会計士試験合格者でも転職できる!転職理由や転職先、求人例など

公認会計士として登録するためには、試験合格後に補習所で講習を受け、業務補助としての実務経験を3年以上積み、修了考査に合格する必要があります。
人によっては試験合格から登録まで長い時間がかかりますが、登録を待たずに転職活動を開始しても問題ありません。試験合格直後でも、「公認会計士試験合格者」として評価され、将来性を買って採用されるケースも多く見受けられます。
今回は、公認会計士試験合格者の転職活動について、転職理由や転職先候補、求人例などを詳しく解説します。
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会計士試験合格者の転職理由
公認会計士試験合格者とは、論文式試験合格者を指します。この段階ではまだ正式な公認会計士ではなく、実務要件を満たし、補習所で所定の単位を取得した上で、修了考査に合格することで、公認会計士として登録することが可能です。
実務要件の時期は、試験前後どちらでも構いませんが、大学生や20代の若い世代の場合、試験直後に実務要件を満たすことは難しいでしょう。
一方で、公認会計士試験に合格している時点で、専門知識の証明となります。事務所・企業の側も「公認会計士試験合格者」の専門知識を評価し、積極的に採用する傾向があります。
修了考査は受験者の7割強が合格する試験であるため、採用事務所・企業からすると、論文式試験さえ合格していれば、修了考査はおおむね問題なく合格するだろうと考えるためです。
近年では、2019年、2020年と2年続けて修了考査の対受験者合格率が5割を割ったこともあり、その数年は修了考査に合格できそうか?という点も採用時にチェックされる傾向がありましたが、2021年からは修了考査の合格率も回復しており、2023年には過去最高の76.4%にまで上がってきているので、直近では修了考査に合格しているかどうかという点は、採否を分けるほどの大きな選考要素ではないでしょう。
「公認会計士試験合格者」の転職理由としては、以下の2つが挙げられます。
実務要件を満たすために転職
一般企業で働きながら会計士試験に合格した場合は、登録のために実務要件を満たせる監査法人や企業に転職します。
実務要件には「業務補助」と「実務従事」の2種類があり、業務補助は「監査証明業務に関して公認会計士または監査法人を補助すること」、実務従事は「財務に関する監査と分析、その他の実務に従事すること」です。こうした実務経験は一般企業では積めないため、必要な経験を積める職場へ転職します。
修了考査に向けて勉強時間を確保するために転職
たとえば大手監査法人の場合、日々の業務が極めて多忙であるため、実務要件を満たしても、修了考査に向けた勉強時間を確保できないケースが多く見受けられます。
また、以前の修了考査は合格して当たり前でしたが、昨今は難易度が上昇傾向上にあります。
そのため、資格取得支援体制のある監査法人など、勉強時間を確保できる職場に転職する人が増えているのです。
会計士試験合格者の転職先
「公認会計士試験合格者」の転職先としては、以下の5つが考えられます。
大手監査法人(Big4など)
Big4とは、KPMGあずさ有限責任監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ(deloitte)、PwC Japan有限責任監査法人を指します。
ネームバリューの高さやクライアントの多様さ、研修体制・福利厚生の充実度、年間採用人数の多さなどにより、人気の転職先です。
ただし先述の通り、修了考査に向けた勉強に取り組む必要もあり、面接の際はその点を採用担当官に相談する必要があるでしょう。
準大手・中小監査法人
「準大手」の監査法人とは、大手の監査法人に準ずる規模の監査法人を意味します。大手監査法人ほどではないものの、上場企業を監査対象としている法人が多いです。
中小監査法人はクライアントに中小企業が多く、地域密着型の活動しているケースが通例です。そのためクライアントとの距離が近く、人脈を形成しやすい利点があります。
準大手・中小監査法人は、大手よりも待遇面では多少落ちるものの、忙しさも緩まるため、勉強の時間が取りやすいといえるでしょう。
一般企業の経理
一般企業の経理でも、登録に必要な実務要件を満たせますが、企業規模が「資本金5億円以上」で、「原価計算や財務分析に関連する業務」に従事する必要があります。
企業の規模・業務内容によっては、実務経験要件をクリアできないため注意しましょう。
会計事務所・税理士法人
監査からは離れますが、会計事務所・税理士法人でも実務要件を満たせる場合があります。
「一般的な会計監査」または「資本金5億円以上の法人を対象に原価計算や財務分析に関する業務」に従事することで実務経験と見なされます。
また、経理代行や税務など、クライアントのやり取りを通して幅広い経験が積めるため、将来的に独立を考えている場合は役に立つでしょう。
コンサルティングファーム
