会計監査人とは?監査役との違いや会社法が定める設置義務とは

会計監査人とは、企業の財務状況や業績などを調査・評価し、正確な財務情報を提供しているかどうか、法令や規則に適合しているかどうか、その結果を報告する専門家のことです。
利害関係者を保護する目的のため、上場企業などでは会計監査人の設置が必須となっています。
この記事では会計監査人について役割や業務内容をご紹介していくとともに、会計監査人と監査役との違い、会社法による会計監査人の設置義務などをまとめていきます。
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目次
- まずは監査法人の求人をご確認したい方はこちら
- 会計監査人とは?役割や業務内容を解説
- 会計監査人と監査役の違いとは?
- 独立監査人とは?会計監査人とは違うの?
- 会計監査人の報酬とは?
- なぜ会計監査人が必要なの?会社法で定められている設置義務とは
- 会計監査人の選任と解任に関して
- 監査法人の転職市場
- 監査法人の求人事例
- まとめ
まずは監査法人の求人をご確認したい方はこちら
会計監査人とは?役割や業務内容を解説
会計監査人は監査対象の企業が法令や会計基準に遵守し、正確かつ公正な財務情報を提供しているかどうかを調査・評価し、その結果を報告する専門家です。
財務報告書や帳簿、契約書などの資料を精査し、適切に処理されているかどうかをチェックするほか、内部統制の整備状況やリスクマネジメントの有効性なども評価する場合があります。
これらの結果を報告書としてまとめ、経営者や利害関係者に向けた情報公開を行うことで、その企業の信用性を担保します。
会計監査人には高度な専門性と信頼性が求められるため、会計監査人は公認会計士か監査法人でなければならないと法律で定められています。
会計監査人と監査役の違いとは?
会計監査人と監査役はともに企業の内部状況をチェックする専門家ですが、それぞれの役割や立場は異なります。
監査役は会社法上の役員であり、企業内部での不正や法令違反を防止することで経営の健全性を保持するための役割を担っています。
具体的には、取締役が行っている職務が適正であるかどうか監査し、その結果を取締役会や株主総会で報告するとともに、必要に応じて不正行為差止請求を行います。
一方、会計監査人は、企業外部から派遣され、企業の財務状況を公正かつ客観的に評価する役割を担います。
会計監査人は企業の財務報告書を監査することにより、企業の財務状況について客観的かつ公正な評価を行います。
企業の経営者や株主は、会計監査人によって作成された財務報告書に基づいて、企業の経営判断を行います。
これらのように会計監査人と監査役の役割・立場は異なりますが、両者が連携することで企業の健全性はより保たれるようになります。
独立監査人とは?会計監査人とは違うの?
独立監査人とは会計監査人を担当する監査人の職業倫理のひとつを意味する言葉です。
会計監査人は監査対象企業について客観的かつ公正な監査報告を行わなくてはならないため、その実施にあたって精神的独立性を保たなくてはなりません。
例えば、接待を受けて監査に主観が交じってしまえば、監査における公正性が失われてしまうだけでなく、その様子を第三者が見れば、たとえ監査内容が客観的かつ公正なものだったとしても疑いの目を向けられてしまいます。
同様の理由で、特定の利害関係を持つことがないように監査とコンサルティングの同時提供を行わないこと、同じ担当者が継続して同じ企業の監査を続けないこと、などが監査人の独立性として要求されます。
会計監査人の報酬とは?
