2024年12月11日

USCPAは「転職・就職できない」って本当?正しい活用方法や求人例など

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USCPAは、会計業務や監査業務、税務、コンサルティングなど、財務会計の専門家として幅広い分野で役立つ資格です。USCPAは転職・就職時に評価対象となりますが、正しく活用できないと、適切な評価を得ることができません。

この記事では、USCPA取得者の転職・就職活動で押さえておきたいポイントや注意点などを解説します。
すでにUSCPAを取得している方はもちろん、これから取得を目指している方もぜひ参考にしてください。

USCPAの基本情報

USCPA(米国公認会計士)とは

USCPAとは、U.S. Certified Public Accountantの略称で、アメリカの各州が認定する公認会計士資格です。
取得していると、会計・財務分野の専門知識を証明できる資格で、アメリカ国内はもちろん日本においても高く評価されます。日本国内において独占業務はありませんが、日本の公認会計士と同様に会計・財務分野におけるキャリアアップの幅が大きく広がり、とくに国境を越えたビジネスに携わる機会を増やせるでしょう。

試験は科目合格制であり、州ごとに定められた有効期限までに全科目を合格する必要があります。日本人受験者の場合、不合格となる要因として英語力の低さが大きく影響します。
試験ではとくに「読み書き」が問われるため、おおよそTOEIC700点レベル以上の英語力が必要です。そのため、日本において、USCPAは高度な英語力の証明にもなります。

なお、USCPAはアメリカの公認会計士資格ですが、受験のためにアメリカまで行く必要はありません。試験は全米州政府会計委員会(NASBA)が主催していますが、日本をはじめ世界各国での受験が可能です。

取得までの流れ

USCPAを取得するまでの流れは以下のとおりです。

1.出願

自分が受験したい州を選択し、その州の出願条件を満たしていれば出願書類を提出し、出願手数料を支払います。
条件は州によっては異なりますが、通常は大学での4年間の学位と一定の経験が必要です。

2.受験

受験票(NTS)をメールで受け取り、試験会場を予約します。試験はすべて英語で行われます。
合格基準は各科目75点以上ですが、合格率が全体的に低く、難易度の高い試験といえるでしょう。

3.合否発表

各科目に対する合否が発表(スコアリリース)されます。
USCPAの試験は科目合格制であり、1度にすべての科目に合格する必要はありませんが、州ごとに定められた有効期限までに全科目を合格する必要があります。
全科目に合格した後、実務経験や倫理試験などをクリアしてライセンスが発行されれば、晴れてUSCPA取得者として活動できます。

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USCPAは「転職・就職できない」といわれる理由は?

日本のビジネスシーンにおいて、USCPAは「転職・就職できない」と言われることがあります。その理由として、以下の4つが考えられます。

日本での認知度が低い

USCPAは、日本の公認会計士資格と比較すると知名度が低いと言えるでしょう。
監査法人・企業が出した求人に、USCPA取得者と日本の公認会計士取得者が応募してきた場合、日本の公認会計士取得者が有利であると考えられます。それは後述する日本の独占業務が出来ないためです。

しかし、クライアントに多国籍企業や外資系企業が多い監査法人や多国籍に事業展開をしている企業などでは、USCPA取得者が優遇されるでしょう。USCPAを活かした転職を目指す場合、応募先法人・企業の情報収集が重要です。

また、USCPAは「国際的に通用する資格ではなく、アメリカの会計基準にしか対応できない」と誤った認識を持たれることもあります。
たしかにUSGAAP(米国会計基準)とIFRS(国際財務報告基準)の間には異なる部分もありますが、USCPA取得者が、アメリカの会計基準以外に対応できないわけではありません。USGAAPとIFRSの違いを認識して学習することで、IFRSの専門家として、アメリカ以外の国に進出している日本企業でも活躍できます。

日本の独占業務に対応していない

USCPAは、アメリカの会計・監査基準に準拠した資格でるため、日本の公認会計士の独占業務は適用されません
日本では、国内の公認会計士取得者のみが独占業務である「監査」に携わることが許されています。
USCPAは国際的に認知されている資格ですが、日本で監査を行うためには、別途、日本の公認会計士資格が必要です。

知識を活かせる職場が限定的

USCPA取得者のニーズが高い業界は、海外展開する企業をクライアントにもつ監査法人や会計事務所、コンサルティング会社、または外資系企業の会計・財務部門などです。

それ以外の職場ではUSCPA取得者のニーズは乏しく、日本の公認会計士取得者を積極採用しています。
資格を活かせる職場が限られていることもUSCPAは「転職・就職できない」といわれる理由のひとつです。

