、面接官から与えられた課題に対して、与えられた時間内に応募者が解答を作成する面接手法です。
面接室や別の個室で解答を作成し、出来上がった解答をベースに面接官とディスカッションを行います。
作業にかけられる時間は、解答を作成する時間が15~30分、ディスカッションは10分程度が一般的です。
ディスカッションでは、紙やホワイトボードを使用することもあるため、現職以前で使用する機会が少なかった人は、紙・ホワイトボードを使った説明に慣れておく必要があるでしょう。
ケース面接を行う業界は?
ケース面接が出題される主な業界としては、次のようなものがあげられます。
- ・コンサルティングファーム
- ・商社
- ・投資銀行
コンサルティングファームでは、様々な業界の企業のコンサルティングに携わるため、思考の柔軟性を問う問題が出題される傾向です。
商社は、既存事業を発展させる施策など、アイデアのブラッシュアップが要求される質問が目立ちます。
投資銀行に関しては、特定の業界の市場規模推定、企業の財務状態を見た上での変動要因予想に加えて、企業活動に国が介入することへの是非を問う問題が出題されたケースが見られます。
ディスカッションで予想を超える方向へ展開することも十分考えられるため、複数の質問を想定した準備が求められます。
ケース面接の流れ
ケース面接は、「口述試験」に近い面接であり、一連の流れを把握した上で挑む必要があります。
以下でケース面接の具体的な流れを見ていきましょう。
1.課題出題
ケース面接では、最初に面接官が応募者に対して課題を出します。
課題は企業によって様々ですが、資料等が与えられていない中での推定や、企業が直面している問題の特定などが選ばれる傾向です。
2.解答作成
次は、課題に対する解答を作成していきます。
応募者は、各種手法や思考法などを駆使して、制限時間内に自分なりの解答を導き出します。
その後のディスカッションで問われる質問を想定し、その回答も作成する必要があります。
3.解答と思考プロセスのプレゼンテーション
ケース面接では、解答だけでなく、“解答を導き出すに至った思考プロセス”のプレゼンテーションを実施します。
これは、実際のコンサルティングの現場を想定しており、自分が考えたことを面接官が分かりやすいように伝えなければなりません。
プレゼンテーションは、次の流れで考えをまとめる方法が一般的です。
- 最終的な解答は何か
- 解答を導き出した根拠は何か
- 最終的な解答以外の案はあるのか
- 複数の解答における、それぞれの効果はどうなっているのか
4.質疑応答(ディスカッション)
応募者の回答とプレゼンテーションの後、面接官は「説明が不十分と感じた部分」や「補足が必要な部分」などを質問します。
解答・思考プロセスに矛盾がある部分も指摘されますが、面接官は最初の段階で完璧な解答を求めているわけではないため、応募者は気持ちを切り替えてディスカッションに臨むことが重要です。
自分の解答に固執するのではなく、場合によっては面接官の改善案を取り入れつつ、より良い提案を行うことも想定しておきましょう。
面接官はケース面接で何を評価している?
ケース面接を攻略するためには、面接官が「応募者のどのような点を評価しているのか」を理解することが大切です。
具体的に何を重視しているかは、企業によってポイントが異なりますが、例えば次のような点が評価対象になります。
評価点 | 詳細 |
---|---|
論理的思考力 |
・問題解決のため、筋道を立てて自分の考えを伝えられるかどうかが問われる ・現状を分析する力、課題を特定し戦略を考える力、提案の効果を測定する力など、幅広い分野でロジカルシンキングが求められる |
数字を読み解く力 |
・数字の単純な計算だけでなく、個々の重要な数値の意味を理解し仮説を立てる能力が必要 ・データがない場合は、自ら推定する能力も求められる |
地頭の良さ |
・過去の事例にのっとって判断するだけでなく、自分の頭で問題解決に向けたアイデアを出せるかどうかが問われる ・面接官は「練習問題通りの解答」を期待していないため、オリジナリティを解答に反映させられるかが重要 |
聴く力 |
・面接官をクライアントに見立て、ヒアリングした内容を踏まえてより良い答えにたどり着こうとする姿勢が問われる ・面接官の指摘を誤解しない理解力も必要 |
伝える力 |
・自分の考えを説明する際は、できる限り分かりやすい構成で、言葉を選んで伝えることが大切 ・専門用語等を極力使わず、かみ砕いて説明できるような人材が望ましい |
メンタルタフネス |
・時間制限がある中で、妥当な解決案を提案できるかどうかが問われる ・限られた時間で出した答えに指摘が入っても、堂々とコミュニケーションがとれるメンタルが求められる |
ケース面接の解答方法
ケース面接で出題される問題は、一見明確な答えがない抽象的なものに思えるため、初めは戸惑う人が多いでしょう。
しかし、以下のような解答を作成するための工程(解答方法)を頭に入れておくと、解答をスムーズに組み立てることができるでしょう。
1.前提条件を確認する
的を射た解答を考えるためには、出題内容の前提条件を確認する必要があります。
具体的には、次の内容を確認し、解答に反映します。
- ・出題された単語の意味や定義
- ・施策を“誰が”実行するのか
- ・最終的な目標は何か
- ・いつの話なのか など
上記の内容を整理してから次のステップに進むことで、その後のプロセスでも一貫性が生まれます。
2.現状を分析する
前提条件の確認が終わったら、問題における現状分析を行います。
できるだけ詳細な分析をすることで理想的な解答に結びつきやすいため、売上や客数などは、単純な定点観測ではなく「時間・数量」などを切り取るように分解していきましょう。
例えば、店舗の売上について分析する場合、客単価を商品単価と注文商品数という2つの要素に分解できます。
