会計大学院とは?就職・転職に有利?
会計や経理業務に携わっていると、「会計大学院」に関する話を見聞きすることが多いのではないでしょうか。
公認会計士試験で免除される科目をもらえるので有利という声もあれば、合格を目指すにあたってはむしろ遠回りになると噂もあります。
では、会計大学院を修了すると、企業への就職や転職時に何らかのアドバンテージを得られるのでしょうか。
そもそも会計大学院とは?
会計大学院とは、会計分野の専門職としての知識や技能を身につけるために設置されている専門職大学院で、2006年に始まりました。
専門職大学院としては、ほかに2004年に始まった法科大学院(日本版ロースクール)や、経営大学院(MBA)があります。
会計大学院へは、大学を卒業して「学士」の学位を取得し、各大学院が設定した所定の選考基準をクリアすれば、入学できます。基準については、各大学院にて設けているため、詳細は各大学院のHPなどからご確認ください。
また修了までに要する期間は2年間です。すべての課程を修了した者には「会計修士(専門職)」や「会計学修士(専門職)」の学位が与えられます。
会計大学院が設立された背景は、法科大学院が設立された背景と似ています。ペーパーテストの一発試験で受験テクニック偏重になっていた司法試験の仕組みを改め、法曹人材の養成を「点から線」に切り替えるために法科大学院が設立されました。
同様に公認会計士試験も合格点をクリアすることに特化したテクニックが偏重されていました。しかし時間をかけて会計分野の専門家として社会で活躍できる人材を養成するプロセスが必要であると考えられ、会計大学院が設立されました。
2年間の会計大学院の課程をすべて修了すると、公認会計士試験で、短答式試験の3科目(財務会計論・管理会計論・監査論)が免除となります。ただし、会計大学院を修了していなくても、公認会計士試験を受験すること自体は可能です。
一方、司法試験の受験資格は法科大学院の修了となっているため、その点が異なります。
会計大学院に通うメリットは?
このように、2年間かけて会計大学院を修了してもしていなくても、公認会計士試験を受験することができます。しかも、会計大学院を修了した特典が、短答式の3科目免除のみであれば、会計大学院に通う意義を感じられない人は、決して少なくないかもしれません。
確かに、会計大学院では、公認会計士試験とは直接関係のないジャンルの学問も多く学ぶことになります。単位を取得するための勉強と、公認会計士試験で合格点を取るための受験勉強を並行して行わなければならないのは、ゆくゆくの就職や転職を考えると遠回りのようにも思えるでしょう。
しかし、会計大学院は「一発試験」である公認会計士試験の弊害を取り除くために設立されているため、会計のプロフェッショナルとして、即戦力で活躍できる人材を、時間をかけて養成することに力を入れています。
一発試験に合格することだけが目的であれば、予備校に通ったほうが効率的でしょう。しかし、公認会計士試験に受かっただけの人と、会計大学院を修了して公認会計士試験に挑む人とでは、むしろ「合格後」の就職や転職時に大きな差が付くようになっています。
つまり、「会計人としての基礎体力」が、まったく異なるのです。
会計大学院では、大学を卒業したばかりの若者から、すでに社会人として活躍しながらも会計を学ぶ必要に駆られて大学院の門を叩く人までいます。院生同士の横の繋がりを持っておくだけでも、さまざまな業界と太いコネクションが構築されるのです。
また、会計大学院によっては、公認会計士試験の試験委員を務めた経歴を持つ教授が、直接大学院生に教えている例もあります。実際に試験問題をつくっていた人と同じ空間で交流を持っているだけでも、受験テクニックとは異なる合格への手ごたえを掴むことができるでしょう。
会計大学院の学費、社会人でも通えるのか?
会計大学院の学費は、それぞれの大学院ごとに異なります。だいたいの相場としては、
・国立/公立 …130万円~150万円
・私立 …240万円~360万円
ほどが目安です。
また、「会計大学院は社会人でも通えるのか?」と思う方もいることでしょう。
社会人になってから公認会計士を目指すためには、会計大学院への進学は有力な選択肢となるからです。
会計大学院へは、社会人でも通えます。平日に日中は仕事をしている社会人を対象としたコースを設けている会計大学院も多くあります。
社会人対象のコースでは、授業は平日夜間と土日、あるいは土日のみとなります。
eラーニング科目を設け、教室外で、仕事のスケジュールに合わせて好きなときに受講できるようにしている大学院もあります。
社会人でも無理なく通い、勉強することができるでしょう。
社会人対象のコースへ入学すれば、さまざまな経験をもった社会人と知り合いになることができます。
経理や会計の分野で活躍している人も多くいますし、官公庁からの出向者や弁護士などが在籍していることもあります。会計大学院で構築した社会人とのネットワークは、いざ公認会計士になってから、貴重な財産となるのではないでしょうか。
会計大学院は、転職で有利なのか?
結論から述べますと、会計大学院の修了者は、一般企業に転職する際に有利になると言えます。理由として各企業の経理担当者は、会計大学院での学習量が膨大であることを知っているからです。その関門を乗り越えられた事実から、会計実務の現場でも十分に対応できる知識と技能を身につけているとして、即戦力として評価されることも多くなるのです。
会計と監査について、徹底的に深く掘り下げて勉強・研究を行っているので、大企業の経理部に採用されることも多いですし、上場を目指して急成長中のベンチャー企業にCFO(最高財務責任者)として迎え入れられる可能性もあります。
つまり、公認会計士試験の道一本にこだわらなくても、転職を考える時に多様なキャリアパスが広がっているため、心に余裕ができる点が、会計大学院を修了する一番のメリットといえるでしょう。
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まとめ
会計大学院は、公認会計士試験に合格するという目的のみを重視すれば、ちょっと遠回りの道なのかもしれません。学費もかさみます。
しかし、即戦力として評価されるため、転職においてはアドバンテージが得られます。
そういったメリット・デメリットを踏まえて、進路を考えていきましょう。
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