法務管理職に求められる能力、想定年収などを解説!
法務の管理職を目指す際、法務担当者として企業内でステップアップしながら法務管理職となる場合もあれば、法務のスペシャリストとして転職を重ね、管理職になる場合もあります。
どちらも共通しているのは、通常の管理職で求められるマネジメント能力やリーダーシップ以外に、法務管理職には専門的な知識をはじめとする、法務職ならではの能力が要求される点です。
今回は、法務管理職となるために必要とされるスキルや、今日の法務担当者へのニーズ、そして法務管理職となった場合の想定年収などをご説明します。
法務管理職に転職するために必要となるスキルとは
現在大企業に限らず、中小企業でも法務部門が設置されています。背景には、ガバナンスやコンプライアンスが年々厳しくなる中で、企業内で法務の重要性が高まっている点、変化の激しい今の時代においてM&Aや組織再編を行う会社も増え、新たな法的リスクに対応すべく法務機能を強化する、等が挙げられます。
そこで法務管理職にも、以下に挙げるような能力やスキルが必要になります。
ハイレベルで幅の広い法務知識
メンバーや経営陣とコミュニケーションを図りながら、法務総務部門の方針や目標を確認・整理したり、新規事業やM&A応じたリスクアドバイスなどビジネスサイドと伴奏した法的支援、法的トラブルの対処など、法務管理職に求められる業務遂行能力はいずれも高度で幅広いものです。
企業に関わる業界知識
インハウスの法務管理職は、自社の事業と法令の間に立って、ベストなロシューションを導き出すことが求められます。特殊な事例などは顧問弁護士に相談もしますが、出てきたアドバイスを元に、最終的な判断やアドバイスを行うのが法務管理職です。
自身が勤務する企業について、その会社が取り組んでる事業・業種への理解を深め、どういった法令が関わってくるか、どのようなリスクが発生しうるか、把握しておくことも重要な要素となります。
語学力
海外企業との取り引きがある場合、ビジネスレベルでの語学力があったほうが有利です。また、海外の法律に精通していることも大きなアピールポイントになるでしょう。
最近は海外投資家から資金調達を行う会社もあり、海外取引がない会社でも英文契約が出てくる場合があります。
コミュニケーション能力
法務管理職は社内の各部門とのやりとりの他、取引先や法律事務所などとも緊密なコミュニケーションをとる必要があります。特に法律に関する業務には厳格さが求められるため、粘り強く相手側と交渉する能力も必要になるでしょう。
こうした能力・スキル以外にも、法務部門を立ち上げた経験をもつなど、特別な経歴があれば転職に有利に働くかもしれません。
法務管理職を目指して転職する際、企業は何を選考基準にするのか
企業が法務管理職の採用を検討する場合、求職者のどこに着目しているのかについては、ある程度の実績を重ねてきた、40~50代の法務経験者が身に着けているであろうスキルが参考になるでしょう。
例えば、以下のような業務経験をもっていることが、重要な選考基準になるかもしれません。
・契約や取り引きに関する法務全般の経験
・株主総会や取締役会に関わる法務の経験
・コンプライアンスや社内規定の策定に関わった経験
・取引先などとの法的トラブルに対応した経験
・部下のマネジメント経験
これらの経験以外にも、内部統制プログラムの構築に関わったり、リスクマネジメント業務に携わったりした実績があると、企業側でも貴重な人材として評価してくれる可能性があります。
さらに、転職に必要な能力とスキルの項目でも紹介したように、実務経験にプラスして幅広い知識を有していることも重要です。同時にそれを活かして相手側と交渉するための、高いコミュニケーション能力の有無も重要な選考基準になるでしょう。
また現在のビジネス環境では、各部門のリーダーが直接企業経営に関わるシーンが増えてきました。とくに法務管理職は経営者に近いところで働くため、経営的な視点をもっていることも高く評価されます。
経営戦略を立案する上でも、企業内の業務を守るだけの人材ではなく、攻めの姿勢で法務を実行できる法務管理者を、多くの企業が欲しがっているのです。
法務管理職の平均年収は?
