【短期決戦】監査法人に就職するポイント 売り手市場は続くのか?

監査法人の就活は、公認会計士試験に合格してから内定が出るまで2週間程度の超短期決戦で行われます。
そのために、志望動機や面接対策などの事前準備が成功につながります。
この記事では、監査法人の就活の日程、志望動機の練り上げ方、および面接で注意すべきマナーやポイントをご紹介します。
監査法人の就職は売り手市場が続いている
監査法人の売り手市場が続いています。
最初に、4大監査法人の公認会計士がどの程度不足しているのかを、各社が公開している説明書類(業務及び財産の状況に関する説明書類)から、
・公認会計士数
・公認会計士1人あたりの売上高
・公認会計士1人あたりのクライアント数
の推移を見ていきましょう。
なお、売上高およびクライアント数とも、監査法人の監査業務およびアドバイザリーなどの非監査業務を合計したものです。
新日本有限責任監査法人
新日本有限責任監査法人の公認会計士数の推移は、下のグラフのようになっています。
新日本有限責任監査法人『業務および財産の状況に関する説明書類』より作成
これを見ると、2015年までは増加傾向であったものの、その後は減少傾向であることがわかります。
次に、新日本有限責任監査法人の公認会計士1人あたりの売上高、およびクライアント数の推移は下のグラフのようになります。
新日本有限責任監査法人『業務および財産の状況に関する説明書類』より作成
これを見ると、会計士1人あたりの売上高、およびクライアント数ともに、2015年までは大きく上昇しています。
その後、クライアント数については減少傾向にあるものの、売上高については、2017年に一度下落した後はふたたび上昇しています。
新日本有限責任監査法人では、2015年5月に東芝の不正会計が発覚しました。
2015年以降、クライアント数が減少しているのは、この影響と見ることができるでしょう。
しかし、会計士1人あたりの売上高は増加していますので、会計士の負担も増加していると考えることができます。
有限責任監査法人トーマツ
有限責任監査法人トーマツの公認会計士数の推移は、下のグラフのようになっています。
有限責任監査法人トーマツ『業務および財産の状況に関する説明書類』より作成
有限責任監査法人トーマツの公認会計士数は、2012年に一度下落したものの、その後は増加傾向であることがわかります。
次に、有限責任監査法人トーマツの公認会計士1人あたりの売上高およびクライアント数の推移を見てみましょう。
有限責任監査法人トーマツ『業務および財産の状況に関する説明書類』より作成
有限責任監査法人トーマツでも、会計士1人あたりのクライアント数に関しては2017年以降に下落しているものの、売上高については増加傾向で、会計士の負担は増加していると考えることができます。
なお、2017年に売上高が大きく下落しているのは、トーマツでは2017年から決算期を変更し、2017年は会計期間が8ヶ月となっているためと見られます。
有限責任 あずさ監査法人
有限責任あずさ監査法人の公認会計士数の推移は下のグラフのようになります。
有限責任あずさ監査法人『業務および財産の状況に関する説明書類』より作成
これを見ると、2013年以降、公認会計士数は増加傾向にあることがわかります。
次に、有限責任あずさ監査法人の公認会計士1人あたりの売上高とクライアント数の推移は、下のグラフのとおりです。
有限責任あずさ監査法人『業務および財産の状況に関する説明書類』より作成
これを見ると、会計士1人あたりの売上高、クライアント数ともに増加傾向を続けており、会計士の負担は増え続けていると考えることができるでしょう。
PwC Japan有限責任監査法人
PwC Japan有限責任監査法人の公認会計士数の推移は下のグラフのとおりです。
なお、PwC Japan有限責任監査法人は説明書類を過去3年分のみWebで公開しているため、それ以前のデータはここでは表示していません。
PwC Japan有限責任監査法人『業務および財産の状況に関する説明書類』より作成
PwC Japan有限責任監査法人は2019年に試験合格者を大きく増やし、会計士の人数が500人程度増えたことがわかります。
次に、PwC Japan有限責任監査法人の公認会計士人あたりの売上高およびクライアント数の推移は下のグラフのとおりです。
PwC Japan有限責任監査法人『業務および財産の状況に関する説明書類』より作成
このグラフを見ると、会計士数を大幅に増員したからなのでしょう、PwC Japan有限責任監査法人に関しては、この3年では、会計士1人あたりの売上高およびクライアント数とも大きく下落しています。
ただし、会計士の仕事量がこれで適正なものになったのかについては、今後の推移を見なければわかりません。
監査法人の就職活動は短期決戦 準備がとても重要
監査法人の就活期間は非常に短いことが特徴です。
11月中旬に公認会計士試験の合格発表があってから就職活動がスタートし、約2週間後の12月初旬には内定が出ます。
内定の合否は、基本的にエントリーシートによる書類選考と面接のみで決まります。
短い就活期間のなかで面接対策をしっかりと行うかどうかにより、希望の監査法人の内定を得られるかどうかが決まるといっても過言ではありません。
面接に備え、志望動機をしっかりと固めることが重要です。
