2024年05月21日

会計士がワークライフバランスを整えるには?おすすめの転職先や注意すべきポイント

管理部門・士業の転職 管理部門・士業の転職

ワークライフバランスは、「仕事と生活の調和」と訳され、国民一人ひとりがやりがいや充実感を得ながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会を指します。
現在、政府が進めている「働き方改革」において、ワークライフバランスは最も重要な概念のひとつとして位置づけられています。
では、高度な専門職である公認会計士の場合、どうすればワークライフバランスを実現できるのでしょうか
本記事では、公認会計士が転職してワークライフバランスを実現するためのコツについて詳しく解説します。

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ワークライフバランスを理由に転職する公認会計士は多い?

管理部門や士業に特化したMS-Japanでは、公認会計士の転職事情について独自に調査を行っています。その中で、2023年1~12月にMS-Japanに登録し、転職活動を開始した公認会計士へ転職理由をたずねたアンケートでは、30.8%の人が「スキルアップのため」、19.0%が「キャリアチェンジのため」と前向きな理由を挙げました。
一方で、3番目に多い理由として14.7%もの公認会計士が「残業」を挙げています。思っていたよりも仕事量が多く、ワークライフバランスが崩れてしまっていることに不満を感じ、よりよい労働環境を求めて転職を検討している公認会計士は少なくありません

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公認会計士はワークライフバランスを実現するのは難しいのか?

公認会計士に登録し、監査法人や一般事業会社に就職すると、年次が上がるごとに従事する作業の責任と量が増え、難しい監査や複数の主査を担当するようになります。
そのため、ワークライフバランスの実現を目指すことは、「会計士という職業の実情を考えると難しいのではないか?」とイメージする方は多いのではないでしょうか。
しかし、実際に会計士の仕事内容を詳しくみると、ワークライフバランスの実現は無理難題ではないことが分かります。
公認会計士の就職先として「激務」のイメージが強い監査法人、一般事業会社における業務の実態について、以下で紹介しましょう。

監査法人

監査法人に就職すると、公認会計士は企業の財務諸表が適正に作成されているのかをチェックする監査業務に従事します。
ただ、企業が財務諸表を作成するのは四半期や期末決算など特定の時期だけなので、一年中常に忙しいというわけではありません
企業の決算期が集中する繁忙期がある一方で、決算が行われない閑散期もあります。
多くの企業は3月を決算月としているため、4月~5月にかけて忙しいことは多いですが、6月に入ると急に仕事量が減り、ある程度のゆとりをもって仕事ができます。とくに
また、ゴールデンウィークは忙しいことが多いものの、年末年始やお盆の時期に休みをとれるケースも多く、年間の労働時間でみると、一般企業に比べてとくに多いということはありません。

さらに、近年では監査法人でも働き方改革が実施され、繁忙期・閑散期という労働時間の隔たりを抑えようとする動きが目立つようになりました。
たとえば、特定の時期にだけに業務が集中しないように前倒しで業務を行うなど、業務内容の平準化を図る監査法人も増えてきています。
こうした取り組みを進めている監査法人では繁忙期であっても残業時間が40時間以内となるケースもあり、「監査法人=激務」といったイメージが当てはまらなくなっているようです。

一般事業会社

公認会計士の就職・転職先としては大手上場企業、IPO準備企業、外資系企業なども多いです。
これらの一般事業会社において、公認会計士は高度な会計知識を用いた決算業務、開示業務、監査法人対応業務などを行います。
さらに経験が豊富な会計士の場合、予算の策定やM&Aに関連する業務など経営企画業務に携わるケースも多いです。

こうしてみると、公認会計士は事業会社においても責任ある業務を任されるため、激務ではないかともイメージされます。
しかし実際には、複数のクライアントを任される監査法人とは異なり、自社だけの業務となりますので、仕事に集中しやすくスケジュール管理がしやすいです。
また、大手の事業会社では福利厚生が充実し、安心して働ける環境が整っています
決算業務の時期など忙しくなる時期はあるものの、他の一般職で働く人に比べて、特別激務というわけではありません。

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ワークライフバランスを整えられる職場の条件とは

公認会計士がワークライフバランスの実現を求めて転職活動をする場合、なぜ今の職場に不満があるのかをしっかり洗い出しておくことが大切です。それを踏まえ、次の職場にどのような条件を求めるのかを明確にすると、より希望に合った職場をスムーズに探せます。

業務の進め方がある程度決まっている

これまで取り組んだ経験のない業務や新しいプロジェクトに関わる場合、どうしてもイレギュラー対応が多くなりがちです。勤務時間が長引いたり休日出勤が増えたりと、ワークライフバランスを維持しにくくなる原因になります。
一方、すでにある程度業務の進め方が決まっていれば、ゴールへの見通しが立てやすくなり、日々の業務スケジュールを予測・コントロールできます。余裕をもって仕事を進められ、プライベートの時間も確保しやすくなるのがメリットです。業務の進め方が明確だと効率性も高まり、工夫次第で残業を削減しやすい面もあります。

