2025年09月22日

【経理キャリアマップ】上場企業のCFOになるためには?

経理のキャリアを考えた際に、最終的な到達点の一つとして挙げられるのがCFO(最高財務責任者)です。
CFOは単に数字を管理する立場ではなく、財務戦略を通じて企業の成長をリードする役割を担います。
特に上場企業では、投資家・株主との信頼関係を築き、持続的な成長を実現するための中核的存在として、その責任と影響力がかつてないほど高まっています。

本記事では「上場企業のCFOを目指すには何が必要か?」という視点から、必要なスキルセットキャリアの築き方実務経験の積み方、そしてこれからの時代に求められるCFOのマインドセットについて解説します。

CFOとは

CFO(Chief Financial Officer、最高財務責任者)は、単なる財務部門の責任者にとどまらず、経営戦略の実現を財務面から支える“経営の右腕”です。

会社の資金繰りや決算を管理するだけでなく、投資家や株主と向き合い、資本市場と企業をつなぐ重要な窓口としての役割も果たします。
上場企業においては、企業価値や信頼性を左右する極めて重要なポジションです。

CFOの主な役割

上場企業におけるCFOには、主に以下5つの役割があります。

財務戦略の立案と実行

中長期的な成長を見据え、資金調達・投資計画・資本政策を策定し、経営戦略を実現するための財務基盤を築きます。

経営判断のサポート

経営会議や取締役会において、正確な数字と分析をもとに意思決定を支援します。
単なる会計処理ではなく、経営視点での提言が求められます。

投資家・株主対応(IR)

有価証券報告書や決算説明資料を通じて投資家に情報を発信し、企業の信頼性と市場での評価を高めます。

リスクマネジメントと内部統制

資金繰りの安定化、法令遵守、J-SOX対応などを通じて、企業の持続的成長を支える「守りの経営」を担います。

CFOの「攻め」と「守り」

CFOの役割は大きく「守り」「攻め」に分けられます。

まず守りの側面では、財務の健全性を保つために資金繰りを安定させ、法令遵守や内部統制を徹底することが求められます。
これにより、投資家や取引先からの信頼を確保し、企業活動の基盤を強固にすることができます。

一方で攻めの側面では、資本市場を活用した資金調達やM&Aの推進など、成長戦略の実行に直結する取り組みを主導します。
事業拡大や新規投資に必要なリソースを確保し、企業価値を高めていくのもCFOの重要な責務です。

つまりCFOは、リスクを管理し企業の信頼を守る「守り」と、成長を加速させる「攻め」を両立させる存在であり、経営戦略の実現に不可欠なパートナーとして位置づけられています。

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上場企業CFOになるためのキャリアパス

CFOを目指したいと考えても具体的にどのようなキャリアパスを描いていけば良いのでしょうか。
いくつかキャリアの選択肢はありますが、今回は経理担当からのキャリアパスを中心に解説します。

上場企業CFOになるためのキャリアパス

CFOへのキャリアは、まず経理担当としての実務経験から始まります。
仕訳や伝票処理、月次・年次決算、税務申告を通じて会計基準を理解し、数字を正しく扱う力を培います。
次の段階では決算主担当や内部統制、監査法人対応に携わり、経理リーダー責任者としてチームを統率する力を磨きます。

その後は財務経営企画の領域へシフトし、予算策定、予実管理、資金繰り、経営会議資料の作成などを経験します。
さらに責任者として資金調達、資本政策、IR対応、M&Aに取り組むことで、企業全体の成長戦略を支える立場に進み、最終的にはCEOの右腕としてCFOを務める道が開けます。

投資銀行・監査法人からのルート

投資銀行・監査法人からのルート

経理以外にも、投資銀行監査法人からCFOを目指すキャリアがあります。
投資銀行では財務分析やモデリング、M&A、IR戦略支援などを通じて、企業価値を高めるノウハウを蓄積できます。
その後、事業会社の財務・経営企画部門に転じてCFOに就任するケースが一般的です。

監査法人出身の公認会計士も、監査経験を生かして投資銀行や事業会社に移り、最終的にCFOとなるパターンがあります。
また、スタートアップでIPO準備から上場達成までを経験し、その後に上場企業CFOへキャリアを進めるルートも注目されています。

