2024年10月30日

【税理士が企業経理に転職】業務内容やキャリアパス、年収、注意点について解説!

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税理士と企業経理はどちらも「経理」を扱うものの、業務内容は異なります。
この記事では、企業の経理部への転職を検討している税理士の方に向けて、税理士と企業経理の業務やスキルの違いや年収税理士が経理へ転職した場合のキャリアパスなどについて解説します。

税理士が経理に転職するのはあり?

現在、税理士が企業へ転職する選択肢は一般的になりました。中でも企業の経理部門は税理士のキャリアとして人気があります。

その理由は、企業へ転職すると、キャリア形成にプラスになる点が挙げられます。
税理士が企業経理で働く場合、ひとつの組織に属して自社の財務状況や財務戦略に深く関わるため、より高度な知識やスキルを身につけることが可能です。 経営層や他部署など、会計事務所で出会う以上に多様な相手とのやり取りを通じて、コミュニケーションスキルや調整力も磨かれるでしょう。
こうした経験は、税理士としてだけでなく、ビジネスパーソンとしてもキャリア形成にプラスにはたらくはずです。

また、企業経理は会計事務所に比べて勤務時間や福利厚生など条件面がよい傾向にあり、ワークライフバランスの改善につながります。
さらに、現在の企業経理は人手不足で、売り手市場にあるため、会計知識が豊富な税理士を積極的に中途採用するケースが増えています。

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税理士が担当する経理業務は?

企業経理の業務は、企業規模などによって担当する範囲が異なります

中小企業の場合

中小企業の場合は経理専門の職員が数名程度であることがほとんどのため、経理の日次業務から決算、税務申告まで幅広く対応する可能性が高いです。
中小企業に転職する際には、現状の経理スタッフが何名在籍していて、どの程度の業務レベルなのかをしっかりと確認しておきましょう。入社した後にアシスタントとなって仕分けなどの業務を手伝ってくれるスタッフはいるのか、はたまた自分で記帳から決算、税務申告まですべてやらなくてはいけないのかなど、具体的な業務範囲を事前に把握しておくと、入社後のミスマッチを減らせるでしょう。
会計事務所との業務面での違いはそこまで大きくありませんが、自社の経理業務に専念できるため、会計事務所で複数社の担当顧客を持っていた方であれば、業務負担は軽くなる可能性が高いです。また、中小企業であれば代表や幹部の社員とコミュニケーションをとる機会も多いため、これまで顧問税理士としてかかわっていた立場では提案できなかったような踏み込んだ経営方針への提言もしやすいという点は、中小企業で経理業務をする魅力の1つといえます。

大企業の場合

大企業の場合は、①経理部に所属する場合 ②税務専門の部門に所属する場合 の大きく2つに分けられます。

①経理部に所属する場合

経理部に所属する場合は、業務の中心は決算等の経理業務になりますが、大企業ならではの業務を経験できる可能性が高いです。
大企業であれば連結決算・納税業務が発生することもあるので、そういった高度な業務への対応や、上場していればIRや開示業務などに挑戦するチャンスもあるかもしれません。
税理士という強みを活かしつつ、今後は経理としてキャリアを積み上げていきたいという方には魅力的なポジションでしょう

②税務専門の部門に所属する場合

大手企業の中には、経理部とは別に税務専門の部署を設けているケースもあります。こういった部門に所属する場合には、主な業務は税務申告や税務調査対応、経営層や経理部などから税務面での相談を受け、対応する業務などがメインとなります。
尚、昨今は企業のグローバル化も進んでいるため、他国にも事業展開している企業であれば移転価格税制や海外拠点各国での税務申告業務なども含まれる場合があります。こういった業務は税理士法人であればBig4などの大手でしか対応していない業務のため、税理士として貴重な経験を積むことができます

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経理に転職した税理士の「キャリアパス」とは

ここでは、税理士のキャリアパスを転職先別にご紹介します。

大企業でのキャリアパス

大企業は上述の通り部門が細分化されているため、どのような部署に所属するかで業務経験という意味ではキャリアは様々です。
「大企業だとジョブローテーションが多いのかもしれない」と思われる方もいるかもしれませんが、税理士のような専門性が高い人材を中途で採用する場合には、専門職採用などの採用枠に入るケースも多いため、ジョブローテーションはそこまで多くないでしょう。逆に、幅広い業務経験を積んでいきたいと思っている方であれば、希望することで社内での部署移動は可能なのか、海外駐在などのチャンスはあるのか、といった点は入社前に確認しておきましょう。

また、職位という意味では、大企業の場合は成果主義というより、年齢や在籍年数に応じて昇格・昇給していくため、中長期的に在籍することで着実に昇格していくようなイメージになるでしょう

中小企業でのキャリアパス

中小企業では、経理専任ではなく、総務・人事などその他の管理部門を兼任しているケースも多く見られます。 また、大企業と比べて経営者が会計に弱く、事業承継で悩んでいるケースも少なくありません。高度な知識をもつ税理士は、将来的に経営の中枢として活躍できる可能性もあるでしょう。

また、非上場企業などでは給与テーブルが明確に定まっていないことも多く、成果次第で短期間でも大きく昇給できる可能性があります。一方で、明確な給与テーブルがないためになかなか昇給できないといった可能性も考えられるため、その点は入社前にしっかりとチェックしておく必要があります。

スタートアップ・ベンチャー企業でのキャリアパス

急成長している企業では、企業買収(M&A)やIPO(新規株式公開)による大規模な資金調達など、他ではなかなかできない経験を積める可能性もあるでしょう。また、スタートアップ・ベンチャー企業では1人の人材が複数の職務を兼任する場合も多いため、経理や税務等のコーポレート業務だけでなく、新規事業やサービスの立ち上げに関わるなど、ビジネスの経験も積める可能性があります。経営陣からの信頼を得られれば、CFO(最高財務責任者)のポストにつくことができたり、IPOを達成した際にSOを行使して、大きな資産を作れる可能性があるなど、うまくいった場合のリターンは非常に大きいです。

