監査法人卒業後のキャリアパスについて

監査法人にて就業中の公認会計士の方にとっては、転職に有利な状況がここ数年続いています。いわゆる「引く手あまた」といっても過言ではなく、ご希望にあった求人に出会える可能性も高いのではないかと思います。一方で、自身の市場価値や転職動機を正確に把握しなければ、不用意な転職を繰り返してしまうことにもなりかねません。
そこで今回は、監査法人から卒業した公認会計士のキャリアパスと市場感を簡単にお伝え致します。理想のキャリアパスを実現するための参考材料にして頂ければ幸いです。
キャリアパス1:監査法人から企業への転職
企業内で働く「企業内公認会計士」が以前に増して一般的となり、好景気も相俟って上場企業・IPO準備企業での採用ニーズが増えています。大手上場企業では、連結決算、IFRS対応、有価証券報告書の作成などの高度な業務への対応を期待されており、経営企画やM&A関連のポジションも増えている印象です。ベンチャー企業や中堅企業においても、IPO責任者、CFO候補、管理部長候補等のポジションで公認会計士が採用されるケースが増えています。企業で何を、どう実現したいかを明確にしてから転職活動をされるとスムーズです。
一方で、入社後に想定外の部署に配属されてしまったり、経理補助レベルの仕事しか任せてもらえなかったりというようにミスマッチも増加している印象です。そのため、入社後の業務内容については勿論のこと、その企業が何を求めて公認会計士を採用しようとしているかについても、しっかりと把握する必要があるでしょう。
キャリアパス2:監査法人からコンサルティングファームへの転職
コンサルティングファームでも公認会計士の採用が活発に行われており、特に、FAS系コンサルティングファームについては、国内でのM&Aマーケットの拡がりを受け、どのファームも人材不足に陥っている印象です。ただし、採用ハードルは下がっている訳ではなく、クロスボーダーM&A案件に対応しているようなBig4系FASについては、最低でもTOEIC700~800点以上の英語力が必要となり、マネジャー以上の職位を目指す場合、ビジネスレベル以上の英語力が求められます。
参考
・会計士のキャリアは英語で開かれる!転職を機会に年収アップを目指そう
・会計士の転職で英語力は必要か!?
また、M&A、事業再生系コンサルティングファームについても、センシティブなコミュニケーションに対応できる対人適応能力が重視される傾向にあるので、面接が苦手な方は対策をする必要がありそうです。高年収のファームが多いですが、ハードワークになりやすい業界ですので、目的意識を持ってご転職されることをお勧め致します。
経営戦略系コンサルティングファームについては、主にビジネス領域の知見を求められ、会計領域の経験が必ずしも評価されるとは限りません。そのため、経営戦略系のキャリアを築きたい場合は、遅くとも20代後半~30代前半までには動き出す必要がありそうです。
国際的なグローバルファームの場合、更にハードルが高い印象です。
キャリアパス3:監査法人から税理士法人(会計事務所)への転職
税理士登録が可能な公認会計士の方は、会計事務所業界を監査法人の次のキャリアに選ぶことも多く、中には将来的な独立開業を視野に入れている方もいらっしゃるでしょう。会計事務所業界の転職市況については、近年まれに見る売り手市場のため、転職はしやすい状況です。ただし、(初年度)年収については、正直なところ、監査法人と同等の給与を期待するのは難しいかもしれません。資格以上に税務経験が重視されやすい業界ですので、場合によっては100~300万円ほどの年収ダウンが想定されるかもしれません。ただし、その限りではなく、上場企業を多く顧問に持つ事務所やFASをサービスメニューの一つにしているような事務所では、水準より高い年収が提示されることも少なくないようです。
勿論、年収に囚われずに、中小企業を支援したいという熱意を持った方や、将来的な独立に備えたいという方については、中小零細企業を主な顧客層としている事務所も選択肢に入るでしょう。その場合は、年収をダウンさせても差し支えない範囲を事前にご家族と相談していただくと、よりスムーズにご転職頂けるのではないかと思います。尚、数年後の独立を検討中の方については、なるべく独立を好意的に受け止めてもらえる事務所にご入社頂くことをお勧め致します。可能な限り情報収集をしてから応募先を選んで頂くと、余計なトラブルを避けられるのではないかと思います。
事前の情報収集がカギ!
公認会計士のキャリアパスの拡がりや売り手市場も相俟って、これまで以上に高待遇で内定を獲得できることも増えている印象です。しかし、どんなに売り手市場とはいえ、採用ハードルが存在する以上、出来るだけ早い段階で準備をする必要があります。また、どんなキャリアパスを理想としているかを自覚し、その実現のためにどんな準備が必要かを把握することも大切となります。その点、業界特化型の転職エージェントは膨大な情報量を蓄えており、効率的な転職活動を実現するためのヒントをご提供することができます。1年先の転職のためでも構いません。監査法人の次のキャリアをお考えの方は、是非MS-Japanにご相談頂ければと思います。


この記事を監修したキャリアアドバイザー
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転職成功事例一覧を見る 会計士の転職・キャリアに関するFAQ
監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。
具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。
転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。
キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。
ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?
一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。
監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。
事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。
40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。
企業であれば、会計監査のご経験をダイレクトに活かしやすい内部監査の求人でニーズが高いです。経理の募集もございますが、経理実務の経験が無いことがネックになるケースがあります。 会計事務所ですと、アドバイザリー経験の有無によって、ニーズが大きく異なります。また、現職で何らかの責任ある立場についており、転職後の顧客開拓に具体的に活かせるネットワークがある場合は、ニーズがあります。

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