独立系FASとは?Big4系FASとの違いや特徴について解説!

FAS業界への転職を考える際、大きく分けてBig4系と独立系の二つの選択肢がありますが、どちらを選ぶべきか迷っている方も多いでしょう。
Big4系は国際的な大手会計事務所のメンバーファームであり、そこでのキャリアは業界の高い評価へとつながっていきます。
一方、独立系FASは短期間で幅広い経験を積むことができるほか、経営感覚も身に付けられるなどのメリットを期待できます。
この記事では、Big4系と独立系FASとの違いや特徴について解説していきますので、是非今後のキャリア選択にお役立てください。
FAS業界の構造
FAS業界は、大きく
「BIG4」、「独立系」、「税理士事務所系」の三つに分類されます。
それぞれの特徴と違いについて、以下にご紹介します。
BIG4系
BIG4とは、世界中でサービスを展開しているアーンスト・ヤング(EY)、デロイト、KPMG、PwCの総称であり、これらのメンバーファームをBIG4系といいます。
突出したコンサルティング能力と実績を兼ね備えており、ニュースで大々的に取り上げられるような国内外の大手企業のM&A、組織再編、企業再生などの案件を受け持ちます。
これらの案件は1案件あたり数億円、案件によっては数十億円規模のアドバイザリーフィーであることも珍しくありません。
また、世界各国にメンバーファームが所在しているため、国内企業が海外企業を、海外企業が国内企業を買収するようなクロスボーダー案件の対応も得意としています。
独立系
独立系とは、BIG4系に属していない国内ファームという意味での呼び名です。
FAS事業を中心としている国内ファームであり、山田コンサルティンググループ、フロンティア・マネジメントなどが有名です。
BIG4系がカバーしきれない小〜中規模の案件を中心に取り扱っており、年商1億円未満から500億円程度までの企業の案件を受けることが多いです。
日本には中小企業が多いため、自ずとカバー範囲が広くなることから、対応スタイルも多岐に渡っており、特定のトランザクションや会計領域に特化したサービスも提供しています。
クライアントの経営者と直に接することも多いので、説明の分かりやすさや人当たりの良さなども重要とされています。
税理士事務所系
独立した公認会計士や税理士が運営する会計事務所でFAS業務を行っているケースもあります。
FAS業務の提供先は主に顧問先であり、付帯的なサービスという性質も持っているため、比較的リーズナブルな価格でサービスを提供することも多いです。
独立系FASとは?
独立系FASは、BIG4のメンバーファームに属さない国内ファームのことをいいます。
独立系FASの多くは少数精鋭体制をとっており、中小企業を主なクライアントとして、M&Aや企業再生などそれぞれのファームが強みを持っている特定の領域へのサービスを提供しています。
クライアントとの距離が近いので、キャリアが浅くてもコミュニケーションや提案業務に参加できる機会を得やすく、案件の全体像と流れが把握できることから、幅広い経験を積める点が独立系FASの特徴のひとつといえます。
BIG4系の場合にはクライアントとの折衝はマネージャーやパートナーなどが担当し、キャリアの浅いスタッフは細分化された業務の一部を担うのみ、といったケースも少なくないので、独立系FASを選んだほうがキャリアの幅を広げやすく、早期の成長を図りやすいといえるでしょう。
クライアントの課題解決に向けたIPO支援やIFRS対応なども含めた一気通貫のコンサルティングを提供できるのも独立系FASの特徴です。
BIG4系は分業が基本となっているため、クライアントの視点からすると、独立系FASのほうがコスト効率良く、提案内容にもブレが少なくなるなど、スムーズにサービスを利用できると映ります。
このような独立系FASでのキャリアは、経営的目線を身に付けられるのも魅力です。
クライアントの意向を直接聞きながら、幅広い範囲の業務に携わることができるので、経営的視点も養われていきます。
この経営的視点は、よりクライアントに寄り添ったコンサルティングを行うための武器となりますので、さらなるレベルアップへとつながっていきます。
独立系FASとBig4系FASの違い
独立系FASとBig4系FASの違いについて、以下にまとめます。
クライアント
独立系FAS の場合には年商1億円未満から500億円程度までの中小企業が主なクライアントである一方、Big4系FASのクライアントは大手企業や上場企業が中心となります。
案件の規模
独立系FASが取り扱う案件は、Big4系FASがカバーしきれない中型・小型の規模の案件がメインとなります。
Big4系FASではニュースで大々的に取り上げられるようなM&A、企業再生などの大型案件のほか、国内外で生じるクロスボーダー案件など、アドバイザリーフィーが数億円から数十億円に上る規模の案件を取り扱っています。
