2023年10月25日

【税務会計とは】財務会計・管理会計・企業会計との違いと注意事項

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多くの企業が少なからず事業拡大や売上、利益の最大化といった成長を目指しているのではないでしょうか。
さまざまな努力や試行錯誤が実を結び大きな成果を得たときに、向き合わなければならない課題が税金です。成長企業と税務の課題は切っても切れない関係にあります。

そこで今回は税務会計について解説します。制度会計、管理会計、財務会計など同じ会計業務ではあるものの、取り扱う分野や目的によって異なる視点の会計処理があるなかで、税務会計とはどのよう目的で行われる会計処理なのでしょうか。

本記事では、「税務会計とは」に焦点を当て、制度会計や財務会計、管理会計との違い、さらには注意すべきポイントについて詳しく解説します。
税務に関する理解を深めることは、自社の税務課題を的確に把握し、健全な企業経営に活かす手助けとなるでしょう。

税務会計とは

まず最初に各会計処理を整理すると、大きく制度会計管理会計に整理することができます。
制度会計が法人外部への報告を目的に何らかの制度に基づく会計処理です。一方で、管理会計は法人内部での経営判断を目的に任意の会計処理です。

更に制度会計は、財務会計税務会計に分けることができます。
財務会計は会社法や金商法に基づき株主や投資家、金融機関に対して経営状態を示す会計で、税務会計は税法に準拠して納税を行うための会計です。

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上述の通り、税務会計とは、企業が納税するために、税金計算する会計処理を指します。
法人税法や所得税法などの法律に基づいて行われ、国や地方自治体へ納めるべき税金額を算出するのが目的です。
具体的には、主に以下の3つを行います。

  • ・税金の情報を整理し、帳簿を付ける
  • ・税金の計算や申告書の作成を行う
  • ・「税効果会計」として処理する

多くの中小企業では、税務会計を用いて税金の計算が行われます。
一方、上場企業が法人税を処理する場合、会計上の利益と税務上の課税所得を調整するケースが少なくありません。
この過程には税効果会計の手続きが含まれます。
税務会計は、決算書の公表を前提としない税金計算のために帳簿付けを行う場合もあります。
例えば、決算書の公表義務がない個人事業主は、所得税を計算するために帳簿を付け、消費税も税抜き経理方式で記載します。

税務会計の側面は、税金を合法的に最適化することですが、その過程で法律を遵守することも重要です。
税務会計はタスクが複雑で、誤った計算・申告を行うと法的トラブルや経済的な損失を引き起こしかねません。
財務の健全さを保つためにも、法律遵守と合法的節税のバランスを意識しつつ、正確な処理が求められるのです。


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税務会計と財務会計の違い

同じ制度会計に属する税務会計財務会計ですが、まったく異なることを目的にしているため、則る制度はもちろん意識すべき観点が異なります。
以下にそれぞれの違いを見てみましょう。

まず税務会計は、前述のとおり企業が法的な税務要件を遵守するために会計情報を収集し、報告する手続きになります。
目的は、税法に基づいて所得税や消費税などの税金を計算し、申告することです。
取りまとめた会計情報を対象となる税務当局に提供し、税金を適切に納めなければなりません。
そのため、税務会計では、税制優遇制度を利用することも含めて、税金を最小化する戦略的な側面がしばしば強調されます。
税制改正や解釈の変化にも敏感に対応し、正確性と法的遵守が重要です。

一方、財務会計は、企業の財務状態と業績を外部のステークホルダー(株主、投資家、債権者などの利害関係者)に報告するための会計プロセスです。
事業運営の健全性や業績を評価するために、必要な会計情報を提供することが主な目的です。
ルールとしては、国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(GAAP)などに基づいて情報を記録し、財務諸表(バランスシート、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)を作成します。
財務諸表は、金融機関が融資を行ったり、投資家が投資の判断をしたりする際に、企業の財務状態を客観的に把握する上で必要な書類となります。
税務会計は税金計算と法的遵守を重視し、財務会計は企業の財務状態や業績を評価することに注力しているのです。


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税務会計と管理会計の違い

管理会計は、特定の制度に則る税金計算や財務会計といった制度会計と異なり、経営管理に役立つ情報の提供を目的とした会計です。
そのため、管理会計によって得た情報は、基本的には法人内部で利用されます。
各事業者によって任意に行われる会計のため、法的な規制や特定のルールなどはありません。
ただし、事業計画書や中期経営計画書がこの会計情報をもとに策定されることもあり、企業の意思決定を左右する重要な判断材料にもなり得ます。

