2023年02月17日

公認会計士がベンチャーに転職するには?年収事情や仕事内容、求める役割・スキルなど

公認会計士のキャリアは、スタートこそ監査法人が一般的ですが、その後の選択肢は様々です。
IPO準備企業などのベンチャー企業CFO(最高財務責任者)として働くことも、数あるキャリアの一つに数えられます。ただし、ベンチャー企業への転職を考える場合、仕事内容を具体的にイメージしておくことが重要です。

この記事では、公認会計士がベンチャー企業に転職するために知っておきたいポイントについてご紹介します。求められる役割年収事情なども含めて解説するので、ぜひ参考にしてください。

なぜベンチャー企業に転職したい公認会計士が増えているのか?

IPO準備中のベンチャー企業では、公認会計士の需要が高まっています。そもそもバックオフィス部門がないベンチャー企業も多く、 厳しいIPO審査を通過するためには専門家の知見が求められています。

一昔前までは、ベンチャー企業への転職はリスキーな選択として捉えられていました。
しかし、昨今監査業界の不祥事などが増えてきた中、安定よりも発展を取ろうと考える公認会計士が増えています。

2022年5月の経済産業省のニュースリリースによると、大学発ベンチャーの数は2014年度の1,749件に対し、2021年度は3,306件にまで増加しています。
日本経済の閉塞感を打ち破り、インセンティブを得ようとする人材は、今後も増え続けると考えられるでしょう。

また、監査法人時代のIPO経験をきっかけに、ベンチャー企業への転職を志す会計士もいます。 もともと起業に興味がある人が転職する場合もありますが、社長の人柄やビジネスモデルにひかれて転職するケースも多いようです。
IPO達成後の独立を見据えている方や、自由な働き方を求めてIPO準備企業の常勤監査役を希望する方も多く見受けられます。
上記のような背景により、公認会計士のキャリアとしてベンチャー企業の人気が高まっているのです。

ベンチャー企業に転職した公認会計士の年収事情

ベンチャー企業に転職後の年収水準は、ベンチャー企業側の懐事情によります。
いきなりCFOとして雇うケースは稀であり、基本的には「CFO候補」として各種業務に従事してもらい、能力が認められれば役職が与えられるキャリアパスが一般的です。
当社で取り扱う求人でよく見かける水準は下記です。

CFOポジション 900万円~1500万円(ストックオプション付与予定)
管理部長ポジショ 800~1500万円程度(ストックオプション付与予定)
経理部長 700~1000万円程度
経理マネージャー 500~800万円程度

職位やIPOフェーズ、将来的な役員採用の有無などにより、同じポジションでも金額に差があります。
また、業務ミッション度合いで 上記を上回る金額レンジを提示するケースなどもあります。


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ベンチャー企業のCFOを担う公認会計士の「仕事内容」とは

ベンチャー企業でCFOとして働く公認会計士の仕事内容は、実に幅広いものです。
IPO準備中のベンチャー企業を例にとると、以下のような役割を期待されています。

IPOプロジェクトマネジメント

IPO準備を進めるにあたり、計画立案・実行・管理に携わりつつ、チームの編成・マネジメントを行います。
チームが一丸となって、証券取引所や証券会社・監査法人等の関係者との質疑応答や、審査へ対応できるように統括します。

資本政策表の作成および各種書類の準備

IPO時は、資金調達フェーズごとに、株主構成を明示した資本政策表の作成が必要です。
企業価値の予測や従業員に対するストックオプション付与など、考慮すべきポイントがたくさんあるため、公認会計士の知見が役に立ちます。
また、上場申請に必要な書類の中には、有価証券報告書などの用意するまでに時間がかかる書類もあるため、スピーディーな対応が求められます。

予算に関すること

企業の事業計画として具体性がある予算を編成し、策定した予算と実績の差異をなくすための取り組み(予算統制)を進めていきます。
予算編成と予算統制を継続的に行うことで、上場時に決算数値の報告をしやすくして、中長期的な計画の具体性を高めます。

上記のほか、業務プロセスの構築や各種規程の整備なども、CFOとして働く公認会計士の業務に含まれるでしょう。


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ベンチャー企業が公認会計士に期待する役割とは

ベンチャー企業が公認会計士に期待する役割は広く、経営者が必ずしも「経理・会計に関係する分野のみ」を任せたいと考えているとは限りません。
公認会計士は管理部門全般を統括できる能力があると考えている経営者も多く、管理部門立ち上げの段階から仕事を任されるケースも見受けられます。
ベンチャー企業で働く公認会計士は、経営者から何らかのミッションを与えられ、それを遂行する立場だと言えるでしょう。
例えば、IPO準備を任されたのであれば、過去の事例やこれまでに築いたコネクションを軸に情報をキャッチアップし、仕事を自分で探していく能力が求められます。

