税理士の就職・転職に学歴は問われるのか!?
税理士資格を持っている方でも、就職や転職する際に「学歴が問われるか」は気になるのではないでしょうか。
税理士試験受験者の学歴は、「大学卒」が大多数ですが、就職においては、学歴よりも税理士資格の有無やクライアントからの評価が重視されます。
今回は、税理士の就職と学歴について見ていき、税理士が身につけるべき能力をご紹介します。
税理士試験合格者の学歴
税理士試験の税法科目は学識、資格、職歴といった様々な分野の受験資格を定めており、いずれか一つの要件を満たせば、受験資格を有することになります。
※簿記論・財務諸表論に関しては、令和5年度試験から受験資格が緩和され、実質どなたでも受験が可能になっています。
【参考】
・
国税庁:税理士試験受験資格の概要
大学を卒業していなくてもその他の要件を満たせば税理士試験を受験することができますが、下表の通り「大学卒」の受験者が多数を占めています。
カテゴリ | 受験者数 | 5科目到達者数 | 一部科目合格者数 | 合格者数合計 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
大学卒 | 23,765 | 471 | 4,553 | 5,024 | 21.1% |
大学在学中 | 2,188 | 4 | 663 | 667 | 30.5% |
短大・旧専卒 | 700 | 10 | 85 | 95 | 13.6% |
専門学校卒 | 2,786 | 77 | 379 | 456 | 16.4% |
高校・旧中卒 | 2,778 | 32 | 630 | 662 | 23.8% |
その他 | 676 | 6 | 215 | 221 | 32.7% |
【出典】
・
国税庁『令和5年度(第73回)税理士試験結果』
国税庁が発表したところによると、平成令和5年度(2023年)の税理士試験において、合格者の学歴は上表の通りとなっています。
この結果を見ると、合格者の合計人数7,125人に対して、大学卒は5,024人と約7割(70.51%)を占めており、大学在学中まで含めると約8割(79.87%)にまでのぼります。
それでは、税理士の就職・転職では学歴が重視されるのでしょうか? 次章からは、その点について詳細に解説します。
税理士の就職・転職において学歴は問われるのか?
税理士試験合格者の大多数は大学卒となっていますが、税理士の就職・転職においては、学歴はあまり問われることはありません。その理由は2つあります。
税理士として仕事をするためには「資格の有無」が重要だから
税理士として仕事をしていくためには、税理士資格がなければなりません。
税理士の採用にあたり、税理士資格や科目合格を条件としている税理士法人・会計事務所は多くあります。
この税理士資格や科目合格という、学歴より重要な指標があるため、税理士の就職・転職においては、学歴はあまり問われません。
高卒で税理士資格を持っている人と、高学歴でも科目合格もしていない人とでは、税理士資格を持っている人の方がはるかに高く評価されます。
税理士の仕事はクライアントからの評価が重視されるから
税理士としての評価の指標は、学歴よりもクライアントからの評価です。
クライアント企業からどれくらい評価されているかは、顧問料の合計額を見ればすぐにわかります。
また、新規の顧客を紹介で獲得することができる税理士は、優秀であると判断できます。
以上の理由で、多くの税理士法人や会計事務所では、税理士資格・科目合格や実務経験、職歴、人柄などを総合的に判断して採用します。
ただし、学歴が採用条件となることはほとんどないといえますが、判断要素の1つにはなりえます。
たとえば、ある会計事務所に高卒の人と大卒の人との応募があり、その他の条件がほぼ同じで甲乙つけがたい場合、最終的に学歴で判断される可能性はあります。
また、実際に勤務を始めてからも、税理士法人・会計事務所のクライアントには、学歴を気にする人もいます。
特に、銀行などの金融機関や上場企業、病院などの学歴が高い人がトップになることが多い企業では、その傾向が強くなるといわれます。
したがって、高卒などで税理士を目指す際には、学歴に代わる自分なりの強みを持つことが大切だとはいえるでしょう。
税理士の就職・転職における、学歴に代わる強み
税理士の就職・転職において、学歴に代わる強みはどのようなものかを見てみましょう。
実務経験
税理士の仕事は経験がものを言うため、実務経験があることは、大きな強みになります。
法人顧客の月次監査から税務申告までを完結できるだけの経験があるならば、即戦力とみなされることになるでしょう。
また、実務経験はたとえアルバイトであったとしても、経験がないよりは評価されます。
専門分野
基本となる実務経験の年数や量とは別に専門性や得意分野を持つことも重要です。
専門性としては、資産税分野の経験や国際税務、事業再生、M&Aといったものがよくお勧めされていますが、なかなか経験する機会が少ないと思います。
得意分野という視点で、上場企業や成長ベンチャー企業といった特定のフェーズにある企業の担当経験、金融やIT、不動産など特定の業種の担当経験を積むことも一つの方法です。
英語力
特に大手税理士法人の場合には、その法人自体が外資系または、顧客が外資系であることが多くなります。
したがって、英語力は就職・転職にあたり大きなアピール材料となります。
TOEICは、700点程度が1つの目安となるでしょう。
また、実務で英語を使った経験や留学の経験がある場合には、評価はさらに高くなります。
まとめ
税理士の就職・転職で学歴は、あまり大きく問われません。
学歴よりも、税理士資格や科目合格、実務経験、英語力、さらには人柄などが重視されます。
「学歴がないから」とあきらめてしまわずに、ぜひ税理士への道にチャレンジしていきましょう。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、不動産会社にて個人向けの営業を経験。その後MS-Japanへ入社。会計事務所・コンサルティングファーム・監査法人・法律事務所・社会保険労務士事務所等の法人側担当として採用支援に従事。現在はキャリアアドバイザーも兼務し一気通貫で担当しております。
会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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