客数は、座席数・回転率・稼働率・営業時間などの要素に分解することで、課題の特定がしやすくなるでしょう。
3.セオリーやフレームワークを当てはめる
分析した結果をもとに課題を特定するためには、課題解決に向けたアプローチを考える上でのセオリーや、分析に使えそうなフレームワークを当てはめることが重要です。
セオリー・フレームワークに頼ることで、要因の分解や分析に時間を使い過ぎてしまうリスクを軽減し、課題特定・プラン提案にたどり着く時間を短縮できます。
課題が企業戦略なら3C分析、消費者の購買意欲向上ならAIDMAなど、適切なフレームワークを必要に応じて活用しましょう。
4.具体的なプランへ落とし込む
課題が特定されたら、解決に向けたアイデアを具体的なプランに落とし込んでいきます。
この段階では、1つのプランに絞ることなく、複数のプランを計画していきます。
5.考えたプランを評価する
自分が考えたプランは、限られた時間の中で絞り出しているアイデアのため、実現可能性があるのかどうか見直しが必要です。
また、面接官に伝えた際に印象強く好感が持てる提案になるかどうかも踏まえ、各プランを評価していきます。
6.解答を決定する
複数のプランを比較検討し、実際に効果が見込めるプランを特定できたら、解答として面接官に伝えるプランを決定します。
逆に、時間内で説得力のあるプランが思い浮かばなかったときは、そのプランの課題に触れつつ解説するようにしましょう。
ケース面接の出題傾向
つかみどころがない面接にも感じられるケース面接ですが、出題テーマはある程度決まっているため、傾向に応じて対策を練ることは十分可能です。
以下、ケース面接で出題される問題の傾向について、主なものをいくつかご紹介します。
売上を予測し、向上させる問題
売上の予測と、現状から売上を向上させるための施策について問う問題は、ケース面接でもっとも出題されやすい問題の一つです。
例題としては、次のようなものが考えられます。
・ラーメン店の売上額をフェルミ推定で算出し、その売上を増やすための方法
・特定の業界につき、国内の市場規模を数年後に2倍にするための方法 など
ケース面接では、各案における効果の試算や実現性の検討にかける時間が限られているため、できるだけ定量的かつ単純な計算で説明できる案に絞りましょう。
利益を予測し、拡大させる問題
売上予測の発展型として、利益の予測と拡大を求める問題が出題されます。
売上からコストを差し引いて施策を講じるため、売上予測よりも難易度は高いと言えるでしょう。
例題の傾向は、先にご紹介した売上と同様ですが、算出するものが“利益”に変わります。
よって、人件費や原価、家賃といった費用の種類と、その割合を仮定して解答する必要があります。
賛否などの二者択一問題
各種メディア等で議論されている社会問題について賛否を問う問題では、例題の内容もシンプルにまとめられています。
一見簡単そうに見えますが、出題内容の前提を見誤ると見当違いな解答に終始するおそれがあるため、問題を聞いてからすぐに持論を導かないよう注意しましょう。
例題としては、次のようなものが考えられます。
・日本企業の発展において英語公用化は必須か
・日本国における正当防衛の要件は緩和されるべきか など
上記のようなテーマに対して、自分で定義づけ・条件設定を行った後、メリット・デメリットを整理します。
デメリットを解消できる解答が用意できるなら賛成の立場、難しい場合は反対の立場をとり、自分の意見を面接官に伝えます。
問題の内容は、必ずしもビジネスに関連したものとは限らないため、新聞やニュースメディアの情報を自分なりに整理しておくことをおすすめします。
社会問題を解説する問題
社会問題に関連する出題パターンとして、社会問題の解説および解決案を問う問題もあります。
例題は、次のようなものが考えられます。
・合計特殊出生率の低下の背景解説と改善する方法
・保育園の待機児童が増えている理由の説明、減らすための解決策 など
概ね、社会問題の解説においては定量化できる問題が出題されるため、数字を出して解決策を講じる流れになります。
新規事業を立ち上げる問題
業務に近い実践的な出題内容としては、新規事業を立ち上げる問題があげられます。
例題としては、次のようなものが考えられます。
・多くのユーザーが利用するアプリケーションのアイデア
・指定した業種等で大ヒットが見込める商品 など
このケースでは、すぐに求められている解答を用意するのではなく、実現したい目標を立ち上げてからビジネス案に落とし込むことが大切です。
例えば、アプリケーションにつき「総ユーザー数1,000万人」を目指すのであれば、ブランディングやビジネス展開・コラボレーションの可能性などを模索するイメージです。
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まとめ
面接官から与えられた課題について、自分の解答をベースにディスカッションを行うケース面接は、一般的な面接よりも求められる解答の水準が高い傾向です。
自分の解答にこだわり過ぎず、聞くべきことを聞き入れ、より良い解答に結びつける能力も問われます。
何の対策もしていない場合、まともな検討さえできずに時間が過ぎてしまう可能性もあります。
まずは、解答方法や出題傾向を押さえることが重要です。
実践的な対策をしたい場合は、弊社「MS Agent」にご相談ください。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。
会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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