最初に法務部門全般の平均年収から紹介しましょう。全世代の平均は約580万円となっており、各世代の年収は以下の通りです。
・20代:約350~450万円
・30代:約550~600万円
・40代:約700~750万円
次に法務管理職の平均年収を見てみましょう。
(国内企業の場合)
・課長クラス:600~900万円
・部長クラス:1,000~1,300万円
(外資系企業の場合)
・マネージャークラス:1,200万円前後
・ディレクタークラス:2,000~2,500万円
国内企業の場合では、大手企業の他の部署と比べて突出した水準であるとはいえません。しかし外資系企業の場合、年収レベルは大きく上昇します。
収入面での魅力を考慮すると、外資系企業への転職を目指すべきでしょう。その反対に安定性を重視したり、担当する業務そのものに魅力を感じたりする人は、国内企業に転職したほうがよいかもしれません。
法務部は経営のリスクヘッジを担当する部署でもあり、コンプライアンスへの対応強化が叫ばれる今日、役割の重要性は増すばかりです。今後もIT関連企業を中心にニーズが高まる可能性は十分にあり、待遇もそれに比例して向上すると予測されます。
現在の法務管理職の転職市場はどうなっているのか
2008年のリーマンショック以降、経済が徐々に復調に向かう中で、法務求人も年々順調に伸びていましたが、2020年以降は新型コロナウイルスにより、再び法務求人は減少しました。
しかし社会が落ち着きを取り戻しつつある状況で、すでに法務求人は回復の兆しをみせています。
法務職全体における求人動向の推移は2020年まで順調に伸びていましたが、新型コロナウイルス問題で求人そのものが減ったのち、2021年には再び上昇に転じています。
法務管理職の求人動向も同様ですが、コンプライアンスの強化とグローバル化の伸展、新規事業の展開を目指す企業が増えてきたことなどにより、全般的に売り手市場の状況が続いています。
大手企業での法務管理職求人動向
規模が大きい企業では、法務部門も専門分化されているため、特殊なスキルをもった人材が転職には有利です。とくに注目すべきは国際法務の経験者で、英文での契約や国際的取り引きにおいては、ビジネスレベルの英語力が求められます。
海外との取り引きがある企業では、必ず英語力が重視されるため、少なくともTOEICで600~700点程度を取っておく必要があるでしょう。
また海外では弁護士有資格者が法務を担うケースも多く、海外取引においては弁護士資格をお持ちの方が遊具されるケースもあります。
中小企業・スタートアップでの法務管理職求人動向
一方で小規模経営の企業では、法務管理職として幅広い業務を統括する人材が求められます。スタートアップの場合は、法務部門そのものの立ち上げに関わるチャンスもあります。
またここ数年、上場企業のガバナンスが厳しくなっている中で、IPOを目指す会社でも早期に法務人材を募集するケースがここ数年で一気に増えました。IPO準備企業は、一つ一つの業務はそれほどボリュームがないですが、関わる業務範囲が多岐にわたるため、網羅的に法務を経験したい方にお勧めです。またIPO準備が進むにつれ業務が徐々に高度化していくので、学ぶ姿勢や適性があれば、ポテンシャルからスタートできるケースもあります。
法科大学院生向けの法務求人の動向
法科大学院生向けの法務求人の動向は、法務実務経験者向けの求人と比べると多くはありません。
ただし、即戦力人材の採用市況が高騰すればする程、ポテンシャル採用にターゲットを広げる企業が増えてきていますので、グラフからも分かるように市況の高まりをみせています。
短答式試験合格実績などがあると差別化を図ることができますが、若くて今後の活躍に期待できる人材を欲する企業は多いので、合格経験がなくても悲観する必要はないでしょう。
こうした企業によって異なる求人条件は、個人での転職活動ではなかなか情報が手に入りません。MS-Japanでは管理職求人も扱っているので、自分に合った企業やポジションを見つけるためには、エージェントに登録することをおすすめします。
まずは転職エージェントに無料相談する法務の管理職求人をご紹介!
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まとめ
現在法務部門での求人は多く、転職者にとってはキャリアアップのチャンスが広がっています。その中で管理職への転職を目指すためには、大手企業・中小企業・スタートアップそれぞれの業務内容をつかみ、求人の条件を精査する必要があるでしょう。
また、転職に必要なのは経験と法務知識だけではなく、各業界の幅広い知識や英語力、さらにコミュニケーション能力や経営に関わるためのスキルも求められます。こうした転職先ごとの情報を入手して、効率的で効果的な転職活動を進めるためにも、ぜひ一度MS-Japanに相談してみてください。
【参考URL】
・法務の年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計)
・法務・弁護士の最新の転職市場動向
・法務部門の組織とマネジメントの可能性
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、旅行代理店にて法人営業を約3年。20代でMS‐Japanへ入社。
企業の採用支援(リクルーティングアドバイザー)を約8年、求職者の転職支援(キャリアアドバイザー)を約5年経験。
両ポジションでチームマネジメントを経験し、キャリアアドバイザーとしては複数回にわたり支援実績数NO1を獲得。リクルーティングアドバイザーにおいても入社1年半後にチームマネジメントを経験させていただきました。現在は子育てと両立しながら、常に社内でトップ10以内の採用支援実績を維持。
経理・財務 ・ 法務 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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