2025年04月14日

USCPAと税理士、どちらを選ぶべきか? 試験難易度・キャリア・年収の徹底比較

「USCPA」「税理士」は、会計や税務の分野を目指す上で、選択肢として視野に入ってくる資格です。
しかし、2つの資格は特徴や必要なスキルが大きく異なり、それぞれに向いているキャリアも異なります。

この記事では、それぞれの試験難易度キャリア年収などを取り上げ、USCPAと税理士の違いを詳しく比較していきます。

USCPAと税理士の基本情報

まずは、USCPAと税理士の概要と、2つの資格の違いを整理してみましょう。

USCPAの概要

USCPAとは、米国の各州が認定する「米国公認会計士」のことで、世界的に知られたビジネス資格の一つです。
監査や会計、財務分野で専門的な知識とスキルを有する資格として、国際的にも高い評価を受けています。

試験は、全米州政府会計委員会(NASBA)が実施し、日本を含む多くの国々で受験することが可能です。
資格取得には英語力が欠かせないことから、ビジネスシーンで活かせる英語スキルの証明ともされています。

USCPA有資格者には、会計分野での多様なキャリアやグローバルなビジネスに携わる機会が広がっています。
日本企業が海外企業とパートナー関係を結ぶ際には、USCPAの知識が必要不可欠です。
特に、英文財務諸表の分析が必要な業務や、国際会計基準にかかわるビジネスでのニーズが顕著です。

税理士の概要

税理士は、日本の国家試験を通じた税理士資格を保有し、税務に関する重要な役割を担う「税の専門家」です。
税理士には、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」という3つの「独占業務」があります。

「税務代理」では、納税者による税金の申告・納付や、税務署からの調査・処分に対する主張・陳述を税理士が代行します。
税金の申告で必要となる税務書類を、納税者に代わって作成する業務が「税務書類の作成」です。
「税務相談」は、納税手続きや納税額の計算、節税効果算出など、納税者からの相談に応じたアドバイスを行います。
独占業務だけでなく、一般企業の会計事情をサポートする税務コンサルティングも、税理士が携わることのできる業務です。

USCPAと税理士は、資格取得を認定している国専門分野が異なる点、日本国内においての独占業務の有無という点で、明確な違いがあります。

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USCPAと税理士の試験難易度比較

次に、USCPAと税理士の試験難易度の違いを見ていきましょう。
以下は、試験概要を比較した表です。

比較
項目
USCPA 税理士
最新の
合格率
(科目別)
40%台〜70%台
(2024年度)
10%台〜20%台
(2024年度)
受験
資格
出願先の州により異なるが、「学位」と「単位」の2要件を満たす必要あり 会計学科目は誰でも受験可能
税法科目は「学識」「資格」「職歴」のいずれかの条件を満たす必要あり
科目数 4科目
(必須3科目
+選択1科目)
5科目
(必修2科目
+選択3科目)
試験
日程
毎日受験可能
(希望日時を予約)
8月上旬
(年1回)
出題
形式
4択問題
および総合問題
(コンピュータ形式)
記述式
(財務諸表論は一部択一問題あり)
英語力の
必要性
あり なし

USCPA試験の難易度・合格率

USCPAの試験は、必須3科目と選択1科目の計4科目で構成され、出題と解答はすべて英語で行われます。
出題形式は4択問題と総合問題があり、それぞれの配点比率はほとんどの科目で50%ずつとなっています。
合格基準は各科目99点満点中75点以上で、合格率は直近の2024年度の科目別で40%台〜70%台です。
一度にすべての科目を受ける必要はなく、不合格の科目は再受験が可能ですが、合格した科目の有効期限は18か月です。

税理士試験の難易度・合格率

一方、税理士試験は、必修2科目と選択3科目の計5科目に合格する必要があります。
出題形式はマークシートではなく、財務諸表論の一部を除いてすべて記述式です。
合格基準は各科目60点以上で、合格率は直近の2024年度の科目別で10%台〜20%台です。
税理士試験も全科目を一度に合格する必要はなく、合格科目の免除は生涯有効です。
また、所定の大学院を卒業することにより科目の免除を受けることも可能です。

USCPAと税理士の試験難易度を合格率のみで比較すると、USCPAのほうが低いように見えます。
ただし、USCPAは会計知識に加えて「英語力」も必要になるため、一概に難易度が低いとは言えないでしょう。

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USCPAと税理士のキャリアの違い

USCPAと税理士のキャリアの違い

USCPAと税理士のキャリアには、どのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの主な就職先と仕事内容から比較してみましょう。

USCPAの就職先と仕事内容

監査法人

監査法人は、USCPAの代表的なキャリアの一つです。
特にBig4などの大手監査法人では、監査部門だけでなくアドバイザリーやFAS部門でもUSCPAが活躍しています。
顧客にグローバル展開を行う企業が多いため、国際的な会計基準を理解しているUSCPAのスキルが重宝されるようです。

会計事務所

USCPAは、国内の会計事務所においてもニーズがあります。
海外に進出する企業を顧客に持つ事務所では、国際会計や国際税務に関する業務でUSCPAの知識・英語力が必要とされます。
会計の経験を深めていく環境としても魅力的なキャリアです。

コンサルティングファーム

財務会計を主に扱うコンサルティングファームも、USCPAのキャリアとして有力です。
特にクロスボーダーM&Aや国際的な事業再生などの業務において、USCPAの専門知識と英語力は大いに役立ちます。
財務データの分析やアドバイスが求められる場面も多く、コンサル目線からも評価されやすいでしょう。