勤務時間の調整がしやすい

勤務時間を柔軟に調整できることも、ワークライフバランスを整えやすい職場の条件です。とくに育児や介護など家庭の事情を抱えていると突発的な事情が起きやすく、毎日決まった時間に働きにくくなります。

業務の状況も見ながら、フレックスタイム制や時短勤務などをうまく活用できる職場であれば、仕事とプライベートの両立に悩むことは少なくなります。
公認会計士求人の36.8%がフレックス制 2023年1月1日~2023年12月31日に人材紹介サービス「MS Agent」で募集のあった公認会計士求人(時短勤務・非常勤勤務求人を除く)で、フレックスタイム勤務が導入されている求人割合を見てみると、全体の36.8%がフレックスタイム勤務可能でした。
コロナ禍を契機に柔軟な働き方ができる環境整備が進んだ企業も多く、フレックスタイムで働ける求人も増えています
また、就業規則で定められているフレックスタイム・時間休などの制度や、休暇制度が実際に活用されているかもチェックしましょう。育児休暇、介護休暇などがとりやすい環境かどうかも、ワークライフバランスの実現にとって重要なポイントです。

リモートワークできる環境がある

働き方改革を進める内閣府が公表した「仕事と生活の調和推進のための行動指針」では、従業員が多様な働き方を選択できるように、企業へ向けて以下のような指針を掲げています。
「育児・介護休業、短時間勤務、短時間正社員制度、リモートワーク、在宅就業など個人の置かれた状況に応じた柔軟な働き方を支える制度の整備、それらを利用しやすい職場風土づくりを進める。」

リモートワークで働けると職場までの通勤時間を削減でき、浮いた時間は業務や休憩に充てることが可能です。また、通勤にともなう心身の負担が軽減されるため、集中力の向上と業務効率化にも寄与します。公認会計士求人は63.8%がリモートワークOK 2023年1月1日~2023年12月31日に人材紹介サービス「MS Agent」で募集のあった公認会計士求人(時短勤務・非常勤勤務求人を除く)で、リモートワークが可能な求人割合を調査した結果、63.8%がリモートワーク可能となっており、公認会計士の求人としては、むしろリモートワークを取り入れていない方が少数派となっています。

離職率が低い

働きやすい職場かどうかは、職場を辞める人の割合なども参考にしましょう。離職率が高い職場の場合、残業や休日出勤が多いなど何らかのマイナス要素があると考えられます。一方、就職後長く働く人が多い職場なら、働きやすい環境の可能性が高まります。

募集背景・理由が前向き

求人企業や事務所などが公認会計士の人材をなぜ欲しいのか、募集する背景や理由も重要なポイントです。たとえば、業務が忙しすぎて回らないから、欠員が出たからといった理由もありえます。その場合は人手が足りていない状況なので、希望に合う職場と考え転職したとしても、大量の業務に忙殺され疲弊してしまうかもしれません。
一方、自社の経理業務をよりレベルアップさせたいといった考えや、人材育成の観点など前向きな理由から公認会計士を募集しているのであれば、残業や休日出勤が急激に増えるといった懸念は少なく済みます。

女性会計士が活躍している

昨今は社会で活躍する女性が増えているものの、子育てや介護などにおいて、女性の負担が重いケースはまだまだ多くみられます。そのため、転職を考えている職場に女性会計士がどれくらい活躍しているかも重要なポイントです。女性会計士が多く働いているなら、柔軟な勤務時間や休暇制度、リモートワーク制度などが充実している可能性があります。そうした職場が目に留まったら、どのような労働環境なのかを担当者に聞くなどして確認してみましょう。

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ワークライフバランス重視の公認会計士におすすめの転職先

資格を活かして仕事は続けつつ、ワークライフバランスを実現させたい公認会計士には、以下の3つの職場がおすすめです。

一般企業の経理財務

経理や財務などの会計業務はどの企業にとっても欠かせない業務であり、会計士としての専門性もおおいに発揮できます。
一般企業は監査法人などのようにクライアントワークではないため、業務スケジュールを予測しやすく、業務の進め方がある程度決まっています。もちろん四半期や決算時期などは忙しいことがありますが、過度な残業や休日出勤は避けやすい傾向があります。日常業務もうまくやり方を工夫すれば効率化できるため、負担は比較的少ないのが一般的です。

中小の監査法人

大手監査法人では、提携している海外ファームからの要請による照合作業や資料作成などの量が非常に多く、必ずしも効率的な働き方とはいえない部分があります。監査業務に従事しつつワークライフバランスを改善したいなら、中小の監査法人へ転職するのもひとつの方法です。
現在、大手の監査法人に勤めているなら、監査経験をそのまま活かせるため、新たな業務知識を覚える負担も軽減できます。
また、中小の監査法人は規則が比較的緩やかで個人の希望が通りやすい面もあるため、副業を認めてもらえる可能性があります。勤務時間を調整しながら収入アップも見込めるかもしれません

中小の税理士法人

税理士法人に転職する場合も、大手よりは中小のほうが業務量は少なく済む可能性があります。税理士業務は、決算・税務申告などの関係で毎年2月から5月あたりまでは繁忙期に入るのが一般的です。しかしそれ以外の時期は落ち着いてルーティーンワークを粛々とこなせることが多く、ワークライフバランスを改善したい会計士にとってはおすすめです。

ここまでいくつかの例をご紹介しましたが、職場環境は企業ごとに異なります。実際の状況や詳しい条件などについては、事前にしっかり確認するようにしましょう。

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ワークライフバランスを整えられた公認会計士の転職成功事例

ベンチャー企業から残業の少ない大手企業に転職!