会計監査人の報酬は、監査業務の規模や難易度、必要な人員や技術力、監査の対象となる期間などを考慮して決定されます。
報酬の決定については、競合他社の報酬額や業界平均なども加味されており、会計監査人が提出した報酬提案書に企業が合意することで決められます。
このような背景より、監査報酬の額は毎年変動するため、数年の監査報酬の平均額は業界の動向や状況によって大きく異なる場合があります。
日本公認会計士協会が公表した監査実施状況調査(2020年度)によると、2017年度の監査報酬の平均は49,259千円(1時間当たり11,852円)、平均監査時間4,156.3時間となっている一方、2020年度は52,717千円(1時間当たり11,870円)、平均監査時間4,441.1時間となっています。
なぜ会計監査人が必要なの?会社法で定められている設置義務とは
会社法によって、大会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は会計監査人の設置が義務付けられています。
大会社とは最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5 億円以上である株式会社、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200 億円以上である株式会社のいずれかに該当する企業を指します。
会計監査人の選任と解任に関して
会計監査人は公認会計士または監査法人でなければならず、任期は一般的に1年となっています。
任期は毎年の株主総会において原則として更新されることが一般的です。
会社は会計監査人の選任決定後、その内容を登記しなくてはなりません。
登記することによって外部からも会計監査人が明確となるため、企業の信用アップへとつながっていきます。
会計監査人を解任する際には、理由を問わず株主総会による決議を以て解任することができます。
会計監査人に職務上の怠慢があったり、適切な報告書を作成しなかったり、心身の状態によって職務継続が難しくなったりした場合には、株主総会を経ることなく、監査役などが解任できるものとして定められています。
監査法人の転職市場
新型コロナウイルスの影響が低下した2023年、監査法人の転職市場はBig4をはじめとする大手監査法人が積極的に採用を行っています。
この背景にはワークライフバランスを重視して事業会社へ転職したり、先々の独立も視野に入れながら税理士法人に転職したり、常勤ではなく非常勤として働いたり、といった理由があります。
大手監査法人でキャリアを積み重ねたいとお考えの方にとっては追い風が吹いている状況ですので、この機会に監査法人の転職市場についてもっと知ってみてはいかがでしょうか。
より詳しくは以下のリンク先、MS-Japanのホームページをご覧ください。
MS-Japanは士業特化の転職エージェントであり、公認会計士の転職サポート実績も豊富に持っている会社です。
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監査法人の求人事例
監査法人の求人事例を3つご紹介します。
【大手監査法人/内部統制・経営体制アドバイザリー】
勤務地:東京都
<仕事内容>
①買収・売却・組織再編の実行支援
・M&A計画の立案の支援、M&Aスキーム構築に関する助言
・財務デューデリジェンス業務
・事業価値評価、PPA、減損テスト、内部専門家業務
②事業計画・構造改革の実行支援
・経理領域を中心とするPMI支援業務
・PMIを含む子会社管理高度化支援
・事業再生支援業務
③事業ポートフォリオ、業績管理支援
・投資意思決定、投資ガバナンス構築支援
・予算管理、原価計算、ROIC経営推進等を含む管理会計高度化支援
<必要な経験・能力>
(必須要件)
・CPA保有+監査経験3-4年程度
・数年程度以上の経理経験+ビジネスレベルの英語力
想定年収 500万円 ~ 1500万円
【監査法人/公認会計士(公認会計士試験合格者含む)】
勤務地:京都府 ・大阪府
<仕事内容>
・法定監査(金商法、会社法)
・IPO支援業務
<必要な経験・能力>
(必須要件)
・公認会計士で監査法人での勤務経験がある方(主査経験があれば尚可)若しくは、公認会計士の資格取得を目指している方(公認会計士試験合格者)
・出張対応できる方
想定年収 600万円 ~ 1158万円
【Big4/金融監査/USCPA積極採用中】
勤務地:東京都
<仕事内容>
金融機関(銀行、証券会社、生損保、資産運用会社及びファンド等)の会計監査業務(金融商品取引法、会社法監査等に基づく監査業務)、及びその他周辺業務
<必要な経験・能力>
(必須要件)
・米国公認会計士資格、または一部科目合格者(★積極採用中)
・日本公認会計士資格、または論文式試験全科目合格者
・事業会社での経理実務経験者
(歓迎要件)
・日商簿記2級
・英語(TOEC650点以上)推奨
想定年収 450万円 ~ 1500万円
まとめ
会計監査人は企業の財務報告書の監査を行う専門家であり、公正かつ客観的な立場を保ちながら業務に従事し、企業の信頼性を確保し、利害関係者に安心を与える重要な役割を担っています。
会計監査人としてのキャリアは監査対応だけでなく、事業会社やコンサルティングファームなどに転職する際のアピール材料としても活かすことができるのも魅力です。
公認会計士としてどのようなキャリアを歩んでいこうか検討しているのであれば、その候補に監査法人への転職を入れてみてはいかがでしょうか。
士業特化の転職エージェントであるMS-Japanは専門のキャリアアドバイザーが無料で相談に乗ってくれるので、この機会に利用登録してみるのもおススメです。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。
2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を担当し、現在は関東全域の士業、管理部門全職種を担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは何ですか?
公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。
公認会計士は外資系企業でワークライフバランスを重視した働き方が出来ますか?
外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。
公認会計士は外資系企業でどのような部門に配属されることが多いですか?
公認会計士が外資系企業に転職する場合、「アカウンティング部門」もしくは「ファイナンス部門」のいずれかが有力な選択肢となります。 アカウンティング部門は、日系企業でいう経理部に当たり、ファイナンス部門は日系企業でいうと予算管理部門と経営企画部門のちょうど間ぐらいの立ち位置になります。
公認会計士が外資系企業で働くにはどのようなスキルが求められますか?
公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは高いですか?
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。
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