2024年07月12日

【20代公認会計士】市場価値やおすすめの転職先、転職活動の注意点など

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公認会計士は「監査」の独占業務を持つため、ファーストキャリアとして監査法人に勤務する人がほとんどです。しかし、その後のキャリアの選択肢は広く、事業会社やコンサルティングファーム、税理士法人など、幅広い選択肢がゆえに転職で迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
20代の公認会計士が転職活動を進める場合、自分の将来像をしっかりと設定した上で、今後のキャリアパスを選択し、転職先を決める必要があります。

今回は、20代の公認会計士の市場価値やおすすめの転職先、転職活動の注意点などを詳しく解説します。

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20代公認会計士の市場価値とは

監査法人では、監査業務が複雑化したことによる業務量の増加から、人手不足が続いています20代の公認会計士は転職市場で高く評価され、事務所・企業の規模を問わず積極的に若い公認会計士を採用しています。

試験合格者数は20代前半が最も多い

2023年度の公認会計士試験における合格者数を年代別に見ていきましょう。

年代 願書
提出者
論文式受験者 合格者 合格率 論文式受験者合格率 合格者構成比
〜20歳 384 36 23 6.0% 63.9% 1.5%
20歳〜24歳 9,710 1,980 977 10.1% 49.3% 63.3%
25歳〜29歳 4,734 1,059 356 7.5% 33.6% 23.1%
30歳〜34歳 2,248 456 122 5.4% 26.8% 7.9%
35歳〜39歳 1,255 270 38 3.0% 14.1% 2.5%
40歳〜44歳 805 159 20 2.5% 12.6% 1.3%
45歳〜49歳 484 88 5 1.0% 5.7% 0.3%
50歳〜54歳 277 63 2 0.7% 3.2% 0.1%
55歳〜59歳 200 33 0 0.0% 0.0% 0.0%
60歳〜64歳 103 25 1 1.0% 4.0% 0.1%
65歳〜 117 23 0 0.0% 0.0% 0.0%

合格者数が最も多い年代は、20代前半の977人(受験者数1980人)です。20代前半と後半を合算すると、合格者構成比の86.4%を占めています。

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20代公認会計士の主な転職理由は?

以下では、監査法人に勤務する公認会計士が転職を考える主なきっかけを紹介します。

希望通りのキャリアプランが組めない

大手監査法人は、クライアント規模が大きく報酬も高額になるため、公認会計士の年収も高額です。
業績が評価され、パートナー(共同経営者)にまで上り詰めれば、さらに高年収を狙うことができます。しかし、大手監査法人は公認会計士の人数も多く、マネージャー以降は昇格のハードルも高いため、希望通りに昇格できない人も多い傾向です。そのため、モチベーションが下がり、転職を決意するケースも多く見受けられます。

体力勝負の激務

公認会計士の仕事は、間違いが許されず、正確さとスピードが求められます。また、繁忙期には業務量が大幅に増え、深夜残業や早朝出勤、休日出勤することもあるでしょう。
クライアント先に出向く往査や聞き取りなどの社外業務も仕事に含まれるため、最前線で監査業務を行う公認会計士は激務になりやすい傾向です。
20代のうちは体力もあり、多少の融通は利くかもしれませんが、年齢を重ねるにつれ、このままの働き方がずっとできるのか?と疑問に思い、転職する方も少なくありません。

やりがい・成長性

監査法人に勤める公認会計士は、繁忙期が激務になるものの、閑散期には都合を付けやすく、同世代と比較して高い年収が得られることから、満足度の高い仕事であるといえます。
しかし、監査業務自体は代り映えのない作業の繰り返しが多く、黙々と一人で行う業務も多いため、人によってはやりがいや成長性が感じられず、新しい環境を求めて転職を決意するようです。