Mさん

Mさん(40歳・男性)資格:公認会計士

ベンチャー企業
年収:700万円

矢印 矢印

一部上場企業
年収:650万円


ベンチャー企業で働いていたMさん(年収約700万円)は、当時、IPO準備の業務に日々取り組んでいました。
帰宅が深夜になるほど日々業務に取り組んでいましたが、短期間でのIPOが困難となり、プロジェクトは事実上の無期延期。当時子どもが生まれたばかりの時期でもあり、家族との時間を大切にしたいとの思いもあって、ワークライフバランスを重視することを条件に転職活動を開始しました。
Mさんは、残業時間が少なく、有給休暇の取得実績が多い上場企業を中心に転職活動を実施。
その結果、年収としては前職よりもやや下がる形(約650万円)にはなったものの、残業時間が大幅に少ない上場企業に転職することができました。
収入面では多少譲歩したものの、キャリアを落とすことなく、しかも家族との時間を確保できるようになりました

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ワークライフバランスを重視したい方におすすめの求人事例

以下に、残業が少なめの求人をご紹介します。公認会計士としてしっかり働きながら、子育てや介護、プライベートなどを充実させたいと考える方は、ぜひ関連記事とともにチェックしてみてください。

ワークライフバランスとの両立可、安定した基盤を誇る監査法人より会計士・試験合格者の募集

仕事内容
S・PCを中心とした監査業務・AUPその他コンサル業務
・品質管理向上活動、経営管理活動 等
必要な経験・能力
<必須>
・公認会計士/会計士試験合格者
・大学卒以上

<歓迎>
・英語力に強みがおありの方
・不動産等証券化知識(ARESマスター等)
想定年収
470万円 ~ 700万円

渋谷駅徒歩5分!残業月0~15時間ワークライフバランス良好な優良事務所

仕事内容
~志向や経験に合わせ下記業務をお任せしたいと思っております~
・税理士業務全般
そのほか、ご希望によって資産税やFASについても検討いたします。
必要な経験・能力
【下記いずれかに該当する方】
・会計事務所での実務経験者(有資格・科目合格者優遇)
・税理士または公認会計士
【人柄】
・向上心があり、事務所の発展にお力添えできる方。
・社内外で円滑なコミュニケーションが可能な方。
想定年収
600万円 ~ 1000万円

監査業務/グローバル企業/国内大手/フレックスタイム有/在宅勤務有

仕事内容
監査室(本社)にて、ご経験に応じて下記業務をお任せします。

<監査部>
・業務監査の実施、検出事項や発生した不祥事に関連する内部統制の改善状況の検証
・データを活用した、効果的・効率的な監査手法の導入
・ガバナンスに関する意識向上のための教育(国内・海外)

<内部統制部>
・J-SOXに従った内部統制評価の実施、内部統制の改善状況について、モニタリングを実施
・データを活用した、効果的・効率的なモニタリング手法の導入
・内部統制に関する助言、内部統制の文書化、構築・運用に関する教育活動
必要な経験・能力
<必須>
・監査法人または事業会社にて、監査に10年程度従事した経験のある方

<歓迎>
・会計士(米国公認会計士も可)として、海外監査の経験
・コンサルティング業務に従事した経験
・TOEIC700点以上
・公認会計士、米国公認会計士など監査関連の資格
想定年収
1000万円 ~ 1100万円

成長著しいベンチャー企業にて管理部長クラスの求人募集!

仕事内容
基本的にはIPOに纏わる業務に関わっていただきます。
現状は会社および管理部門の体制構築中のフェーズですので多岐に渡る業務を役員と一緒に行っていただきます。
・管理部門の体制構築
・外部機関(監査法人、主幹事証券、投資家)対応
・資金調達
・コーポレートストーリーの策定・実行など
必要な経験・能力
【必須条件】
・IPO企業にて経理・経営企画のご経験者

【歓迎条件】
・IPO企業にて財務戦略のご経験者
・公認会計士資格者
・ベンチャー企業でのご経験者
・同業界でのご経験者
想定年収
800万円 ~ 1500万円
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まとめ

働き方が多様化した現在、自分や家族の時間を充実させるために、ワークライフバランスの実現を望む公認会計士は少なくありません。今の職場で不満なところがあれば、よりよい条件の職場へと転職することも考えてみましょう。その際には、まず、どういった条件ならワークライフバランスを充実させられるかを頭に入れて、転職活動を進めていくのがおすすめです。
MS-Japanは勤務時間の負担を減らしたい公認会計士にぴったりの求人も扱っています。転職活動の際には、ぜひご活用ください。

管理部門・士業の転職

この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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