クライアントとの関わり方
独立系FASは中小企業の経営者と直に接する機会が多く、財務に明るくないクライアントも多いため、説明のわかりやすさやコミュニケーション能力をはじめとする人間力が重視されます。
Big4系FASのクライアントは大手企業や上場企業が中心であり、それらの幹部ともなれば十分な会計・財務知識も備えているため、明確なバリュー発揮が求められます。
業務の特徴
独立系FASのクライアントは規模が小さいため、定型的に論点をまとめるスタイルや工数をかけて全容把握から結論を導くスタイルが多く、特定のトランザクションや会計領域に特化してサービスを提供している会社もあります。
Big4系FAS は収益性の高いM&A関連サービスを主としているケースが多く見られ、総合的なディールサポートや財務デュー・ディリジェンスなどを行っています。
採用基準
独立系FASはコミュニケーション能力をはじめとする人間力も現場で問われることから、異業種や未経験からも広く採用しています。
昨今の人手不足からこの傾向が強まっており、未経験でFAS業界への転職を狙う人にとって追い風となっています。
Big4系FASは求められる能力の水準が高いため、高学歴で順調なキャリアを重ねてきた方が多く在籍しているので、自ずと入社のハードルも高まります。
ビジネスレベルの英語力をお持ちの方や、公認会計士、税理士、MBAなどの資格を取得していると、より採用されやすくなります。
独立系FASは稼げる?
独立系FASの平均年収は800万円~2,000万円となっており、かなりの幅があります。
独立系FASはBIG4系ではないファームであると、括りが大きいため、企業によって取り扱う案件の規模や提供するサービス内容なども異なっていることから、これだけの年収差が生じていると考えられます。
また、BIG4系FASのパートナーを除く平均年収は約1,100万円となっており、独立系FASの平均年収と比較すると少し劣ります。
この理由として、BIG4系FASには在籍しているスタッフの数が多い一方、独立系FASは少数精鋭の体制となっていることから、BIG4系FASが規模の大きな業務を取り扱っていてもコンサルタント一人当たりの利益率は独立系FASのそれを下回ることが年収差に反映されている点が挙げられます。
分業が基本となっており、業務が細分化されているBIG4系FASとは異なり、クライアントとなる企業に向けてワンストップ型のFASサービスを展開している独立系FASの場合、高いスキルと専門知識を幅広く持つコンサルタントが育ちやすいのも年収差の原因のひとつといえます。
ひとりのコンサルタントが対応できる業務範囲が広ければ、コンサルタント一人当たりの利益率が高まり、高年収の実現へとつながりやすくなるためです。
独立系FASの平均年収は800万円~2,000万円となっていますが、この数字も日本の平均年収である約433万円を大きく上回っているので、独立系FASは稼ぎの良い勤務先であるといえます。
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まとめ
独立系FASとBig4系FASは、クライアント、案件の規模、クライアントとの関わり方、業務の特徴、採用基準などが異なっており、それぞれの住み分けができているため、キャリアパスを考える上でも重要な判断材料にできます。
規模の大きな案件の一部をメンバーのひとりとして担うBig4系FASでのキャリアも魅力的ですが、早い段階で幅広い専門性を身に付けることができ、Big4系FAS以上の年収も目指せる独立系FASでのキャリアも十分に魅力的です。
ご自身がどのような専門性を持っており、コンサルタントとしてどのように成長していきたいのかをイメージしながら、上記を参考に今後のキャリアパスについて熟考してみると、より自分に合ったキャリアを選べるようになります。
この機会に今後のビジョンを描き直してみてはいかがでしょうか。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、大手信用金庫に入庫。個人・法人営業及びビジネスマッチング等に従事。
MS-Japanに入社後は、横浜支社の立ち上げに加え、経理・人事・法務・経営企画・公認会計士・税理士等、幅広い職種のマッチングに従事。
2021年より東京本社へ異動後は、公認会計士・税理士・弁護士・社労士等の士業を専門とするJ事業部の管理職を務める傍らプレイヤーとしても従事。
会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。
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