外資系企業

USCPAへの認知度が高い外資系企業は、USCPA資格を活かせるキャリアとしてポピュラーな選択肢です。
特に米国を拠点とする企業では、米国の会計士資格であるUSCPAを採用する傾向が見られ、経理や財務でニーズがあります。
外資系企業での経験は、キャリアの幅を広げるだけでなく、グローバルな視野を身につける上でも有益です。

税理士の就職先と仕事内容

税理士法人

税理士法人は税理士の象徴的な就職先です。
税務申告の代行や税務書類の作成、税務相談といった税理士本来の独占業務が主な仕事となります。
顧客のニーズに応じた柔軟性が求められますが、税理士試験を通じた専門知識がダイレクトに活かせるため、やりがいを感じやすいキャリアと言えるでしょう。

一般企業

税務のスペシャリストである税理士は、一般企業においてもニーズがあります。
特に、経理・財務部門の業務が複雑化する大手企業では、税務リスクの管理や合法的な税務対策を担える人材として、インハウス税理士を抱えるケースが少なくありません。
一般企業ならではの安定した収入とワークライフバランスを保ちやすいことがメリットです。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームは、税理士だけが扱える「税務相談」のスキルを存分に活かせるキャリアです。
会計系・戦略系のファームでは、企業の経営課題や税務戦略を支援するために、税理士の高度な税務知識と解決能力が求められます。
コンサル業務を通じた経営に関する経験は、税理士としてのキャリアを広げることにもなるでしょう。

金融機関

高度な税務知識を持つ税理士は、金融機関でも需要があります。
顧客の財務状況や投資計画の評価、金融商品のリスク管理、税務アドバイスなどが主な仕事となります。
法律や規制の変化を敏感にキャッチし、顧客に対して適切な税務戦略を提供することも税理士の役割です

上記のように、USCPAは英語力を活かした会計業界、税理士は税務知識を活かした会計・税務業界が主な就職先の候補です。
業界に一部共通点が見られるものの、それぞれの強みを活かせるフィールドが、両者のキャリアの違いと言えます。
USCPAと税理士のキャリアついて詳しくは、以下の記事も参考にしてください。

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USCPAと税理士の年収の違い

続いて、USCPAと税理士の年収の違いに着目してみましょう。
MS-Japanが2024年にまとめたUSCPAと税理士の平均年収は以下のとおりです。

年代 USCPA 税理士
30代 793万円 699万円
40代 978万円 808万円
50代以上 1,154万円 816万円
全体 928万円 771万円

※USCPAは2021年4月1日~2024年3月31日、税理士は2023年1月1日~2023年12月31日の「MS Agent」登録者データを元に平均年収を算出しています。

上記表から、MS Agent登録者のUSCPAと税理士の年収を比較すると、平均年収はUSCPAのほうが高いことがわかります。
この背景として、一般的にUSCPAの就職先になる外資系企業や国際案件を担当する分野は、年収が高い傾向にあることが考えられます。
但し、図が示すのはMS Agent登録者に限ったデータなので、主に転職活動を検討している方の平均です。
必ずしも全てのUSCPAと税理士の年代別平均年収を示すわけではありません。

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USCPAと税理士のダブルライセンスがおすすめ!

USCPAと税理士はそれぞれ特徴が異なりますが、両方の資格を取得(ダブルライセンス)することもおすすめです。
USCPAと税理士のダブルライセンスのメリットを紹介します。

日米の税務に精通できる

まず、日米の税務に精通した専門家としてのポジションを得られる点が挙げられます。
USCPAでは米国の税法を学ぶ「REG」という科目があり、この知識に加え、日本の税理士資格を取得していることで、日米両国の税務に詳しいプロフェッショナルとして認知されます。
国際的な税務に対応できる専門家は希少性が高く、グローバル企業の財務部門国際税務コンサルタントとしても高い評価を受けるでしょう。

独立・起業に役立つ

ダブルライセンスには、独立・起業がしやすくなるというメリットもあります。
USCPAだけでなく税理士資格も保有していれば、「国際税務と英語に強い税理士」という差別化が可能です。
特に海外取引の多い企業に対して、幅広い税務アドバイスを提供できるため、独立する際も有利なポジションを築けます。

勉強の順序としては、USCPAを先に取得することをおすすめします。
USCPA試験は税理士試験に比べて難易度がやや低く、必要な勉強時間も短めです。
USCPAを取得するための勉強内容、特に会計や税法の知識は税理士試験でも活用できるため、まずはUSCPAに挑戦し、その後税理士資格を目指す流れが効率的です。

USCPAと税理士のダブルライセンスを取得することで、グローバルに活躍できる「会計と税の専門家」として、有望なキャリアが見通せるでしょう。

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まとめ

USCPAと税理士には「税法」という共通点があるものの、それぞれ異なる強みを持つ資格です。
USCPAは英語力とグローバルな視点を活かしたキャリアに適しており、税理士は国内で税務に特化した専門的な役割発揮します。
どちらかを受験する際、試験難易度や年収の違いも判断材料として必要ですが、最も大切なのは、どのようなキャリアを目指したいかという点です。

USCPAもしくは税理士を目指す場合は、士業の転職支援に強い「MS Agent」にご相談ください。
ご自身に合ったキャリアの選択と、資格取得後の就職・転職活動を手厚くサポートいたします。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

林 良樹

大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。

会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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