具体的な活用例としては、原価管理、経営分析(財務分析)、予算・予実管理などが挙げられます。
管理会計を通じて原価計算やキャッシュフロー分析が行われ、収益性や生産性を把握することで、企業の安定と成長を見通します。
原価計算では財務会計との関連が生じることもありますが、あくまでも税務会計との共有点は見当たりません。

管理会計の情報は、企業の現状把握や経営分析に不可欠であり、問題点を早期に発見し対処するためにも重要です。
経営者は管理会計から得た情報を詳細に分析することで、経営戦略の修正や改善策の立案に向けた基盤を築くことができます。
税務会計と管理会計は、それぞれ「税務申告」と「経営分析」という異なる用途を持ちますが、ともに企業の持続的発展に向けて重要な手段であることには変わりないでしょう。


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企業会計とは

企業会計とは

ここまで述べてきた通り、企業の会計処理には、その目的に応じて呼び名の異なる複数の会計処理があります。
これらの企業が行う会計処理を総称して、企業会計と呼ぶことがあります。

但し、企業会計には厳密な定義がない、俗称なので具体的に何を指し示しているかに注意が必要です。
広義には企業会計を示す場合は、制度会計も管理会計も含めた全てを示しますが、制度会計の中で狭義に財務会計を示す場合もあります。その場合、税務会計とは違うものという意味で使われます。
上述の通り会計処理には目的に応じて、則るべき制度や原則が存在するため、不明瞭に企業会計という言葉を使うと誤解を招いたり、誤った会計処理を行ってしまう可能性があります。

具体的には、企業会計を狭義に財務会計を意味して使う場合、次のような違いがあります。
まず、計上項目の差異があります。
財務会計は収益から費用を差し引いて得られる「利益」を計上しますが、税務会計では益金から損金を差し引いて導かれる「所得」を計上します。
このしくみは、それぞれ異なる範囲で計算が行われるため、金額にも差異が生じます。
例えば、戻りが見込める保険料は、財務会計では利益を圧迫する費用として計上されますが、税務会計では損金として計上されません。

また、税務会計と財務会計の算出規定が異なります。
例えば、税務会計では特定の減価償却方法が用いられる場合がありますが、財務会計では認められていません。

さらに、報告対象にも違いがあります。
財務会計の主な報告対象は利害関係者ですが、税務会計は国や税務当局への報告を対象とし、課税所得を正確に計算することが目的です。

このような相違点により、会計上の収益や費用において、財務会計と税務会計の記載内容が一致しないことがあります。
こうした違いを調整するために、上場会社では「税効果会計」が導入されています。


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税務会計の注意事項

では、税務会計において重要な注意事項を2点取り上げてみます。

年1回の税制改正を必ずチェックする

税制は、基本的に「年1回」の頻度で改正されます。
これには税務会計に関する改正が含まれることもあり、改正内容を見落とすと、誤った計算結果や税務申告につながるかもしれません。
過度な課税や不適切な節税措置を発生させないためにも、年1回の税制改正は必ずチェックすることが重要です。
国税庁や税理士会などの公式サイトで、税制改正の最新情報を定期的に確認するようにしましょう。

税務会計だけで経営状況を判断しない

税務会計は税金の計算や申告を行うためのものであり、会社の実際の経営状況や業績を正確に反映しきれない場合があります。 例えば、償却費や減価償却費の計算方法によって利益が歪められることは珍しくありません。
また、税務上の利益を最小化するために一時的な処理が行われることもありますが、これが実際の経営戦略と一致しないこともしばしばです。
経営判断を行う際には、税務会計情報だけでなく、財務会計情報や経営分析なども総合的に考慮することが重要です。


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まとめ

税務会計の最終的な目的は、税務申告を行うことです。
同じ制度会計に属する財務会計とも異なる報告対象を持ち、計上項目や計算規則にも違いがあります。
更に上場企業の場合、税務会計と企業会計との差異を「税効果会計」という手法で調整します。

税法遵守を基本とする税務会計では、経費の適切な処理や減税手段の正しい活用が求められます。 税制改正は毎年行われるため、税務会計に携わるのであれば常に最新の情報をチェックする必要があります。
本記事を通じて税務に関する理解が深まり、ビジネスへの自信につなげていただければ幸いです。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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