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20代公認会計士におすすめの転職先とは

公認会計士の勤務先として花形ともいえるのが、いわゆるBig4(4大)監査法人(有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwC Japan有限責任監査法人)が挙げられます。
これら大手監査法人は大手上場企業や外資系企業がメインクライアントであり、ネームバリューも高いため20代の公認会計士に人気の就職・転職先です。

人気が高いために応募者が多い大手監査法人ですが、昨今では公認会計士のキャリアが広がっていることから、一般企業やコンサルティングファーム、他の監査法人に公認会計士が流出しているという現状もあり、中途採用も積極的に行っています。
大手監査法人は毎年11月~12月に定期採用と呼ばれる新卒(監査法人で就業経験がない)公認会計士試験合格者の採用活動を行うため、その時期は中途採用のハードルが上がる傾向にありますが、基本的には20代の公認会計士(試験合格者)であれば、時期を問わずBig4監査法人の中途採用にエントリーすることは可能です。
尚、定期採用は社会人経験のある公認会計士(試験合格者)も応募可能なため、11月~12月の時期であれば、中途採用ではなく定期採用に申し込むという方法もあります。

また転職希望者の中には、20代前半に大手監査法人に入所し、20代のうちに修了考査に合格して公認会計士に登録をして、そこからあらためて自分の道を探るべく転職先を考える人もいるでしょう。この場合、大手以外が転職先候補として浮上してきます。

上記の理由から、ここでは大手監査法人以外のおすすめの転職先をご紹介しましょう。

コンサルティングファーム

20代の公認会計士におすすめの転職先として、まずコンサルティングファームをご紹介します。
コンサルティングファームでは、事業再生やIPO支援、M&Aなど、企業成長に貢献し、目に見えて成果がわかる仕事に取り組めるため、監査業務が合わないと感じた方もやりがいを見出せる可能性が高いでしょう。また、年収水準も高く、転職によって年収が下がるケースも少ないと考えられます。

さらに、コンサルティングファームは、実績・経験を積む場所としても最適です。20代のうちにコンサル分野で実績を重ね、30代でベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)や管理職などのポジションを目指すキャリアパスも現実的になるでしょう。

20代の公認会計士の場合、学んだ専門知識を活かせるFAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)系のコンサルが転職しやすい傾向です。FASではM&Aに関わる財務DD(リスク調査)や買収相手のバリュエーション、企業再生・事業再生、フォレンジック(不正調査)などの業務を担います。

スタートアップ・ベンチャー企業

スタートアップ・ベンチャー企業の経理や財務、経営企画、IRなども、20代の公認会計士におすすめの転職先です。
CFO候補として採用されるケースもあり、幅広い業務経験を積むことができます。仕事は忙しくなりやすいですが、若いうちに経験を積んでおきたいと考える方におすすめです。
また、若い経営者・管理者が多いため、企業文化や社風に早く馴染むことができるでしょう。

中小監査法人

Big4のような大手監査法人に比べると、中小監査法人はパートナー(共同経営者)への昇格を目指しやすいです。また大手監査法人ほど多忙ではないことも多いため、ワークライフバランスを重視した働き方をしたい人にも向いています。コロナ禍以降、柔軟な働き方を重視する傾向が日本の経済界で生じていますが、労働環境の満足度を重視した結果、あえて大手ではなく中小監査法人への転職を希望する人も増えています。

税理士法人・会計事務所

監査以外の業務経験を積むことを目的に、税理士法人・会計事務所などへの転職を選択するケースも少なくありません。これら事務所では、採用後は主にクライアントの決算・税務申告を支援する税務顧問業務を行います
また、財務・税務コンサルティングなどのコンサルティング業務を提供する場合もあり、税務だけでなくクライアントの財務戦略、引いては経営戦略まで支援するため、総合的に成長を支援することができます。

監査法人で働く場合、監査人として企業の財務諸表を監査・指導する立ち位置になりますが、税理士法人・会計事務所の場合はクライアントのパートナーとして一緒に成長を目指す立場になるため、監査よりも税務顧問の方が肌に合っているという公認会計士も少なくありません