また、IPOのフェーズや組織の状況によっては、経理だけでなく、 財務や経営企画、総務人事、法務などが範囲に含まれるケースもあるでしょう。
さらに、経営戦略・財務戦略の立案や執行に携わることも予想されます。総じて「企業価値の向上」の矢面に立つ存在であり、隙のない経営体制を構築して、いかに自社の事業の意義や存在感を際立たせるかが求められています。

公認会計士としての知見を活かし、正しい会計を実践するだけでは、CFOの役割を充分に果たしているとは言えません。
資金調達や事業再編、成長分野への投資など、自社のステージを高みに上げるため、財務を中心とした提案が必要なポジションと言えます。
同時に、利益をより多く残せる体制の構築を目的として、コスト管理の分野に関しても意見を求められることがあります。
事業規模の拡大のため、M&Aを行うベンチャー企業も増えているため、監査法人等でシビアな案件をまとめた経験などがあれば、重宝されるでしょう。

ベンチャー企業が公認会計士に求めるスキル

ベンチャー企業のCFOには、財務・経理に関する専門知識以外に、経営に関する知見が必要です。
資金をどのように調達・管理するか、どんな経営戦略を企画するか、対外的な場でのやり取りを不足なくこなせるかなど、経営に直接関わる分野での貢献が求められます。
社員との連携をスムーズにこなせるコミュニケーション能力も求められます。社内外に目を向けつつ、説得力のある提案ができる人材が理想です。

IPO準備期間の企業は、短期間で大きく変化・成長しているため、事業や組織・外部環境の状況により、 公認会計士が担う業務・責任範囲・ミッションも変化します。人員が不足している段階では、他のバックオフィス業務にもフレキシブルに対応しなければなりません。
適宜周囲の情報・状況をキャッチアップしながら、スピーディーにフットワーク軽く、柔軟な動きや判断・行動が必要です。
これまで自分が経験したことのない業務を、矢継ぎ早に処理していく状況に追い込まれることもあるため、ある程度のタフネス人脈も要求されるでしょう。

また、監査を経験していても、資金調達の経験がないことがネックとなり、内定に至らないケースも多く見受けられます。
その場合は、監査法人からいきなりベンチャー企業に転職するのではなく、外資系投資銀行をはさんで、資金調達の経験を積んでからベンチャー企業に転職するという選択肢もおすすめです。
CFOとそのキャリアについて、より詳しい情報を知りたい方は、以下の記事もお読みください。


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まとめ

近年、ベンチャー企業でCFOとして活躍する公認会計士が増えています。
ベンチャー企業がIPO達成できれば、資金調達が容易になり、社会的な信用度も高められます。 しかし、その道のりは決して平坦なものではないため、多くの経営者は監査経験・IPOサポート経験を持つ公認会計士を自社に招き入れたいと考えています。

CFO候補として採用されれば、会計の職域を超える仕事を任されることも多いですが、成長企業の経営に関わる貴重な経験をすることができるでしょう。
将来的に転職や独立する場合でも、IPO・CFOに携わった経験は、後々のキャリアにもつながっていくはずです。

しかし、CFOや経理部長などの企業にとって重要なポジションは、一般的な転職サイトで見つかりについ傾向があります。募集背景から経営状況や事業戦略を推察されてしまうため、採用活動を内密に行う企業が多いことが理由です。
転職サイトで希望条件に合う求人が見つからない場合は、転職エージェント非公開求人を紹介してもらうことをおすすめします。非公開求人とは、企業側と応募者側の求める条件が双方マッチした場合にのみ紹介される求人で、公開範囲を制限したい求人や、応募が殺到しやすい求人などで利用されています。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

圓鍔 忍

大学卒業後、旅行代理店にて法人営業を約3年。20代でMS‐Japanへ入社。
企業の採用支援(リクルーティングアドバイザー)を約8年、求職者の転職支援(キャリアアドバイザー)を約5年経験。
両ポジションでチームマネジメントを経験し、キャリアアドバイザーとしては複数回にわたり支援実績数NO1を獲得。リクルーティングアドバイザーにおいても入社1年半後にチームマネジメントを経験させていただきました。現在は子育てと両立しながら、常に社内でトップ10以内の採用支援実績を維持。

経理・財務 ・ 法務 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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会計士の転職・キャリアに関するFAQ

監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。

具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。

転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。

キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。

ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?

一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。

監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。

事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。

40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。

企業であれば、会計監査のご経験をダイレクトに活かしやすい内部監査の求人でニーズが高いです。経理の募集もございますが、経理実務の経験が無いことがネックになるケースがあります。 会計事務所ですと、アドバイザリー経験の有無によって、ニーズが大きく異なります。また、現職で何らかの責任ある立場についており、転職後の顧客開拓に具体的に活かせるネットワークがある場合は、ニーズがあります。

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