ロー生に多いコンプレックスの内容と意識しない方法とは
将来、司法試験に合格して法曹として活躍するための勉強や研究を行う法科大学院生(ロー生)の中には、独特のコンプレックスを抱えている人が少なくないようです。どのようなコンプレックスを抱えやすく、そして、どのようにすればコンプレックスを意識しないようにできるのでしょうか。
ロー生の多くが抱えているコンプレックスとは
コンプレックスには、自分が優れていることをことさらに誇示する「優越コンプレックス」と、自己否定や自己嫌悪に苛まれている「劣等コンプレックス」の、おもに2種類があります。ここでは「劣等コンプレックス」に絞って検討します。
ロー生の中には、自分の学歴に引け目を感じている人もいます。どの法科大学院を修了しても、公平に司法試験を受験できるチャンスを得られるのですが、最近では法科大学院ごとの合格実績に、無視できない格差が生じてしまっています。
決して入学偏差値が高いとはいえない大学や学部に入り、それがコンプレックスだったところ、一念発起して合格難度の高い法科大学院に受かってコンプレックスを解消させた人もいます。
また、法曹になるのが非常に難しかった旧司法試験時代との間で、自分を比較してしまうロー生もいるようです。特に親も法曹である場合、合格率2~3%台の熾烈な競争を勝ち抜いているわけですので、現在のように合格率の高い司法試験に合格するため、高額な学費を支払って法科大学院に2~3年間も通うのは、内心で「贅沢」だと感じているロー生もいるのです。
家がお金持ちで恵まれているロー生に対して、経済的に苦しく奨学金などを得ながら勉強しているロー生がコンプレックスを感じることもあります。自分は常に費用対効果のことや、さまざまな支払いのことなどを気にしながら勉強しているのに、お金のことをまったく気にせずに勉強だけに集中できる環境に恵まれたロー生に、嫉妬を感じているのです。
コンプレックスを抱えてしまう理由
それは、自分と他人を比較して、自分のほうが劣っていると自覚し、落ち込むという思考の癖が抜けていないからです。
しかも、自分は他人よりも劣っていて、自分を好きになれないという気持ちを慢性的に抱えているために、物事を前向きに捉えて、人生の障害を積極的に乗り越えていく自信も持てず、そのために成果をなかなか出せずに、さらに自己嫌悪に苛まれる悪循環に陥ることがあるのです。
他人には言わなくても、もし、他人よりも優れた肩書きがほしくて、自分に自信を付けるために「弁護士を目指している」という気持ちが心のどこかにあるならば、コンプレックスを払拭できないかもしれません。
自分の能力などに自信が最初から潜在的に備わっている弁護士と、どこか自信を持てずに話を聞いている弁護士とで、人々はどちらに法律相談を持ちかけたがるでしょうか。
たとえ表面的には温厚で、丁寧に話を聞いているとしても、重大なコンプレックスを抱えていることを敏感に感じ取って、警戒する相談者もいます。 よって、他人と比較して自分をみじめに感じるコンプレックスは、弁護士になる前段階で、拭い去っておきたいところです。
意識しないための工夫や考え方とは
まずは、他人と自分を比較する癖をやめることです。他人と比較して落ち込んでいる人は、もし司法試験に受かって、法律家として成功を収めたとしても、他人と比較することでしか喜べません。そうなると、成功から転落してしまったとき、精神的に再起不能ともなりかねません。
自分自身の独自のスキルや強み、喜びにフォーカスし、何をしているときが最も幸せか、何をしているときの自分が好きなのか、改めて見つめ直してみましょう。自分自身を好きになれる時間を増やしながら行動を続けていれば、物事に対する集中力も増し、成果も出やすくなります。
ただ、その成果を自身の糧とするのでなく、ひとしきり達成感を味わったら、また次の目標を立てて、行動に移しましょう。そのひたむきな姿勢が、周囲からの尊敬や支持を集めて、自分自身が「ここに居ていい」という無条件の肯定感を育んでいく糸口となりえます。
そして、周囲の他人もあなたと同様に、自己肯定感を得たいと願っています。気に掛けていることを言葉にし、時には褒めたり、努力をねぎらったりしましょう。そうした他者貢献の姿勢も、無条件の自己肯定感に繋がります。
それでも、どうしても他人と自分を比較する癖が抜けないときは、自分の劣等感を定義し直すことが重要となります。「お金で苦労している」のであれば、「弁護士になったとき、お金に困って相談に来る人の気持ちが真に理解できる」ことが強みとなります。
そして「劣等コンプレックスが強ければ強いほど、自己成長へのエネルギー量が莫大である」と自覚して、モチベーションを高めましょう。
まとめ
他人より自分が不利な環境にいるという事実は変えられませんが、コンプレックスは、自分自身の気持ちの持ちようで乗り越えられます。最終的にはコンプレックスを克服して、負かすぐらいの意識で取り組んでいきましょう。コンプレックスを力強く克服した将来のあなたに対して、相談をしたいという未来の依頼人が待っています。
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