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上場企業CFOに必要な経験・スキル

CFOを目指す上で必要な経験・スキル企業の規模ステージ(上場企業、スタートアップ・ベンチャー、外資系企業など)によっても多少異なりますが、共通して必要とされる主な要素は『高度な財務・会計知識』『経営視点と戦略的思考』『対外コミュニケーション能力』などが挙げられます。
その中でも上場企業のCFOは他にどのような経験・スキルが求められるのでしょうか。

上場企業は株式を公開しており、一般の投資家が証券取引所で自由に売買できる状態にある企業です。
そのため上場企業のCFOは企業価値を高めるため、投資家やアナリスト、金融機関などの窓口となり信頼関係を築くことを求められます。

また、上場企業として企業が法令・ルールに基づいて健全・透明に経営できるよう、ガバナンスへの理解・対応力も重要です。
ガバナンス(企業統治)は企業価値を守るいわば信頼の土台となるため、J-SOXをはじめとした内部統制の構築・運用の管理を始め、経営会議・取締役会での説明責任、不適切会計・粉飾などを未然に防ぐチェック体制の設計、ステークホルダーに対する説明の質と誠実さなどが必要なスキルとなります。

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CFOを目指すためのキャリア形成ステップ

上場企業のCFOを目指すには戦略的なキャリア形成が非常に重要です。
単なる会計・財務の専門家ではなく、経営戦略の中核を担う存在となるためのキャリアの築き方を40歳前後までにCFOを目指すと仮定し、ステップごとに解説していきます。

STEP 1:財務・経営の土台づくり(20代後半~30代前半)

まずは会計・財務の基礎を固め、経営の肌感を得ることが重要です。
経理担当者として決算業務を経験し、IFRSJ-GAAPなどの会計基準、連結会計内部統制(J-SOX含む)を学びます。

続いて管理会計予算管理を通じて、経営に活用できる数値分析のスキルを習得します。
経営企画部門や事業部門との連携を通じ、戦略的な分析経営判断に関与し、さらに管理職としてマネジメント経験を積むことで、組織運営の力を養います。

STEP 2:ファイナンスと経営視点の強化(30代前半~中盤)

次の段階では、資本市場や投資判断に携わり「お金で会社を動かす力」を培います。
銀行融資や社債・私募債などのデットファイナンスに加え、投資家から資金を調達するエクイティファイナンスの実務経験が求められます。

また資本政策や予算策定、KPI設計、中期経営計画の策定など、より戦略的な業務に取り組みます。
さらにM&APMI子会社再編といった特殊案件を通じ、投資判断から実行までを担う経験がCFO候補としての価値を高めます。

STEP 3:CFO候補としての実績構築(30代後半~40代前半)

最終段階では、CFO候補として「総合力」「成果」を示す必要があります。
取締役会やベンチャーキャピタル(VC)との対応、資本政策の策定といった企業の表舞台での役割を担うことが重要です。

特にIPO準備企業で上場達成M&Aを経験すると、大きな評価につながります。
既に上場している企業では得られない「企業を上場基準まで引き上げた」という実績は、上場後のCFOキャリアにおいても強みとなります。

主幹事証券会社や監査法人との折衝経験は、上場審査を乗り越える説明責任を実践的に身につけた証であり、その後のIR活動や決算説明会でも活かされます。
またスタートアップでの仕組みづくりや未整備な環境での対応は、タフネスと柔軟性の証明となり、事業再生やM&A後の子会社経営などでも高く評価されます。

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まとめ

CFOはCEOの右腕として会社の意思決定に深く関与する重要なポジションで多角的な視点・視座が必要です。
上場企業のCFOと聞くとハードルが高いように感じる方が多いかもしれませんが、しっかりと必要な経験・スキルを理解し着実に経験が積める環境に身を置くことができれば、非上場企業の経理担当からでも十分に目指すことが出来ると言えるでしょう。
CFOというキャリアゴールを設定し、今どの地点にいるのか、今後どのような環境でどのような経験を積めば良いのかを把握することが重要です。

そのためには社内での異動、昇格以外に転職も有効な手段です。
今後のキャリアパスでどのような選択肢があるのかなどもご提案いたしますので、是非管理部門・士業特化型転職エージェント「MS-Japan」にご相談ください。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

森澤 初美

カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。
2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を担当し、現在は関東全域の士業、管理部門全職種を担当。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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