公認会計士試験合格者は、会計系コンサルティングとして、企業の財務戦略などに携わるのが通例です。クライアントの財務諸表を分析し、改善策などを提示します。資本金5億円以上の法人の原価計算や財務分析に関する業務を行った場合は、登録に必要な実務従事として認められます。
近年ではM&Aや事業再生など、特定の分野に特化したコンサルティングファームも多いため、入社前に確認しましょう。
会計士試験合格者の転職方法
ここでは、公認会計士試験合格者の転職活動について詳しく解説します。
転職先として監査法人を検討している場合、転職活動の時期が重要です。
一般的に監査法人の採用活動は、公認会計士試験合格発表後の11月の半ば頃から始まり、12月初旬には内定が出るスケジュールで行われます。
この時期は、公認会計士試験合格者にとって売り手市場になりますが、大手・準大手など人気の高い監査法人は応募が殺到します。公認会計士試験合格を確認したら、すぐに転職活動に向けて動き始めましょう。
公認会計士試験合格者の採用は、書類審査と面接によって決まることが一般的です。
応募者はほとんどが公認会計士試験合格者であるため、それ以外の点で差別化を図る必要があります。
実務経験のない公認会計士試験合格者が転職を成功させるには、志望動機にかかっていると言えるでしょう。志望動機を通して、将来のキャリアプランやヒューマンスキルなどをアピールすることが大切です。
転職活動やキャリアについて相談したい場合は、会計士試験合格者向けの個別相談会や転職セミナーに参加しましょう。
弊社MS-Japanが運営する士業・管理部門特化型転職エージェント「MS Agent」が開催する会計士試験合格者向け個別相談会は以下からお申込み可能です。
会計士試験合格者の求人事例
ここでは、「MS Agent」で取り扱っている公認会計士試験合格者向けの求人例をご紹介します。
大手監査法人で会計監査スタッフ求人
想定年収 |
460万円 ~ 650万円 |
仕事内容 |
・法定監査(金融商品取引法に基づく監査、会社法監査など) ・その他監査関連業務 |
必要な経験・能力 |
・公認会計士または公認会計士論文式試験全科目合格者 ・監査法人での監査業務のご経験がある方 |
大手上場のゼネコン会社の経理財務求人
想定年収 |
550万円 ~ 680万円 |
仕事内容 |
・決算業務並びに財務諸表作成業務 ・業績予想管理 ・資金管理業務 ・税務申告 |
必要な経験・能力 |
・経理または財務経験 ・建設業経理事務士検定 ・日商簿記検定3級 ・公認会計士試験合格者 |
まとめ
公認会計士試験合格者の9割は監査法人に転職し、実務経験を積むと言われています。
監査法人はBig4などの大手から準大手、中小など様々な規模に分かれ、クライアントや事業内容、活動地域などにおいても大きく異なります。
また、監査法人以外にも、一般企業や税理士法人、コンサルティングファームなどでも、企業規模や業務内容によって実務要件を満たすことが可能です。会計の専門知識と将来性を買われ、公認会計士試験合格者は高評価を受けやすいでしょう。
将来を見据えたキャリアの選択肢を検討するためには、転職エージェントを活用した情報収集がおすすめです。
弊社MS-Japanが運営する「MS Agent」は、公認会計士試験合格者の転職支援実績が多く、経験豊富なキャリアアドバイザーも在籍しています。キャリアカウンセリングや応募書類添削、面接対策など全ての転職サポートは無料で利用できますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。
会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは何ですか?
公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。
公認会計士は外資系企業でワークライフバランスを重視した働き方が出来ますか?
外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。
公認会計士は外資系企業でどのような部門に配属されることが多いですか?
公認会計士が外資系企業に転職する場合、「アカウンティング部門」もしくは「ファイナンス部門」のいずれかが有力な選択肢となります。 アカウンティング部門は、日系企業でいう経理部に当たり、ファイナンス部門は日系企業でいうと予算管理部門と経営企画部門のちょうど間ぐらいの立ち位置になります。
公認会計士が外資系企業で働くにはどのようなスキルが求められますか?
公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは高いですか?
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。
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