USCPAの求人は要求されるスキルが高い

USCPAは高度な会計スキルと英語力を証明となりますが、求人募集では資格の他にも高いスキルを要求しているケースが少なくありません
国内企業の求人では、30代後半〜40代で管理職経験や一定のマネジメントスキルがない場合、USCPA資格を持っていても不採用になる可能性があります。
また、監査法人での実務経験がなければ採用のチャンスは限られたものになるでしょう。

さらに、外資系企業やグローバル展開をする企業でも、国際的な経験やビジネスレベルの高度な英語力が求められるでしょう。
しかし、USCPAで証明できる英語力は「読み・書き」に限定されます。リスニングや英会話スキルを持つ求職者に対抗するためには、USCPA以外のアピールポイントで英語力をアピールする必要があるでしょう。

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USCPA合格後に転職・就職できない人の特徴

ここでは、USCPAを取得しても転職・就職が難しい人の特徴について解説します。

USCPAが活かせるキャリアを選択していない

USCPAは、主に外資系企業やグローバル企業を扱う監査法人などで需要がある資格です。
会計知識があるとはいえ、国内企業の経理部を希望しても、採用側は日本の公認会計士や日商簿記などの資格所有者を適任とするでしょう。
USCPAの資格が活かせないキャリアを選択することは、転職・就職が困難になる典型パターンといえます。

経理や財務など関連する業務経験がない

経理経験がすでにある場合は、USCPAの資格が有利に働く可能性があります。
逆に、経理や財務など関連する業務経験がない場合は、経験者が優先されるため、USCPAの資格をもっていても転職・就職は難しいでしょう。
資格は理論的な知識を証明しますが、実務経験に勝るアピールをすることはできないと考えられます。

転職・就職の準備が不足している

USCPAの取得だけでなく、転職・就職に備えてしっかりと準備を行うことも重要です。
応募先企業や業界に関する情報収集や志望動機、自己PRなどの自己分析、面接対策などが不十分だと、選考を通過することが難しいでしょう。
競合する求職者も十分に準備してくるはずなので、競争に勝つためには周到な準備が欠かせません。
必要であれば転職エージェントの支援を受けることも検討しましょう。転職エージェントでは、各業界に精通したキャリアアドバイザーによるキャリアカウンセリングや応募書類の添削、面接対策など、転職活動をトータルサポートしています。
現職が多忙で転職・就職活動に時間を避けない方でも、効率的に準備を進めることができるでしょう。

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USCPAを活かせる転職・就職先一覧

USCPAを活かせる転職・就職先一覧ここでは、USCPA資格が活かせる主な転職・就職先をクローズアップします。

監査法人

監査法人では、監査補助業務やアドバイザリー部門でUSCPA資格を活かせます
外資系企業や海外進出企業を顧客にもつ大手監査法人では、アメリカと日本の会計基準の違いを理解しているUSCPAが高く評価されるでしょう。
また、中堅監査法人でも、企業間取引のグローバル化に伴い、英語で財務諸表に対応できるUSCPA取得者の採用が増加傾向です。
海外需要の高まりや人材不足を背景に、若手で実務経験が少なくてもUSCPA資格を保有していれば、受け入れに前向きな監査法人は少なくありません。

コンサルティングファーム

財務会計を主に扱うコンサルティングファームでは、USCPA取得者の需要が高まっています
クロスボーダーM&Aなどの案件増加に伴い、財務データの分析やリスク評価に長けたUSCPAの存在は有用です。
とくに公認会計士に人気のFASでは、M&Aや企業再生に関連する業務でUSCPAの専門知識が重宝されるでしょう。

外資系企業

USCPAへの認知度が高い外資系企業は、USCPAを活かせる転職・就職先としてポピュラーな選択肢です。
とくにアメリカを拠点とする企業では、USCPA取得者を積極的に採用する傾向があり、経理や財務のポジションでニーズがあります。
外資系企業では、高度な英語力を活かせるフィールドとして、国際的なビジネス環境で活躍できる機会も期待できます。

一般事業会社

一般事業会社も、USCPAが活かせる有力な転職・就職先の1つです。
海外に事業部がある企業や海外子会社を抱える企業では、国際財務報告基準(IFRS)に精通したUSCPAのが求められます
USCPA取得者は、財務報告や内部統制の改善、資金調達、投資評価などの業務においてその真価を発揮します。
一般事業会社での経験は、業界に特化した知識や経営スキルの習得に役立ち、将来的なキャリア形成の基盤づくりにつながるでしょう。

