「社員の不祥事・不正行為の対応」
第107回2015/11/16
「社員の不祥事・不正行為の対応」
「社員の不祥事・不正行為の対応」
近年、巷では不祥事や不正行為を伝えるニュースが数多く流れております。今回の人事コラムでは、その不祥事・不正行為に焦点をあて、現在の会社が抱えるリスクや、会社だけでなく労働者に対してどのようなリスクが内在しているのか、今押さえておくべき点についてお伝えしていきます。
不祥事・不正行為の定義とは
皆さんは、不祥事と不正行為の定義について考えたことはありますか?まずは、それぞれの定義について整理したいと思います。
【不祥事】
・関係者にとって不都合な事件、事柄。「社員が―を起こす」
【不正(行為)】
・正しくない行為。道義にはずれたおこない。
(参照元:大辞林)
不祥事と不正行為は似た概念がありますが、不祥事に関してはヒヤリ・ハットによる事故や過失を含む広い定義があり、不正には悪意を持って行う行為という意味合いが強いです。
有名な不祥事・不正行為
2015年も残り数か月となりましたが、ここで不祥事や不正行為を軸に、今年はどのような事件が発生したか振り返ってみましょう。
・三井不動産販売の傾斜マンション問題⇒三井不動産レジデンシャル販売のマンションが傾き社会問題に。
・東芝の粉飾決算⇒歴代の社長が売上至上主義に走った結果、会計操作が行われ粉飾の疑惑が出た。結果としてGC銘柄に指定。
・フォルクスワーゲンの排ガス規制の件⇒排ガス規制のテストをクリアするために試験場で性能が検査される場合にだけ、有害物質の量を減らすことが出来るというソフトウェアを搭載していたことが内部告発により発覚。
こう見ると、2015年だけでも多くの不祥事・不正行為が発生したように見受けられます。とりわけ今年の特徴としては、昨年に起こったベネッセに続き、東芝、フォルクスワーゲンといった世界有数の企業による不祥事・不正行為が目立ったという点です。
これだけ大規模な企業であっても不祥事や不正行為が発生しているということに、改めて驚かれた方も多いのではないでしょうか。
今後、会社・社員が気をつけるべき事
優秀な人員・優秀なシステムを備えていても発生してしまう不祥事・不正行為を予防するにはどうすればよいのでしょうか?
本項目では今すぐ実践できる不祥事や不正行為防止策について紹介します。
まずは、社員研修で有名なトーマツイノベーション株式会社が取り入れている対策例です。
トーマツイノベーションでは、業務終了後にデスクの上の飲み物や食べ物をすべて処分して帰社するという取り組みをしているようです。この取り組みの真意としては、デスクを常にクリーンな状態にする意識作りをすることで、デスク上に個人情報が出ないようにするという点にあります。結果的に情報漏えい等の不祥事の防止に繋がるというものです。
デスクを常に綺麗に保つというのは、簡単なように見えてなかなか難しいものです。皆さんのオフィスでもぜひやってみてはいかがでしょうか。
また、今年度の新入社員の方も入社半年を過ぎてそろそろ業務に慣れてきたところだと思います。その際に今一度先輩社員の方にメールのチェックや業務の進め方についてダブルチェックをしてみるのも良いかもしれません。今まで気づかなかった改善点に気づく機会になるのではないでしょうか。
その他、企業として内部通報制度を導入することも有効かと思われます。
社内で法令違反や不正行為の発生や、その危険性を察知した場合、対応窓口へ通報することができるという仕組みです。この制度を設けることで、不正や不祥事を未然に防ぐ組織作りが実現できる上、社員一人一人も不祥事や不正行為への意識や日々の業務への責任感を高めるきっかけにも繋がるのではないでしょうか。
(参照元:KPMGジャパン ビジネスキーワード)
http://www.kpmg.com/Jp/ja/knowledge/glossary/Pages/hotline.aspx
個人情報とマイナンバーの関係
いよいよマイナンバー制度がスタートいたしました。しかしながら、マイナンバー制度の仕組みや、どのように我々の情報が扱われるのか不安に思う方も多いのではないでしょうか。
マイナンバー制度の導入により、企業にとっても体制整備や変更が必要になる場合もあります。個人としても企業としても、不祥事・不正行為をしない/されない為に、企業・マイナンバー・個人情報の三点の関係性を把握しましょう。
まず民間企業にとって重要なのは、マイナンバーは『特定個人情報』に当たるということです。すなわち、氏名や住所といった『個人情報』に『マイナンバー』が付与された時点で個人情報とは別の『特定個人情報』という別の物になるということです。その為取り扱いも厳格になります。
また、前回の人事コラムにもマイナンバー制度をテーマにした記事が掲載されておりますが、そこに『マイナンバー情報を「目的の行政手続き」以外で使用すると、執行猶予なしの禁固刑という罰則の対象となってしまいます。4年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金とかなり厳しい内容です。知らずに法に触れ、罰せられることがないようにセキュリティー対策はしっかりとやっておく必要があります。』という文がありますように、会社として「対策を施していなかった」「勉強不足だった」では済まされないケースが発生すると思われます。
また、社員数の多い企業は、その分マイナンバーを扱う数も多くなる為、情報漏洩等の不祥事が発生してしまった際には、被害も甚大なものとなります。
マイナンバー制度対策を目的とした外部研修等も開催されておりますので、今一度参加してみてはいかがでしょうか。
まとめ
不祥事・不正行為に関しては、以前にも増して企業側の防止策をしっかりと講じて高いコンプライアンス意識を持つ必要があると感じました。
特に個人情報に関しては、企業の信頼そのものに影響を与える重要な問題であり、企業で働く従業員も意識を高く持って働くことが重要になるかと思います。
(文/リクルーティングアドバイザー 野口浩輝)
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