≪財務コンサル業界≫ ブティック型のコンサルって何?
6~7月と言えば監査法人の繁忙期も終わり、新たなキャリアを模索する公認会計士が転職市場に増える時期でもあります。また、公認会計士にとって会計監査で培った基礎力を活かせる先として、財務コンサルティング業界は注目のマーケットとなっているようです。
一方で「財務コンサルティング業界の全体像についてはよく分からない」という方も多いことから、今回の会計トピックスでは、財務コンサルティング業界についての解説をさせて頂きたいと思います。中でも、今回クローズアップをするのは“ブティック型”の財務コンサルティングファームです。ブティック型の財務コンサルティングファームとはどういった所なのでしょうか。その正体に迫ります。
ブティック型の財務コンサルティングファームとは
財務コンサルティングを手掛ける会社は多く存在しますが、その中でも少数精鋭体制で専門性の高いサービスを提供している会社をブティック型と分類することが多いです。
例えば、M&Aや事業再生領域に特化した財務コンサルティング会社では、その領域に精通したコンサルタントが深度のある財務デューデリジェンスやバリュエーションサービスを提供しており、加えて、BIG4系列のFASでは税理士法人に依頼してしまうような税務デューデリジェンスや税務ストラクチャーの構築支援なども自社内で対応をしているケースは珍しくありません。
また、ブティック型財務コンサルティングファームの創設者には、BIG4監査法人やBIG4系FAS、大手経営コンサルティング会社の出身者が多く、大手水準のノウハウを中堅以下のクライアント層に提供するスタイルが一般的だと言われています。
大手系のコンサルティング会社と何が違うのか?
ブティック型の財務コンサルティングファームは、少数精鋭体制であることが多く、BIG4系FASやその他大型なコンサルティングファームのように大量の人材を現場に投入することが出来ません。むしろ、少ない人数で小回りの利くような案件を得意としていますので、その点はブティック系財務コンサルティングファームの特徴と言えるでしょう。
また、上記のように小回りの利くようなサイズの案件(顧客)を対応していますので、担当者レベルでも顧客の経営層と密にコミュニケーションを取る機会が多いようです。
つまり、簡潔に大手FASとの違いをまとめるとすれば、
1.中小規模の顧客がメインになるため顧客の経営を俯瞰して見ることが可能
2.縦割り業務ではなく、財務会計・税務・経営など総合的視点で支援可能
3.若手でも社長や会長など経営のトップ層とリレーション構築が可能
という点がブティック系財務コンサルティングファームの特徴だと言えるでしょう。
ブティック型財務コンサルティングファームの採用動向
現在、ブティック型財務コンサルティングファームでは積極的に人材採用を行っています。特に中堅規模のM&Aや事業再生を得意とするコンサルティングファームでは、新規案件の受注状況が好調であり「人材さえ整えば更に案件の獲得が出来る」といった状況です。
※人材採用が出来ていないが故に、新規の依頼をお断りしているというファームも少なくありません。
では、ブティック型財務コンサルティングファームではどのような人材をターゲットとして採用活動を行っているのでしょうか。
財務コンサルティングの実務経験者しか採用されないのかというと、実はブティック型の財務コンサルティングファームにおいては、即戦力の採用よりも、財務会計の素地があるポテンシャル層が多く採用されている状況です。
例えば、監査法人で数年間、会計監査の経験をした方、金融機関で法人クライアントへの提案営業を行っていた方、税理士法人で財務デューデリジェンスや税務デューデリジェンス、資金繰り改善や経営計画策定支援などを行っていた方など、コンサルティングの実務経験がなくてもポテンシャルを評価されて採用をされている傾向にあります。
この採用トレンドはまだ続いていく見通しがあり、まさに財務コンサルティングにチャレンジしたいという方にはチャンスであると言えるでしょう。
業界研究は必須、準備してからチャレンジすること
最後に、今後ブティック型財務コンサルティングファームに挑戦したいという方にアドバイスがあります。それは“絶対に業界研究をしてからチャレンジすること”です。
上記の通り、ポテンシャル層を対象とした採用活動が活発になっているものの「コンサルで必要な能力って何?」「監査の経験をどう活かすつもり?」「財務デューデリジェンスやバリュエーションをする際の注意点は?」「なぜ大手ではなく当社を志望したの?」「M&A関連の本、何冊か読んだ?」など、面接の場面で鋭い質問を浴びせられることも日常茶飯事です。せめて、大手FASとの違い、その会社ごとの特徴などは理解してから応募しましょう。
そのアクションの有無で採用の可否が分かれることもあるのですから。
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