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USCPAを正しく活用する方法とは

USCPAを活かして転職・就職活動を成功させるポイントとして、以下の点を挙げられます。

USCPAが評価される転職・就職先を選ぶ

USCPA取得者は、日本の公認会計士取得者だけの独占業務として認められている会計監査を行うことはできません。そのため、クライアントが国内企業のみ監査法人や、日本だけを活動拠点にしている企業などではUSCPAの需要は低い傾向です。
転職・就職先には、前述の「USCPAを活かせる転職・就職先一覧」で解説した通り、USCPA取得者が持つ国際的な会計・財務の専門知識や国際感覚、語学力を高く評価する業界を選びましょう

USCPAを通して英語力・会計知識をアピールする

USCPA取得者が転職・就職活動をする場合、英語力と会計知識の両方をアピールすることが重要です。
日本の公認会計士取得者の中で、語学力も兼ね備えた人材はそう多くはありません。
現職や以前の職場で英語を使用していた業務経験がある場合は、具体的にどのような業務において、どれくらいの頻度で英語を使用していたかを明確に伝えましょう

USCPA以外のアピールポイントも用意する

USCPAは高い英語力と会計知識の証明となりますが、アピールポイントがUSCPAだけに頼らないようにすることも重要です。
選考では、USCPAそのものに加えて、普段の業務への取り組み方やこれまでの実績、さらに他にどのような資格をもっているかなども合わせて重視されます。

そのため、自分が積み上げてきた実績や転職先でも即戦力として成果を出せる得意分野、若手・未経験者であればポテンシャル・熱意など、様々な角度からアピールポイントを用意しておくことが重要です。
USCPAの資格をもっていることがマイナスに作用することはありませんが、それだけを強くアピールしても高評価にはつながりません。

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USCPAの資格を活かせる求人例

ここでは、士業と管理部門に特化した転職エージェント「MS Agent」でご紹介可能な、USCPA取得者向けの求人例をご紹介します。

大手監査法人にて会計報告アドバイザリーの募集

仕事内容
・国際財務報告基準(IFRS)、日本会計基準並びに米国会計基準の導入および新基準適用支援
・決算経理業務の支援、決算早期化・効率化支援
・企業結合時のPMIおよび連結決算支援 など
必要な経験・能力
下記いずれかに該当する方
・日本の公認会計士(日本の公認会計士試験合格者を含む)
・米国公認会計士資格(USCPA)、その他外国公認会計士の資格保有者
・税理士資格保有者
・会計事務所、税理士事務所 勤務経験
・事業会社等での経営企画、経理財務(とくに連結決算業務)経験 5年以上
・会計系のコンサルティング業務(システムコンサルを除く)
想定年収
500万円 ~ 1,500万円

時価総額4兆円超のグローバル企業にて経理の募集

仕事内容
・IFRSによるホールディングス単体・連結決算業務
・日本基準によるホールディングス単体決算・税務業務
・有報・短信・任意開示資料作成
・各SBUにおける会計ガバナンスの構築
・グローバル含むグループ全体のアカウンティング組織の連携強化
・経営層・ボードメンバーへのマネジメントレポーティング
・新規事業における会計論点設計
・組織再編や国内外のM&Aにおける会計面でのプランニングおよびリスク提示
必要な経験・能力
・公認会計士もしくはUSCPA資格をお持ちで、会計監査を3年以上ご経験されている方
・上記業務を自立して遂行・推進されてきた方
・変化の大きな環境において、その環境を前向きに捉え改善したいと考えられる方
・TOEIC750点以上の方、ないしは英語でのビジネス経験がある方
想定年収
645万円 ~ 1,037万円

Big4税理士法人にて国内・外資企業向け税務コンプライアンスを中心に募集

仕事内容
・法人クライアント(上場企業や外資系日本法人等)に係る税務申告書の作成・レビュー
・上記の法人クライアントに対する税務顧問・税務相談その他の税務アドバイス
・上記の法人クライアントに対する税務調査対応
・外国税額控除・タックスヘイヴン税制等の国際課税制度に係る各種アドバイスおよび別表作成
・組織再編成・連結納税制度に係る各種アドバイスおよび別表作成
必要な経験・能力
<必須>
・当ポジションへの意欲、基礎的な会計知識がおありの方(簿記を保有、税理士試験勉強中等)
・英語に対する習得意欲がある方
<歓迎>
・税理士有資格者もしくは科目合格者
・会計事務所での実務経験者
・事業会社での経理経験者
・公認会計士もしくはUSCPA
想定年収
450万円 ~ 1,200万円

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まとめ

経済のグローバル化が進む現在、USCPA取得者は海外に展開している企業をクライアントにもつ監査法人や会計事務所、あるいは海外展開している日系企業や外資系企業などで高評価を受けやすい傾向です。しかし、日本で監査業務ができないUSCPAは、資格だけをアピールポイントとしてしまうと転職・就職活動は難航するでしょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

林 良樹

大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。

会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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