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20代公認会計士の転職活動の注意点

20代の公認会計士が実際に転職を成功させようとするなら、以下の点に注意しましょう。

転職するなら「修了考査合格後」

公認会計士の資格を取得するには、公認会計士試験に合格後、約3年間の実務経験および実務補習・修了考査を突破して公認会計士登録をする必要があります。公認会計士試験に合格すれば、即資格取得者になるわけではないので、この点を踏まえた転職活動をすることが重要です。

実際のところ修了考査試験は簡単とはいえず、少なからず不合格者も出ています。2023年度に実施された公認会計士修了考査試験では、対受験願書提出者数合格率 69.7%、対受験者数合格率 76.4%でした。願書を出したものの受験を諦めた人、受験したものの合格しなかった人が一定数いるのです。

そのため修了考査合格前だと、転職活動をしても応募先企業の側が「本当に今から最短で修了考査に合格するのか」と不審に思い積極的にならず、採用に至らない可能性があります。転職を始めるのは修了考査合格後にした方が、採用の成功率は高いです。

また、修了考査を受験するための実務経験に加算される実務は監査法人であれば問題なく満たせますが、一般企業などでは実務経験を満たせない場合もあるため、転職先の選択肢を広げるという意味でも、修了考査後の方が無難です。

急ぎ過ぎる転職はNG

すでに公認会計士の資格をもっていて、監査法人や企業などでの業務経験が3年以上あれば、経験者として転職市場でも一定の評価を受けられます。しかし、前職での経験が3年未満のうちに急いで転職すると、転職志望先の面接官に「忍耐力や協調性に難があるのではないか」「人間性に問題があるのではないか」「うちもすぐに辞めるのではないか」といった疑念をもたれるおそれがあります。

20代のうちはポテンシャル採用となるのが通例ですが、転職するなら前職での業務経験が3年以上あると、採用に至りやすいです。

特殊領域へチャレンジするなら早めがおすすめ

投資銀行のような「特殊な領域」への転職を希望する場合は、20代前半~半ばくらいに実現しておくのがベストです。基本的には監査経験そのものを評価するというよりも、学歴や若さといったポテンシャル重視の採用になるため、ポテンシャルが高く評価される段階で転職しておく必要があります。

20代後半以降になると、ポテンシャル以外にもその領域特有の実務経験がないと、転職が難しくなってくるので注意が必要です。

「どのような経験を積めるか」を重視する

20代の転職では、将来のキャリアを見据えて、どのような業務経験を積んでいくべきか検討することが重要になってきます。たとえば一般事業会社に転職すると、クライアントを対象とする監査業務やコンサルティングの経験は積めません。今後のキャリアパスの方向性を、後悔しないように決断する必要があるのです。

教育体制を確認する

教育体制がどの程度整備されているかは、企業・事務所によって大きく変わってきます。20代のうちは基礎的な実務スキルを学ぶため、教育・研修をしっかりと受けられる職場が望ましいでしょう。転職先を探す際は、若い世代の育成方法・教育内容についても情報収集しておくことをおすすめします。大手事務所・大企業の方が教育体制は整っているようなイメージもありますが、実際には中小規模であっても問題なく学べる職場は多いです。

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20代公認会計士の転職成功事例

20代公認会計士の転職成功事例弊社MS-Japanが提供する「MS Agent」は、公認会計士をはじめとする士業と管理部門に特化した転職エージェントとして30年以上の実績があります。
ここでは、「MS Agent」を利用して転職に成功した20代の公認会計士の事例を2つご紹介します。

監査法人からFASにキャリアチェンジした会計士の成功事例

Aさんは20代後半の男性で、転職前は大手監査法人に勤務し、年収は750万円ほどですでに公認会計士の資格をもっていました。現状でもすでに順風満帆なキャリアですが、ご自身の中で故郷に戻って地域貢献をしたいとの思いをもっていたことから、将来の自分のあり方と向き合う中で転職を決意しました。