少し前まではスタートアップ・ベンチャー企業に転職すると年収が下がってしまうことが多かったですが、近年、スタートアップを含むベンチャー企業への投資が盛んにおこなわれており、調達資金の使い道として、開発やマーケティングと並んで人材獲得に使っているケースも多いです。実際に2023年の「NEXTユニコーン調査」によると、正社員の年収を開示したスタートアップ企業78社の23年度の平均見込み額は前年度比6%増の710万円であり、上場企業を上回る水準でした。

スタートアップ・ベンチャー企業に転職する際には、転職先企業のビジネスモデルをしっかりと理解したうえで、本当に伸びていくビジネスなのか?という点を慎重に検討する必要があります。

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税理士が経理に転職する際の注意点

ここまでは企業の経理に転職するメリットを中心にご紹介しましたが、キャリアチェンジにはもちろん注意すべき点も存在します。
以下は税理士の方で経理に転職して後悔した方のよくある3つの例になるので、注意点もしっかりと念頭に置いて、転職活動を進めましょう。

業務幅が狭くなる可能性がある

まず、申告代理や税務相談など、税理士の「独占業務」を行えないことが挙げられます。 申告は所属会社の業務に限られるため、さまざまな知見を得たい方には不自由に思えるかもしれません。
また、規模の大きな企業では業務が細分化されるため、全体の流れが見えにくくなります。 全体像を把握しながら幅広い業務を経験したいという方にはデメリットだと言えるでしょう。

税理士への期待が大きすぎる可能性がある

税理士という資格は非常に価値が高いだけに、税理士資格を有していない社内のメンバーから過大評価されることもあります。
「税理士は何でもわかる」と認識され、実際には税務と関係のない業務について質問をされたり、経験のない業務に関しても相談されたりするケースもあるでしょう。
日常的にこのような状況が続くことによって、周りの期待に応えられないということから、中には自信を無くしてしまう方もいます。

税理士業務が評価されにくい可能性がある

税理士が企業で働く場合、社内に自分以外の税理士がいないケースも多いでしょう。
上司や幹部陣に税理士業務に詳しい人がいないと、高度な業務や税務調査の対応をした時でも、高い評価を得られない可能性があります。
昇給・昇格は社内規定に従うため、場合によっては「業務を正当に評価してもらえていない…」といった不満感を抱いてしまうかもしれません。

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経理に転職した税理士の「年収」とは

経理に転職した税理士の「年収」とは

税理士が経理に転職した場合、年収はどのようになるのでしょうか?
MS-Japanの転職エージェントサービス「MS Agent」に2023年1月~12月にご登録いただいた税理士を対象に、当社が独自に調べたデータでは、転職を希望する税理士の方の平均年収が771万円に対し、企業に転職した税理士の平均年収は880万円でした。このことから、企業に転職することで年収をあげられる可能性は十分にあるといえるでしょう。

経理に転職した税理士の年収の決まり方

経理に転職した税理士の年収は、税理士としての市場価値より転職先企業の給与水準が大きく影響します。 給与水準の高い企業で重要なポジションに就ければ、税理士の一般的な年収より高く処遇される可能性もあります。

上場企業では、経理部とは別に、連結納税や組織再編税理、国際税務などの高度な税務業務を行う「税務部門」を持っていることがあります。 Big4税理士法人などで高度な税務経験のある税理士が税務部門に配属されれば、年収面で優遇される可能性があります。
また、小規模企業では、CFOや管理部長、経理部長などの候補生として採用するケースがあり、この場合にも年収面での優遇が期待できるでしょう。

経理に転職した税理士の年収例

ここで、弊社MS-Japanが提供する士業・管理部門特化型転職エージェント「MS Agent」の転職事例をもとに、経理に転職した税理士の年収例をご紹介します。

28歳男性
転職前 約100名の税理士法人 年収600万円
転職後 約8,000名のプライム上場企業 年収450万円
年収は一時的にダウンするものの伸び代に期待して転職を決断。

35歳男性
転職前 Big4税理士法人 年収700万円
転職後 大手上場企業 年収800万円
出身地京都への東京からのUターン転職を、年収を下げずに実現。

33歳女性
転職前 Big4税理士法人 年収850万円
転職後 大手証券会社 年収800万円
結婚を機にワークバランスを考え転職。

42歳女性
転職前 個人事務所 年収450万円
転職後 一般事業会社 年収450万円
出産にともない勤務時間を短縮し、年収は維持。

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まとめ

税理士は企業の経理に転職することで、企業内ならではの業務に関与できたり、ビジネスマンとしてのキャリアアップ、年収アップなどの多くのメリットがあります。
現在の業務に停滞感を感じていたり、待遇を改善したいと考えている場合は、企業の経理に転職するというのも、有効な一手になるでしょう。

MS-Japanは税理士等の士業と、経理をはじめとする管理部門に特化した転職サポートを30年以上行っております。会計事務所に転職するか経理に転職するか迷っている方や、経理に転職することを決めていて、企業選びをサポートしてほしい方など、幅広い税理士の方のニーズに合わせたサポートが可能ですので、転職をお考えの方はMS-Japanの転職エージェントサービス「MS Agent」をぜひご活用ください。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

竹内 進太朗

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。法律事務所や会計事務所、監査法人、社労士事務所、FAS系コンサルティングファームなどの士業領域の採用支援、及びその領域でのご転職を検討されている方の転職支援を行っています。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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