監査法人は人手不足なのか…?uscpaが注目される理由
監査法人は人手不足なのか…?uscpaが注目される理由
監査法人を目指す方のなかには、「公認会計士の資格が必要」と考える方も多いです。ただし、最近では、監査法人は人手不足の傾向が強まり、USCPA取得者にも注目しています。この記事では、監査法人の現状とUSCPAが注目される理由についてご紹介します。
公認会計士の人数の推移
最初に、公認会計士の人数の推移を見てみましょう。
公認会計士・監査審査会の報告によれば、公認会計士の人数は下のグラフのように近年増加しています。
出典:公認会計士・監査審査会『令和元年モニタリングレポート』より作成
また、公認会計士試験の受験者数・合格者数も、一時は大きく減少していましたが、下のグラフのように近年ではふたたび増加に転じています。
出典:公認会計士・監査審査会『過去の試験結果等』より作成
監査法人は人手不足なの?
以上のように公認会計士の人数が増え、公認会計士試験の受験者・合格者も増加しているにも関わらず、実際には監査法人は人手不足になっているといわれます。
近年、監査が必要となる東証1部企業数は増加しているのに対し、監査法人内の会計士数は伸び悩んでいます。
会計士の数自体は近年増えているわけですから、監査法人内の会計士数が伸び悩むのは、監査法人を志望する会計士の割合が減ってきていることを意味します。
下のグラフは、修了考査の受験者数と合格者数の推移です。
出典:公認会計士協会『修了考査の合格発表について』から作成
このグラフで見られるとおり、修了考査の受験者数および合格者数は、2019年については復調傾向にあるものの、2012年から基本的に減少を続けています。
修了考査は、公認会計士の資格を取得するためには必須のものであり、監査法人では、公認会計士の資格は原則として必要とされてきました。修了考査の受験者数・合格者数が減少しているということは、監査法人を希望する公認会計士試験合格者が減少していると考えられます。
進む監査法人離れとキャリアの多様化
このように公認会計士の監査法人離れが進む理由は、まず「激務」であることがあげられます。 最近では、監査法人の働き方も改善してきましたが、担当企業の決算の時期は、やはり深夜に及ぶ残業が続くこともあります。
また、待遇についても国内の監査法人は、海外の監査法人や国内の事業会社と比較して、見劣りがするといわれます。 国内の監査法人は大手であっても、幹部であるパートナーの年収は1,500万円程度。 海外の監査法人なら、1億円を超える年収を得ているパートナーもいます。 「責任やリスクの大きさと比較して、国内の監査法人は割に合わない」という声もあります。
近年では、公認会計士のキャリアは監査法人だけでなく、事業会社のインハウスとして勤務するなど多様化しています。
選択肢が増えたことで、公認会計士に合格して監査法人に進むという王道ルートだけでなく、一般事業会社やその他のキャリアを選ぶ公認会計士が増えていると考えられます。
実際に、Manegy の調査によれば、下のグラフのとおり、公認会計士の65.2%は、監査法人やコンサルティングファームなどの「事務所系」ではなく、一般企業の経理・財務や経営企画、CFOなどとして勤務する「インハウス会計士」を希望しています。
出典:Manegy『転職したい公認会計士の約3人に2人はインハウスを希望している!?』
公認会計士がインハウスを希望する理由として多いのは、
・監査法人時代に得たスキルやノウハウを事業会社で発揮したい
・就業環境、特に残業時間を削減したい
となっており、公認会計士のキャリアや働き方が多様化しているといえるでしょう。
USCPAが注目されている理由
以上のように、公認会計士の監査法人離れが続くなか、USCPAが注目されています。
USCPAとは「米国公認会計士」のことです。
このUSCPA取得者を、人手不足に陥った監査法人やアドバイザリーが積極的に採用するようになっています。
USCPAを取得したからといって、日本の公認会計士資格が得られるわけではありません。
しかし、監査法人の多くの業務は、公認会計士の監督のもとに行えば、必ずしも公認会計士の資格がなくても進めることができます。
USCPA取得者は、会計および監査に関する基本的な知識を有しています。
また、それだけでなく、
・日本企業でも近年は導入例が多い「国際会計基準(IFRS)」の知識
・USCPAの試験は英語で行われるため、ビジネスレベルの英語力がある
といった点で、高く評価されるようになってきました。
USCPAは、「難関中の難関」といわれる日本の公認会計士試験と比べ取得しやく、監査法人を目指す場合は、USCPAを取得することも大きな選択肢となるでしょう。
【関連記事】
・ USCPAで監査法人に転職できるのか?その後のキャリアは!?
まとめ
公認会計士のキャリアが多様化しているということもあり、監査法人では人手不足の傾向です。 そのため、USCPA取得者の評価も高まっており、積極的に採用している監査法人もあります。監査法人を目指す場合は、難関である公認会計士試験ではなく、USCPA取得して目指すのも選択肢の一つだといえるでしょう。
<参考>
・ 公認会計士・監査審査会『過去の試験結果等』
・【公認会計士の転職情報】まとめページ
・USCPA取得後のキャリアパスを大公開!おすすめの転職先4選はココ!
・【USCPA(米国公認会計士)】就業先別の年収・取得するメリットを解説!
・【監査法人の転職情報】まとめページ
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