将来の目標を叶えるため、Aさんは次の転職先を修行と考え、業務内容と入社後の成長性の2点を重視して転職活動を開始します。その結果、年収面で大幅なダウンはなく、中堅コンサルティングファームに転職を成功させました。入社後も見事に活躍を続け、2年後には年収が200万円以上もアップしたといいます。元々地元での独立を視野に入れての転職でしたが、現在は転職先で組織の中核としての役割を任され、現在はその業務内容に面白味を感じているそうです。

将来的にCFOを目指す若手会計士がCFO直下ポジションに転職成功した事例

Mさんは20代半ばの男性で、公認会計士の資格をもち、大手監査法人に勤務して年収は900万円程度でした。企業に対して監査という外部からのサポートではなく、企業の一員として内部からビジネスを理解して仕事をしたいとの希望をもち、転職を決断しました。とくにIT系ベンチャーでの勤務を希望し、転職活動の結果、IT系のスタートアップ企業への転職に成功します。

年収は少しダウンしましたが、転職先の上司である管理部長が公認会計士の資格をもっていることから、自身のロールモデルになると考えて関心をもち、業務内容も検討した上で転職を決めたといいます。今回Mさんが採用に至った理由としては、選考プロセスの中で応募先企業の事業内容に対する興味関心が高かったこと、ビジネスを理解した上で会計面をサポートしていきたいとアピールしたことが大きかったようです。

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20代公認会計士のよくある質問

監査法人に勤務する20代公認会計士です。事業会社への転職を検討しているのですが可能でしょうか?

事業会社への転職は問題なくできます。現在、若手を対象とする会計系の求人は多く、実務未経験者でも採用ニーズは高いです。とくに上場企業の場合、内部監査や連結決算、各種開示資料の作成など、公認会計士が活躍できる場が多い傾向です。

最近ではIPO準備企業などのベンチャー企業においても、公認会計士の需要が増しています。ベンチャー企業の場合、かつては上場企業に比べて年収が低めと言われていましたが、現在ではベンチャー企業への投資環境が整ったことで資金調達が容易となり、年収水準が上がりつつあります
上場企業の場合、最高財務責任者や管理職といったポジションは狭き門ですが、ベンチャー企業だと昇進、昇格もしやすい傾向です。

20代のうちに海外経験は積んだ方がよいのでしょうか?

公認会計士として経験の幅を広げるためにも、海外経験を積むことはおすすめです。
ただし、20代のうちに海外経験を積むべきかどうかは、今後どのようなキャリアアップをしていきたいかによります。

30代以降に、国際会計や海外で現地企業の支援を行う監査法人などでキャリアアップしていきたいと考える方にとっては、海外経験は強みとなります。
20代以降のキャリアプランまでしっかりと考えてから、検討するとよいでしょう。

会計士キャリアを相談する

まとめ

20代の公認会計士は転職市場での需要は高く、選択肢が多過ぎるため、キャリアプランの立て方に迷ってしまうケースも多いかもしれません。
どのような転職先の選択肢があるのか、その中で自分が考える将来のキャリアに合致する転職先はどれかを、慎重に検討する必要があります。
そのためには、まずは情報を進めることが大事です。

弊社では公認会計士の求人を多く扱っておりますので、実際に転職活動を始める際はぜひご活用ください。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

濵田 翔平

大学卒業後、大手信用金庫に入庫。個人・法人営業及びビジネスマッチング等に従事。
MS-Japanに入社後は、横浜支社の立ち上げに加え、経理・人事・法務・経営企画・公認会計士・税理士等、幅広い職種のマッチングに従事。
2021年より東京本社へ異動後は、公認会計士・税理士・弁護士・社労士等の士業を専門とするJ事業部の管理職を務める傍らプレイヤーとしても従事。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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