また、面接までには、社会人としてのマナーもきちんと身に付けておくようにしましょう。
監査法人の面接日程
公認会計士試験の合格発表から監査法人の内定通知までの日程を、EY新日本監査法人・東京事務所の2018年の日程を例にとって見てみましょう。
項 目 | 日 程 |
---|---|
公認会計士試験 合格発表 | 11月16日 9時~17時 |
説明会予約 | 11月16日~ |
面接の予約 | 11月22日~ |
エントリーシートの提出 | 11月16日~1次面接前日まで |
WEB適性テストの受験 | 11月16日~1次面接前日まで |
1次・2次面接 | 11月26日~12月1日 |
内定通知 | 12月3日(メールおよび電話にて) |
内定受諾期間 | 12月3日~4日 |
この日程を見てわかるように、公認会計士試験の合格発表の当日から説明会の予約やエントリーシートの提出などの受付が開始され、10日後には面接がスタート。
そして、約2週間後には内定が決まります。監査法人の就活は超短期決戦です。
したがって、面接対策は非常に短い期間で行わなくてはなりません。
面接に備え志望動機をしっかり固めよう
面接対策で大切なのは、質問を想定し、それに対する答えを万全に準備することです。
面接の答えを準備するには、志望動機をしっかりと固めることがポイントです。
面接での質問は、具体的な質問の仕方はさまざまですが、基本的に次の3つが最も重要なものとなります。
1. なぜこの業界を選んだのか
2. なぜ当法人を選んだのか
3. なぜあなたを採用するべきなのか
これらはいずれも、「志望動機」に当たることです。志望動機は、念には念を入れて練り上げることが大切です。
志望動機を練り上げるためには、
・業界および監査法人の特徴を研究する
・自分を採用するメリットをアピールする方法を考える
の2つの段階があります。
業界および監査法人の特徴を研究する
志望動機を練り上げるためには、監査法人の業界および面接を受ける監査法人そのものを深く研究することが欠かせません。
監査法人は、外資系や金融、会計、コンサルなどの業界に分かれています。
それぞれの業界が具体的にどのような業務を行うのか、およびそれぞれの業界は他の業界とどう違うのかをしっかりと把握しておくことが大切です。
また、同じ業界のなかでも、監査法人はそれぞれ独自の立ち位置をもっています。
同じ業界の監査法人の業務内容や取引先などをよく調べ、面接を受ける監査法人にどのような特徴があるのか把握しましょう。
自分を採用するメリットをアピールする方法を考える
業界および監査法人の特徴を調べることで、面接を受ける監査法人がどのような人物像を求めているかも明らかになってきます。
それを踏まえて、必要とされる能力を逆算し、
・自分の強み
・これまでにしてきた勉強
・将来したいと思う仕事の内容
といったポイントに関して、アピールする方法を考えます。
志望動機は、
「監査法人を選ぶ際のこだわりは何ですか?」
「そのこだわりは当法人で実現できますか?」
「これから伸ばしたいコンピテンシーは何ですか?」
「当法人に入所して5年後の自分の自己紹介をしてください」
など、さまざまな形で質問されることがあります。
志望動機はしっかりと練り上げて、同じ質問に複数回「なぜ」と聞かれても答えられるようにしておきましょう。
面接で注意すべきマナーやポイント
面接では、社会人としてのマナーを身に付けているかどうかも判断されます。面接で注意すべきマナーやポイントは次のようなものとなります。
・服装は、スーツを着用し、清潔感のあるもので統一する
・面接室に入ったら元気よく挨拶し、背もたれにもたれずに背筋を伸ばして座る
・面接官の質問に答える際は、まず結論を述べ、そのあとに具体的な理由や経験を簡潔に述べる
・面接官の目を見て笑顔で話す
・「何か質問はありますか」と聞かれたときのために、仕事への熱意を見せられるような質問を用意しておく
しっかり面接対策してライバルに差をつけよう!
監査法人の就活は期間が非常に短いため、準備をするのはなかなか難しいものがあります。
だからこそ、面接対策に力を入れることでライバルに差をつけられるともいえます。
しっかりと準備をし、希望する監査法人の内定を獲得しましょう。


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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。
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外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。
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公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。
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公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。
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